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ハイスクールD×D ~銀白の剣士~

作者:strik
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第9話 Side渚


Side 渚


 僕は今、繁華街へ向かっています。昨日兄さんはアーシアさんを連れて行くのに繁華街へ行くと言っていたのだ。

 それを昨日のうちに、朱乃先輩にも連絡しておいたので、待ち合わせは繁華街の入り口。待ち合わせの場所としてはここらでは定番の場所だ。

「さて、どこにいるのか・・・・・?」

 やはり定番の場所なだけあって人が沢山いる。ちなみに僕の服装は黒のカジュアルスーツだ。思い切り男物の服は似合わないこの容姿で、なんとか男っぽくしようと考えて選んだ一品だ。店員さんが絶賛してくれたのを思い出す。髪もいつもは上の方で一つに縛っているが、今日は首元で一つにまとめて、背中に垂らしている。

「ねぇ、見てあの人!」

「うわぁ、すごい綺麗な男の人だね」

 周りから、ちらちらを見られてささやかれている僕。

「しかし、毎度のことながら見られているな・・・・・・・・・」

 周りから向けられる視線に、居心地が悪いが朱乃先輩を探さなくてはいけない。

 キョロキョロと辺りを見渡していると、見慣れたポニーテールが視界に入った。どうやら、こちらには気づいてないらしい。

「お待たせしました。朱乃先輩」

 後ろから近づいて、声をかける。

「あらあら、別に待っていま―――」

 振り返って、返事をしようとした朱乃先輩が途中で止まった。

「どうかしましたか?」

「い、いえ! なんでもないですわ(思わず見惚れてしました、なんて言えないですわ)」

「ならいいんですが・・・・・・・体調が悪いなら言ってくださいね。顔が赤いですから」

「はい」

 顔は赤いままだが本人は大丈夫って言っているけど、注意しておこう。

「朱乃先輩、そういう服も似合っていますね」

 いつもの落ち着いた服を着てくるのかと思ったが、年相応の女の子らしい服装だ。

「落ち着いた感じの服を着てくるかと思ったんですが、そういう服の朱乃先輩もかわいくていいと思いますよ」

「あ、ありがとうございます」

 恥ずかしそうにはにかむ朱乃先輩。なんかいつものイメージとは違う、デートみたいだから緊張しているのかもしれない。そう思うと、僕も少し恥ずかしくなってきた。

「ナギくんのその格好もかっこいいですわ」

「ホントですか? あんまりかっこいいって言われないんでうれしいです」

 この容姿ではかっこいいと言われることは少ないので、普通にうれしかった。

「とりあえず、兄さんとアーシアさんを探しましょう。アーシアさんはシスター服らしいのですぐに見つかると思います」

「わかりましたわ」





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 やはり、シスターの服は目立つので、兄さんとアーシアさんたちをすぐに見つけることができた。

「どうやら、昼食を食べるようですね。時間も時間ですし、僕たちもごはんを食べましょうか」

 とりあえず、兄さんたちの入ったハンバーガーショップの前にある喫茶店に入る。なかなか、いい雰囲気の喫茶店だ。

 幸い兄さんたちは窓際に座っていたので、こちらから見ることができた。僕たちはランチセットを頼んで食べている。サンドウィッチ・サラダ・スープにコーヒーがついていて、なかなかお得なランチセットである。

「アーシアさん、ハンバーガーすごくおいしそうに食べていますね」

「ええ、見ていて微笑ましいですわ」

 最初は緊張していたみたいだが、慣れたのかいつもの朱乃先輩になっていた。

 兄さんがハンバーガーの食べ方を説明するような仕草をしていたから、アーシアさんはハンバーガーを食べたことがなかったんだろう。・・・・・・・・教会でハンバーガーを食べているシスターの姿なんて想像できないから、当たり前と言ったら当たり前だろうけど・・・・。

