| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五章 StrikerS編
  第百二十九話  『ホテル・アグスタ』

 
前書き
今回はアグスタの話ですが、最初の方で内容がつかめない事をランが言っています。
まだこの話には触れませんがそのうち出張任務とホテル・アグスタの間の短い期間に起きた出来事を投稿しますのでご期待下さい。ヒントはコラボです。
ではどうぞー。 

 



Side ラン・ブルックランズ



出張任務の翌日にシホさんとアルトリアさんとネロさんの三人が揃って行方不明になるという事があったが一日してすぐに帰ってきた。
なにがあったのか聞いてみたけど、シホさんは「ちょっと私と縁がある人達と会ってきたのよ」と楽しそうに語っていた。
でも内緒でなのはさん達との秘密みたいな会話に聞き耳を立てていたら、話の節々に“平行世界”という単語が聞こえてきた。
もしかしてシホさん達、平行世界に行っていたのかな…?
まぁ、それは今はいい。
そのうち、嫌でもその縁があるという人とは会うかもしれないという気がしたので。
それより話は変わるけど、今私達はヘリでとある場所へと移動中である。
こうしての任務は出張任務を含めると三回目なのでまだ慣れないものがあるが頑張ってこなしていこう。

「…あらためて今までの流れと今回の任務のおさらいや」

八神部隊長がそう話す。

「これまで謎に包まれていたガジェッドの製作者、そしてレリックの収集者は現状ではこの男」

そこには紫色の髪に白衣を着ている一人の男性が映された。

「違法研究で広域指名手配されている次元犯罪者…ジェイル・スカリエッティの線を中心に捜査を進めている」
「こっちの捜査はおもに私が進めるんだけど、一応みんなも覚えておいてね」

フェイトさんがそう私達に話してくる。
でも、ガジェッドの製作者か。
この人が私達の敵…。

「それと今日これから向かう先は“ホテル・アグスタ”です!」
「骨董美術品オークションの海上警備と人員警護が主な今日のお仕事だよ」
「取引許可の出ているロストロギアがいくつも出品されるので、それでレリックと誤認したガジェッドがやってくるかもしれません。
ですから私たちが警備員として呼ばれたです」
「これくらいの大型オークションだと密輸取引の隠れ蓑にもなるし、色々と油断は禁物だよ」
「現場には昨夜からすでにシグナム副隊長、ヴィータ副隊長、フィアット副隊長、アルトリア空曹長他数名の捜査員が張り込んでいる」
「私達は建物の中の警備に当たるから前線は副隊長たちの指示に従ってね」
「「「「「「はい!」」」」」」

と、ここでキャロが気になっていたのか挙手して、

「シャマル先生。さっきから気になっていた事があるんですけど…その四つの箱って…」
「あ、これ?」

シャマル先生の足元には四つのケースが置かれていた。
実は私も気になってはいたんだ。

「これは隊長達のお仕事着よ」

そう言ってシャマルさんは笑う。
でも、それと呼応するようにシホさんの顔が少し顰めた。
なにがあったんだろう?



◆◇―――――――――◇◆



Side シホ・E・S・高町


私達はそれぞれ着替えて支度をした。
それだけならまだいいんだけど…。

「…どうして、私は黒いスーツ姿なのかしら?…ま、ドレスを着るよりはいいんだけどね」
「んー…男装の麗人って感じやな」
「似合っているよ、シホちゃん」
「うん。始めて見たらどんな女性も虜にしちゃうと思うんだ」
《似合っておるぞ、奏者よ》

なのは達三人に、それと霊体化しているネロにまでそう言われて、まぁいいかと思うことにした。

「それなら…」

私は顔を引き締めてルヴィアの執事時代に培った経験を遺憾なく発揮することにした。

「それではお嬢様方、会場へと向かうといたしましょうか。警護はわたくしめにお任せ下さい」

ニコッと笑みを浮かべながら執事の態度をとる。

「…あ、あかん…。惚れそうや」
「はやてちゃん、戻ってきて!」
「似合うどころの問題じゃないね…」
「そうですか? それならばよかったです。お嬢様方も似合っていますよ?」

笑みを絶やさずにそう告げる。

「シホちゃん! ほかの人の前でその笑みは禁止や! 落ちる人が続発する!!」
「はて…? 私にはわかりかねます。
私は執事のお仕事をこなしているだけですよ?」
「くっ…確信犯か。
なかなかに手ごわい。な、なら部隊長であるご主人様の命令や! 笑みは禁止ぃッ!!」
「…わかりました。ご主人様」

