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遊戯王GX-音速の機械戦士-

作者:蓮夜
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-本物と偽物-前編-

 
前書き
この話からちょっと書き方を変えてます。
こっちの方が読みやすいと思いますが、どうでしょう? 

 
side遊矢


冬休みが終わり、俺は再びデュエルアカデミアに帰ってきた。

レイは
『来年からは一緒にデュエルアカデミアに通う』
と入る気満々だったな。

まあ、それはともかく冬休み明けのデュエルアカデミアに、一つのイベントが舞い込んで来た。
伝説のデュエリスト、武藤遊戯さんのコピーデッキがデュエルアカデミアで公開されるそうだ。
神のカードなどは入っていないらしいが、それでもあのバトル・シティを戦い抜いた伝説のデッキだ。
見たくない奴は恐らくはいないだろう。
そんな事情もあり、デュエルアカデミアは小学校の遠足1日前のようだった。

「腹が減ったな…」
イベントがあろうとなかろうと、腹は減る。
久々にドローパンでも買おうと思い、俺は購買部に向かっていた。

いざ購買部に着くと…人だかりが出来ていて、その中に見知った顔を見つけた。

「三沢、これは何をやってるんだ?」

「遊矢か。明日は遂に武藤遊戯さんのデッキが来るからな。見学用の会場の整理券を配っていて、最後の一つをデュエルで決めているらしい。」

説明ありがとう三沢。

ちなみに、俺も三沢も整理券を買ってない。
混雑する時間に行くよりは、余裕を持って眺めた方が良いと思ったからだ。


ええと…デュエルしているのは…ラー・イエローの神楽坂。
それに翔だ。

神楽坂のライフは800。
翔のライフは2000。
翔のフィールドには、ジェット・ロイドが一体。
リバースカードは無し。

ジェット・ロイド
ATK1200
DEF1800

神楽坂のフィールドには何もなし。

圧倒的に翔の有利だ。

「俺のターン、ドロー!」
神楽坂。
ラー・イエローの成績は良い方だが、記憶力が良すぎて作ったデッキが誰かのデッキに似てしまう奴だ。
最近は、わざわざコピーデッキを作って戦っているらしい…コピーデッキで勝てるわけがないだろう…

「今回、神楽坂は誰のデッキを使っているんだ?」

「君のデッキさ。【機械戦士】デッキだよ。」

【機械戦士】デッキ。
最近は言われないようになったが、一応最弱のデッキと呼ばれるデッキ。

「俺は手札断殺を発動!お互いに手札を二枚捨て、二枚ドロー!」

…ってことは、あれは俺の真似か…?

「墓地に送ったリミッター・ブレイクの効果を発動!デッキから出でよ!マイフェイバリットカード、スピード・ウォリアー!!」

『お前のじゃないだろ!?』

総ツッコミを受けるが、無視する神楽坂。

「そして速攻魔法、地獄の暴走召喚!!更に出でよ!スピード・ウォリアー!!」

スピード・ウォリアーが三体フィールドに現れる。
いつものように
『トアアアッ!!』
って声がしないな…
何でだろう。

「スピード・ウォリアーに団結の力を発動!スピード・ウォリアーは、お前のモンスター、ジェット・ロイドの攻撃力を超えた!行け!スピード・ウォリアー!ソニック・エッジ!!」

「待て!ジェット・ロイドの効果は…」

つい口出しをしてしまったが、攻撃宣言はもう完了している。

「ジェット・ロイドの効果を発動!このカードが攻撃された時、手札からトラップカードを発動できる!僕が発動するのは、魔法の筒!!相手の攻撃を無効化し、その攻撃力分のダメージを与える!!」

