ロザリオとバンパイア〜Another story〜
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第10話 激闘の果て…
それは、あの大爆発が起こった後の事。
3人を護るかのように覆っていた結界が露と消えた。
それが意味するのは皆考えたくないようだった…
「ジャック!!」
アカーシャは結界が消えたのとほぼ同時に駆け出した。
……嫌な予感しかしないのだ。
彼の結界の中…
彼が側にいて守ってくれている。
あの時、そんな感じがずっとしていた。
だから、不安だったけれど、安心できた。
それが……………消えた…………
「わし等も行くぞ!」「ああ!」
不敗・御子神らも あたりを警戒しつつ アカーシャの後に続いた。
2人もまた アカーシャと同じ気持ちだった。
アカーシャ side
アカーシャは、爆煙が徐々に晴れ…
そして、その見えた先の景色に唖然としていた。
「これは……ッ…なんて…こと………。」
言葉が出ない。
そう、周りの状況は 言葉では表せない程のものだった。
凄まじい光景だったのだ。
……爆心地の半径は一体どれほどまで及ぼうか?
ジャックとアルカードを中心にあたり一面が吹き飛んでいた。
吹き飛ぶ、言葉で表せれば4文字だがそれでは安すぎる。
どう言葉で表せれば良いのかわからなかったようだ。
「……ジャック 待機してろって 言ったのは まさか この事……?こッ…… ここにいれば、わたし達も巻き込まれるから……。……ジャックっ ジャック!!答えてよっ! ……約束したじゃない!みんなで必ず帰るって!答えてッッ!!」
彼女のその言葉を聞いているだけで、絶望が辺りを支配するようだった…
その絶望の中で…
彼女の…アカーシャの悲痛な叫びだけが辺りを木霊した。
アカーシャ side out
アカーシャより少し遅れて、2人は現場を確認していた。
生存率は…絶望的だろうと確信がもてるほど……あたり一面が吹き飛んでいる。
かろうじて、原型がとどめていたのは……
あの3人がいたところのみ。
ジャックが守ってくれていた周囲だけだった。
「アカーシャ……」「くっ…」
2人はアカーシャにかける言葉が出なかった……。
そう、2人にとってもかけがえの無い友を失った…。
その思いが 自らを責める。
なぜあの時無理にでも止めなかったのかと…
3人で… 戦おう… 最後の最後まで……
そう決めていたはずのに………。
「ジャ…ック…………。」
アカーシャの目から涙が零れ落ちる…
そのアカーシャの視界がぼやける……
それは、まるでピントが合っていない写真のようだった…
そんなときだった!
“ズシャ………”
「!!」
アカーシャが何かが動いた事に気づいた!
爆発で出来た灰の中。
そこで…何かが動いたのだ。
それはほんの一瞬だったが。
確かに動いた………。
「まっ……まさか………ッ!!」
急いで そこへ向かう。それに気づいた2人も後に続く。
アカーシャは動いていた辺りを懸命に掘り起こす。
そして。
中で倒れていたのは……。
「ジャック!!」
感極まりながらアカーシャは彼の体を抱き起こした。
しかし……
ジャックは何も言わない。
反応もない。
まるで…眠っているかのようだ………。
「ジャック……?」
アカーシャは抱かかえ、何度も呼びかけるが……。
答えてくれない。
あの優しい笑みを……見せてくれることは無かった。
「アカーシャ!ジャックは無事か?」
東方不敗も少し遅れて到着した。
「それが……息はあるのに 体温が異常に低くて 鼓動も弱いの……どうし……どうしよう……。ジャック……ジャックが……!!」
ジャックを抱きかかえながら 顔を青くしたアカーシャがジャックの容態を伝えた
「見せてみろ!」
退魔師である御子神がジャックの体を調べる。
「心配ないとは 言えんな…… おそらく魔力を極限まで消費した代償だろう…巨大なエネルギーとは術者の生命力にリンクしていることがある。ジャックも行く前に言っていただろう…?」
アカーシャはその御子神の言葉を聞いてハッとする。
……確か彼は、に術を使えば身動きが取れなくなるといっていた。
「……でも 本当に……大丈夫なのよね?」
心配性のアカーシャだ……。
ジャックのこういう状態で、安心できるわけがなかった。
「ああ、 時がたてば 霧散した 奴の魔力が回復じゃろう。 ……アカーシャよ少し落ち着け。普段のお主ならば このくらい気づくじゃろうに。」
東方不敗もそう判断。
(アカーシャの性格上それは皆無か……。)
ジャックの言うようにアカーシャの最大の弱点は優しさにある
瀕死の仲間の手前 冷静にはなれないことは分かっていたことだった。
「そ そうね……ごめんなさい。取り乱して……。」
アカーシャは、ジャックの顔に手をあてがって……そして、2人を見て謝っていた。
「何を謝る?」
「そうじゃ 皆無事じゃった。その上 アルカード討伐にも成功した。誤る場面じゃないじゃろ? 早く安全な場所へジャックを連れて行ってやろう。約束したしな 丁重に扱うと。」
そう言って御子神・不敗は笑いかけた。
「そう……よね 早く彼を療養させないと。」
アカーシャがジャックを抱えた時。
「ア……カ………。」
消え去りそうな言葉が……。
ジャックから発せられた。
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