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とある六位の火竜<サラマンダー>

作者:aqua
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ラブレター………?

 
前書き

更新遅くなりました(泣)

ちょっと忙しくて…
すみませんm(__)m

この話からオリジナルの話を少し書きます。

 

 
「ふわぁあぁ……眠い……」

大きな欠伸をしながらいつもどおり時間ギリギリに校門をくぐる蓮。学園都市製の小さく畳めるスケボーを鞄にしまい、昇降口に入っていく。昨日はシステムスキャンをして、レベル5の第3位‘超電磁砲’《レールガン》の御坂美琴と会って、銀行強盗に巻き込まれてと大騒ぎの1日だったため少々疲れが溜まっていて全身からダルいオーラを放っている。

「今日の授業堪えきれる気がしない……ん?」

ため息をつきながら自分の下駄箱をあけると、そこにはなにか封筒が。

(まさかラブレター……!!……ってただの茶封筒だしそんなわけないか。)

一瞬ついに自分にも春がきたかと期待する蓮だがすぐにその可能性を否定する。

「でも、それなら一体……?」

疑問に思いながら封筒を手に取り、少しの間考えるがチャイムが蓮の意識を引き戻す。

「うわっ、ヤバイっ!」

とりあえず封筒を鞄にしまった蓮は遅刻扱いされないように教室まで走り始めた。





「じゃあ朝のホームルームは終わり。次の時間の準備しとくように。」
「…………」

朝のホームルームが終わり、担任の大圄が教室から出ていく。その瞬間に蓮は机に突っ伏した。

「神谷、大丈夫?」
「……大丈夫じゃない……眠い……」

隣の席から心配そうに訊いてくる佐天に大きな欠伸で返す蓮。

「朝からどんだけ大きい欠伸してんのよ……って言ってもあたしも疲れてるけどさ。ふわぁあぁ……」
「昨日いろいろあったからなぁ……ふわぁあぁ……」
「まだ朝のホームルーム終わったばかりなのに……今日1日もつんですか?」

もう1度大きな欠伸をする蓮と佐天の2人を見ながら初春は苦笑いする。

「分かんない……頑張るけど。」
「うん……。あ、そういえば、神谷。今日いつにもましてギリギリだったけどなんかあったの?」
「ああ、それなら……」

佐天に訊かれて答えようとした蓮の言葉が途切れる。その理由は

(いや、ないとは思うよ?たぶん絶対ない。でももし、万が一これがラブレターだったら……?言うわけにはいかない!)

そんなことを考えたからだった。学園都市に7人しかいないレベル5の1人とはいえ、蓮も結局は男子中学生。期待してしまうのは仕方のないことだろう。

「神谷さん?」
「え?あ、ああ、それなら下駄箱の所で先生に捕まっちゃってさ。」
「へぇ~、そうだったんですか。大変だったんですね。」
「う、うん、めっちゃ大変だった。」

(初春は信じてくれたけど佐天は絶対信じてない!視線が痛いんですけど!!)

蓮の咄嗟の言い訳を初春は純粋に信じたのだが、佐天は全く信じていないのだろう。蓮をジト目で見ている。

「ねえ、神谷。その話ってホント……」
「おーし、授業始めんぞー。」

蓮を問いただそうとした佐天だが、先生が教室に入って来たために口を閉じる。先生に感謝して安堵する蓮に授業中ずっと佐天は疑いの視線を向け続けていた。





「ふぅ……やっと確認できる。」

授業終わり。トイレに来た蓮はため息をついた。

「しかし、こいつのせいで全く授業に集中できなかったなぁ……」

授業中、いきなり佐天の方から紙が飛んできたかと思ったらそれには

『さっきの話ホント?』

と書いてあった。佐天の方を見ると返事を要求するようにこちらに手を向けている。

「…………はぁ…」
「あっ……!!」

蓮がため息をついてその紙を破り佐天に投げ返す。それからの佐天の視線には疑いの他に不満気な様子が追加された。その佐天に捕まる前にと蓮は休み時間になると同時にトイレに逃げ込んだのだ。

「よし、さっさと確認して終わらせるか。」

蓮は茶封筒を開けて中を確認する。そこに1枚の紙が入っているのを見て、蓮の期待が高まる。

「なんかドキドキするな……」

期待に胸を高鳴らせ、中の紙を開き書いてある文字を読む。そこには

『果たし状
今日の放課後、学校近くの廃工場で待つ!!』

の文字。蓮はその文章を確認すると無言のままに紙を折り畳み元通りに封筒にしまう。そして両手で顔を覆う。

(ラブレターかもって期待してたのバカみたい………)

しばらくの間、蓮はその場から動くことができなかった。





「あ、神谷……ってどうしたの?」
「神谷さん?」

蓮が教室に戻るとさっそく声をかけてきた佐天だが、蓮の沈んだ様子に気付き不思議そうな顔をする。隣の初春も心配そうに声をかけるが、蓮は反応せずに自分の席で紙飛行機を折り始める。材料はさっきの果たし状。

「え~っと……神谷さん?」
「…………」

ちょっと引きぎみな佐天と初春に構わず紙飛行機を完成させた蓮は教室の窓を開けて、紙飛行機を外に飛ばす。

「おお~飛んだ飛んだ。」
「いいんですか?あの紙飛ばしちゃって。」
「いいんだよ。どうでもいい紙だったし。」

外に飛んでいく紙飛行機を眺めながら初春に答える蓮の顔はすっきりしたという感じで雰囲気もいつもどうりに戻っていた。その時、

「ああああああ!!」

こちらの様子を見ていた1人のクラスメイトがこちらを見て声をあげる。名前は松野奏太(まつのそうた)

