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武で語るがよい!

作者:Mr,M
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魔法少女


Side なのは

晩御飯が終わり、お風呂にも入り終えた私は、現在2階の自室のベットで仰向けになって
今日起こった事の整理を頭の中でしていました。今日はアリサちゃんとすずかちゃんといつも通りバスで登校して、学校に着くまでテレビ番組の内用を話し合ったりしていました。
そんな、いつもと変らない日常に今日、変化が起き始めた……。

まず最初にアリサちゃんだ……
今日アリサちゃんは教室に入るなり、顔面に紙ボールを受けるというハプニングがあり紙ボールをぶつけた張本人の神田君を追い掛け回していた。その一部始終を見て『まぁ仕方ないか』とすずかちゃんと苦笑いをしていた私でしたが、神田君はどういう手品を使ったのか怒ったアリサちゃんを静め、そしてアリサちゃんに自分の事をある程度認めさせたのである。現にアリサちゃんから『アイツは授業態度と言葉使いの改善をすれば、客観的にまだマシになるってことが今回の事で分かったわ』という言葉をお昼休みに聞いている。

ここで私が一番驚いたのはアリサちゃんが彼を少なからず認めた事だ。
というのも、アリサちゃんは神田君に対して良い印象を抱いていなかった。それは以前の5教科のテストでアリサちゃんが神田君に負けた放課後に愚痴を溢していたのを未だに私は覚えているからだ。

『何なのよアイツ! 何が、小学生問題ミスっちまったよ! ふざけんじゃないわよ!!』

と迎えに来た鮫島さんの車の中で終始、騒いでいました。
まぁ、その気持ちは同じように塾に通っている、私やすずかちゃんも少なからず抱いたのでアリサちゃんの言葉を否定せず、『あはは……』『まあまあ……』と相槌をうっていました。その後もアリサちゃんは時々、神田君を否定する様な愚痴を溢す事が在ったので私やすずかちゃんは『アリサちゃんは神田君のことが嫌いなんだ』と認識していました。
ですが、そのアリサちゃんの口から神田君を認めるような発言があった
……それが一つ目の変化

そして2つ目はその神田君についてだ……
彼の事は先ほど家族に説明したように、不真面目な子、というのが私の総合的評価だ言葉遣いは荒い時があるし、授業態度もけして良いものではない……。現に昨日の算数の時間は先生の話を聞かずにぼーっとしているのを先生に注意されていた。まぁ、その時急に出題された問題を瞬時に解いてしまったのは凄いと思うがそれはそれ、これはこれだろう。

そして、そんな彼の長所はスポーツだ、クラスで行われる体育の時間でいつも彼は好成績を残しているし、お昼休みにはクラスの男子達と仲良くサッカーやバスケットなどのスポーツをしていたからだ。
そして、その得意のスポーツであるサッカーを通じてお父さんと知り合った……
お父さんから詳しい事はあまり聞けなかったが、神田君はとても強い子らしい、それもお父さんやお兄ちゃんですら倒してしまうほどに……。

私は神田君が武道などをしているなんて聞いた事は無い、まぁ、親しくないのだから彼の情報が乏しいいのはしょうがないが……。だが、それでも私と彼はクラスメイトなのだ、彼がそういった事をしていれば自然と回りの男子が騒ぎ私の耳に届いてくるはずだ。
特に神田君と一番仲の良さそうな長野君、藤田君、伊月君辺りが騒ぎ出すに違いない……。

なら彼はお父さん達みたいに表立って修行をしておらず、隠れて修行でもしているという事なのだろうか? それなら私の家と同じで神田君の家庭は武道家の家であり、家の仕来りや風習の関係なのだろうか?……分からない
だが、唯一つ言えるのは彼は……神田君は自分の力の強さをあまり人に知られたくはないのかもしれない。その理由は今まで私が神田君の強さを知らなかった事とクラスや学校でそういった話が全く挙がってこないからだ。

だから、私の口から神田君の強さを口外するのは止めておこう……人が隠している事を勝手に言い触らすのは最低の行為だ……。だが、もし……神田君と二人っきりで話せる場面があるなら聞いてみたい
―――なぜ、君がお父さん達以上に強いのか?
―――なぜ、お父さんとの戦いを望むのか?
そう考えて私はそんなシチュエーションを頭の中でふと、想像してみる……


