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機動6課副部隊長の憂鬱な日々

作者:hyuki
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最終話:解散、機動6課


テログループの本拠地急襲作戦から数週間、
機動6課が解散する日が明日に迫っていた。
ここ1週間の俺は部隊の解散に伴う整理業務に忙殺されていた。
部隊の解散には膨大な整理業務が伴う。
食糧や燃料といった物資の類やヘリ・車両と行った装備類に金銭、
これらの補給量と使用量をチェックし、在庫と照らし合わせて
齟齬がないか確認し、それらを返却するための輸送手段を手配するなど
やるべきことはいくらでもある。

しかも、6課の場合は解散直前までテログループの本拠地攻撃という役割を
担っていたこともあって、ずっと即応能力を維持する必要があった。
ようやくその状態から解放されたのが、数日前。
それから整理を始めたのだが、6課はこの1年の間にかなり激しい戦闘を
繰り返してきたこともあって物資の出入りが激しく、こまめにつけていた
物資類の帳簿を整理するのだけでも一苦労だった。

はやてが集めた優秀な人材に助けられなんとか整理を終えたのが昨日。
かくして俺は機動6課の副部隊長として最後の大仕事を無事に終えた、
・・・わけではない。
俺にはまだ最後の最後、6課の解散式を仕切るという仕事が残っている。
とはいえ、グリフィスをはじめとする優秀なスタッフが準備を進めており、
俺自身が現場に出て何かをすることはない。
というわけで、俺は自分の部屋でお茶を飲みながらボーっとしていた。

その時、来客を告げるブザーが鳴った。
少しうつらうつらしていた俺はその音でハッと我に返る。
ドアを開けるとそこにはシンクレアが立っていた。

「どうも」

「おう、まあ入れ」

シンクレアを部屋に招き入れると、俺はソファに座る。
シンクレアも俺に続いてソファに座る。

「そういえば、フェイトとはどうだ?」

「順調ですよ、おかげさまで」

「そりゃ何より。 で、何の用だ?」

「お別れに来たんです。 これから情報部に戻るので」

「は? 明日までいるんじゃないのか?」

予想外の言葉に驚いた俺がそう尋ねると、シンクレアは肩をすくめて
首を横に振る。

「そのつもりだったんですけどね。 どうも急ぎの仕事があるようで、
 ヨシオカ1佐からすぐ帰ってこいと言われましてね」
 
「そうか・・・残念だな」

「そうですね。 俺もここまで来たら最後まで・・・と思ってたんですが」

「まあ仕方ないさ。 それより情報部に戻っても頑張れよ。
 あと、ヨシオカ1佐にはよろしく言っておいてくれ」

「判りました。 ゲオルグさんも頑張ってください」

「おう。またな」

そして、シンクレアは一礼してから俺の部屋を出て行った。
再び部屋に1人きりになり、椅子の背にもたれて目を閉じると
急に眠くなり、俺は眠りに落ちて行った。





「ゲオルグくん・・・」

耳元で小さな声がして、俺はゆっくりと目を覚ます。

(ん!? 寝ちゃったのか・・・)

