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なりたくないけどチートな勇者

作者:南師
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38*出発準備

自分は某北の工作員みたいな神様とやらに拉致られてこの世界にやってきた。
理由としてはなんかどっかの怪物ぬっころせって事らしい。

だが自分はそこでそれなり…いや、かなり幸せな人生をそこで今現在送っているのだが、やはりそこは頼まれた仕事だし、なにより出発する日にちがもう決まっているのだ。

あと一週間。
そんくらいぎりぎりになって自分はやっと、出発の準備を始めたのだ。

限りなく後悔してますが。

「………わっかる訳ねーだろぉ!!」

ここはやたら広い自分のお部屋。
だが今まで過ごしていた部屋ではなく、とうとう完成した自分のお家である。
しかもエリザの粋な計らいにより、お風呂も完備されたお家なのだ。

シルバちゃんのお家より一回りちっさいが、かなりおっきくて持て余してるのが事実だが……まぁ住み込みが40人間近くいるのでちょうどよいっちゃちょうどよい。

まぁそれはおいといて、とりあえず自分はそんな感じに部屋にいます。
そして一人で限りなく荒れているのだ。

具体的に言うと、元いた世界で使ってた学習机の四倍くらいある机に大きく広げていた前衛芸術のような絵画をぐっしゃぐしゃに丸めて部屋の隅っこへと全力投球した。

なぜか。
それは言わずもがな、部屋の隅で丸まっている、乃木坂さんもびっくりの美しき絵画に問題がある。

………まぁ、正直に言おう。
あれ、目的地までの地図なのだ。

過去にあったような、ミミズが酔っ払ってサナダ虫と痙攣したウナギの横でワルツを踊りながら尻尾をバタフライノットにされたくらい訳わかんない地図がそこにはあったのだ。

なんか潰れかけのバフンウニみたいなところの中心に、バッテンマークがポチッと置いてあんので、そこが目的地だというのはわかる。

だが……ここがどこだかわからない。
てゆーか地図として機能しとらんし。

だが辛うじて文字は綺麗なので、右下に書かれた事だけは理解できた。

ちなみになんと書かれてたかといいますと

ミッションコンプリート条件
 ・クルフの森にあるミキシー城を破壊する。
 ・そこにいる悪いやつをぶちのめす。
 ・その土地をしっかり浄化する。
スペシャルボーナス条件
 ・赤コイン8枚。

なんだよスペシャルボーナスって。
スターか?スターなのか!?

……とりあえず、そんなん突き付けられたら誰だってこうなりますよ。
なのでどうしようか、本気で頭を悩ませているのです。

と、自分が頭を抱えていると、不意に扉がノックされた。

「せんっ……ナルミさん。オフロからあがりました」

ホワホワしたラフな恰好をしたシルバちゃんである。

上気した顔がなんかエロい。

「あ、あぁそう……」

と、ここまで言って自分は気付いた。

地図がわかんないなら現地の人に聞けばいい。
てな訳で、自分はさっそく現地の人(この世界の人)であるシルバちゃんに聞いてみることにした。

「ね、シルバちゃんさ、クルフの森って知っとる?」

ちなみに、この旅にはシルバちゃんも連れていく事になっている。
つか、おいていったら後が怖そうだし、なにより彼女が暴れて周りに被害が出ないかが心配だったのだ。

だったのだが……なぜだろうか。
これを話した次の日、彼女はまるで準備していたかのように旅の荷物とか道中によくでる魔物対策とか、完全な用意をしていたのは。

そして自分がそれを聞いた時の彼女の眼がかなりすわっていたのはなぜだろう。

「クルフの森ですか?確か西の果てにある、ミムル山脈のどこかにある魔境だって聞いた事がありますが……伝説の中ででてきた土地で、本当にあるのかはわかりません」

少し考えていた自分にむかい、そういいながらシルバちゃんはトテトテと自分に寄ってきて、膝の上にポスッと乗っかってきた。

最近はここが彼女のお気に入りらしくて彼女はちょくちょく乗ってくる。
二人の時以外はやってこないので、しかたないので認めてはいるが、やっぱり恥ずかしいなぁ。

まぁそれは今はどーでもいいのだが。

そんな事よか、クルフの森だ。

「んー、じゃあさ、ミムル山脈ってどこだかわかる?」

「はい、それは昔お父様に連れていかれた事があるのでわかります」

ビンゴ!