それで私は笑みを消して普段通りの表情になる。

「…ううっ…。こんなにシホちゃんが似合っているとは予想外や。悪ふざけが過ぎるで?」
「ごめんごめん。こうやって昔は周りの貴族や執事に舐められないように気を張っていたから」
「シホちゃんの今までの経験ってすごいね…」
「うん…」
「そ、そんならそろそろ行こうか…」

少し疲れたような表情ではやて達は歩いていく。
そして受付によって四人で受付を済ます。
その際、私はすごい目で見られていたが気にしない。

「…バルディッシュ、オークション開始まであとどれくらい?」
《3時間27分です》
「そう…」
「それまで見学でもしていましょうか。フェイトお嬢様」
「そうだね。…でも、その呼ばれ方は慣れないよ、シホ…。
それに周りの女性達が私達を見てるよ? 少し恥ずかしい…」
「私とて恥ずかしいのですから我慢してください。
私はこの時間のあいだは執事モードで行かせていただきますので」

一瞬、すれ違った道の方にユーノとヴェロッサがいたようだけど、バレると恥ずかしいので知らないフリをしておいた。
途中で色々な人とも話を交わしていると、

「ふふ…シホさん。今日は執事なの?」
「あ、ミゼさん! 来ていたんですね」
「私もいるよ、シホちゃん! フェイトちゃん!」
「すずか!」

そこにはドレス姿のミゼさんとすずかの姿があった。

「すずか達も今日のオークションの警備?」
「うん。今はカレンさんにアリサちゃんとアリシアちゃん達が警備に回っているよ。
それでだけど地球製の魔術品らしきものがいくつか混入しているらしいの。
だから魔術事件対策課として警備にあたっているよ」
「私達は内部での視察ね。
カレンさんとアリサさんとアリシアさんが今外で警備に回っているわ」
「これなら万全ね」
「アリシアも来ているんだ…」
「それより…ふふふ。シホちゃん、スーツ姿似合っているよ?」
「ありがと、すずか」
「また後で時間があったら遊びに行くね」
「ええ。待っているわ」
「うん!」

それですずかは私の頬に軽くキスをしてミゼさんと一緒に手を振りながら歩いて行った。

「…なんか、すずかのシホにするキスが普通の光景に見えた…私の目がおかしかったのかな…?」
「どうなんだろう? 私達はあったらいつも挨拶代わりにしているし」
「そうだったんだ…フィアットもそこまで積極的じゃないのにね」
「そうね」



◆◇―――――――――◇◆



Side ティアナ・ランスター



今、あたしはスバルと八神部隊長に関して念話で話している。

《今日は八神部隊長の守護騎士団全員集合か…正確には八神家族の士郎さんとアインスさん、キャスターさんはいないけど》
《そうね。
あんたは結構詳しいんでしょ? 八神部隊長とかフィアット副隊長以外の副隊長の事》
《うーん…父さんやギン姉から聞いたんだけど、八神部隊長の使ってるデバイスが魔導書型でそれの名前が『夜天の書』って事。
フィアット副隊長以外のシグナム副隊長とヴィータ副隊長とシャマル先生、ザフィーラは八神部隊長が個人で保有している特別戦力だってこと。
で、それにリイン曹長、士郎さん、アインスさん、キャスターさん…それと名前は知らないけど後二体いるサーヴァントの人を合わせて十一人揃って完璧な無敵の戦力だってことだよ》

八神部隊長、まだ二体もサーヴァントを使役していたんだ。
どれだけ強力なパーティーだっていうのよ。

《ま、八神部隊長達の詳しい出自とかは匿秘だからあたしも詳しくは知らないけど…》
《それでも十分強力ね。レアスキル持ちの人は殆どがそうよね》
《ティア、なにか気になるの?》
《別に…》
《そ。それじゃまた後でね》
《ええ》