 しばらく、雑談をしながら兄さんたちを見ていると、どうやら席を立つようだった。

「行きましょう」

「ええ」

 僕たちも席から立ってお会計をしようとする。朱乃先輩がお財布を出そうとしていたので、僕はそれをやめさせた。

「僕が払うからいいですよ」

「それは悪いですわ」

「こういう時は、男が払うものですよ」

 肩をすくめながら言って、僕は強引にお金を払って、喫茶店を出た。

「本当によかったんですか?」

「いいって言ってるでしょう。朱乃先輩は気にしないでください」

 朱乃先輩に、気にしないように言う。ふと兄さんとアーシアさんの方を見ると、兄さんがこちらの方を振り返ってきた。

「――っと」

「きゃ!」

 兄さんがとこちらの方を向いたので朱乃先輩を抱き寄せて、看板の後ろに隠れる。周りの人は何事かと見てくるが、愛想笑いで誤魔化しておいた。

「行ったみたいですね」

「え、ええ」

 兄さんがこちらから視線を外したので、朱乃先輩を離す。朱乃先輩は真っ赤になっていた。

「すみません。急に抱き寄せたりして・・・・・・嫌でしたよね」

「だ、大丈夫です。別に嫌ではなかったですから」

 顔をうつむかせながら、朱乃先輩はそう言った。

「あ、そ、そうですか・・・・・・・・」

 嫌ではなかった、か。なんかちょっとうれしい気がするが恥ずかしい。

「おっと、兄さんたちを見失います。急ぎましょう」

「わかりましたわ」

 そして、兄さんたちを追ってゲームセンターに入るまで、僕たちは恥ずかしさで終始無言だった。





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『峠最速伝説イッセーッ!』

 ・・・・・・・・・・・兄さんの声が聞こえた。こんな大勢がいるところで、あんなに大きな声を出すなんて、なにを考えているのやら・・・・・・・・・・・・・。

「うふふ、面白い子ですねイッセーくんは」

「身内からしたら、恥ずかしい限りですよ。それよりどうします? 僕、ゲームセンターなんて数えるほどしか来たことないですけど・・・・・・・・・」

「私は初めてですわ」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 朱乃先輩はイメージ通り、着たことがないようだ。ふぅ・・・・・・二人そろって初心者同然ですか・・・・・・・・。初心者でも楽しめるのって何がある?

「とりあえず、プリクラでもやりますか」

 我ながら無難なチョイスだ。これなら、初心者とか関係なく楽しめるだろう。

 プリクラが集中している箇所に行く。同じプリクラでも、何種類もの種類があった。

「たくさん種類があるんですね」

「ええ、でもどれも大して変わらないらしいですよ。それじゃあ、早速やりましょう」

 目についたプリクラの筐体にお金を投入して、撮影スペースに移動する。

 音声の案内に従って、カメラの前に立つ。

「朱乃先輩、もっとこっちに寄ってください」

 写真の撮れる範囲が思っていた以上に狭かったので、必然的に朱乃先輩と密着することになった。

「これは、ちょっと照れますね」

 こんなに女の人とくっついたのは、母親以外にいないのでかなりドキドキした。

(というか、プリクラを男女二人っきりで撮るって普通は恋人同士のやることじゃ・・・・・・・・いや、考えるな)

 冷静に考えてみると、付き合っているわけではないのに恋人っぽいことをしているのに気付いたが、顔が赤くなりそうなので考えるのをやめる。いや、すでに赤くなっていた。

「ええ、そうですわね」

 朱乃先輩も気恥しいようだ。ほんのり顔が赤く染まっている。とりあえずピースをして、一枚目を取った。

「なんか、味気ないのでポーズを取りましょう」

 そういうわけで、いろいろなポーズで残りを撮った。なかなか貴重な体験ができたと思う。

 そして、撮影スペースから出て、筐体の横にあるラクガキができるスペースに移動してラクガキを始める。

「朱乃先輩もやってください」

 画面は二つあるので、片方を朱乃先輩に撮ったプリクラの半分を任せる。他愛のないことを書いたりした。

 そうこうしていると、時間切れになってラクガキが終了した。

 写真が排出されるところで写真が出てくるのを待つ。数秒後、僕と朱乃先輩の二枚分の写真が出てきた。どうやら、朱乃先輩は飾りを付けたようで星などが写真を彩っている。

「あはははは、こうしてみると僕たちかなり恥ずかしい事してますね」

 僕も朱乃先輩も顔が赤くなっていた。なんだか、さっきから赤面してばかりな気がする。

「そうですわね」

 恥ずかしいので、その場をそそくさと二人で立ち去り、兄さんたちが別のところに移動するまで、エアホッケーなどをして時間をつぶした。

 とりあえず、兄さんが朱乃先輩とエアホッケーをしたら絶対勝てないと思う。なぜかって? すごい・・・・・・揺れるんですよ・・・・・・・・・・・・胸が。なんとか視界に入れないようにがんばった僕はすごいと思う。