よっしゃ、これであのクソ女神の試練に勝つる!!
あんな毒飲んで集団自殺したバジリスクだか、鼻毛真拳が暴発したボーボボたかわからない地図に頼らなくてもいいんだ!!

わぁーい、自分の半日なんだったんだろー。

「じゃあ道案内頼みたいんだけど、いい?」

「あ、目的地そこだったんですか。はい、もちろん問題ありません」

よっしゃよっしゃ。

いつもと違い、なんかいいかんじに事が運ぶぞ。
やっと自分にも運が向いてきたか。


とまぁ、これが出発四日前、つまり昨日のお話しである。

確かにここまではうまく事が進んだ。
そうここまでは。

よーするに、そうは問屋がおろさなかったって訳ですよ。


*************≠☆


「………は?」

「だから!明日出発するんだろ!?なら馬車を操る奴が必要になるから、俺が無償でその役をやってやるって言ってんだ!!耳は大丈夫か!?」

「……ごめんなさい、こいつの事は無視して下さい。それで……あの、明日出発する旅に僕達も連れてって下さい!なんでもしますから!!」

「いやイミワカンネ。君達なにがしたいかがワカンネー」

自分は今、お仕事のためエリザの部屋の前にいる。
そしてそこで門番よろしく立っていたラルムとシャール君に捕まって、今の状態になったのである。

てゆーか何こいつら、なんでこいつらがその事知ってるん?
たしかあれは秘密にしといてって自分釘刺しといたよーな……

「あ、あのですね!その……明日出発だっていうのはわかってたので、最初はラルムが出ていく門のところに張って無理矢理ついて行こうとか言ってたんですが、一週間くらい前にどの方角に向かうのかがわからないっていうのに気がついて……五つの門全部を見張る事も出来ないから、急遽こうやって直接お願いしようかと……」