それでスバルとの念話を終了させるけどやっぱり思う。
六課の戦力は無敵を通り越してはっきり言っちゃうけどかなり異常。
八神部隊長がどんなすごい手を使ってこれほどの戦力を揃えたのか知らないけど。
隊長達は全員オーバーSランク。
副隊長達もニアSランク。
ほかの隊員達も前線から管制官まで未来のエリート達。
そしてサーヴァントという異常の塊のような存在。
あの年ですでにBランクのエリオに竜召喚士のキャロ。二人共フェイトさんの秘蔵っ子。
そして魔術を使用できて魔力変換資質『氷結』を二人共持っているランにレンというシホさんの愛弟子ともいうべき家族。
危なっかしいけど潜在能力と可能性の塊で優しい家族のバックアップもあるスバル。
やっぱり、うちの部隊で凡人はあたしだけ…。
でもそんなのは関係ないのよ! あたしは立ち止まるわけにはいかないんだ。



◆◇―――――――――◇◆



一同が警戒をしているとやはりというべきかガジェッドがアグスタへと向かって侵攻してきた。
それに即座に気づいたシャマルが全員に連絡を入れる。

「クラールヴィントのセンサーに反応が出たわ。シャーリー!」
『はい! やっぱりきました! ガジェッド一型機影40…50!』
『三型…五…六…七機です!』

それでやっぱりとシャマルは思っていた。
それは別の警備をしていたシグナム達にも知らされ、

「エリオ、キャロ! お前達は上に上がれ! ティアナの指揮で防衛ラインの設置をする!」
「「はい!」」
「ザフィーラは私と迎撃に出るぞ?」
「心得た!」
「えっ!?」
「ザフィーラって喋れたの!?」

ザフィーラが喋った事に驚いているがザフィーラはマイペースに、

「守りの要はお前達だ。頼むぞ」

と言ってシグナムと外に迎撃に出て行った。
フィアットとラン、レンも。

「それでは二人とも。私は副隊長達と出ますのでフォワードで集まって防衛ですよ?」
「わかりました!」
「頑張ります!」
「アルトリアさんはみんなを見ていてください!」
「お任せください!」

そしてフィアットも迎撃に出た。

「前線各員に、今回の状況は広域防衛線です。
ロングアーチ1の総合管制と合わせて私、シャマルが現場指揮を行います!」
『スターズ3了解!』
『ライトニングF了解』
『セイバーズF了解!』
『アルトリア了解!』
『スターズ4了解! シャマル先生! あたしにも前線状況を見させてください! 映像を見たいんです!』
「了解。クロスミラージュに直結するわ。クラールヴィント、お願いね?」
《Ja.》

そしてシグナム、ヴィータ、フィアットはバリアジャケットを纏って現場へと飛んでいく。

「新人達の防衛ラインまでは一機たりともいかせねぇ!」
「お前も案外過保護だな…」
「そこが面倒見のいいヴィータらしいです」
「うるせーぞ! シグナム、フィアット!」

そんな話をしながらも三人は現場に到着して、

「私が大型を潰す。ヴィータとフィアットは小型を潰してくれ」
「おうよ」
「わかりました!」

そしてヴィータは鉄球を、フィアットは実体の小槍を複数出現させ、

「まとめて…ぶっとばす!」
「マグナムランス…! 貫きなさい!」

鉄球と槍が前線のガジェットを次々と貫いていく。
シグナムもレヴァンティンに炎を宿らせて、

「紫電…一閃!」

ガジェット三型を切り裂いていく。
ザフィーラも違う場所で一型を複数相手取り確実に潰していく。
それをモニターで見ていたスバルとティアナ。
スバルは純粋に驚いていたが、ティアナは、

「これで能力リミッター付き…」

と、悔しい気持ちで手を握り締めていた。



◆◇―――――――――◇◆



近場で戦闘を見物していた紫色髪の少女、名をルーテシア。
そしてフードを被っているが鍛えられているだろう体を持つ男、名をゼスト。
その二人に通信が入ってきた。
相手はスカリエッティだった。

『ごきげんよう。騎士ゼスト、ルーテシア』
「ごきげんよう。ドクター」
「なんのようだ…?」

ルーテシアは表情を変えずにスカリエッティに返事を返すが、ゼストはルーテシアとは対照的に警戒心を顕にする。

『冷たいね、騎士ゼスト。
近場で見ているんだろう?
あそこにはレリックはないが実験材料として興味を引かれる品が一つあるんだ。
少し回収任務に協力してくれないかね?
君たちなら実に造作もないことだろう』
「断る。レリックが絡まない限りは不可侵を守ると言う約束だったはずだ」
『ルーテシアはどうだい?』

