| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのは〜転生者の誓い〜

作者:muuma001
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十二話・再起する転生者

先日、俺はデバイスを手に入れた。

その事により俺は再度のジュエルシード探索への同伴を求めたがなのはも家族も許可はしてくれなかった。

そこで俺は前回なのはを説き伏せたあの手段を使う事にした。

曰く、高町家伝統交渉手段『武力対話』、通称オハナシである。

俺は身をもって魔法の有無による実力の差というものを体感しているが

父や兄さん、姉さんは魔法の力というものがどれだけ凄いのか分かっていない

つまり、俺はかなりのアドバンテージを持った状態で戦えるのである。

無論、父達もそう易々と俺に勝たせる気はないのだろう

なぜなら、対戦相手が恭也兄さんだからだ。

戦闘方面において、恭也兄さんは父から全幅の信頼を得ているといっても過言ではない

また、俺や美由希姉さんを鍛えてくれたのは恭也兄さんである。

その恭也兄さんが現在、目の前で木刀を構えて


「そんな大きな腕を付けてまともに動けるのか?」


とこちらを挑発してきていた。

正直言うと勝てるかどうかは分からないが俺には秘策があった。

そのため多少無理矢理だが不適な笑みを浮かべ

こちらも挑発を返す。


「兄さんこそ、弟に負ける準備は良いですか?」


兄さんの目が先程よりも幾分か鋭さを増した。


「えーと…、なんだか不穏な空気が流れてるけど…」


周りで観戦していた美由希姉さんが言いづらそうに声をあげる。

それになのはと母も頷いている。

どうやらこのような行為は女性陣には不評らしい

私的には挑発も立派な戦闘技術の一つだと思うのだが・・・


「ごっほん!…、それでは…」


脱線しかけた俺の思考を遮るように美由希姉さんが再び声をあげる。

それでは、という言葉に一瞬で体が緊張に満たされていく


「試合開始!!」


戦いの火蓋が切って落とされた。

始まってすぐに左腕で体を庇うように俺は防御姿勢をとる。


「はッ!!」


僅かに遅れてかけ声とともに左腕に鋭く重い一撃を感じる。


「くっ…、その腕は固いな」


苦々しげにそう呟き、恭也兄さんは再び距離を取った。

しかし、ここまでが俺の計算の内である。


「今だ!」


神速を使い、一瞬で恭也兄さんに近づく

無論、恭也兄さんもそれを防ぐため木刀を構える。

ただそれはこの状況に置いては悪手だと言わざるえない

なぜなら


「何っ!?」


兄さんが驚きの声をあげながら吹き飛ぶ。

防御していたにもかかわらず、だ。

しかし理由は単純


「その腕、とんでもないパワーだな…」


俺の左腕を睨みながらそう呻く兄さん。

そう、俺は木刀の防御の上から左腕で殴っただけなのである。

そしてこの威力

左腕の重さも関係しているのだろう

今の一撃で兄さんは手が少し痺れたようだ。

少し辛そうに、木刀を握りしめ直している。


「よくそんな物を付けて動けるな…」


兄さんが素直に驚きを表した言葉を投げかけてくる。

確かに、兄さんの言うようにこの左腕はとても重たいのだが

これに関しては魔法というとんでもギミックでカバーしてあるのだ

ゆえに装備者であり所持者でもある俺はこの左腕の重さに影響されずに動けるのである。

これが兄さんに対する秘策の中のその一つである。

そして先程もみせた左腕による防御

これも秘策の内の一つだ。


「みずな、悪いが一気に終わらせてもらうぞッ!!」


再び兄さんが神速に高速接近で木刀を打ち込んでくるが

左腕でそれを防ぐ。

兄さんはやはり、と言った顔で再び距離を取る。

なぜ兄さんはそんな顔をしたのか

それは俺に御神流剣術の稽古をしてくれたのは兄さんだからである。

俺の御神流の動きのほとんどが兄さんの動きの劣化コピーといっても過言ではない。

だが、それだからこそ俺は兄さんが打ち込みそうな場所、距離の取り方、攻撃のクセ等が頭に刻み込まれているのだ。

対して兄さんは初めて相対する大きな腕型の武器にいまだ探りを入れている途中であり

距離をとろうにも相手が俺ゆえに取りづらく、また先程防御も出来ない事が分かったので圧倒的に不利なのだ。

無論、その隙を俺は逃さない