スピード・ウォリアーの攻撃力は3100…
ライフが800しかない神楽坂の負けだ。

「うわああああッ!」
神楽坂LP800→0


「やったッス!これで整理券は僕の物ッス!」

トメさんから整理券を貰い、翔はオシリス・レッド寮に走っていった。
十代と隼人にでも自慢するつもりだろう。

「神楽坂の奴、オシリス・レッドなんかに負けたぜ?」

「あいつはもう駄目だな…」

ごちゃごちゃうるさい連中をトメさんが追い出し、俺と三沢は倒れている神楽坂の下へ行った。

「神楽坂、大丈夫か?」

「ドンマイ。こんな時もあるさ。」

俺と三沢は今ではオベリスク・ブルーだが、よくラー・イエローの方へ遊びに行っている。
なので、あまりオベリスク・ブルーという感じはしないし、ラー・イエローである神楽坂とも仲は良い。

「今度は俺のコピーデッキなんかじゃなく、自分のデッキを使えよな。」

「…どうしろっていうんだ。俺はどう作っても誰かのデッキに似てしまう…だったら最初っから誰かのデッキを使った方が良いじゃないか…」

「神楽坂。それは駄目だ。」

たとえ誰かのデッキに似ていようと、そこから自分のコンボを組めばいい。
だから、コピーデッキは駄目だ。
自分のデッキは自分のモノだ。
コピーは、自分のデッキじゃない…

「…分かっているんだ、そんなことは…」

神楽坂も分かってはいるんだ、コピーデッキでは駄目だということを。

「だったら俺と遊矢、神楽坂の三人でデッキを組もう。」

「それは良い考えじゃないか!」

流石は三沢。

「いや、それには及ばない…」

神楽坂はふらりと立ち上がり、俺の方を向いた。

「遊矢。お前は自分のデッキに入っているカードを信頼して、理解すれば好きなカードでも使える、と言ったな。」

「まあ、微妙に違うがだいたいそうだな。」

不必要なカードなど存在しない。
どんなカードだって何かのコンボに使えるはずだ。

「…今日の夜に相談したいことがある。」

「今じゃ駄目か?」

何故に夜?

