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恋姫~如水伝~

作者:ツカ
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二十八話

曹操が魏を建国し、洛陽を首都とし。魏王を称した。
武官として六位の将軍に任じられた。
外交の仕事を一人で専念していた如水だが情報部は拡大し、情報局と改め、その局長を任せられた。更に、他の者と共に内治の任を再び与えられた。

他の地方でも。それに対応する様に、孫権は呉を建国し。劉備は蜀を建国した。

如水執務室
「赤壁の戦いの前に、三国志の国が建国されたな。やはりかなり、私の知る世界と異なって来た。これもあの占い師の言った事に反しているのかもしれん」
如水はかつて告げられた、身の破滅に怯えたが、それ以上の仕事のやりがいに心が躍った。

そして、馬騰と恋については華琳は如水に献策し
馬騰は五胡の押さえとして、一族郎党と共に西涼に駐屯し。恋は音々音と共に如水の築城した城に詰めた。
馬騰は臣従の誠意として娘を一人。人質として曹操の配下に送り出した。
馬超といい気のさっぱりした女性だった。

玉座の間

「あんたが黒田か、五万の軍を退けたって聞いたから。どんな奴かと思ってたけど、随分と優男だな」
「そういう貴女も、戦場に挑む女性には見えません。とても可憐な方ですね」
その言葉を聞き、馬超は照れて慌て。華琳は殺気を出し、周囲は恐怖に凍りついた。
「如水、初対面の女性を口説くとは、随分手が早いのね」
「私はただ、感想を述べただけだ。馬超殿、私の事は如水と呼んで下さい」
「…あっああ。私の真名は翠と言う。皆もそう呼んでくれ」
「わかったわ。翠、私の事は華琳と呼びなさい」
「はいっ、よろしくお願いします。華琳様」

そして、その後。春蘭ら武将らは演習に向かった。

演習場

翠は如水の用兵を見て、驚嘆した
「凄いな、如水は。縦横無尽とはまさにあの事なのかも」
如水は演習相手の春蘭の軍を翻弄していた。翠が驚いた事は凪、真桜、沙和といった有能な部下だけでなく。五十人組の小隊や二百人の中隊、六百人の大隊がまでもが如水と息を合わせ、一つのからくりの様に動いた。その一糸乱れぬ用兵に戦慄した。
「そうやろ、如水の奴、まるで水か煙の様に掴みどころない用兵をつかうんや」
「ああ、姉者や、私達は、いつもあの手にやられている。華琳様だけが唯一、互角以上に戦える」
「さずが、空の奇術師。だな」
「ああ、うちらは何度騙されたかわからん」
「そうだな。だが、文官を兼任している以上最下位の将軍を動かない」
「それはあんたもやろ、秋蘭。領内の治安維持の為、って事で。春蘭と同じ最古参やのに、五位をになったやないか」
「そうなのか、母さんは二位将軍って聞いたが」
「せや、でも、馬騰さんなら当然やろ。恋は三位将軍。うちは四位。あそこで、翻弄されてるのがうちらの大将軍や」
「そういう、お前こそ、恋や馬騰殿に席次を譲ったではないか」
「うちは、恋より弱いし、馬騰さんの足元にも及ばん」
「人の事を言えた義理ではないな。今の所、変わって無いのは姉者だけか」
「失礼だが、あんなので務まるのか」
「ああ、兵士や、部下の信望が一番厚いんや。それにあの性格に裏表の無いところがうちらも信用できるんや。それに華琳さまの敬愛を隠しもせんところやな」
「そうか、そうだな。大将軍はただ強いだけでは務まらないよな」
結果としては、翠も如水の奇計に嵌り惨敗した。

「優男なんて言うんじゃ無かった、外見で既に騙された」
「よっぽど、こたえたのだろうな。だから、そのしかえしで翠を慌てさせたのだろう」
「せやで、如水を怒らせたら、後が怖いで」
そういいながら、二人は自軍の足りない所の研究に余念が無かった。

翠は改めて、曹操軍の強さと、その幕下の将達が強さに貪欲な事を改めて知った。


 
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