「な、なに?」
「えっ?あ、いやなんでもない。勘違いだったよ。あ、あはははは…」

引きぎみに訊く佐天にそう答え、その場はそれで収まったが蓮は松野を見て確信していた。

(俺にあのふざけた果たし状書いたのあいつだな……)





「で、話ってなに?」
「とぼけんなよ、あの手紙書いたのお前だろ。」

次の休み時間。蓮は松野を空き教室に呼び出し、松野と向き合っていた。

「あ~あ、やっぱバレてたか。あのとき声あげちゃったの失敗だったな……」
「あれは普通気づくな。で、なんで闘わなきゃいけないんだ?俺、めんどうだから闘いたくないんだけど。」

意外にあっさり認めたことに驚きつつ事情を訊く。その時に闘いたくないという意思もしっかり伝える蓮。

「俺さ、昨日佐天に告白してフラれたんだよね。」
「そっか…そりゃ残念……って佐天に告白!?」

あまりに自然に言われた言葉を軽くスルーしそうになるが蓮は驚いて聞き返す。
「昨日の放課後に空き教室で。あっさりフラれたよ。」
「そっか、だからあいつあんな時間に教室に来たのか……」

松野の言葉でなぜ佐天が昨日あんな時間に教室に来たのかがはっきりする。

「まぁ、それは残念だとしてだ。その話と手紙になんの関係あるんだよ?なんもないだろ?」

そこで蓮が話を元に戻す。この話と果たし状の繋がりが分からない。

「レベル5の神谷に勝てば佐天も認めてくれるかなって思って…」
「なんでそこで俺なんだよ……」

蓮としては正直心当たりが無いわけでもない。というか心当たりがあって嫌な予感しかしない。

「神谷、佐天といつも一緒にいるじゃんか。それにあの噂もあったし。」
「あの噂?」

知ってるのに認めたくなくて知らない振りをする蓮。嫌な予感が当りそうだ。

「佐天と初春が神谷のことを好きで神谷も2人のどっちかが好きだっていう噂だよ。」
「やっぱり……」

嫌な予感が的中してため息をつく蓮。前に、あることがきっかけで誰にも心を開くことのなかった蓮が佐天と初春には心を開いたことからそんな噂が流れたことがあった。

「あのなぁ、その噂は……」
「うん、本人達が否定してるのは知ってる。でも一緒にいるのは事実だろ?」
「それはそうだけど……」

一緒にいるのは事実なので蓮は否定できない。そんな蓮を見て松野は続ける。

「こんなん意味ないかも知れないってのは分かってる。八つ当たりみたいな感じだし、神谷には知ったことかって感じだろうし、神谷に勝ったって佐天が振り向いてくれる保証もない。でも……」

自嘲気味に言っていた松野はいったん口を閉ざし真剣な顔になる。

「でも、諦めらんないから。やれることはまだあるんなら、可能性は0じゃないんなら、諦めらんない。」

真っ直ぐに真剣に蓮を見て、松野は告げる。

「だから……だから俺と闘え、神谷。」
「………ったく」

正直に言えばめんどくさい。自分には関係ないし、闘う理由もない。だけど

「仕方ないな、やってやるよ。」

だけど、真剣な想いを抱える松野に答えない訳にはいかなかった。

「神谷…ありがとな。」
「ただし、手加減はしないからな。」
「いらないよ。手加減なんかされたら意味ないじゃんか。」
「ならレベル5の実力、見せてやるよ。」
「ああ、負けないからな。」

こうして蓮は松野と放課後に闘うことになった。





蓮と松野が空き教室にいる間、佐天と初春は教室で話していた。

「ねぇ、今日の神谷なんかおかしくない?」
「そうですか?私にはいつもとそんなに変わらないように見えたんですけど……」

話の内容は蓮のこと。朝の蓮のおかしな様子を見てから佐天はずっと蓮がなにか隠しているのではないかと考えていた。

「変だよ!だって、普段から授業で寝るのにためらいのない神谷があんなに疲れたって言ってるのに授業で寝てないんだよ?」
「確かに変ですね……」

佐天の言葉に初春も納得する。この言葉で納得される蓮を少し可哀想に思っていると、蓮が松野と一緒に教室に戻ってきた。

「神谷、なにしてたの?」
「ちょっとな。あのさ今日の帰りは先帰ってて。」
「え?なんでですか?」

佐天の質問を軽く受け流しながら言われた蓮の言葉に初春が理由を訊く。寮の場所が近い3人は普段一緒に帰る。初春と佐天は今日もそのつもりだったのだろう。

「ちょっと松野と遊びに行く約束したからさ。」
「松野と?そんなに仲良かったっけ?」
「まあ……うん。」
「じゃあ、私たちも一緒に……」
「な、なら仕方ないね!2人で帰ろうか、初春!!」

一緒についてこようとした初春を佐天が必死に止める。まだあまり関わるのは気まずいのだろう。

「じゃあそーいうことだから。」

そう言って蓮は席につくと佐天が話を聞きに行く前に先生が授業に来てしまった。





「……よってここは……」

(明らかに神谷の様子おかしいよなぁ……)

授業中、隣の席で先生に睨まれながら爆睡する蓮を見ながら佐天は考える。

(紙飛行機の時の松野の様子もおかしかったし、さっきの休み時間は2人でどっか行ってたし、放課後も2人……)

思い出される昨日の放課後の出来事を頭を振って思考から追い出しつつ佐天は

(うぅ~……気になるぅ……。よし、決めた!)

と心の中であることを企み始めた。
 
 

 
後書き

これからなるべく急いで更新していくので見捨てずに長い目で見守ってくださいm(__)m

 
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