再び神速で距離をつめ左の鉄拳で殴りつける。

兄さんは今度は防ごうとせずに木刀でその拳を受け流した。

そして攻撃を受け流された俺に一瞬の隙が生まれる

そこへ


「もらった!」


受け流された事により無防備になった俺の体を目掛け兄さんの鋭い一撃が走った。

しかし


「何だとっ…!?」


兄さんが驚愕の表情で俺を見る

俺は木刀を体で受け止めたからだ。

兄さんの一撃は常人が受ければ胴体に受けたとしても気絶しかねないものだ。

ただそれは常人ならばである。

俺はもとよりある高町家の強靭な血を受け継いでいるし

魔力で身体能力と体の強度を強めてある。

ここまでしていれば来ると分かっている攻撃を耐える事は出来なくはないのである。


「くッ!!」


今の一瞬で自らの勝機が敗北の危機へと変化したのを感じたのか兄さんはすぐさま距離をとろうとする

咄嗟に俺の右手側からを距離をとろうとするも含めさすが兄さんだ。

しかし

それさえも俺にとっては計算の内、なのである。

右手に魔力を集中し、魔力の剣を作り出す

そしてその剣を狙撃手のように正確に

また素早い加速を付けて突き出す。

名付けて


「アクセルスナイパー!!」


俺が右手になにも持っていなかった為、追撃はそれほど威力はないはずと兄さんは読んでいた

だが結果は完全に予想外。俺の攻撃は兄さんの胸の中心を正確に捉えた。


「があッ!?」


その一撃で兄さんは再び吹き飛ばされ

今度は壁にぶつかり気絶してしまった

・・・・・・俺の勝ちのようだ。

周りでは観戦していた家族全員が唖然としている。


「何だって!?」


ちなみに父が一番驚いていた

というか何気に父の驚いた顔を見るのは初めてだったりする。

まあ、それはさておき

とりあえずなのはにこれから探索を手伝って良いのか質問する。


「なのは?」


なのはに声をかけるとこちらを複雑そうな表情で見つめてきた


「あの…その…」


なにか言いたい事がありそうに口を開いたが

その続きの言葉はなのはの口からは発せられなかった。

そして、覚悟を決めたかのように一度目を閉じると

次に目を開いた時

その二つの可愛らしい目にはある種の決意がともっているような気がした。


「なのは本当はみずなお兄ちゃんには二度と戦って欲しくないの…」


瞬間、悲しそうに表情を歪めたが再びその決意の眼差しをこちらに向け言葉を紡ぐ


「でもね、またお兄ちゃんと一緒にいられる時間が増えるんだって思うと何だか嬉しいの…」


そういって悲しそうに笑うなのは

そしてなのは更に言葉を続ける


「お兄ちゃんがあんなひどい事になったのに、こんなこと思っちゃう何てなのはは悪い子なのかな…」


そういって今度こそ悲しそうな表情を隠さず、そう呟いた。

全く・・・、なのはは優し過ぎるな

心のなかでそう呟き俺はなのはに笑顔でこう答えた


「何言ってんだ?俺だってなのはと一緒の時間が増えて嬉しいよ」

「ふぇ!?」


まさか肯定されるとは思っていなかったのか驚いた表情でこちらを見つめるなのは

そこで俺はもう一度笑顔でなのはに語りかける


「だからなのはは悪い子なんかじゃない、俺の自慢の可愛い妹だよ」


この言葉が効いたのか、なのはの顔から悲しさが消えて

笑顔の花が咲く。

やはり、なのはには笑顔が一番似合う

それに、さっきまでこの場を満たしていた暗い感じの空気がなのはの笑顔で浄化されていた。

その雰囲気に美由希姉さんと母は

まあ、仕方ないかといった感じでいまだ気絶している恭也兄さんを介抱しに向かった。

父は

「恭也に勝って、なのはが認めたんだ。俺にはもう何も言う事はないよ」


そう言い残して今回の対戦場所であった道場から出て行った。

そしてなのはが一言


「お兄ちゃん、またよろしくね!」


こうして俺は再び戦いの待つ非日常へとその歩みを進めたのだった。
 
 

 
後書き

みなさんお久しぶりになります。
muuma001です。
この度は急な更新停止をしてしまい大変失礼いたしました。
あまり色々書くのは言い訳のような感じがするので理由は私用とだけ言わせて頂きます。
ただ決して小説を書く事が嫌いになったわけではないので
よろしければこれからも呼んで頂ければ幸いです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