魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵
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後日談
⑪~ヴィヴィオ、出会う
前書き
エリオ「この話はヴィヴィオがある人と出会うお話だよ」
キャロ「Vividでの重要人物の一人!」
エリオ「誰に出会うのかは見てからのお楽しみ!」
キャロ「それでは、始まります」
side ヴィヴィオ
昼休み、学院の中を見て回る。
今日は図書室に行くことにした。
「何か面白そうな本は……っと」
何を読もうか探していると、一人の女の子が高い所にある本を取ろうとして背伸びをしているのが見えた。
足元がふらついているのが遠目にもわかる。
(転んだら怪我しちゃうよね……)
だから私はその子に近づいて行った。
……………これが、親友の一人目との出会いになるなんて、この時は想像すらしていなかった。
side ???
「と、取れない……」
私は図書室で本を探していた。
お目当ての本を見つけることはできたのだが、高い所にあって取れそうもない。
司書さんに話しかける勇気もなかったので、自分で取ろうとするが……無理だった。
と、気を緩めた瞬間に、
「あ……」
バランスを崩した。本棚と本棚の間は約1メートル。このままでは……
“ぶつかっちゃう”と、恐怖に目を瞑った時だった。
誰かに受け止められた感触。受け止めてくれた人物はしかし、
「あっ」
私もろとも転んだ。
…………………………………………………………………
「痛たたた……」
「だ、大丈夫ですか?」
「あはは……な、なんとか」
私を助けてくれた人は金髪に右目が翡翠色で左目が紅色の虹彩異色の少女だった。
「あの……ありがとうございました!」
「いいよいいよ。それより、怪我してない?」
「は、はい。大丈夫です」
「そっか。それならよかった。それじゃあね」
そう言うと少女は立ち去ろうとする。
まだちゃんとお礼も言えてないのに……
だから私は彼女を呼び止めた。
「あのっ!お名前…教えてもらえませんか?」
しばらく彼女は呆けていたが、にっこりと笑って自己紹介をしてくれた。
「私、1年2組の衛宮ヴィヴィオ!よろしくね!」
衛宮さんか……お、同い年!?
「わ、私、1年1組のコロナ・ティミルです。ありがとうございました」
「そっか。それじゃあコロナさん、ごきげんよう」
「あっ…ごきげんよう…です」
衛宮ヴィヴィオさん………また会えるかな?
そんな期待をした。
―――図らずともすぐに再開することになるのだが。この時の私はそれを知らない………
side ヴィヴィオ
「痛たた………」
転びそうだった女の子、コロナ・ティミルさん。
助けられたのはよかったけど……
「こぶになっちゃった……。パパやママみたいにはいかないなぁ……」
自分が怪我をしては本末転倒。
もう少しかっこよく助けたかったな。
…………………………………………………………………
放課後。帰ってきて洗面所に行くと、ママがお腹を押さえて苦しそうにしていた。
「ママ!!大丈夫!?」
「ヴィヴィオ……?お、おかえり」
「そんなことは良いから!!」
急いで傍に行って背中をさする。
しばらく続けていたら落ち着いたみたいだ。
「………もう大丈夫。ありがとね、ヴィヴィオ」
「びっくりした………あ。ママ、ただいま」
「うん。お帰りヴィヴィオ」
それよりもあんなママ初めて見た……。凄く苦しそうだったけど、大丈夫なのかな?