ゼストの拒否の言葉にスカリエッティは特に気にした素振りを見せずにルーテシアに問いかける。
それにルーテシアは、

「…いいよ」
『やはりルーテシアは優しいな。
ありがとう。今度是非お茶とお菓子を奢らせてくれ。
君のデバイスに私が欲しているもののデータを送ったよ』
「うん…。ごきげんよう。ドクター…」
『ごきげんよう。よい知らせを待っているよ、ルーテシア』

それでスカリエッティとの通信は切れる。
ゼストはルーテシアに話しかけて、

「いいのか…?」
「うん。ゼストやアギトはドクターを嫌うけど、私はそんなに嫌いじゃないから…」
「そうか」

そして一度ルーテシアは頷くと地面に召喚魔法陣を出現させて、

「召喚…インゼクト・ツーク」

召喚された虫達は戦っている現場へと向かっていきガジェッドに憑依すると途端にガジェッド達の動きがよくなった。
それでシグナム達三人は苦戦をしだす。
さらにルーテシアはスカリエッティから頼まれたものを回収するために一体の人型を召喚し、

「いって、ガリュー…」

黒い人型はオークション会場へと向かっていった。



◆◇―――――――――◇◆



Side ティアナ・ランスター



「遠隔召喚!? 来ます!」

キャロの叫びと共に目の前から召喚魔法陣が浮かび上がり、そこからガジェッドが召喚されてきた。
数は旧型が15台、新型が3台。

「すぐれた召喚師は転送魔法のエキスパートでもあるんです!」
「なんでもいいわ。いくわよ!」
「「「「「おう!」」」」」
「了解しました」

今までと同じ。
証明すればいい。
自分の能力と勇気を証明して…あたしはいつだってそうやってやってきた!

「私が前に出て大型を叩きます! ティアナ達は小型を叩いてください!」
「わかりました。アルトリアさん!」
「いきますよ! はあぁぁぁっ!!」

アルトリアさんは剣を構えて新型へとかかっていった。

『防衛ライン、もう少し持ちこたえてね。
ヴィータ副隊長がすぐに救援に向かうから。
アルトリアさんを中心にして迎撃して!』

それであたし達は旧型へと攻撃を開始するが、

「スバル、エリオ、ラン、レン!」
「「「「おう!」」」」

それでフロントアタッカーのスバルとレン。
ウィングガードのランとエリオが仕掛けていく。
だが、みんなの攻撃はどれも当たらなかったり当たってもAMFで防御されたりの繰り返しだった。
アルトリアさんも新型の迎撃に出ているがおそらくリミッター付きでさらにデバイスの剣がAMFに阻まれなかなか突破できないでいる。
しかし、

「この程度! 造作もない!」

剣にカートリッジが付いている訳でもないのに急に風が吹き荒れると二体同時に真っ二つに切り裂いてしまった。
やっぱり強い!
そして指示は防衛だけど、攻めないと駄目だ!

「守ってばっかりじゃ駄目です! 全機落とします!」
『ティアナ、大丈夫? 無茶はしないで!』
「大丈夫です! 毎日何度も練習してきているんですから!」

それで後ろにいるエリオ達に指示を飛ばし、

「エリオ、キャロ!
それにラン、レンもセンターまで下がって。
あたしとスバルの2トップでいくわ!」
「わ、わかりました!」
「二人で大丈夫ですか!?」
「平気よ! スバル、クロスシフトA。いけるわね?」
「おー!」

それでスバルがガジェッドをウィングロードで引き付けている間にクロスミラージュを構える。
証明するんだ。
特別な才能や魔力がなくとも、一流の隊長達の部隊でだって、どんな危険な戦いでだって…!
すべてあたし、ランスターの弾丸がすべてを撃ち貫く!
それでカートリッジを四発ロードする。

『無茶よ、ティアナ!
四発もカートリッジロードなんて…!
それじゃティアナもクロスミラージュももたない…!』
「撃てます! 撃ちぬいて見せます! そうよね。クロスミラージュ?」
《Yes.》

そして弾丸生成が終了し後は撃ち抜くだけ!
これで…すべて終わらせる!

「クロスファイヤー………シュートッ!!」

すべての弾丸がガジェッドを貫いていく。
そうだ。あたしならやれるんだ!
でも、一つだけ弾丸が逸れてしまい、それはスバルへと向かっていってしまった。

(スバル…!)

