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めだかボックス 〜From despair to hope 〜

作者:じーくw
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第2箱 「プラスとマイナスの間の僕は…… ゼロ?」



































人吉 瞳 を挟んで劉一と善吉が手をしっかりと繋いだまま歩く。

そして、暫くすると、かなり大きめの病院が見えてきた。



(…総合病院かな??凄く大きいし……。)


そう思っていると。

「さぁ!ここよ!私が勤めている病院!」

瞳さんは、そう言うとみんなの手を引きながら病院の中へ入った。


(本当に…心療外科医さんなんだね?ちょっと、信じられなかったけれど……。)


見た目幼い姿なのに、

でも劉一の姿も今では十分に幼い。

そ言う事もあるか、と思いながら手をひかれるがままについていくと託児室が見えてきた。


「さぁーて、私はこれから仕事があるからさ! 善吉ちゃんはここで遊んでいてね!」



瞳さんはそう言った。

実を言うとこの人が善吉君の母親らしい。

下手をすると僕と同じくらいの体格に近いのに、と言うのが彼の正直な感想でした。


「…ってあれ? 僕は??」


善吉ちゃんはってことは?自分は違うのだろうか?

劉一は瞳さんの方を見てそう聞いた。


「ああ!りゅういちくんはちょ〜っとだけ一緒に来てくれるかしら?」


瞳さんが笑いながらそう言う。

その事には特に問題ないのだけれど、善吉は寂しそうにしていた……。


直ぐに戻ってくるよと、伝えると嬉しそうに頷いて戻ってくるまで遊具のパズルをして遊んでる!っと言い託児所へと入っていった。





「さぁ!いきましょ!」



そう言うと瞳は再び劉一の手を繋ぎ、託児室を後にした。
















暫く歩き、エレベーターを使い……。

瞳先生が管理している部屋だろうか?

その前についたとき…


「あ!! そうだった……。この時間も他に患者がいたんだ………。」


瞳さんは≪しまった!≫っといった表情で劉一を見る。

その表情はとても申し訳なさそうだったんだけれど。


「あ!大丈夫ですよ! 僕、待ってます。 だから割り込みとかなんてしませんので 予約の患者さんたちを優先させてください。」


劉一は、瞳さんの表情を読み取ったようにそう答えた。


「そっ……そう? ゴメンね!!直ぐに済むからちょっと待っててね?劉一クン!」


瞳は、彼の異常性に驚きながらも直ぐに笑顔に戻り診察室へと向かった。















瞳 side








診察室の椅子に座り瞳は考える……。

その内容は勿論彼……

劉一に関してだ。



「彼……いや 本当に2歳児なのかな? 私が言うのもなんだけど………。」



自分の容姿もねぇ……とも考えていた。 苦笑




でも、彼のは2歳児とは思えない程…

しっかりといろんなことを理解している…

あのころの年頃は自分のことしかまだ考えてないだろう。

(………所謂万能タイプの異常……ってことかしら??)

