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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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コラボ
  コラボ『剣製の魔法少女戦記&F/mg』第一話 魔法使いがやってきた!?後編

 翌朝、眼を覚まし、トレーニング用のジャージを着て下に降りると

「おはよう、士郎」
「おはよう、シホ」

 もう眼を覚ましたシホがいた。

 さすがに早いな。

「朝食の支度には早くない?」
「鍛錬を少ししてから、朝食に取り掛かるからな」
「ならゆっくり鍛錬してきてちょうだい。
 どうせ手は空いてるから私が朝食をしておくわ」

 ならシホの言葉に甘えさせてもらうとしよう。

「なら頼む。
 あと俺とプレシアの弁当の分もあるからそっちも頼んでいいか?」
「いいわよ。いってらっしゃい」

 シホのに任せて、工房に移動し座禅を組み、投影の設計図を描いていく。

 それからしばらくして鍛練用の剣を二振り持ち、素振りを始める。
 体が温まったら仮想の敵を想定し、剣を振るっていく

 そんな時静かに姿を現すセイバー。

「おはよう。セイバー」
「おはようございます。シロウ。
 それとセイバーではなく、アルトリアと」

 そうか。
 俺にとってはセイバーはサーヴァントのイメージが強いがここではユニゾンデバイスで、アルトリアという名前で呼ぶのが普通なんだよな

「わかったよ。アルトリア」

 俺の呼び方に頷くアルトリア。

「それにしても、やはり並行世界でもシロウはシロウなのですね」
「? どういう意味だ?」
「死徒になった言っていましたが、それでも真っ直ぐ、自身を鍛えている姿は変わらないと思ったのです」

 そう言われるのはなんだか、こそばゆいな。
 だけどせっかくアルトリアがいるんだ。

 工房である鍛冶場に入り、無銘の西洋剣を一振りもってくる。

「あまり時間はないが一手所望してもいいかな」
「よいですよ」

 無銘の剣を握り、構えるアルトリア。
 双剣を自然体で握り、向かい合う俺。

 やはりこうして向かい合うとイメージとは比べ物にならない存在感だ。

「シッ!」

 一歩でアルトリアに踏み込み、剣を振るおうとするが、それよりも早くアルトリアの剣が俺に振り下ろされる。

 即座に左に避けながら左右の剣で受け流す。

 そのままさらに跳び、距離を取る。

 左右の剣で受け流して正解だ。

 成人している時ならまだしもこの身体で片手で受けようものなら体が持っていかれる。

「いい反応です。
 今度はこちらからいきます」
「ああ」

 アルトリアが剣を構え直し、一息に間合いを詰めると共に剣を振り下ろす。

 まともに受け止めれば子供の身体は吹き飛ばされる。
 そして、受け流し、軌道を逸らすにしても一瞬でも体勢を崩せば、アルトリアの次の一手で終わる。

 腰をおろし、眼でアルトリアの腕、視線を捕え、自ら隙を作り、攻撃を限定させる。
 それでも

「はあっ!」

 アルトリアの横薙ぎで腰をおろし、しっかりと大地につけていた足の接地感が薄れる。

「くっ!」

 一秒にも満たないわずかな時間。
 だがそれだけの時間があれば、アルトリアがさらに一撃を振るうには十分過ぎた。
 下からの斬激を受け流そうとするが、万全でない状態で完全に受け流せるはずもなく。

 金属の甲高い音を響かせて、右手の剣は弾きとばされ、返す刃は俺の首に突き付けられていた。

 そして、風切り音と共に弾き飛ばされた剣は落ちてきて大地に突き刺さる。

「ふむ、子供の未成熟な体ながら大したものです。
 このまま精進を続ければいい剣士になれるでしょう」
「せめてアルトリアに冷や汗の一つでもかかせることが出来ればいいんだが」
「そう簡単にはいきません。
 さて、続けますか」
「当たり前だ」

 大地に突き刺さった剣を抜き、アルトリアの改めて向かい合う。

 そして朝食の時間の直前まで剣を交えるのであった。


 朝食の前に汗や汚れた土を落とすためにシャワーを浴びて制服を着てからリビングに向かう。
 そこには

「いいタイミングね」

 丁度準備が出来たのだろう。
 ご飯をよそっているシホとテーブルについているプレシアとアルトリアとネロが待っていた。

「おはよう、プレシア、ネロ」
「おはよう、士郎」
「おはよう」

 シホも丁度最後のお椀にご飯をよそっていて手伝う事もなさそうなので、俺も席につく。
 テーブルにはハムエッグに味噌汁、ご飯にサラダという和洋が混ざった食事が並んでいた。