「ママ、さっきのは……」
「ああ。あれ?悪阻っていってね、お腹に赤ちゃんが出来てすぐのころのお母さんは皆あんな風に急に苦しくなったりするの」
「大丈夫……?」
「平気平気!今日はたまたまパパがお仕事の時間だったけど、普段はパパが居てくれてるから」
それならいいけど……私が知らないうちにこんなことになってたなんて……
子供を産む、って大変なんだ……。
そんな会話をしていた時だった。
「ただいま」
「お、お邪魔します……」
パパの声が玄関から聞こえた。
それと、どこかで聞いたような声も一緒に。
「パパ、お帰りなさ……い……」
玄関に出向いた私は固まってしまった。
なぜなら………
パパにお姫様抱っこされたコロナ・ティミルさんがそこに居たからだ。
「「ええええ!!」」
…………………………………………………………………
「な、なるほど……そんなことがあったんだ」
「は、はい……」
話を聞いてみると、帰り道、ボンヤリと歩いていたらしいコロナさんは道端に落ちていた空き缶につまずいて転んで膝をすりむいてしまったらしい。で、困っていたところに丁度仕事帰りのパパが現れた、と言うわけだった。
「それにしても、一日におんなじ家族の人に2回も助けられるなんて、面白いこともあるんだねー」
ママは呑気にそんなことを言っているが、先ほどの事は忘れているのだろうか。
「ママ、さっきは自分が大変だったのに呑気なものだね」
「にゃ、にゃははは……」
「大変?………ああ、また悪阻が来たのか。大丈夫だったか?」
「うん。心配ばっかかけちゃってごめんね」
「いいさ。その位しかしてやれることがないんだ。いくらでも頼ってくれ」
「士郎君………」
「なのは………」
そしてまた惚気だす。コロナさんも困っているみたいだ。
「おーい、パパー?ママー?」
「……む、何だ?」
「コロナさん困ってる」
「あ!ご、ごめんね!!」
「い、いえ……それにしても衛宮さんのお母様凄くお若いんですね。おいくつなんですか?」
「ママは二十歳だよ」
「えっ……それじゃあ衛宮さんを産んだ時って……十四歳!?」
「ううん。私養子だから」
そう言うと、途端に顔色を悪くするコロナさん。
「す、すみません。知らなくて………」
「いいよいいよ。私はママもパパも大好きだし、本当の親子だって思ってるから」
「ですが……衛宮さんには悪いことを……」
コロナさんの対応はなーんか堅苦しい。同い年なのに敬語だし、変なところで遠慮ばっかりするし。
「ヴィヴィオでいいよ」
「えっ?」
「呼び方。同い年だし、敬語もなしで。私もコロナ、って呼ぶから。それでさっきまでの事はチャラね」
「は、はい。……ヴィヴィオ」
「うん!コロナ」
「良かったね。これで二人は友達だ」
呼び方の事を私たちが話ていると、ママがそんなことを言ってきた。
「友達?」
「うん。お互いの事を名前で呼び合えば友達。私もそうだったからね」
「フェイトやはやての事か?」
「そうそう!二人ともそうやって友達になったんだよ」
友達……か。ママとフェイトさん、はやてさんはとても仲がいい。
私もコロナとそんな関係になれるかな……?
そう思った時だった。
「あ!もうこんな時間!早く帰らなきゃ!!」
時計を見たコロナが慌てだした。
「あ、ほんとだ。もういい時間だね」
ママも時計を見てそんなことを言う。
私も時計を見ると、6時少し前くらいだった。
「ヴィヴィオ、せっかくだし、うちで夕食を食べていってもらったらどうだ?」
パパがそんな提案をしてくる。
それはいいかも!!