教室に忘れ物をした私は、夕焼けで淡い赤色に照らされた校舎に入り、自分の教室へと向かう……。そして、教室に辿り着くと教室の窓辺から一つの人影が伸びているのだ

『(誰なんだろう?)』

そう考え、私は適度に開けられているドアからそーっと覗き見る。
するとそこには夕日に照らされて淡い赤色になった神田君が居るのだ。
どうして彼がここに? という疑問が頭を過ぎる中、教室から急に声が掛けられる。

『ん? 高町さんだよね? どうしてここに居るの』

ビクッ! と体が反射的に動きつつも、私は教室に入り彼の質問に答える

『えっと、忘れ物しちゃって……それで、教室に取りに戻ってきたの』

『あはは、俺と一緒の理由だ』

そう言って、彼は照れくさそうに後頭部を掻きながら苦笑いするのだ
今までと違う彼の表情と行動に、私の頬が緩み軽く微笑む。
それから数分間他愛も無い話をしていき、場が和んだところで
私は彼に抱く疑問をぶつけようと一歩彼に歩み寄り言い放つのだ。

『神田君、あのね、その……貴方に聞きたい事があるの…

とここまで妄想していた時である、ここで数時間前のお姉ちゃんの言葉が私の頭にふと蘇ってくる『あれれ、もしかしてなのは……その神田君の事好きなの』とお姉ちゃんのセリフが木霊する。
……よくよく考えればこのシチュエーションは告白とかをする時のものでは? と自分の中で思い始める。ピキッ、ピキッ! と私の妄想はひび割れていく…そしてそれに比例して自分の顔が熱くなる……

「にゃあぁぁ!! 無い! 私と神田君がそんな関係に成るなんて、在り得ないの!」

私は自分の首を左右に思いっきり振り、今までの自分の考えを一度、破棄した。
そうでもしないと自分の中で、何かとんでもない事が起こりそうなためである。
はぁはぁ、と息が上がり、自分の頭に酸素がどんどんと行渡っていき、冷静さを取り戻していく。

「お~い、なのは大丈夫か?」

1階にいるお父さんから、私を心配する声が聞こえてくる。
夜にも関わらずあれだけの声を出してしまった事を反省しつつも、自分の部室のドアを開けひょっこりと顔をだしてお父さんに返答する。

「ご、ごめんなさい、お父さん! 何でもないから心配しないで!」

「そうか、あんまり大きい声を出すと近所の人に迷惑だから、静かにするんだぞ?」

「うん、今度から気を付けるの」

やっぱり声を出しすぎてしまったようだ。
私はお父さんに軽く謝り『もう、神田君の事を考えるのは止めよう』とため息を吐きながらドアを閉めようと再度ドアノブに手を掛けた時である。お父さんにお母さんが何かを語りかけている声が聞こえてくる

「士郎さん、なのはもそういう年頃なんですから、多目にみましょうよ」

「そういう年頃? どういう事だい、桃子さん?」

お母さんの発言を聞いて、閉めようとしたドアがピタッと止まり。
私はお母さんの話に耳を傾ける

「うふふ、女の子って時々気になる男の子の事を考えて、周りが見えなくなる時があるのよ。だからなのはも気になる男のk「お母さん! なのは、そういうのじゃないからね!!」…あらあら」

お母さんの話を聞いていて、我慢できなくなった私はお母さんの話を中断させるかの様に割り込んだ。まぁ、確かにお母さんの言い方はどうであれ、私は確かにさっきまで神田君の事を考えていた……だが、それは興味や好奇心といったベクトルでの話しだ。
今お母さんの言っている、話はどう考えても恋愛系のベクトルに違いない……。

「なのは、大きい声を出すのはやめなさい」

「う!……ご、ごめんなさい」

私はまたもやお父さんに怒られてしまい、トホホ……と思いながらようやく自室のドアを閉じた。部室に戻った私は今日何度目かになるため息を吐き、ベットに倒れ込んだ
『もう、神田君の事を考えるのはやめよう……精神的に疲れる』と頭の中で再度唱え、今度はフェレットのことを考え始める

