問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
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箱庭の説明
「はあ・・・。それではいいですか?いいますよ?いいますよ?「くどいぞ、黒ウサギ。」黙らっしゃい!!では、ようこそ、”箱庭の世界”へ!我々は皆様のように恩恵、ギフトを持つものだけが参加できる”ギフトゲーム”への参加資格をプレゼントさせていただくために、このたび召喚させていただきました。」
「ギフトゲーム?」
「YES!すでに皆さんお気付きでしょうが、あなたたちは普通の人間ではありません。その力はさまざまな修羅神仏、悪魔、精霊などから与えられたものです。”ギフトゲーム”は恩恵を持つもの同士が競い合うゲーム、この箱庭は強力なギフト所持者がオモシロオカシク生活するために作られたステージなのです!」
「初歩的なことだけど、私たちを呼び出した”我々”とは貴女を含む誰か、もしくは団体なの?」
「YES!異世界から召喚されたギフト所有者は箱庭で暮らすにあたってあまたある”コミュニティ”のいずれかに属していただきます。」
「嫌だね。」
「属していただきます!”ギフトゲーム”とはギャンブルのようなもので、勝者は”主催者”の提示した品をゲットできるという仕組みになっています。」
「・・・・・・”主催者”って誰?」
「ゲームによって様々です。暇を持て余した修羅神仏が人を試すためと称して暇つぶしのために開催することもあれば、コミュニティの力を誇示する、拡大するために独自開催することもあります。前者は主催者が主催者だけにハイリスクハイリターンです。リスクとしては、ゲームが難題だったり命の危険があることもあります。リターンとしては、新たな”恩恵”を手にすることも可能です。
後者は参加するためにチップが必要です。参加者が敗退した場合はチップを全て開催者である”コミュニティ”に寄贈されます。」
「後者は結構俗物ね・・・チップには何を?」
「そちらもまた、様々です。金品・土地・利権・名誉・人間・・・ギフトなどを出せます。相手からギフトを奪えばより高度なギフトゲームに挑むことも可能となりますが、逆に奪われてしまえばそれ以後の”ギフトゲーム”では勝つことはほぼ不可能になるでしょう。」
《黒ウサギは今、愛嬌たっぷりの笑顔でいったが・・・これは挑発に近いな》
一輝は自分を呼び出したやつらについて知ることを優先していた。
箱庭の仕組みなんて暮らしながら理解すればいいという考えの下である。
「さっき言ってた”コミュニティ”ってのにはもちろん、黒ウサギも所属してるって考えでいいのか?」
「はい。もちろんでございます。」
「じゃあ、その”コミュニティ”について質問いいか?」
「・・・はい、どうぞ。」
初めて黒ウサギが回答するのにためらったようだが、腹をくくったようだ。
「細かいことを聞く気は無いから安心しろ。そのコミュニティってにぎやか?」
《どうせ所属するならにぎやかで毎日退屈しないところがいいからな。》
その質問が予想していたものとはまったく違ったようで一瞬ぽかんとしたが、すぐに気を取り直すと、
「はい。子供がたくさんいて、とっても賑やかですよ!!」
と答えた。
その答えに対して一輝は「了解」とだけ答えると先を進めるように黒ウサギにジェスチャーをした。
「さて、ほかに質問はありますか?あるなら黒ウサギには全ての質問に答える義務がありますからお答えしますが?」
「じゃあ、俺が最後に質問いいか?」
今まで静聴していた十六夜が今まで浮かべていた軽薄な笑顔を消し、威圧的な声を上げているので黒ウサギは、構えるように聞き返す。
「どういった質問ですか?もうゲームや箱庭についてこの場で説明できることは説明してしまいましたが。」
「そんなものはどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ、今ここでお前に聞いてもそれが変わるわけじゃねえしな。何か変えたければここのボスにでも直談判すればいいんだ。俺が知りたいのはたった一つ、手紙に書いてあったことだけだ。」
そういうと、十六夜は視線を黒ウサギからほかの三人、巨大な天幕に覆われた都市と移し、そのまま何もかもを見下すような声で、
「この世界は・・・面白いか?」と一言。
「------」
ほかの三人も無言で返事を待つ。
手紙には”世界の全てを捨てて箱庭に来い”とまで書いてあったのだから、それに見合うだけのものがこの世界にあるのか、それこそが四人にとって一番重要なことだった。
そして、それに対する黒ウサギの答えは
「YES。”ギフトゲーム”とは人を超えたもののみが参加できる神魔の遊戯。外界にあるものよりも確実に面白いことを、黒ウサギは保証いたします。」
四人を十分に満足させるものだった。
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あの質問を最後とし、黒ウサギ御一行は箱庭へと向かい始めた。
なんでも、黒ウサギたちのコミュニティで歓迎の準備ができているそうだ。
そんな感じで、一輝は周りの風景を楽しみながら歩いていると、