「いえ、ご迷惑ですから……」
「ぜーんぜん!うちは大丈夫だよ。コロナちゃんのお家の人に連絡するから電話番号を教えて」
「ですが……」
「いーからいーから!」
コロナは遠慮したが、そこは押しの強さに定評のあるママ。
あっという間に説き伏せてしまった。
side コロナ
結局うちのお母さんがOKを出し、ヴィヴィオのお宅でごちそうになることになった。
そして出てきた夕食は……
鶏肉のソテーにエビのサラダ、野菜たっぷりのスープに芋の煮転がし、主食が混ぜご飯ととってもおいしそうだった。
しかし、何よりも驚いたのはこれを作ったのがお母様でなく、お父様だったのだ。
しかもわずか30分で作ってしまったのだ。
「それじゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
「い、頂きます……」
まずスープに口を付ける。野菜のうまみが引き出ていて、とってもおいしい。
「どうかな?」
「すごくおいしいです!」
「そうか。それは何よりだ」
私の返答に満足そうにする皆さん。
その後もヴィヴィオと学校の事を離したり、趣味や得意なこと、家族の事などを色々と聞かれた。
その様子を見ていたご両親もずっと笑っていて、すごく楽しい夕食になった。
「ごちそうさまでした」
「ふー。お腹いっぱい」
ヴィヴィオは三回もお代わりをしていたので苦しそうだった。
代わりに、お母様はあまり食べていないみたいだった。
「さて、では家まで送ろう」
「いえ、そこまでしてもらうわけには……」
「いーのいーの。私たちもコロナちゃんのご両親に挨拶しなくちゃ」
結局はまたお母様のその一言で送ってもらうことになった。
…………………………………………………………………
「ありがとうございました。娘の怪我の治療だけでなく、夕飯までごちそうになっちゃって……」
「いえいえ。こちらこそうちの子と仲良くしてくださってありがとうございます」
車で十分ほどで家まで着くと、母親同士で会話をし始めた。
しかもものの数分で仲良くなってしまったようだ。
凄く楽しそうに話している。
「なのは、そろそろ帰るぞ。あまり長居してはいかんだろう」
「えー……もう少し……」
「子供たちはそろそろ寝る時間だ。大人の都合で遅くさせるわけにはならん」
「旦那さんの言うとおりです。また今度にしましょう」
「そうですね……今度は時間があるときにゆっくりお話ししましょう」
そう言ってヴィヴィオ達は帰っていった。
「コロナ、よかったわね。いいお友達が出来て」
「うん!」
また明日、学校で会えるといいな……
side ヴィヴィオ
「友達、かぁ……」
お風呂に入りながら考える。
今日一日でコロナと仲良くなった。私にとって初めての友達。
明日もまた会えるかな……?
「上がったよー」
「あ、ヴィヴィオ。ちょっとおいで」
お風呂から上がるとママから呼ばれる。
「なにー?」
「これ。渡しとくね」
そう言って渡されたのは通信用の端末だった。
「これは……?」
「ママとパパとの連絡用の端末。これでコロナちゃんともアドレスの交換できるしね」
「デバイスじゃないのー?」
「まだまだちびっこのヴィヴィオには早いです」
「むー。………でも、いいか。ありがとうママ」
「ちゃんと大事にするんだよ」
「はーい!」
これでコロナともすぐ連絡が取れるね!
「それじゃあお休み、ヴィヴィオ」
「うん!お休みなさい」
早く寝て明日に備えなきゃ!
side 士郎
夜。ヴィヴィオが寝た後にちょっとした食事を作る。
その理由は……
「体調が良いうちに食べて置くんだぞ」
「ごめんね。部隊の設立前だから忙しいのに……」
悪阻で日が高いうちはあまり食べられないなのはのため。
このくらいしかしてやれないというのに申し訳なさそうにするなのはに対し、私は告げる。
「君はまだまだ大変なことが続くんだ。それに比べれば私の苦労など大したことではない。それと、こういう時はありがとう、だろう?」
「そう……だね。いつもありがとう」
「どういたしまして。さあ、冷めないうちに食べてくれ。ゆっくりでいいからな」
その後なのはは30分ほどかけて用意した食事を完食した。
ピークは来ていないみたいだが、それでもこれだけの元気があれば一安心だ。
―――余談だが、寝る時になのはが「ぎゅってして……」と言いながらすり寄ってきて凄く可愛かった。
閑話休題。
ヴィヴィオにも友達が出来たみたいで安心だ。
願わくばその友情がずっと続いていくように祈る。
後書き
結婚式の話だと思った方、すみません。
その話はまだまだ先になります。
時系列的にはこの時点で終わっているので、回想形式でやる予定にしてます。
それではまた次回の更新にてお会いしましょう
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