 最後にシホが席に着き

「「「「「いただきます」」」」」

 挨拶をしてから食事を始める。

「やっぱりシホさんは中身は士郎なのね。
 士郎に負けずの味を出しているわ。おいしい」
「あぁ、確かにうまいな」
「シホの料理は久しぶりに食べましたがやっぱりうまいですね」
「さすが奏者だな」
「お褒め頂きありがとうございます」

 食べ終わったとシホと並んで食器を片づけている中

「あ、士郎。ちょっといい?」
「ん? なんだ?」
「昨日泊まらせてもらった部屋に魔法陣を敷いてもいいかしら?
 手は早めに打っておいたほうがいいと思うから」
「ああ、構わない。
 好きに使えばいい。
 ただし地下と鍛冶場には触れないでくれよ?」
「了解。テーブルに士郎とプレシアのお弁当置いてるから忘れないでね」
「わかった。ありがとう」
「気にしないで」

 それからプレシアが一足先に家を出て、俺はまだ少し時間があるのでシホの淹れた紅茶を飲んで過ごす。

 そういえば昨日、フェイトにシホが会っているという事はリンディさん達にシホの事が知られている可能性が高いか。

「シホ、フェイトからリンディさん達にシホの事が伝わっているかもしれない。
 もしリンディさんやクロノが来たら魔術師として接してくれよ。
 一応、俺達にとっての魔法使いも説明しているから、魔法使いなんていったらややこしい事になる」
「了解。気をつけるわ」
「頼んだぞ。
 さて俺も行ってくるよ」

 シホのお弁当を鞄に入れ、学校に向かおうとしたときに鳴る電話。

 なんか嫌な予感がする。

「はい。衛宮です」
「リンディです。
 朝早くにごめんなさいね。
 シホ・E・シュバインオーグさんと話したいのだけど」

 予感的中。
 シホの方に視線を向けると誰から電話がかかってきたのかわかったのだろう。

「想像している人だ。
 俺が学校行くからうまくやってくれ」

 苦笑しながら頷くシホに受話器を渡して家をでる。
 さてさて、ややこしい事にならない事だけ願っておこう。




side リンディ

 昨晩にフェイトから聞いた、士郎君の親戚を名乗るもう一人の魔術師。

 本当かどうかは別にして士郎君の親戚を名乗っているのだから話し合いになること気にしながら、士郎君の家に電話をかける。

「はい。衛宮です」

 もしかしたらもう家を出てしまっていたかもしれないと少し心配したけど幸い間に合ったらしい。

「リンディです。
 朝早くにごめんなさいね。
 シホ・E・シュバインオーグさんと話したいのだけど」

 でももしかしたら電話に出てくれないかもと心配したのだけど

「……もしもし、変わりました」

 幸いなことに出てくれた。

「出てくれてよかったわ。
 フェイトさんから聞いたんですけど、あなたが士郎君の親戚で魔術師でもあるシホ・E・シュバインオーグさんかしら?」
「耳が早いですね」
「ごめんなさいね。
 士郎君以外の魔術師が発見されたのはあなたが二人目だから是非とも接触してみようと思いまして」
「自分で言うのもなんですけど、私が話が通じる魔術師でよかったですね。
 もっと気性の激しい人物だったらあなた達魔導師という存在に興味を持ち実験材料にする魔術師もいるでしょうね。
 そこのところを少し気をつけたほうがいいですよ。
 興味本位で魔術師に手を出したら手痛いしっぺ返しを受けることになりかねません」

 耳が痛い言葉ね。
 士郎君からも魔術師に対する注意は何度か言われた事がある。

「ええ、危険は承知しているわ。
 でも士郎君の親戚なら信じることは出来るわ」
「甘いですね。
 でも信用してくれるのはありがたいことです。
 さて、それでは改めて自己紹介をシホ・E・シュバインオーグ、魔術師です」
「私は時空管理局、次元空間航行艦船アースラ艦長リンディ・ハラオウンです」