「いや、問題はそこじゃぁなくって……」

「しかも、ちょっと屋敷に行って情報を得ようとしたらなんかいきなり五人くらいに襲われて返り討ちにあうし……あいつら!ぜってーいつか倒す!!」

「いや、だから……」

「ごめんなさい、こいつがお屋敷に忍び込もうとしたのは謝ります。ですが、なんとしてもついていきたかったんです!!」

「自分の話をきけぇい!!」

会話が成り立たないってこんなに苦痛だったのか。
今に始まったことじゃないけど。

とにかく自分はびっくりしている彼らの頭をアイアンクローしながら、静かぁに質問してやった。

「なぁ、なんで君達がその事知ってるん?おにーさんしりたいなぁ」

するとあら不思議、なんか二人揃って顔青くしながら、ケータイみたく小刻みに振動しはじめた。

そして、シャール君がふるえる声でボソボソっと、途切れ途切れに口をひらいてくれた。

「あ……あの……こ、この前み、見回りの時……ラルムとちょっと隠れてや、休んでて……その、な、なななにか聞こえて……ここここっそりち、近付いて……そそれで……」

つまり、あの場所にいたって訳かい。
それでいーのか王様と王妃様の近衛隊。

しかし……理由はわかったが連れてく訳にもいかないね。

なぜなら自分はこれ、チャリでいくつもりだからだ。

シルバちゃんとニケツしたら、もう定員オーバー。
歩いてついてこられてもそれじゃ意味ないし、馬車はガッタンゴットンと痛いし三つ眼や六本足の馬なんか扱い知らないし。

つまりはムリなのだ、めんどいのだ。
なのであきらめてもらおう。

「ムリ、めんどい、諦めろ。ちゃかちゃか仕事にもどんなさい」

しかし、彼らも簡単には諦めてはくれないようで、シャール君が超頭をさげて頼み込んできた。
そしてラルムは逆ギレした。

「そこをなんとか!お願いします!!」

「めんどいってなんだ!小さい事言わ「とうっ!!」ごぴゅ!?」

……なんだ、今赤いなにかが跳んできたぞ?
自分の網膜が狂ってなければ、あれは……

「あなたは、なんでまた先生を困らてるんですか?本格的に灰になりたいみたいですね……。ちょうどいいです、私はあなたが嫌いなのでこのままここで火葬してあげます」

やっぱり、覚醒したシルバちゃんでしたか。

綺麗なフォームの跳び蹴りをラルムの側頭部に決めた彼女は、倒れたラルムの頭を踏み付けながらそう言うと、手からいつもの赤いナイフを……あ、ヤバ。

「さようなら、下劣で醜いごみ蟲さん」

「はいストーップ。今ここでそーゆー事やるのはやめようね」

自分はそう言いながら、振り上げた彼女の腕を掴んで頑張って止めた。

危ねぇ危ねぇ。
ここで流血沙汰なんて、洒落にならんよ。

ほら、シャール君なんかもうラルムが死ぬと思って目をつぶってしゃがみながらガタガタしてるし。
ラルムに至ってはなんか顔が青からむしろより白くなっていって、いつもの威勢はどこへやら、腰抜かしたようにへたりこんでやがる。

「わかりました。では今晩、こいつが寝てる時に襲撃して処刑します」

「うん、1ミクロンも自分の言いたい事が伝わってない。だから、殺すなってーの」

ピシッ

「あう!!」

デコピンをくらって可愛い悲鳴をあげるシルバちゃんの腕を離し、自分は情けない二人の方へと向き直り、こう告げてみた。

「君達が自分に付いてくるってゆーことは、この娘とも一緒に旅をするって事だけど……。大丈夫?」

するとどうだろう。
彼らはもっそい顔になったと思うと、即座にとれそうなくらいに首を左右にふりはじめた。

「なら、ちゃっちゃともどりなさい。じゃないとゼノアにさっきの事包み隠さず報告すんよ?ちなみに知ってると思うけど、あいつはこの娘の兄貴だから、もしかすると……ねぇ」

「し、失礼しました!!」

「くっそ!覚えてろよ!!」

そう言いながら二人は全力で逃げていった。
あ、シャール君こけた。

しかし……ラルムよ、貴様はどこの三流の怪人だ?
五色のレンジャーはどこにもいないぞ?

……まぁ、いいや。
それより仕事だ仕事。

シルバちゃんが小声で『……あの害虫、いつか潰す』とか言ってるのを自分はしっかり聞いてしまったので、そこも気をつけておかないとならないが、今はスルーしよう。
あとでしっかり釘をさしておかなければ。