あのフェレットを見つける時、私は確かに何かの声を聞いた
アリサちゃんやすずかちゃんは聞こえなかった様だが……私には『助けて』という声が聞こえたのだ。
それも、こう……頭に響くという感覚なのだろうか? 兎に角そういう感覚がしたのだ。
そしてなぜか今もあの時のような感覚がピリピリと伝わってくる。

『聞こえますか……僕の声が……聞こえますか?』

「ッ!?」

また聞こえてきた! そう思い、私はベットから跳ね起きる。やはり、先ほど感じた感覚は当たっていた、そう考えながら私は聞こえてくる声に集中する。

『この声が聞こえる方……お願いです……僕に力を少しだけ貸してください』

この声……今日公園で聞いたのと同じ声だ!

『お願い……僕の所へ……時間が……危険がもう……』

そう言って声は聞こえなくなった。
あの声の主は一体誰なんだろう……私は公園で先ほどの声を聞いてあのフェレットを見つけれた。なら、もしかしたらあの声の主は、あのフェレットなのだろうか?
取り合えず、今日すずかちゃんに教えてもらった動物病院に行ってみよう! そうすれば何か分かるかも知れない。
そう思いながら私はパジャマから私服に着替え直し、私は家を後にしました。

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そして、夜の道をお巡りさんや自警団の人たちに見付らないように走る事15分……
hぁはぁと息を荒げながらやっとの思いで、私は海鳴動物病院到着しました。

「はぁはぁ……つ、疲れたの」

私は自分の息を整える為に動物病院の前で少し立ち止まります。
もう、疲れたから帰ってもいいかな? そんな考えが私の脳裏に過ぎりますが頭を左右に振って否定する。

『ここまで来たんだもん、確かめなきゃね……』

そう考え、私は動物病院の自動ドアの前に一歩進む……

「…………」

私は踏み出した足を先ほどの位置に戻し、再度一歩進む……

「…………」

だが、その行動に対して帰ってくる答えは変らない
自分の足音と呼吸音だけがこの静かな夜に響いていく……。

「にゃ、にゃはは……動物病院って、もうこの時間やってないんだね」

自分の携帯電話を開き、ディスプレイ画面に表示された時間を見ながら一人呟く……。
ディスプレイ画面には『PM20:42分』と表示されていた……。『なぜ私は家を出る前に時間を確認しなかったのだろう』そんな後悔の念が私の胸を一杯にします。

「……もう帰ろう」

私は今までの自分の行動が徒労に終った虚しさを抱きながら、回れ右をして来た道を戻ろうと一歩進んだ時でした。

―――ドッゴーン!!
―――パリンッ! ガシャン!

という轟音が左の方から突如聞こえ、反射的にそちらを向いた時でした。
捜し求めていたフェレットが何から逃れるように、跳躍し私の方に飛び込んできました。
危ない! そう思い私は中に浮いているフェレットを抱きしめるようにキャッチすることに成功します。しかし、それと同時にフェレットから受ける衝撃に耐えかね、尻餅を付いてしまいました。「あ痛たた……」と反射的に出てしまう言葉を呟きながら、私は飛び込んできたフェレットをチラリと見て怪我がない事を瞬時に理解し、「ふぅ」と安息の吐息を漏らしました。

そして、フェレットが先ほどまで居た場所に目を凝らしていみると、そこには全身が黒く染まっていて、赤い目をギラつかせている、モジャモジャ? モワモワ? した変な生き物が私の目に映ります。

「な、何なのあれ……」

私の口から自然と言葉が漏れる……
あんな生き物観た事が無い……だが、あれは危険な感じがする。
そんな考えが私の思考を埋め尽くして行く中で、フェレットは急にモゾモゾと動き始め、視線を私に向ける。

「来て……くれてたの」

え?……このフェレット、喋った!? と思わず口に出しそうになるが今までの
テレパシー? みたいなものを受けていた私は『あんな事ができるなら喋れそう……』と自然に納得してしまった。

「グァルルァールル……」

ふと、視線を先ほどの変な生き物に向けると、変な生き物がこちらを睨み付ける……。
あぁ……何だろう、何だかこの先の展開が何故だか読める、私が疲れる未来が見える……。

