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銀色の魔法少女

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第三話 始まり

 
前書き
やあ
ちょっと夏バテ気味の水淵やややです!
前回から一年程経過し、
今回からいよいよ原作開始!
では、遼の学校生活と合わせてお楽しみください!
 

 
side 遼

 私立聖祥大付属小学校三年生、戦場 遼(8歳)。

 それが今の私の立場。

 別に不満はない、勉強は面倒だけれども結構毎日が楽しい。

 登校前も、授業も、放課後も、全てが楽しい。

 ……………………まあ、友達は少ないけど。

 私の百を超える弱点の一つが『人見知りが激しい』なので、全く友達ができない!

 話しかけられたり、人が多い所に行くとどうしても萎縮してしまう。

 見知った間柄だとそうでもないだろうけど、そもそも私は人の名前を覚えることが苦手なので、クラスのほとんど人の名前を覚えていない。

 一応自己紹介はしたような覚えがあるけど、その日の内に全部忘れてしまった。

 そんなことを思いつつ、私は机にもたれかかる。

 その時だった。

『遼、ちょっと可及的速やかに解決しなければいけない事件が発生したようです』

 クリムからの念話が私の眠気を吹き飛ばす。

『? 何があったの?』

『どうやら、この街にロストロギアがばらまかれたようです』

『ロストロギアって何だっけ?』

『いや、少し前に説明したはずですが、忘れてしまったのですか?』

『あー、いや、なんか急に思い出してきた』

 本当にいい加減な記憶である。

 ロストロギア、それは今では忘れ去られた技術で造られた異端技術の結晶。

 それが原因で滅びた世界があるほど危険な代物ではあるが、正直性能は物によりけりである。

 ただ貴重なものには違いないので、それらは管理局と呼ばれる役所(?)が収集、管理をしているらしい。

『で、そのロストロギアってどんなのなの?』

『詳しくは不明ですが、どうやら何かの結晶体のようです』

『結晶?』

『ええ、見た目は青色で透き通っている結晶のようですね、おや? ナンバーが刻まれているようですね』

『…………もう、既に一つ入手済みなんですね』

『もちろん! 遼に迫る危険はどんなものでも早急に処理するのが私の仕事なので!』

『まあ、それの詳しい解析はクリムに任せるけど、そんなことより今日の夕ご飯は何?』

『一大事件をそんなこと呼ばわりとは流石遼、全く動じていませんね、ちなみに麻婆豆腐です』

『わーい! 急いで帰る!』

 私のテンションがロケット並みの速度で急上昇。

 さっさと帰宅準備を整えると全速力で家へと向かった。



「…………どうしてこうなった」

 目の前には異形の生命体(?)。

 全身が黒いヘドロ状の何かでできているスライムと言うよりかはボールに入っているヘドロ生命体に近い、ような気がしなくもない。

 それは偶然だった。

 麻婆豆腐を食べたいがためにいつもは通らない抜け道を走っていたら、急にこいつが襲ってきた。

 急がば回れと言うことわざがあるけれど、今回は全くもってその通りだった。

 けれど、そんなことで諦める私ではない。

 こいつを全力で殲滅すればいいだけの話!

「ノートゥング、セットアップ」

『 Jawohl』



side ALL

 銀色の光が彼女を包む。

 彼女の服は消え、彼女を守る甲冑になり、

 彼女が握っていたキーホルダーは彼女に相応しい大きさの剣となる。

 彼女の変身は一瞬で終わり、そこには小学生の遼はおらず、ベルカ騎士の遼がそこにいた。

 顔を黒いバイザーで覆い、身軽さを追求して装甲が薄くなった甲冑をまとう。

 その長い髪は戦闘の邪魔にならないように、後ろで若干低めにまとめられている。

「時間がないから最初からクライマックス!」

『Eisiges Schwert』

 遼の剣が空気も凍るほどの冷気を放つ。

 遼はその剣を鞘に収め、腰を低くして間合いを確かめる。

 その威圧に恐れをなしたのか、それともその本能がそうさせたのか。

 全力で遼を押しつぶしにかかった。

 その距離がだんだんと近くなってくる。

 三m、二m、一m、そして肌が触れ合うと思うほどの距離になって、ようやく遼は動く。

「抜刀」

 それは一瞬だった。

 怪物の目でも捉えきれない速さで彼女は剣を引き抜く。

 彼女が剣を抜き終わった時、全てが終わっていた。

 怪物が斜めにずれていく。

 本来、この手の怪物には再生能力があるのだけれど、遼の能力がそれを許さない。

 切り裂かれた所から、怪物が凍っていく。

 彼女が一度大きく剣を振り、それを鞘に戻すと、怪物は砕け散った。

「ん?」

 砕けた怪物の中央に何か光るものを発見する。

 彼女がそれを拾い上げえると、

『Versiegelung』

 ノートゥングがそれを自分の体内に取り込む。

「おお!」

 ノートゥングにそんな機能があることを知らなかった遼は驚いて剣を離しかけるが、すんでのところで受け止める。

 変身を時、辺りを見渡して被害がないか確かめる。

 かの怪物が跳んだ際にえぐれた地面以外、目立った損害はない。

「まあ、上出来……、じゃない!」

 そこまで思って、彼女は本来の目的を思い出す。

「ご飯!」

 彼女は一目散に家へと再び走り出した。

 …………これは後で分かったことだが、手加減したとはいえ凍らせて砕くのは危なかったかもしれないと、遼はその怪物に生き物が取り込まれていなかったことを幸運に思ったのであった。





side 女神

 (つд⊂)ゴシゴシ

 (;゚Д゚)!

 (つд⊂)ゴシゴシ

 (;゚Д゚)!?

 (つд⊂)ゴシゴシ

 (;゚Д゚)!!?

 三回確認した。驚いて三回確認した。

「私、『凍結』属性まで追加した覚えない( ゚Д゚) 」

 考えられるとすれば、それは彼(?)が元々持っていた資質か、それとも、私以外の誰かが彼(?)に手を加えたか。

 いや、ありえない。

 私たち神が自由にできるのは、自身が転生させた者のみ。

 つまり、私が意図してやらない限り、彼(?)にこの属性はつかなかったはずだ。

 それに、生前のデータにそんなものはなかった。

 ということはだ、この転生システムに私が知らない裏システムが存在するということになる。

 これは私たちが始めた遊び。

 退屈しのぎのために不幸な人生を遂げた者たちを別の世界に転生させ、彼らが織り成す物語を私たちが鑑賞する。

 それだけのはずだった。

「取り敢えず、他の奴にも話を聞く必要がありそうね(#・∀・)」

 そう言うと私は他の神々の元へ向かった。 
 

 
後書き
解説
『Eisiges Schwert』はドイツ語で氷の剣
『Versiegelung』は封印

はい、意外と早く再登場したこの女神、正直私もびっくりです。ほんと思いつきって恐ろしい。
しかも、また近いうちに再登場しそうだからさらにびっくり。
こいつ書くのは普通のキャラ書くよりも倍くらい疲れるのにorz


後、遼がバイザーをしているのは正体を隠すためでもあるけれど、もっと大きな理由があります。
正体がバレることは正直どうでもいいと思ってはいるのですが、誰かにこの姿を見られることがとても恥ずかしいのです。
簡単に言えば恥ずかしがり屋です。
クリムもこれには同意していますが、彼女には別の思惑が…………、
まあ、分かり易いですけれど。 
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