生あくびをしながら時計を見る。
時間はシンクレアが部屋を去ってから1時間ほど経っていた。

「おはよ。ゲオルグくん」

耳元で声がして、俺は寝ぼけたまま声のした方に顔を向ける。
そこには、頬づえをついてにこにことこちらを見ているなのはがいた。

「・・・なのは?」

「うん。おはよ、ゲオルグくん」

「ああ、おはよう・・・って、なんでなのはがここに?」

「忘れちゃったの? 今日の訓練で模擬戦に参加してくれる予定だったよね。
 でも、時間が過ぎても来ないから来て見れば寝てるんだもん」

なのははそう言って頬を膨らませるが、その顔は笑っている。

「・・・そうだった・・・ゴメン。それで、模擬戦は?」

「今日はフェイトちゃんに無理言って参加してもらったの」

「そっか・・・、フェイトには悪いことをしたな」

「ホントだよ。だから、ゲオルグくんには罰を受けてもらうんだからね」

「罰? どんな?」

「それは、明日のお楽しみってことで」

なのははそう言うと、悪戯っぽい顔で笑った。

「明日? 明日は解散式をやったら終わりだろ」

「そうなんだけどね。まあ、明日まで楽しみにしててよ」

「罰を楽しみにはできないって」

「にゃはは・・・それもそうだね」

なのははそう言いながら無邪気に笑う。

「笑ってごまかすなっての・・・」

苦笑しながらなのはに向かってそう言うと、ちらっと時計に目を向ける。
時刻はちょうど昼時を指していた。そういえば、腹が減ったような気もする。

「なのはさんや」

「なあに?」

俺がそう声をかけると、なのはは首を傾げて俺を見る。
俺は椅子から立ち上がり、なのはと向かい合って立つ。

「昼食でもご一緒しませんか?」

「いいですよ」

なのはは芝居がかった口調で答えると、俺の左腕に自分の右腕を絡めた。

「エスコート、してくれるよね?」

「ご要望とあらば」

俺はなのはを伴って部屋を出ると、食堂へと向かった。





食堂で昼食を終えてなのはと別れた後、俺は部屋の片づけを始めた。
とはいえ私物がさほど多くあるわけでもなく、1時間後には数個の箱に
私物がきっちりおさまっていた。
またやることが無くなった俺は、ふらっと部屋を出る。
隊舎の中ではあちこちでいろいろな人が片付けをしている。
その中を歩いて行くと時折声をかけられ、その都度二言三言言葉を交わすので
普通に歩くのに比べると倍以上時間がかかる。
そうしてのんびりと通路を歩き、発令所・格納庫を回って屋上へと
上がるころには日も傾き、すっかり夕方になっていた。

柵にもたれかかって、そこから見える景色を眺める。
隊舎の正面には解体中のアースラが見え、その先には夕日を反射して
オレンジ色にきらきらと光る海が見える。

(明日で終わり・・・か)

そんなことを考えながら景色を見ていると、背後でドアの閉まる音がして
ゆっくりと足音が近づいてくる。
やがて足音は俺の真横で止まった。
目を向けると、俺と同じく柵に持たれて海の方を見るはやてがいた。

「はやてか・・・。どうしたんだ、こんなところで?」

「ん? ゲオルグくんに会いに来たんよ」

「俺に? よくここにいるって判ったな」

「うん。フェイトちゃんに聞いたら、ここにいるんちゃうかって」

「フェイトが? なんでフェイトに判ったんだ?」

「そんなん、知らんて。 本人に聞きいな」

「そりゃそうだ」

俺は肩をすくめてそう言うと、再び海の方に目を向ける。

「なあ、いっこ聞きたいことがあるんやけど、ええかな?」

「なんだ?」

「ゲオルグくんにとって、この一年ってどうやった?」

「この一年か、そうだな・・・」

俺ははやての言葉に少し考え込む。

「まあ、濃い一年だったと思うよ。 文字通りいろいろあったからな」

「嫁ができたりな」

そう言ったはやてはニヤリと笑っていた。
俺は苦笑しながら話を続ける。

「まあそれもあるけど、情報部にいたんじゃ経験できないことを
 たくさん経験させてもらったしな。
 何度か死にかけたりもしたけど、6課にいたからこそできたことがあるし、
 誘ってくれたはやてには感謝してるよ」

「そんな、感謝やなんてやめてえな。
 私のほうこそゲオルグくんが隊の中のことを引き受けてくれたおかげで
 外との交渉事に集中できたんやし、感謝すんのは私の方やって」

はやてはそう言って手を振る。

「そりゃどうも。まあ、多少なりと役に立てたんならよかったよ」

「・・・多少やなんて謙遜しすぎやって」

はやてはそう言ったきり黙りこんでしまう。
静寂の中で少しずつ闇に染まって行く空を眺めていると、
しばらくしてはやてが口を開いた。

「なあ。なんで私が6課を立ち上げたかって、話したっけ?」

「ん? カリムさんの予言があったからだろ?」

「うん・・・それが最大の理由ではあんねんけど。
 私な、自分がどこまでできるんか試してみたかってん」

「どこまでできるかって?」

俺がそう尋ねると、はやては俺の顔を窺うように見る。

「ゲオルグくんは、管理局のことをどう思ってる?」

「どうって?」

「うーんと、組織として自分が所属してることを誇りに思えるか?とか」

「・・・難しいことを聞くなよ」

「そうやね、ゴメン。でも、ミッドで生まれてずっと管理局っていう組織と
 身近に接してきたゲオルグくんが、どない思ってるか聞きたいねん」
 
「そうだな・・・。別に自分が所属してることに対しては何の感慨もないよ。
 ただ、職業としてそれを選んで、給料がもらえるからここにいる。
 それだけだな。強いて言うなら、普通の企業に就職するよりは給料がいい」

