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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第2部 魔法少女リリカルなのはA's
  第9話 年末の事件

 
前書き
リリカルなのはの世界に魔術組織があった場合の一つの結果。
「(   )」の表記で魔導師的な念話となります。 

 
 冬も深まり、12月となった。

 リニスと共に「念」や「ミッド式魔法」の修行。
 分身を使っての「符術」「気功」「神鳴流」の修行。
 分身を使って作った「符」の販売。
 そして、手伝い程度とはいえ、師匠や先生、同門の先輩方に連れられ、怪異や違法術者の成敗。

 日々、慌ただしく過ぎていく。



 そんな中、先生がパトロールして違和感を感じたということで、単独で調査を命じられた。
 大した案件じゃないとのことだが、何気に単独の初任務である。


 で、その指定されたところは一見普通の家だった。

「(暁、これはミッド式の結界です)」

 一応普通の猫の使い魔として連れているリニスから、突如念話が入る。もちろん、リニスは定位置であるオレの頭の上だ。

「(はぁ? 何でこんなところに………。魔導師でもいんのか? リニス、なんかわかるか?)」

「(ちょっと待ってください………。隠蔽術式が細かすぎて………。しかし、よくわかりましたね………)」

 ちなみに外から見ると普通の2階建ての一軒家だ。

「(これは、マズイかもしれません。管理外世界ではちょっと考えられないくらい強固なミッド式の認識阻害の結界が張られています)」

「(認識阻害っていうとアレか。対象がわかりにくくなるやつか)」

「(そうですね。これは………。この家の住人に対しほとんど注意が向かないようになっていますね)」

 うん? どこかで聞いたような話しだな。

 ふと対象の家の表札を確認したら、「八神」となっていました。

 はやての家かよ!?





 ひどいことになりました。

 ミッド式魔法については身内にしか明かしていないので「正体不明の術式による認識阻害結界」と報告したら、中部魔術協会のお膝元の一般宅にそんな結界が張ってあることに協会長が大激怒。

 忍義姉さんはミッド式というのを知っているけど、それを協会に説明するワケにもいかず、管理地である足下にそんな結界があることで面目丸つぶれ。

 で、とにかく認識阻害を防ぐ符や術を使って調査すると、出るわ、出るわ、不正の嵐。

 まず7歳の女の子が独り暮らし。
 しかも、足が不自由で車椅子生活。
 その原因すら不明。
 で、通院先の医師は親身になって担当しているが、患者の生活がおかしいことに疑問にも思わない。
 役所では外国籍の後見人がいるというだけですべてスルー。
 聖祥大付属小学校に籍があって、一度も行っていないにも関わらず、担当教師らもすべてスルー。

 明らかに魔法で改竄・スルーされています、ありがとうございました。

 はっはっはっ。大問題になりましたよ!



 泣けてきたよ!!



 結局、協会長と海鳴の管理人の忍義姉さんと先生とオレの4人で八神家を訪問し、魔法使いではなく、「通りすがりの霊能力者」とかいうふれこみで八神はやて本人を訪問。

 もうこうなんて言うか、

「あなたは呪われています」

「な、なんやってー」

 とか、協会長とはやてちゃん(自己紹介の時に同い年ぐらいだからとこう呼ぶように言われた)の2人で漫才かと。

(駄目だこいつら、早く何とかしないと………)

 こう思ったのは内緒だ。

 で、「闇の書」という答えを知っている中、「どうすべ?」とか考えている内にとんとん拍子で話は進み、いつの間にやら熱田の本殿ではやてちゃんを調査・解呪をすることに。

 もちろん、いつの間にか先生が見つけて来た「闇の書」と一緒にね!

「(あれはマズイかもしれません………)」

 リニス、もう遅いよ………。





 一旦熱田に行く人らと別れて、月村の家で忍義姉さんとリニスと3人で相談。

 はやてちゃん? とりあえず、あの家に留まるのはマズイと意見が一致し、当分の間こちらでお泊まりだ。
 すずかに紹介したら、どうも図書館で見かけたことがあるとかで、人見知りのすずかの割りには直ぐに仲良くなって、面白かった本とかの話しをしている。

 博識の我が使い魔リニスは「闇の書」についても知っていて、というかプレシアさんが一時期興味を持っていて情報を集めていたらしい。

 完成したら周囲に破壊をもたらして次元転移する、はた迷惑なロストロギアと知って、忍義姉さんも顔を青くしてたよ。





 で、まぁ、なんというか。

 本殿で年末から年初にかけて徹底的に調査された。

 結論的には、「八神はやては(にえ)である」と落ち着いた。

 「闇の書」はデバイスというデジタル機器の集大成のはずなのに、大量の怨念がまとわりついている呪いの品というなんともアナログ的な扱いとなった。

 そして、その呪いの品に魔力を吸い取られ続けている贄がはやてちゃんで、そのせいで足が動かなくなっている。

 で、その贄を隠すための結界であり、それに数年間ずっと気付かずにいたという結論だ。

 少ないつきあいでもはやてちゃんが良い子であるのは術者のみんなもわかるようで、「どうにか呪いを解いてあげたい」と意見が飛び交ってる。

 いや、良いんだけどね。



 で、結局「闇の書」と「八神はやて」の二者の魔術的な繋がりを切ろうと試みても成功せず。
 もちろん、「闇の書」にはまったく干渉できず。むしろできたらやばかった!

 色々検討した結果、はやてちゃんの魔力を封印して、「闇の書」への魔力の供給を絶つことになった。

 一応封印前、はやてちゃんには説明がされた。たぐいまれなるその魔力を封印しても良いのかと。

「なんやようわからんけど、皆さんがわたしのためにようけ考えられとったのはわかります。なんで、その魔力を封印するだけで歩けるようになるんなら是非お願いします」

 そう頭を下げられた。


 莫大な魔力のあるはやてちゃんの魔力を封印するためには、高度で大量な魔力が必要な儀式魔法が必要だ。
 なので、当日、協会でも屈指の実力者が集められ、はやてちゃんを中心に六芒星の位置に配置された。
 先生はもちろん、魔力だけはそこそこ多いオレも一角に充てられている。術式は協会屈指の魔術師が制御するので、要は術式に必要な大量の魔力のための魔力タンクだ。

 途中、魔力が足りなくなるかとひやひやしたが、オーラを魔力に変えて乗り切った。

 ここまでしないと封印できないはやてちゃんの魔力マジパネェ。

 もちろん、直ぐに歩けるようになるわけではないけれど、魔力封印直後から足の感覚が少し戻ってきているようなので、リハビリをすれば歩けるようになるだろう。

「おおきに、おおきに」

 はやてちゃんは涙を流しながら、みんなに感謝していた。





 なお、「闇の書」は超一級の呪いの品として、魔術協会のしかるべき場所に封印安置されることになった。

 あと、はやてちゃんは月村邸で当分暮らし、リハビリして行くことになり、また、はやてちゃんの家は協会の監視対象としてそのまま見張っている。

 猫姉妹なり、管理局の提督なりの尻尾を捕まえればいいんだけど………。



 あれ?



 もしかして、『魔法少女リリカルなのはA’s』終了のお知らせ? 
 

 
後書き
とまぁ、「闇の書」をどうにかするのではなく、「はやて」をどうにかする方法で対処されてしまいました。
 
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