万華鏡
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第三十四話 トラックその七
「結構」
「そうなのね、けれどああしたトラックはまた別だから」
「そうなんですか」
「会社勤めでは中々ああしたトラックには乗れないわ」
あくまで個人でやる場合のものだというのだ。
「それはね」
「そうですか」
「そうなの、トラックといっても色々よ」
今彼女達が見ている軍用のものの他にその絵が描かれる様なかなり大きなものもあるというのだ、琴乃が好きなそれの様なものが。
「軽トラもあるでしょ」
「あれもトラックなんですね」
「そうなるわ、小さいけれどね」
トラックとしてはかなり小さい、だがトラックはトラックだというのだ。
「あれもよ」
「そうですか」
「あれは農家とかでよく使われるわね」
他には店でだ、今もよく乗られている。
「あれは普通免許でも乗られるからね」
「そのトラックはいいんですね」
「いいのよ、大きさもその中にあるから」
だからいいというのだ。
「あのトラックはね」
「本当にトラックっていっても色々ですね」
「そうなのよ」
こう話すのだった。
「その辺りも勉強するのも大事よ」
「車のことも」
「学校で勉強することは人間の世界全体よ」
教科書にあるものだけではないというのだ。
「車もまた然りよ」
「車もまた」
「とにかく何でも勉強することよ」
これが先生の言うことだった。
「いいわね」
「わかりました、じゃあこの合宿も」
「部活だけじゃないでしょ」
「はい、それは」
今見学を行っているがそれこそがだった。
「凄い合宿ですね」
「ただの合宿じゃそれだけの勉強でしかないから」
だからいいというのだ。
「人生は何でもね」
「勉強だからですか」
「広島にしてもね」
その合宿先のこの街にしてもだというのだ。
「原爆だけじゃないのよ」
「広島イコール原爆のイメージは」
「それだけじゃないのよ」
先生は今度は里香に話す。
「そればっかりの先生もいるけれどね、じゃあ明日はね」
「明日は?」
「明日はっていいますと」
「厳島よ」
合宿もそろそろ終わりだがその最後にだというのだ。
「あそこに行くわよ」
「厳島神社、ですね」
「あそこに」
「あそこはいいわよ」
先生は今もトラックを見ている、だがその目には今は先生が見てきたその厳島神社がある。
「普通の神社じゃないから」
「海の中にあるんですよね」
景子が言う、流石に神社の娘だけあって知っている。
「そうですよね」
「そうよ、幻想的なのよ」
海の中にありそこから浮かび上がるからだというのだ。
「それだけにね」
「そうですか、あの神社は」
「それだけ素晴らしいんですね」
「そうよ、だからよく見るといいわ」
その厳島神社もだというのだ、先生は生徒達に話す。広島市内を回る見学はこの工場で終わってそしてだった。
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