そこまで言うと、はやてはわずかに目を見開いて、俺の顔を見つめていた。

「どうした?」

俺が尋ねるとはやては急に我に返ったかのように目を瞬かせる。

「ん、ゴメン。ちょっと意外やったから」

「そうか?」

「うん。ゲオルグくんって、なんか強い使命感があって管理局に居るっていう
 イメージが私ん中にあったから」

「使命感・・・ね。そんなもんないよ。あるのは利己的な目的だけさ」

「利己的な目的って?」

「最初は姉ちゃんがなぜ死ななきゃならなかったのかを追うのに
 都合がよかったから。今は俺自身と家族を守るため、ってとこかな」

「そっか・・・」

俺の答えを聞き終わると、はやては微笑を浮かべていた。

「私はええと思うよ、それで」

「そりゃどうも。 で? はやては何を試したかったんだよ」

「そやね。その話が途中やったね」

はやてはそこで言葉を止めると、目を細めて夜空を仰ぎみる。
その横顔からはさっきまで浮かんでいた笑みはすっかり消えていた。

「捜査部におってずっと感じてたことなんやけど、管理局って個々の事件への
 対応が遅いと思うんよ。そのせいで犯人不明のまま捜査が打ち切られた事件は
 数え切れへんほどあるし。ゲオルグくんも覚えがあるんちゃう?」

「確かに。でもそれはある意味仕方ないんじゃないのか?
 組織ってのは大きくなればなるほど動きが鈍くなるってもんだ。
 管理局ほど巨大な組織になれば情報が行きわたるにもそれなりに
 時間がかかるだろ」

「そういう理屈の部分は判ってんねんて。
 そやけど、私らの仕事が犯罪捜査である以上、理屈だけでは
 事が済まへんやん。被害者感情を考えたら一刻も早い事件の解決を
 目指すんが当然やろ」
 
「ま、そりゃあね。
 でも、物事に時間がかかるのは現場の責任じゃねえだろ。
 組織の在り方を根底から変えなきゃダメだって」

「うん。そやから、末端部隊にある程度独立した捜査と作戦の権限を与えて
 犯罪捜査のスピードアップを狙った組織のモデルケースとして作ったんが
 機動6課なんよ。で、うまく結果を出せれば上層部に組織体系の変更を
 提案していきたいなって思っててん」

「で、JS事件でその手法が有効であることを示せたはやてとしては
 万々歳ってわけか」
 
「そやね。まあ、結果として地上本部の上層部がJS事件で一掃されたおかげで
 本来の目的が果たしやすくなってんけどね」

はやてはそう言うと、舌を出して悪戯っぽい笑顔を俺に向けてくる。
だがその笑顔もすぐになりをひそめる。

「とはいえ6課にも問題があったし、そのへんの解決策を考えていかなあかん
 と思ってんねんけどな」

「問題って?」

「現場に権限を与えても、それを擁護する権威がないとあかんっちゅうのは
 嫌ってほど感じたね。JS事件の捜査でも地上本部からの横やりを
 散々受けたんはゲオルグくんも覚えてるやろ」

「そうだな・・・」

俺ははやての言葉に頷きながら、クロノさんの言葉を思い出していた。

(なるほど・・・。はやてからの提案を受けて6課の問題点を修正した上での
 新部隊構想ってことか・・・。でもな・・・)