「駄目なんだ。じゃあ、またな。」

神楽坂は、どこかへ歩いていった…

「神楽坂…どうしたんだ…それはともかくトメさん。ドローパンください。」

俺は目的を思い出し、トメさんからドローパンを買った。



…具なしパンだった…



で、その夜。

冬休み明けで久し振りにいつもの池で釣りをしていた。

やはり釣りは良い。
その時、一人の人物が現れた。

「こんばんは遊矢。どう?釣れてる?」

「明日香か。この池で会うのは久し振りだな。」

冬休みの前ぶり。
ああ、そういや…

「レイから伝言があるんだが…」

「っ!?な、何かしら?」

レイの話になると、明日香はいつも途端に身構える。

「『冬休みの間、ボクと遊矢様は一つ屋根の下で暮らしていたよ』って伝えてくれって…」

瞬間。

空気が震えた。

「あ、明日香?」
ただならぬ気を放つ明日香。

「ええと、遊矢。どういうことかしら?」

めっちゃ笑顔。
めっちゃ怖い。

「いや、冬休みに実家に帰ったらさ。いきなりレイの家に泊まることになったんだよ。」

「…何もしてない?」

「勉強を教えたぐらいだよ。」

俺がレイに何をするんだよ。
逆に聞きたいわ。

「そう。…良かった…」

明日香が何事か呟いたがよく聞き取れなかった。
まあ、いいか。

「遊矢、明日香。ここにいたか。」
更に現れたのは、亮。

「亮。お前までどうした?」

「明日、デュエルキングのデッキが展示されるだろう?」

「ああ。今はその話題で持ちきりだな。」

まさか…
いやいや、カイザーとあろうものがそんなことを言うはずが無い。

「今日の夜には展示されるだろうから、先に見に行かないか?」

「マジか…」

と、言っても見たいのは事実。

「じゃ、ちょっと待ってくれ。三沢も入れて四人で行こう。…明日香も行くだろ?」

「え、…ええ…」

やっぱりみんな見たいんだよな、と思いつつ、三沢に電話をかけた。


三沢も二つ返事でOKし、四人で展示会場に向かっていた。

「まさか、亮が見たいから先に行こう。なんて言うとはなぁ。」

「俺とて一人のデュエリストだからな。」

デュエリストって言えば何でもやって言いわけじゃないからな。

その時。

『マンマミーアァァァァァァァァァァ!!』

いきなり叫び声が校舎内に響いた。
この声は…

「クロノス教諭…よね。」

「展示会場の方からじゃないか?」

「まさか、クロノス教諭とデッキに何か…?」

「行くぞ!」

四人で展示会場へ走り出した。


展示会場。
光に照らされたガラスケースは壊されてデッキが存在せず。

横には、青い顔をしたクロノス教諭がいた。

…状況証拠だけなら完璧だな。

「まさか、クロノス教諭…?」

「ちちち違うノーネ!ワタシじゃないノーネ!!」

三沢が呟いた一言に、クロノス教諭が過剰に反応する。

「落ち着いてくださいクロノス教諭!クロノス教諭がやっていないというのは、ここにいるみんなは分かってますから!」

「え!?」

明日香。
分かってなかったな。

「クロノス教諭はガラスケースの鍵を持っている。わざわざ壊す必要はない。」

「その通りなノーネ!!流石はオベリスク・ブルーの生徒たちなノーネ!!」

オベリスク・ブルーは関係ないと思うが。

「つまり、教諭が見る前に盗んだ者がいるということか。」

「じゃあ、校長に連絡を…」

「待つノーネシニョーラ明日香!このままではワタシが責任をとらされてしまうノーネ!」
クロノス教諭…
ん?
PDAにメールが来た。
そんな場合じゃないと分かっていても、つい反射的にメールを確認してしまった。

差出人は、神楽坂。
そういや、夜に相談があると言っていたな。

メールの内容は…

『俺は伝説のデュエリストのデッキを手に入れた。
海岸で待つ。』

「ッ!!皆!海岸に向かうぞ!」

「ちょっと遊矢!?」

「おい、何があった!?」

「いいから来い!」

神楽坂が待つ海岸に急いだ。

神楽坂。
何を考えてやがる…
走りながら皆に事情を説明した。
クロノス教諭は残ったようだ。

「待っていたぞ遊矢!」

海岸でデュエルディスクを二つ持って神楽坂は待っていた。

「神楽坂…どういうことだ?」

「俺は有名なデュエリストの対戦記録を全て暗記して、様々なデッキを使いこなせるようになった!なのに、何故か俺はデュエルに勝てない…彼らと俺、何が違うのか確かめたいんだ!」

これがお前が言っていた『相談』か。
レアカードが目当てだとかじゃなくて良かったがな。

「分かった。
『コピーデッキではない自分のデッキの強さ』
を、そのデュエルキングのデッキ相手に証明してやるよ。」

神楽坂からデュエルディスクを投げられ、受け止める。

「このデュエルが終わったら、遊戯さんのデッキは返せよ。」

「最初からそのつもりだ。俺は自分の力を確かめたいだけだからな。」

デュエルディスク、
セット。

「「デュエル!!」」

「俺のターン、ドロー!」

神楽坂のターンからだ。

「俺は融合を発動!手札の<幻獣王ガゼル>と<バフォメット>を融合し、<有翼幻獣キマイラ>を融合召喚!!」

有翼幻獣キマイラ
ATK2100
DEF1200

「<有翼幻獣キマイラ>…デュエルキングのデッキの特攻隊長てもいえるカード…」

「流石に良く知ってるな三沢。これで俺はターンエンドだ。」

伝説のデッキとデュエルできるとはラッキーだな。

「楽しんで勝たせてもらうぜ!」 
 

 
後書き
前後編にしたのは、まだデュエルを思いついていないからです。

ところで先日。ちょっと嬉しいことがありました。
携帯のWebサイトで
<スピード・ウォリアー>
と検索したところ、四ページ目ぐらいにこの小説が出てきましてですね、ちょっと嬉しかったです。
今回の書き方について、前回のアンケートについて、全く関係なくても感想・アドバイス待ってます。 
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