銀河鉄道物語 リリカルな異世界[地球]
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待合室
僕とナスカは二人揃って迷子になった仲間である。
そんなわけで僕はナスカと一緒に迷路みたいなレビュース分岐点を歩いている。
お客さんが迷子になったら大変だよね。
「ナスカ。君の出身は何処なの?」
ナスカは僕の顔を見ることなく。
「大切な故郷なのに忘れたんだ。」
「故郷を忘れた?」
自分の出身地を忘れた人が僕以外にもいたなんて。
僕の場合は記憶喪失でもうなおらないと言われている。
でも可哀想に思う。
「思い出せるといいな。」
「ああ。」
とにかく早く待合室にいかないと。
ナスカの大切な人が待っているのだから。
すると僕たちは分かれ道に出た。
僕の記憶が正しければ右側なのだけど焦りもあって自分の記憶が信じられずに悩んでいた。
「どうした?」
「ちょっと混乱した。僕の記憶では右側なんだけどなんだか自信がなくて。」
僕は有りのまま言った。
迷いがある人に付いていきたくはないだろう。
ナスカが一人でいくとう言うなら止めることはできないだろう。
「そうか。なら右側に行こうぜ。」
「えっ?」
今なんて言ったの?
「だから右側に行こうぜ。お前がそう思っているなら。」
なんだろう。
批判するのではなく同意してくれた。
普通なら怒らないかな。
だって僕が待合室に行こうと言ったのに迷子になった。
迷子と言うよりも道を度忘れしただけなんだけどね。
「とっとと行こうぜ。」
「うん。」
僕は右側の廊下に向かって歩いた。
するとすぐに待合室の前に出た。
「サンキュー。じゃあな。」
待合室に走っていくナスカに僕は声をかけてしまった。
急いでいるのは分かっているのに。
「ナスカが会いたい人はどの人なの?」
するとナスカが待合室にいる黒服で金髪の女性を指した。
それは僕と絵里が見た人であった。
「そっか。私も行くね。」
私はナスカと別れて指令部に向かった。
「メーテル。」
俺は周りのお客さんがいるけれども関係無く名前を叫んだ。
ずっと会いたかったメーテルに会えることがとても嬉しかった。
どうしてメーテルが俺の居場所をわかったかと言うと俺が999(スリーナイン)に連絡をしたからだ。
それがうまく伝わったみたい。
「ナスカ。元気そうでよかったわ。」
「メーテルこそ。お前と鉄郎の話は聞いたよ。」
俺の代わりに機械帝国を破壊してくれた英雄と呼ばれる星野鉄郎。
鉄郎がいなければ今の世界はないと言っても可笑しくはない。
生身のからだ絶対機械圏に行って帰ってこれたのは鉄郎だけだろう。
「あなたのことは一度も忘れたこと無かったわ。鉄郎と旅をしているときにナスカの面影を度々感じたこともあったわ。」
「そうかよ。それでメーテルはこれからどうするんだ。やっぱりラーメタルに住んでいるのか?」
当たり前の質問かな。
でも確認しておけば会いに行くこともできる。
「そうよ。」
「俺も行けたら良かったんだけどな。」
「しょうがないわ。今は何処の管理組織も人手が足りないのだから。」
メーテルの言う通りだ。
メーテルは俺よりも世界情勢に詳しい。
何処の管理組織にも属していないのにさすがだよ。
「ナスカ。そろそろ時間なの。また来るわ。」
「おう。待ってるぜ。」
たった十分の会話。
これだけでも俺にとってはかなり嬉しかった。
二度と会えないと思っていたメーテルと会えたのだから。
『まもなく42番ホームに停車中の地球行き銀河超特急999(スリーナイン)が発車します。御乗車のお客様はお急ぎください。次の停車駅はトレーダーです。』
俺はメーテルが見えなくなるまで手を振った。
また会えることを信じて。
遠くでナスカを見ていた僕は正直驚いていた。
ナスカならメーテルと一緒に999(スリーナイン)の乗っていくと思っていたのだ。
「咲さんですか?」
見知らぬ女性に声をかけられた僕は慌てて後ろを振り返り頷いた。
「お待ちしてました。私はレビュース分岐点の警護担当の神聖美花中佐です。指令部までご案内いたします。」
そう言えば聞いたことがある。
銀河鉄道エリアA管理本部の頃に最強と言われていた魔導師。
それが彼女だったはず。
「早くしてください。仕事が用意されていますから。」
僕は美花中佐の後ろをついていった。
もちろん一定の間隔をとってある。
これはいつでも戦闘が出来るようにするためである。
「こちらになります。」
連れてこられたのは間違いなく指令部だった。
中にはいると僕より少しばかり年が上であろう男性が待っていた。
「ようこそいらっしゃいました。私が当レビュース分岐点のそう責任者のルーブ・プリジェクトです。」
「僕は本日付でレビュース分岐点に配属されました夏村咲です。よろしくお願いします。」
一様挨拶をした。
普段の僕ならば絶対にしないであろう。
「早速だがここにいってもらいたい。」
ルーブ責任者が指差したのは私たちの管理エリアではなく時空管理局のエリアだった。
そして僕は話を聞いてどうしてそこにいかなければならないのかを理解した。
理由は簡単だった。
惑星上空を通過中だった特急A656を墜落させて人がいるらしい。
それの調査を行えとのことだった。
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