 改めて魔術師という聞くとやはり緊張するものね。
 そんなとき、シュバインオーグさんから予想外の提案を受ける。

「受話器越しの会話では色々と話しづらいこともあるでしょうから、直接会って話しませんか?」
「わかりました。ではシュバインオーグさん、
 これから士郎君の家に窺わせていただきますがよろしいですか?」
「シホで構いません。
 それではまた後ほど会いましょう。ハラオウン提督」

 電話を切って大きく息を吐く。
 さて士郎君の親戚だから身の危険の心配はいらないけど、どうなるかしら。

 不安を感じながら出掛ける準備をする。


 僅かな不安を感じながら辿りつく士郎君の館。

 一度、深呼吸をして呼び鈴を鳴らす。

 そして、開く扉。

 そこには一人の女性が立っていた。 

「初めまして。あなたが……シホさん?」
「はい。そうです」
「先ほど、電話しましたリンディ・ハラオウンです」
「改めて初めまして、ハラオウン提督」
「管理局としてきたわけではないので役職は必要なりませんよ。
 それとリンディで構いません」
「ではリンディさんと。
 どうぞ、中へ」

 シホさんの案内でリビングに通される。

 それにしてもフェイトがいうとおり綺麗な人ね。

 お茶を出され、互いに向い合って座る。
 話を切りだしたのはシホさんの方からだった。

「先ほど、『管理局としてきたわけではない』とおっしゃってましたが」
「管理局の中では士郎君にそれなりに信頼されていると思ってます。
 もう一人の魔術師という話が出てきたのなら管理局内に伝える前に相談は必要でしょうから」
「配慮ありがとうございます。
 諸事情で士郎の親戚を名乗ってはいますが、事実は異なります。
 そして私自身、また姿を消すつもりなので今回の会談はなかったとしていただければ助かります」
「わかりました」

 今回の話し合いは順調に進みそうで安心した。

 それとは別に気になるのは

「ところであなたの後ろにいる二人は一体?」
「彼女達は私の従者で双子の姉妹です」
「私はアルトリアです。よろしくお願いします、リンディ」
「余はネロだ。よろしく頼むぞ、リンディ」
「はい。よろしくお願いします」

 凛とした立ち方。
 どこかシグナムに似た雰囲気。
 シホさんの騎士といったところかしら

「それで、わざわざ来られたわけですが、何か目的があったのでは?」
「そうですね。
 もう一人の魔術師と聞いて直接会って確認したかったのも本音です。
 あとはダメでしょうけど、シホさんの魔術や技術を教えていただくわけには」
「お断りします。魔術は秘匿するモノというのは士郎からも聞いているのでしょう」
「ええ、もしかしたらとも思ったのですがやはり無理ですか、残念です」

 案の定というか、あっさりと断られた。

 教えてもらえるとは思ってなかったけどやっぱりね。

 でも気になるのが、『諸事情で士郎の親戚を名乗ってはいますが、事実は異なります』という言葉。

 つまり士郎君とシホさんが知り合いではあるが身内ではないということ

「シホさん、士郎君の身内か、親しい人達がどこにいるか御存じないですが」

 いるという答えを願いを込めながらそう問いかけた。

 士郎君は強い。
 戦闘技能だけではない。

 心も強く、真っ直ぐ進む強さを持っている。
 だけど一人なのだ。

 確かにフェイトやなのはさん、はやてさん達はいる。
 でもそれは士郎君が大切にしたいと思っている人達。
 本当の意味で士郎君の横にいる人はまだ居ない。

 士郎君の本当の実力で肩を並べて戦える力を持ち、士郎君を支え、迷った時に背中を押せる人。

 このままではいつか取り返しがつかない事になる不安がある。

 例えばフェイト達を守るために辿りつく先が破滅とわかっている道があったとして士郎君は進むだろう。

 その時、彼を止め、道を正しい方向に導いてあげる事が出来る人がいない。

「恐らく、二度と会う事は敵わないと思います」
「そうですか、シホさんはいつまでこちらに?」
「明確には決めていませんが、次の目処が立てばすぐに経ちます」
「……そうですか。せっかく知り合えたのに残念です」
「士郎がここにいる限りまた会う事もあるでしょう」