「ここは危険です! 一旦あの思念体から逃げてください!」

『だったら何で私を呼んだの!?』と考えたが、非常時なのでその考えを頭の隅に追いやる。はぁ……やっぱり走るのね……と心の中でため息を吐きながら、私は動物病院に居る思念体とやらに追いつかれないように必死に逃げるのでした。


そして、来た道を走りながら私は思念体から逃げていた。
その間に私以外の人に何故で会わないのだろう? と疑問を抱きながら走っていましたが
フェレット曰く、結界? というものを小規模で展開しているそうです。
そして今現在は、フェレットから事情を聞きつつこの状況の打開策を聞いている最中です。

「僕はある探し物の為にこの世界ではない、別の世界から来ました。
でも、僕一人の力じゃ成し遂げれないかもしれない……だから。
迷惑だと分かってはいるんですが……君の力を貸して欲しい……。
そして、君に使って欲しいんだ。僕の力を……魔法の力を!」

「はぁはぁ……魔法の……力?」

フェレットからの言葉に息を荒げながら、私はオウム返しするように言葉を発します。
魔法の力? そんなファンタジーなものが本当に在るのだろうか? と私は疑問を抱きますが後ろの思念体そして喋る+テレパシー? が使えるフェレットが居るのだ信じるしか無いのでしょう。

「はい、魔法の力を貴女に使って欲しいんです。
お礼はします、必ずします! だから……貴女の力を貸してください!」

思念体からある程度の距離を開ける事に成功し、私の腕の中から降り立ったフェレットは私の正面に立ち力強い言葉で、そして、何より真剣な眼差しで私の瞳を覗いてきます。

「私はお礼とかそういうのは要らないよ
困っている人がいたら助けるのが人として当たり前の事なの……だから
私で力になれるのなら……助ける事ができるなら、私はそれを叶えたい! だから教えて! その魔法を!」

「ありがとう……えっと……」

私の言葉にお礼を言おうとしていますが言葉が詰まって、フェレットはおどおどしている
その行動に非常事態にも関わらず、私はクスリと笑みを溢してしまいます。

「そういえば、まだ自己紹介してなかったね
私の名前は、なのは、高町なのはっていいます、なのはって呼んでね」

「あ、はい、僕の名前はユーノ、ユーノ・スクライアーっていいます
えっと……僕の事もユーノって呼んでもらって構いません」

「ユーノ君っていうんだ……よろしくね、ユーノ君!」

名前を呼んだら……いや、名前を呼び合ったら友達。
それが私の友達基準みたいなものであり、何よりそれが私のポリーシーだ。
だから、名前を教えてくれたユーノ君に『よろしく』という意味を込めて膝を折り曲げ、屈んだ私は自分の右手の人差し指をユーノ君の目の前に差し出します。

「えっと……よろしく、なのは」

「うん!」

差し出された私の手に自分の小さな右手を重ねたユーノ君は、私の表情を窺がいながら
私の名前を呼んでくれました、名前の言い合い……それを実感するだけで自然と私の心が温かくなります。ですが、それは長くは続きませんでした……

「グァールルッアァァ!!」

私の20メートル後ろに獣の様な鳴き声が聞こえてきます。
それを聞いた瞬間、さっきまでの高揚感から一変して疲労感へと変って行くのを感じながら
私は再度、ユーノ君を抱え逃走します。

「ごめん、なのは……僕が魔法の事言いそびれちゃったから……」

私の腕の中でユーノ君は魔法の事を言えず、また私に走らせる破目になった事を悔やんでいました。そんな彼の言葉を聞いて、私はその言葉を否定したいと思いますが、私は今走っている最中……それも疲労困憊の時なのでそれに答えることはできません。

それから約120メートル走った辺りで、私は思念体が今どの位の位置に居るかを確かめる為にふと、振り向きます。
すると、なぜか思念体は私を追いかける事を止めて、周りに有る住宅をキョロキョロと見渡しています。……一体どうしたのだろか?