暫く考えていたが。


「まあ…… 彼の事もだけど今はそれどころじゃないもんね。」


そう、 ここは異常と呼ばれる人たちが集まる病院。

言い方は悪いが、あまり1人の事だけを考えて入られないのだ。

だけれど……。




「いよっし! 今日もがんばっちゃおう!」




瞳は拳にぐっと力を入れた。

彼女は、1人1人に真剣に向き合っている。

当然という人もいるだろうが。

異常性をもった子供に真剣に向き合う事は生易しい事ではないのだ。

彼女も異常といわれていた子供の1人だった故もあるのかもしれない。





side out











「ふぅ………。」

部屋の外のイスに座り。

前をじっと見て…

全く姿勢を崩さずに劉一は順番を待っていた。

小さな身体になってしまったから、トイレに行くのも大変だったし、椅子に座るのも大変だった。

だけれど何だか苦にはならない。

何だか……ここから新しいことがおきそうな気がしたからだ。




そこに……



1人の子供が近付いてきた。

女のコだった。


「おい! 隣はあいておるか?」


初対面だったのだがそんなことは関係ない!といった感じだった。

何より……その女の子の素敵な笑顔だった。

「うん!大丈夫。僕1人だったから、いいよ。」

だから、こちらも笑顔でそう答える。

「そうか すまないな。」

彼女は笑顔を見せたまま座った。

「凄く……嬉しそうだね 君。何かあったの?」

女のコの顔が笑顔(わくわくした感じかな?)だった為 好奇心からかつい話しかけていた。

見惚れてしまう程輝いてるとも思ったから……。


「む!顔に出ていたか そうなのだ。もしかしたら自分が分からなかった事を教えてくれるかもしれなくてな。それでちょっぴりわくわくしていたんだ。」

「へぇ…そうなんだ。」

率直な感想なんだけどやっぱり、素敵だな……と思えた。

同じくらいの歳の女の子でこんな子はいるのかな……?

っとも思えたほどだ。

彼女の理由はよく分からなかったけど。

彼女と話していると。

とても心が安らぐんだ。





そんな時…


1つ隣の椅子ににいた男の子が近付いてきた。








「『まったく』 『なんのためだなんて』『みんな大人の癖に』『的外れだよねえ』」









男のコはそう言うと、僕と女のコの前に立った。


「『人間は無意味に生まれて』『無関係に生きて』『無価値に死ぬのに決まってるのにさ』 『君達もそう思うだろう?』『えーっと めだかちゃんにりゅういちくん?』」


そう彼が言うと……

めだかは 楽しそうな表情から一変した。


「…………。」


僕は黙っていた。

突然会話に入ってきて驚いた……というのもあるけれど。

彼は、きっと間違ってないって思う。

それに、多分ちょっと前までの僕なら賛同していたかもしれないと思うから。




「『あれ?君はそう思わないのかい?』『絶望しているように見えたけど?』」



彼の眼は…心の奥まで、見ているかのような目だ。

だからこそ、そう聞いたんだろう。




≪くまがわ みそぎ≫




彼の名札にはそう書かれていた。

そう……後の過負荷(マイナス)13組の生徒となる子だ。


「うん…そうだね。多分ちょっと前の僕なら、きっと、君の考え方に賛同したと思うよ。」

…そう言う。

そうだよ。意味があって……死んでしまったというのなら僕は赦せそうにない。

あれだけ絶望だったんだから……。

絶望だからこそ、彼の言葉に救われるとも思える

その≪救い≫が当時の僕にとって≪プラス≫に働くか≪マイナス≫に働くかは解らないけれど。

「『ふ〜ん…ってことは…… 今は違うんだね?』」

目を見たまま…そう言い切る。

「うん。」

そう言うとみそぎは笑った。

「『うーん ちょっと遅かったんだね。僕は。だったら、もうちょっと早く君に合いたかったよ』『でも、めだかちゃんは?君もいっぱい人を終わらせてきたんだよね? 』『彼は残念だったけど君はそれでいいと思うよ。』『何をしてもいいんだ。』」

そう言うと。

「球磨川くーん 五番検査室に入ってくれる?」

ナースのお姉さんから呼び出しが合った。

「『だって 世界には目標なんてなくて、人生には目的なんてないんだから』『後りゅういちくん、僕に賛同できるのだったら、いつでも僕は待ってるよ。君とは良いお友達になれそうだから。』『じゃあまたね。』」

そう言うと彼は大きなぬいぐるみと共に、

検査室へと入っていった。



彼が検査室に入って暫く沈黙が訪れる……。




「君……大丈夫かい?」

めだかはまだ考え事をしているのか表情は硬く何も言わなかった。

恐らくは聞えていないのだろう。

自分にも≪闇≫がある。

その耐性があるからこそ 彼の話しをそのまま聞けたのであろう。

常人なら、いや常人じゃなくても彼のマイナス面を受けたなら、心から動揺してしまうだろう。



いや、めだかの場合は動揺というよりは………。



彼の意見を正しいと思ってしまったのだろう。






次に彼女も呼ばれそのまま会話の1つもなく、姿を消した。







 
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