……別にもう面倒になったからではない。多分。

「あー、じゃあ自分、仕事だから」

「私もです。一緒に行きましょう」

一緒にって、今目的地の目の前なんですが。
まぁ、小さい事はどーでもいいや。

そう思いながら自分は、扉を開けて部屋に入っていくシルバちゃんの後に続いてエリザのところへと向かっていった。


……さぁ、ここで一つ自分は失念していた事がある。
ここで自分にあの二人が大声でさっきの話をしていた事だ。

そうここ、エリザの部屋の前で。


*************÷☆


「ナルミ、手首が痛い。あんまりだ」

自分が部屋に入るなり、エリザが涙目で訴えてきた。
原因はというと、自分が課した宿題(おしおき)のせいである。

「そりゃーこんなに書いてりゃ健勝炎にもなるわな」

彼女の足元には、昨日自分が渡した、コピー用紙に数学の問題がびっしりとかかれたものが散乱している。
その数え~っと……あ、60枚。

それをムー君とミミリィ隊長がそれを無言で拾っていた。
ちなみにテトラ君とリム副隊長は、近くでニヤニヤしながらこっちみている。

そんなに自分達二人が一緒にいるのがアレかコノヤロー。

つか、近衛隊全員集合って一体なにさ。
いつもの事だが、なんかハズいぞ。

……あれ?
1、2……うん、全員いるよね。

「ううぅ……スウガクはキライだ。物理をやりたい。波の共鳴や合成や反射の実験をもう一度……」

「お仕置きだからしかたない。つか、数学わからんと物理は出来んぞ。せめて2次方程式はとけるようになれ」

このプリントは全部、方程式の問題をPCでプリントアウトしたものです。
ちなみに裏表で。

この娘は物理に興味深々だけど、数学にはなぜか拒絶反応みせるタイプだからね。
なのでこの前のお仕置きもかねて、克服してもらう事にしたのだ。

ま、ちゃんと全部やったようだし許してやろう。

と、ここまで考えてエリザを褒めてやろうと口を開いた時、リム副隊長が爆弾を投下しはじめた。

「いやぁ、それはそうとナルミ君。婚前旅行はいついくのかな?」

……はぃ?

「なんのこと?」

「さっきなんか騒いでたじゃん」

ああ、あれね。
なんかいい具合に勘違いしてくれたようだ。

危ない危ない。

これはこのまま話を合わせていきましょう。

「ダメです、秘密です!」

いや、シルバちゃんそんな怒鳴らんでも……まぁいいや。

「そこをなんとか、お願い!!」

「ダメです!遊びじゃないんですからね!!」

「ま、そういう事だから、諦めて」

ちぇっ、という感じにリム副隊長がひねくれた表情をしたが、まぁ諦めたようで安心だ。

これで行き先がエリザに知られでもしたら、どうなる事やら。

「まぁ、私としたらすぐに帰って来て欲しいが、たまにはいいだろう。二人でゆっくりしてこい」

「はい、姫様。出来るだけ早く帰って式をあげれるように、頑張ります!!」

なにをだ。
つか、そんな早く帰れな……

「ところで、どこまでいく予定なのだ?」

「はい!クルフの森に魔獣を倒しに……あ」

ばかぁぁぁぁ!!

「ちょっ!シルバちゃん!」

「ご、ごめんなさい!あのそのっ!嘘です!全部嘘です!!」

「嘘って、絶対そっちが嘘じゃないですか!なんですか魔獣って!!」

「そ、そうですよ!なにかあるんですか!?しかもクルフの森って、お伽話でしか聞いた事ないですよ!!」

あぁ、もうダメだ。
テトラ君やミミリィ隊長がここまで反応するんなら、これはもうエリザが駄々をこねて……

「そうか……まぁ、頑張ってこい」

……あれ?

「……ついてこないの?」

「ついていっていいのか?」

「いや好ましくないけど……」

なんだ?
こいつ、いつもとは全く違う。

……まさか、偽者?

「正直ついていきたいが……いままでわがままばっかり言ってきたし、これ以上迷惑はかけたくない。なるべく早く帰ってきてくれれば私はそれでいい」

「……おまえ、偽者か?」

「ちがうわ!私なりにおまえの事考えた結果だ!!」

あ、いつものエリザだ。

「まぁ……魔獣退治や伝説の魔境には興味をひかれるがな」

うん、大人になったな、エリザ。
自分もうれし……

「まぁいまだに誰も足を踏み入れて帰ってきた者がいないと言われるクルフの森に、興味がない訳ではないが」

……

「そこに住む魔獣を退治すると言われて、その魔獣を一回見てみたいと思わない訳ではないが」

……こいつ

「……言外につれてけというのをやめろ。性格悪いぞ」

「そ、そんなつもりはないぞ……」

目をそらすな目を。

「だ、ダメですよ姫様!危険なんですよ!!」

ここでシルバちゃんも必死に止めようと声をあげた。

だが、それが失敗だったようでエリザがなにかを閃いたような顔をして、再び自分に向き直りはじめた。

「なぁナルミ、危険といえばだが……おまえだけでいざという時にこいつを止められるか?」

そしてピシャリとシルバちゃんを指指した。

「さっきの事から、こいつはある意味短気だ。仮に若い女性の従業員がいる宿に泊まったとして、おまえが用事でいない時にその従業員がおまえの部屋を掃除してたりしてる所をこいつが見たら……」