「はやてはそれでいいのか?」

そう声をかけると、はやては首を傾げて俺の方を見る。

「いいのか?って、何が?」

「はやては捜査部に戻るんだろ? 6課の構想を受けた新部隊が設立されたら
 自分で率いたいんじゃないのか?」

「そんなん全然ええねんって。 私より現場での戦闘指揮に優れた指揮官は
 いっぱいおるやろうし、そういう人の方が向いてると思うんよ」

「そうか? 6課だって、はやてがトップできっちり他部隊との調整なんかを
 こなしてくれたからこそ、うまく回ってたと思うんだけどな」

「ありがとう。 でも、もし私の構想をもとに新しい部隊ができるんやったら
 そういう調整なんかから部隊長を解放してあげるべきやと思うわ。
 これは、私の経験から言うんやけどね」

「それができりゃいいだろうけどなぁ・・・」

「上にも、それくらいはやってもらわんと。ただでさえ下は
 苦労させられてきてんねんから」

「ごもっとも。 っと、もうこんな時間か。そろそろ部屋に帰るよ」

「そやね。私も戻るわ」

俺とはやては揃って柵から身を離す。

「じゃあな。 一緒に仕事ができて楽しかったよ」

「私もや。 また、機会があったら一緒に働こ」

「おう。じゃあ、おやすみ。明日は最後の挨拶を頼むよ」

「任しとき! ほんならね」

はやてはそう言って手を振ると、先に屋上から降りて行った。
はやての背中を見送り、海の方を振り返ると空には2つの月が浮かんでいた。
俺はそのぼんやりとした明かりに照らされた景色を目に焼き付けると
はやての降りて行った階段に向かって歩き出した。





次の日。
2カ月ほど前に完工式が行われたホールで機動6課の解散式が行われている。
お立ち台の隣に立つ俺の目には、1年間共に戦ってきた6課のメンバーが
勢ぞろいしている。

「それでは、最後に八神部隊長から6課の解散にあたっての挨拶を頂く」

マイクに向かってそう言うと、全員の目がお立ち台の上に立つはやてに向かう。
マイクの前に立ったはやてはホールに居並んだ6課の全メンバーを
ぐるっと見回すと、ゆっくりと口を開いた。

「1年前、この場所で、機動6課は産声を上げました。
 あれから、私達は多くの戦いを経験してきましたが、一人の殉職者も
 出すことなくこの日を迎えることができたことを嬉しく思います。
 どの戦いも厳しいものでした。
 隊舎を放棄せざるを得ないような攻撃を受けたこともありました。
 世界の行く末を左右する大きな戦いもありました。
 その中を無事に戦い抜いてこられたのは、みんながそれぞれの力を出し切り、
 協力し合って、優れたチームワークを発揮してくれたおかげやと思ってます。
 今日で機動6課は解散しますが、みんながここでの経験を糧として、
 新しい配属先でも力を発揮してくれることを期待しています」
 