 シホさんが私を安心させつつもりもあるのだろう、笑みを浮かべる。

 その柔らかな笑みに不覚にもわずかに見とれていた。

「し、シホさん……あなたは笑顔になると誰もが振り向くことはないかしら?」
「え? あ、はい。よく言われます。
 別段特別な笑みを浮かべているわけでもないんですけど……」

 明後日な方を向いて、どこか誤魔化すように「あはは……」と頬を掻きながら笑うのであった。

 ゴホンッと咳払いをして話を帰る。

「話は変わりますが、シホさんはまだお若いのにこういう話し合いは慣れているのですね。
 士郎君もそうでしたが、魔術師というのはこういう交渉ごとには慣れているものなのですか?」
「まあ、それなりに慣れた人は多いと思います。
 魔術師は同じ魔術師同士であっても隙をみせませんから。
 仮に何か協力する場合でも自分の方が得をするように交渉するのは基本ですから」

 魔術師という人種というべきなのかしらね。
 やはり油断ならないわね。

「あぁ、それと少し気になっていたんですが、さっきから誰かに見られている気がするんですよね」
「え?」

 士郎君に関わることでサーチャーは当然展開してないし、記録をするような真似はしていない。

「別に構いませんが、勝手に調べられていることに関して良い気はしません」

 シホさんの言葉と共に背筋がゾクリとした。

 凄まじい程の魔力。

 その時私の前に現れるモニター。

「待ってくれ。これは僕の独断だ!
 提督は関係がない」

 現れるのは私の息子であるクロノとその補佐官だるエイミィ。

 確かに出掛ける時に士郎君以外の魔術師がいて、会って来るとは伝えた。
 それが仇になったらしい。

 だけど

「シホ、おふざけが過ぎますよ? リンディが話ができなくなっているではないですか」
「そうね。すみませんでした」
「い、いえ、こちらもすみませんでした」
「平気ですよ。でも……次はありませんよ?」

 アルトリアさんの言葉にシホさんが魔力を納めるけど、わずかに警告をしてくる。

 それも、シホさんが大きく息を吐くと霧散する。

「と生粋の魔術師だったらこれくらい普通にしてくるという実演をしてみました。
 特にリンディさんの伝えていない独断だとしてもそれをここに連れてきたリンディさんに責任があります。
 下手をすればこれで交渉は破綻、そのまま戦闘になる可能背性もゼロではありませんよ」

 シホの言葉に耳が痛い。
 秘密の交渉で管理局の尾行を連れてきたに等しい。

「完全にこちらの落ち度ですね」
「魔術師に接触するなら、相応の準備と覚悟をしないと自滅しかねませんよ」
「耳が痛いですね」

 さて、勝手な行動をした問題児にも自己紹介をしてもらいましょうか。

「クロノ、エイミィ。
 シホさんに自己紹介なさい」
「はい。
 クロノ・ハラオウンです。
「エイミィ・リミエッタです」
「シホ・E・シュバインオーグです。
 改めてお願いしますね」

 今回はシホさんが相手で許してくれたけど帰ったらよく注意しておきましょう。

「それにしても魔術師というのは本当にこの地球に存在していたんですね」
「……というと?」
「今まで幾度も調べてきましたが、士郎以外の魔術師の足取りは一向に掴めませんでしたから、
 少し半信半疑なところがあったんですよ」
「そう」

 そう。
 結局、士郎君以外の魔術師に関する無限書庫での情報は見つかりはしても、今ここに繋がる痕跡までは見つかっていない。

「ねぇ、シホさん」

 その時意外な事にエイミィが質問をし始めた。

「なに? エイミィさん?」
「そっちが年上なんですからエイミィって呼び捨てでいいですよー。
 それで聞きたいんですけど、シホさんは昔の士郎君の事は知っているんですか?」
「知っているわよ。でも私はあまり会う機会はなかったからそんなに詳しいわけでもないけどね」

 ようやく現れたけど士郎君と同じ秘密が多い人。

 なかなか思い通りに情報は集まらないものね。

 そのあとシホさんの作った昼食を御馳走になり、会談は終わった。

 それにしても士郎君もそうだけど、シホさんの料理も素晴らしかった。

 料理がうまいのも遺伝的なモノなのかしら?