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「あら? ブティックに入ったみたいですわ」

「ええ、そうみたいです」

 兄さんがアーシアさんにぬいぐるみを取ってあげた後に、すぐさま移動を開始したので何事かと思ったが、どうやら今朝に僕が行ったことを思い出したらしい。

「どうやら、今朝に兄さんに言ったことを思い出したみたいです」

「あら、なんて言ったのですか?」

「記念に洋服でも買うといいって言ったんですよ」

「ナギくん、さすがですわ」

「お褒めに預かり光栄です。それじゃあ、僕たちも入りましょう」

 恭しくお礼を言い、僕たちも中に入ろうとする。

「見つからないかしら?」

「大丈夫ですよ。朱乃先輩はいつもと雰囲気違いますし気づかれないと思います。心配なら髪をおろしたらどうですか?」

「そうしますわ」

 そう言って、朱乃先輩は髪を縛っていたゴムをほどく。いつもと違う雰囲気で少しドキッとした。

 そのことに気づかれないように、お店の中に入った。兄さんは試着室の前にいた。おそらくアーシアさんを待っているのだろう。

「兄さんは試着室の前にいます。遠目から見てましょう」

 そう言って、兄さんに気づかれないように移動した。移動している最中にふと目についた髪留めを手に取る。

「あっ、アーシアさんが着替え終わったみたいです」

「そうみたいですね」

 出てきたアーシアさんが来ていたのは、ところどころにフリルがついていて、胸元に大きな赤いリボンがついている白いワンピース。

「店員さん、いいのを選びましたね」

「まったくです」

 朱乃先輩に同意する。兄さんが選んだらどうなるかわからないからな・・・・・・・。

 店員さんが、走っていく。どうやら、買うようだ。そのまま着ていくつもりらしい。

「これは、完璧にフラグが立ちましたね」

「ええ、アーシアさんの顔を見る限り、あれは完全に恋する乙女の顔ですわ」

 そうして、兄さんはアーシアさんの服を買って店を出た。

「私たちも行きましょう」

「すみません。少し待ってください」

 さっき手に取った髪留めをレジに持っていき、お金を支払う。朱乃さんは外で待っているようだ。

「どうぞ」

 外で待っていてくれた朱乃先輩に買ったばかりの髪留めを渡す。

「兄さんみたいに服じゃないですが、今日付き合ってくれたお礼です」

「まあ、ありがとうございます。うれしいですわ」

「そうですか。ならよかったです。さあ、行きましょう」

「はい」

 その後、兄さんたちは日が暮れるまで遊んで、兄さんはアーシアさんをリアス先輩の家に送っていき、家に帰った。僕たちはそれを見送る。

「朱乃先輩、送っていきますよ」

「でも、ナギくんの家はすぐそこですよ?」

「日が暮れているのに、女の子一人で帰すようなことはしません。さあ、行きますよ」

「ふふふ、それじゃあ、お願いしますわ」

 そうして、朱乃先輩を家の神社まで送る。

「本当に今日はありがとうございました」

「いえいえ、私も楽しかったからいいですわ。髪留めもありがとうございます」

「気に入ってもらえたならいいです。それじゃあ、さようなら」

 長い一日が終わり、僕は家に帰った。そう言えば堕天使は結局現れなかったな・・・・・・。


Side out





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Side 朱乃


 今日は、ナギくんの頼みでイッセーくんたちの後をつけた。最初は初めて男の人と二人で出かけるので緊張してしまいましたが、しばらくするといつもの調子に戻ったのでよかったわ。

「うふふふ、ナギくんかっこよかったな」

 プリクラを取り出して眺める。黒のカジュアルスーツを着たナギくんは、いつもとは違う雰囲気で大人っぽさがあって驚いた、思わず見惚れてしまったもの。

「私の服もかわいいって言ってましたし」

 いつもの落ち着いた雰囲気の服じゃなくて、女の子らしい服を着ていったのだが、ナギくんは似合っていてかわいいって言ってくれた。

「もう、私もこんなことしちゃってるし・・・・・・・」

 ナギくんと撮ったプリクラで、二人でハートを作っているものを見る。ナギくんの肘が私の胸に当たって恥ずかしかったけど、プリクラを撮ったのはうれしかった。

 でも、一番驚いたのは、急に抱き寄せられた時だった。ビックリする位近くにナギくんの顔があって、顔が赤くなってしまって、しばらく会話ができませんでしたわ。いつもの、かわいい顔が真剣な表情になっていたのが印象に残っている。

「それに・・・・・・・・・・・・・」

 ナギくんにもらった、髪留めを見る。

 私は鏡の前に移動して、ナギくんにもらった髪留めをつけてみる。

「うふふふふふふふふふふ」

 思わず、顔がにやけてしまった。鏡に映った自分を見てみる。

 私の顔はあの時に見たアーシアさんと同じ顔になっていた。

「あらあら、これは・・・・・・・・・・・・・」

 今日のことを思い出す。ナギくんは常に私に優しくしてくれた。学校では二大お姉さまなんて言われている私を、普通の女の子の扱いをしてくれていた。

「これは、今日は寝られないかもしれないわ」


Side out
 
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