「やめて、リアルすぎて怖い」

そうだよ!
ガルクさんも経験したらしいじゃないか!
ガルクさんの時は彼に怒りの矛先が向かったらしいけど、それが他の一般ピープルに向かないという保証はない。

むしろこの娘はその確率のが高い。

だけど……でも……。

「まぁ無理にとは言わないが……考えといて損はないはずだぞ」

くそ、勝ち誇った顔をしたエリザが憎い!!

でもたしかにこいつの言う事も一理あるし……

とか考えてるうちにムー君が一言

「……先生もずっとシルバと一緒にいる訳にもいかないですし、何かあった時シルバだけよりも俺達がいた方がなにかと安心ですよ」

……たしかにそうだが……しかし……。

と、ここまで葛藤していると、テトラ君が自分にトドメを刺しにきた。

「先生、たしかに先生なら安心かもしれませんが、シルバも女の子なんですから、姫様や隊長がいる方がなにかと安心かと」

「……いや姫様に護衛させるってどうよ?」

こいつ、頭沸いとんのか?

「ちがいますよ。……続に言う乙女の日とかに男の先生だけで具合の悪いシルバの対処が……」

「よし、エリザついてきてくれ!ミミリィ隊長もお願いします」

自分、撃沈。

いや、しかしそこまで考えていなかった。
たしかにそんな事態になった時、自分だけじゃあ対処できねぇ。

しかたないな……こいつらも連れていかねばならないとは……。
まんまとやられた。

しかし、まぁいざとなればこいつらそのままここにテレポートさせれば問題ないか。

しかしながらこの人数は……
自分のチャリに馬車が追いつけるのだろうか?

なにせあのチャリ、一回使ってみたら瞬時に車より早くなったからね。
これは加減しなければ……

あれ?
そんな乗り物に自分、シルバちゃんをそのまま乗せようとしてたの?

………ありがとう、エリザ、みんな。
自分、浅はかだった。

まぁ、なんだかんだ言ってもこいつらが来るなら、退屈はしなさそうだ。

いい意味でも悪い意味でも。



……こうして、自分の旅は出発前から波瀾万丈な事になっていくのである。

………ハァ。


~エリザサイド~


あの後ナルミは普通に授業をして、出発は三日後だと言って戻っていった。

なので今ここには、私とシルバ含む近衛隊しかいない。

そして私はナルミがいなくなった直後、テトラに向かい

「よくあんな事思い付いたな」

素直な感想を言ってみた。

「いえ、先生なら考えていないだろうと思っただけです」

「いや、私も考えていなかったぞ?月のモノなんか、たしかに厄介だが……なぁ」

「そうですね……やっぱり一人ならきついかもしれませんが、そこまでは……」

私はミミリィに同意を求め、ミミリィもそれに答えてくれた。

多少下品な話かもしれないが、やはりこの手の話は結構……

「あの、姫様……」

「なんだシルバ」

シルバは顔を赤くしながら、ちょっとモジモジと恥ずかしそうにしている。
そして、何回か口を開けたり閉じたりをした後、意を決したようにこう言ってきた。

「お、乙女の日とか月のモノってなんですか?わ、私も女の子ですけど……その、わからなくて……男の子の先生も知っているのに……恥ずかしくて……」

「………」

「………男性陣、出てけ」

この後私とミミリィとシルバとの三人だけで女の子会議が開催されたのは言うまでもない。






「え!?そんな事があるんですか!?」

「まだないの!?」

「……シルバ、おまえいくつだ?」

「今15歳で、今年16になります」

「……おもらしといいこれといい、シルバは私よりある意味子供だな」

「おもらしなんかしてません!!」

「魔法の練習だっけ」

「そ、そうです!練習です!!」

「嘘つくあたりがまた子供だな……」
 
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