はやてはホールの中を見渡すと、口元に微笑を浮かべた。

「それでは、ただいまをもって、機動6課を解散します!」


解散式が終わると、それぞれが次の配属先に向かうべく別れていく。
俺が副部隊長室に戻ると、部屋の中になのはが立っていた。

「あ、ゲオルグくん。おかえり」

「なのは? なんでこんなとこにいるんだ?」

「ゲオルグくんを迎えにきたんだよ」

「迎え? 帰るにはまだ早いだろ」

そう訊くと、なのはは首を傾げた。

「あれ? 言ってなかったっけ? とにかく行こ」

なのはは笑顔でそう言うと俺の手を引いて部屋を出る。
そのまま俺は引きずられるように隊舎を出る。
しばらく歩くと、隊舎近くの森にたどり着いた。

「着いたよ!」

「着いたよ・・・って、こんなとこで何を・・・」

そう言ってまわりを見ると、ピンク色の花で彩られた木々が立ち並んでいた。

「桜・・・か」

「うん。みんなでお花見しようと思って」

「そうだったのか・・・。先に言ってくれりゃよかったのに。」

「言ったつもりだったの。 それよりもさ、キレイだね」

「うん・・・」

俺が頷くと、隣に立っているなのはが俺の肩に頭を預けてきた。
俺はそっとなのはの肩を抱く。

「ねえティア。 なのはさんとゲオルグさんがラブラブしてるよ」

「そうね・・・って!なんであたしに振んのよ!」

「まあまあ、ティアナもそうカリカリせんと。それより、
 あの2人はなんだかんだでいつでも仲良しやな。正直うらやましいわ」

「そうだね。ホントに仲良さそうでいいなぁ、なのは」

「そうですね。 あんなふうになれるいいなぁ。ね、エリオくん」

「えっ!? 僕!? う、うん。そうだね」

「ったく、あいつらところ構わずいちゃつきやがって」

「まったくだ。少しは常識というものをわきまえるべきだな」

なのはと揃って後ろを振り返ると、はやてとフォワードの連中が
勢ぞろいしていた。

「あ、みんな来たね」

「うん。待たせてごめんね、なのは」

「ううん。全然待ってないよ」

「そう? それにしても、こんなところに桜の木があったんだね」

「うん。この前見つけてさ、みんなでお花見しようと思ったの」

「そうなんだ。 ありがとうね、なのは」

フェイトはにっこり笑ってそう言うと、桜の花を見上げる。
しばらく、集まった全員が咲き誇る桜の花に見とれていたが、
やがて、なのはが声を上げる。

「さてと、じゃあそろそろもう一つのイベントを始めよっか」

「「「「はいっ!」」」」

なのはの言葉にスバル・ティアナ・キャロ・エリオの4人が
勢いよく返事をする。

「もうひとつのイベント? なんだそりゃ?」

「この子たちの格好を見て気付かない?」

「格好って・・・」

4人は戦闘訓練用のトレーニング服を着ていた。

「・・・まさか」

「そう。これから、最後の模擬戦。やるよ!」

「え、え!? 模擬戦って今から!?」

フェイトが慌てたよう言う。

「うん。 わたしたちもリミッタが外れたことだし、最後の最後で
 本気の模擬戦をやろっかなって」

「みんなもなのはから聞いてたの?」

フェイトが他の連中に尋ねると、全員が頷く。

「で? 模擬戦の内容はどないすんの?」

「えっとね、みんなは私とゲオルグくんのコンビと模擬戦やったときのこと、
 覚えてるよね?」

「はい。あのときは全く歯が立ちませんでした」

ティアナの言葉に他の3人も頷く。

「あれから半年間、みんな一生懸命トレーニングして強くなったよね?」

なのはの言葉に4人が力強く首を縦に振る。

「じゃあ、今度はリミッタ抜きの本気の私たちと戦ってみようか」

「はいっ!」

スバル達は妙に乗り気でなのはに向かって返事をする。

「・・・これが罰ってやつか、なのは?」

「まあね。でも、ゲオルグくんもいっぺんやってみたかったんじゃないの?」

「そりゃあな」

俺はなのはに向かってそう言うと、スバル達4人の方に向き直る。

「覚悟しろよ。リミッタなしで戦うのなんか本当に久々だから、
 うまく手加減できないからな」

「もちろんです! 今度は負けませんっ!」

「最後くらいいいとこ見せとかないと、格好つきませんからね」

「頑張ります! ね、キャロ!」

「うん! エリオくん」

「いい返事だ。それじゃあ、なのは。行くか」

「うん、じゃあ始めるよ!」

全員が戦いの準備を整え、それぞれのバリアジャケット・騎士甲冑を身に纏う。
一陣の風が咲き誇る桜の花びらを舞わせる。

「ほんなら、模擬戦、スタートや!」

はやての声を合図に俺達は一斉に地面を蹴った。

 
 

 
後書き
これで、本編は完結です。
書き始めから1年、なんとか終わらせることができました。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

さてこの先ですが、続編を書きたいと思っています。
(読みたいと思ってくれる方はいないかもしれませんが・・・)
ですが、今は構想もぼんやりとしかない状態なのと、他に書きたいものがあるので
構想をしっかり練ってから書き始めようと思っています。

なお、本編がゲオルグの1人称だったので書けなかったシーンなんかは
少しずつ番外編の方で補完していきたいと思っていますし、
ゲオルグと原作キャラの過去話なんかも書いていこうと思っています。
駄文乱筆ではありますが、お読みいただけると幸いです。

最後に改めて、本当にありがとうございました。 
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