side 士郎

 昼休みなり、弁当を開く。

 昼食時は相変わらず俺となのは、フェイト、アリサ、すずかの五人で弁当を広げる。

 まだ屋上は寒いという事で教室で弁当を広げたのだが

「あれ?
 士郎君、今日のお弁当いつもと違う?」

 なのはが目ざとく気がついた。

 俺とシホの違いなのか、弁当の盛り付け方も当然違う。

 そしてなのは達は俺の弁当とフェイトの弁当を見比べるが当然違う。

 というのもプレシアが作る時俺とフェイトの弁当の中身は当然同じになる。
 だが俺が作るのとも違い、フェイトの弁当とも違うとなると

「もしかして、今日のお弁当ってシホさんが作ったの?」
「ああ」


「シホさんもライバルになるのかな?」
「親戚って言ってたし大丈夫じゃない?」
「でも士郎だし」
「うん。油断はできないよ」

 なのは、アリサ、フェイト、すずかが俺の返事に何やら集まってコソコソ言っているがなんだ?

 その時

「なのはちゃん、さっき言ってたシホさんってどんな人か教えてくれない?」

 なにやら興味津々と言った感じでクラスの女子が食いついてきた。

「シホさん? 士郎君の親戚のお姉さんで赤みがかった銀髪のすごい美人だったよ」

 なのはの言葉にクラスの男子達の雰囲気が変わった。

「美人の親戚のお姉さん」
「また衛宮なのか、またなのか」
「ふふふ、奴ばかりいい思いを」

 ああ、このパターンか。
 男子達の食事ペースが上がったのを見て確信する。

 俺も食事のペースを速めて、食べ終え、弁当をしまう。

 それとほぼ同じくして男子達が立ち上がる。

 そういえばこの鬼ごっこも久しぶりだな。
 そんな事を考えながら、一気に走り走り始めた。



 学校から家に帰ると

「ん? なんだ?」

 俺とは違う魔力の残滓を感じた。

 これはシホの部屋か?

 シホの部屋に入ると魔法陣が刻まれた部屋。

 魔法陣が動作した痕跡がある。

「まったく、帰るなら帰るで挨拶の一つでもしていけというのに」

 なにも言わず戻った別世界の俺に文句をつぶやきながら、部屋を後にしようとする。

 その時、再び輝く魔法陣。

 ……まさか誤作動で今度は俺がどこか別の世界にとばされたりしないだろうな。

 遠坂の呪いを受け継いでいるシホの事に内心不安に思いながら魔法陣を見つめていると

「……また来れたのね」

 現れるシホの姿。

「いきなり帰ったと思ったら、はやいお戻りじゃないか?」

 俺がいることに驚きながら振り返るシホ。

「ずいぶんないい様ね。
 まあ、事実一回帰っていた訳だけど。
 そうそう、この世界に自由に来る方法と元の世界に帰る方法も理解したからこの魔法陣が刻まれている部屋限定だけどいつでも来れるようになったわ」

 あっさりとんでもない事をいうな。

「さすが第二魔法の使い手だな」
「あと士郎。これを渡しておくわ」

 差し出されるミニチュア版の宝石剣。

「これは?」
「平行世界をまたいで通信ができるミニ宝石剣よ。
 だからなにか困った事があったら知らせて。
 これも何かの縁だし助けてあげるわ」
「助かる」
「それとこの世界のなのは達には私はまた旅立ったって伝えておいて」
「わかった」
「そして私も私の世界でやらなきゃいけない事があるから、同じ衛宮の名を持つもの同士お互いに頑張りましょう」

 宝石剣を持ち、魔法陣の上で俺と向かい合う。

「またいつか会いましょう、士郎」
「ああ、またいつかな」
「それじゃまたね」

 魔法陣が輝き、光が収まるとシホの姿はない。
 再び、元のいた世界に戻ったか。

 並行世界の自分との出会い。

 こうして出会ったのだ。
 また会う機会もあるだろう。

 そして、静かにシホ用の部屋になった扉を閉じるのであった。 
 

 
後書き
先週に引き続きまして炎の剣製の「剣製の魔法少女戦記」とのコラボ作品の後半となります。

今回はA's編の半ばでありながらA's後のおはなしであったり、中途半端なタイミングになりましたが、また機会があればやってみたいな~と思ったりしてます。

今度はちゃんと話の区切りがついた時にやろう。

来週から再びF/mg本編に戻っていきます。

それではまた来週にお会いしましょう。

ではでは 
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