だけど、そこに一つの閃光が通り過ぎた。
そしてあたしの弾丸を貫いて消滅させていた。
誰がこんな芸当を!
ヴィータ副隊長も駆けつけてくれたが唖然としている。
そこに通信が響いてきた。

『ティアナ。あなたはもう下がりなさい。後は私がすべて射抜くわ』
「シホさん!?」

シホさんの通信の声と共に何度も矢が流星のようにガジェッドに降り注いできてすべてを正確に射抜いていく。
でも、どこから狙撃を…!
それでモニターで確認して見てみるとホテルの屋上から矢を放っていた。
そんな…!?
ここからどれだけ距離が離れていると…!
そして最後の一体を貫くと、

『ふぅ…全機撃墜ね。
ヴィータ、後はお願い。
勝手に抜け出してきちゃったからはやてに絞られてくるわ』
「おう…あんがとな。シホ」
『それとティアナ。後で二人で話をしようか?』
「…はい…」

それでシホさんとの通信は切れた。

「…それよりティアナ。
今回はシホに救われたからよかったが、今のは直撃コースだった。
そこんところ分かってんのか!?」
「あ、あの…ヴィータ副隊長、今のも作戦で…」
「あんなのが作戦であってたまるか! もういい。お前らは二人とも後ろに下がってろ!」

ヴィータ副隊長にそう言われてしまいあたし達は後ろに下がる事になってしまった。
それから裏手の警備に入るとエリオ達に告げてあたしは一人裏へと回っていった。
だけどスバルがついてきて、

「ティア。終わったみたいだから戻ろう…」
「あたしはここを警備しているわ。あんただけで戻りなさい…」
「で、でもティア。ティアは悪くないよ。だから…」
「うるさい! さっさといけって言ってんのよ!」
「………ごめんね、ティア。また後で………」

それでシュンとしながらスバルはその場を離れていった。
…バカだ、あたし。
心配してくれる相棒にもこんな言葉を言っちゃって。
本当ならあたしは謝るべきなのに…。
あたしが証明したいはずの兄さんの、ランスターの銃の事も証明したかっただけなのに…!
それで思わず壁に寄りかかり、

「……あたしは……あたしは……」

悔し涙をいくつも流してしまっていた…。



◆◇―――――――――◇◆



Side シホ・E・S・高町



私は屋上で弓でガジェッドを射抜いた後、はやての元に戻り、

「…それで、なにかいい訳はあるか? シホちゃん」
「今回は私の独断だからどんなバツでも受けるわ。
ただ、見ていてティアナが無理している風に見えたからつい手を出してしまったのよ」
「そか。まぁ、今回はシホちゃんのおかげでスバルも助かったようやし、私からはお咎めもなく不問にしておくわ。
でも、今後は勝手に動かないでな?」
「了解」
「それとシャーリー達の報告で召喚師の存在が出てきた。
シホちゃんの目で確認できなかった?」
「そうね…。すぐに降りてきちゃったから確認はできなかったわ。
もっと範囲を広げて見た方がよかったわね」
「シホちゃんの目でも目視はできなかったと言う事は少なくとも四キロ範囲外のところから召喚していたということか…あるいはどこかで隠れて召喚したかのどちらかやな」
「そんなところね」

と、そこに道の向こうから一人の男性が歩いてきた。

「そこのお嬢さん方。オークションはもう始まっていますよ?」
「あっ…」
「いいのかい? 中に入らなくて」
「ご心配ありがとう。でもこれでも一応お仕事中ですので」
「そうね」
「どこかのお気楽査察官と違って忙しい身なんです」
「そうかい?」
「………えいっ!」

はやてはその男性の胸にパンチを入れる。
そう。この人こそヴェロッサ・アコース。カリムの義理の弟で査察官だ。
それではやてと…ついでに私の頭も撫でられた。

「あはは。またお仕事ほっぽりだして遊んでいるんですか? アコース査察官」
「ひどいなぁ~。こっちもこれでもお仕事中だよ。はやて、シホ」
「そう? 私には遊んでいるようにしか見えなかったわよ?」
「そういうシホははやてに怒られていたようだけど?」
「ぐっ…痛いところを」
「「あははははッ!」」

それで笑い出すはやてとヴェロッサ。
ええい、うるさいわよ。
それからはやてとヴェロッサと色々な話をしたのだった。


 
 

 
後書き
今回はここまでで切っておきます。
シホの姿はZeroセイバーを思い浮かべてもらえれば想像ができると思います。
ティアナは原作と同じように無茶をしてしまいました。
ですがこのあとの展開は変えていくつもりです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