「んじゃあ、ちょっと世界の果てを見に行ってくる。」
と十六夜から話しかけられた。
「黒ウサギにはそう伝えとけば?」
「ああ。聞いてきたらそういっといてくれ。」
「了解。」
一輝の返事を聞いた十六夜は、ものすごい勢いで駆け出した。
《初速でよくあんだけ出るな。》
一輝はそんなことを考えながらICレコーダーを取り出し、イヤホンをさすと聞く曲を選び出した。
「・・・ねえ一輝君?」
すると、そのICレコーダーを不思議そうに眺めながら飛鳥が声をかけてきた。
「飛鳥、何かよう?」
「用というほどのことでもないのだけれど、それって何?あと、さっき写真をとっていた小さな機械も。」
それを聞いた一輝は携帯も取り出すと、
「携帯とICレコーダーのこと?」
「携帯にICレコーダーって言うのね?」
「ああ。携帯は携帯電話の略で、そのまんま携帯できる電話のこと。これは写真とか動画も取れるしメールもできる。」
「メール?」
「こんな感じで文章を打って相手に送ること。まあ、この世界では使えそうに無いけど。」
「へえ、便利なのね。ICレコーダーは?」
「これの一つ目の使い方は録音すること。何かしゃべってみて?」
と言うと一輝は録音ボタンを押し、飛鳥の前にICレコーダーを出した。
「ええっと・・・久遠飛鳥よ。これでいいの?」
「ああ、十分。」
そして一輝は音量を上げ、今録音したものを再生した。
[ええっと・・・久遠飛鳥よ。これでいいの?]
「きゃ!!」
さっき言ったことがそのままレコーダーから流れて飛鳥はとても驚いている。
その反応に満足した一輝は説明を続けた。
「二つ目は音楽を聴くことかな。」
そして一輝はG線上のアリアを再生した。
「これは・・・いい曲ね。」
「俺もお気に入りなんだ。ほかにもいろんな種類の曲があるよ。たとえば」
次はボーカロイドの曲を再生した。
「これはなんというか・・・人が歌ってる感じがしないわね・・・」
「まあ、歌ってるのは機械だからな。」
「・・・なんだか、理解しづらいわね・・・」
「普通そうだよ。」
そんな会話をしていると黒ウサギが誰かを見つけたようで声を上げる。
「ジン坊ちゃーん!新しい方々を連れてきましたよー!」
《へえ、あれがコミュニティのメンバーか。坊ちゃんってことは、結構上のほうの立場なのかな?》
そんなことを考えながらICレコーダーと携帯をポケットにしまおうとして、さっき水没しそうになったことを思い出し空間に穴を開け、そこにしまった。
「お帰り、黒ウサギ。そちらの御三方が?」
「はいな、こちらの御四人さまが・・・三方?」
黒ウサギはジンの言葉に違和感を感じ、あわてて振り返り、そのまま固まった。
「・・・あれ?もう一人いませんでしたっけ?全身から”俺問題児!!”ってオーラをはなってる殿方が?黒ウサギの錯覚ですか?」
「ああ、十六夜なら聞いてきたら世界の果てを見に行ってくるって伝えてくれって言ってあっちのほうに」
一輝は断崖絶壁があったほうを指差す。
「な、なんで止めてくれなかったのですか!?」
「別にいいかなと。」
「ならせめて、黒ウサギにその場で伝えてくれても!?」
「面倒くさかったし、飛鳥と話してたし。飛鳥と耀だったらどうしてた?」
「面倒くさいから、聞かれるまでほうちね。」
「以下同文。」
黒ウサギはorzのポーズをとった。
「ところで黒ウサギ、あっちのほうには大量の幻獣がいたように見えたんだけど、いいの?」
「はっ、そうでした。このままだと十六夜さんが幻獣のギフトゲームに!!」
「それは難しいの?」
「かなり。幻獣は強力なギフトを持っているものが多いので。」
「あら、じゃあ彼はもうゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?・・・斬新?」
「そんなゲームがあったら、話題を呼びそうだな。悪い意味で。」
「冗談を言っている場合ではありません!ジン坊ちゃん。十六夜さんを捕まえてまいりますので。」
「いってらっしゃ~い。」
一輝の間の抜けた見送りの声を背に黒ウサギは駆け出した。
「ええと・・・簡単に自己紹介を。コミュニティのリーダーをしているジン・ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。」
「ええ、よろしく。私は久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えてるのが」
「春日部耀」
「んで、俺は寺西一輝。早速だけど、一つ頼まれてもらっても?」
「は・・・はいかまいませんが。」
一輝はジンの了承を聞くとちょっとおかしな頼みごとを言った。
「ありがとう。じゃあ、後で俺が来るから、今から出てくるものを俺に渡しといて。」
「は・・・はい?今あなたはここにいるのに、ですか?」
「うん。よろしく。」
そう言うと一輝の体から煙が上がり・・・
今まで一輝がいたところに一枚の小さな紙が残っていた。
後書き
では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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