「なのは! チャンスだ、このレイジング・ハートを手に持って、起動用パスワードを唱えるんだ。起動用パスワードは僕の後に続いて唱えて!」

そう言ってユーノ君は自分の首に掛かっている宝石を口に銜え、私に差し出します。
私は走った事でまた荒くなった息をユーノ君の話を聞きながら沈め、そのレイジング・ハートとやらを受け取ります。

「はぁはぁ……よし! 良いよユーノ君!」

「うん! それじゃあいくよ……      「えっと……

―――我、使命を受けし者なり        ―――我、使命を受けし者なり 
―――契約のもと、その力を解き放て     ―――契約のもと、その力を解き放て
―――風は空に、星は天に、         ―――風は空に、星は天に、
―――そして不屈の魂は……         ―――そして不屈の魂は……

               ―――この胸に!
      
       ―――この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!

             【stand by ready.set up.】


ユーノ君に続いて起動用パスワードを唱え終った瞬間、膨大な桃色の光がレイジング・ハートから溢れ出します。最初は驚いて感じなかったのだが、この光……暖かい、なんとなくだがそう感じる。

「何て……魔力だ……はっ! 詠唱が終ったら、なのはの魔力を制御できる魔法の杖
そして身を守る防護服をイメージして!」

「えぇっと……」

私の魔力? とやらに驚いていたユーノ君から次の指示が飛んでくる。
魔法の杖……それに、防護服かぁ、と思いながら私は頭の中でイメージする。
魔法の杖は私がまだ小さい頃だった時に親に買ってもらった、おもちゃの杖を……。
防護服は学校の制服にテレビで観た、魔法少女の衣装を足したものを……。

「取り合えずこれで!」

そして、レイジング・ハートから放たれる光に包まれたと思った瞬間、私は自分で先ほど想像していた衣装を着て、そして手には私のおぼろげな記憶に残っていたおもちゃの杖に赤い宝石が組み込まれた杖が有りました。

「成功だ!」

と自分の姿を人と通り観て「ほぇ~」と興味深深に自分の手に有る杖と衣装を見ていると
ユーノ君から成功という言葉が聞こえてきて、内心『良かったぁ』と安堵の吐息が出てきます。それと同時に思念体が微かに動くのが視界に入り、視線を思念体に向けます。

「ガァラララアラ!」

今まで何故か辺りをキョロキョロと見渡していた思念体は、私の存在を危険と判断したのか私の方に突進してきました。
迫り来る思念体を見て、ん? という疑問が私の中で芽生えます。
私は今、レイジング・ハートを起動させたが、魔法の使い方をまだ知らない……

「ど、どうすればいいの!?」

私の叫びを聞いても、その突進をやめない思念体の体が7メートル、4メートルと私に近づいてきます。まずい! そう思って私は防げるかどうか判りませんがレイジング・ハートで防御しようと構えます。

【protection.】

すると、レイジング・ハートから声がが聞こえたと思った瞬間
私の目の前に桃色の膜みたいなのが現れ、思念体と衝突しました。

「グガ……ァララ……」

そして衝突した思念体は木っ端微塵に吹き飛び、辺りにその肉体の破片を飛び散らせます
それでも核? みたいな物に肉片がどんどんと集まっていきます……。

「なのは! 相手が弱っている今がチャンスだ!
君の思い描く魔法の呪文を唱えて、思念体の内部に有るジュエル・シードを封印して!」

「ユーノ君、私まだ魔法の事よく解らないの! どうすれば良いか詳しく言って!」

ユーノ君からの指示に思わず私は反発してしまいました。
それもそうでしょう、行き成り呪文やらジュエル・シード? とか言われても私にはよく分かりません。先ほどのレイジング・ハートの起動はユーノ君に続いてやったので、一人でやれと言われてもよく解りません。

「ご、ごめん……。
呪文については、より強力な魔法を行使する為に必要なんだ。
そして、その呪文は術者……つまり、なのはが思い描く呪文を唱えればいいんだ」

「私が思い描く……」

そう呟いて、私はイメージする……。
ここでイメージするのは日曜日にやる魔法少女系のアニメのセリフだ
少々幼稚ではあるが今は緊急事態、急を要するので恥じらいを捨てる。

―――リリカルまじかる!       
                ―――封印すべきは忌まわしき器。ジュエルシード!
―――ジュエル・シードを封印!

【sealing mode.set up.】

私は自分なりにアレンジした呪文を唱えた。
すると、レイジング・ハートから解き放たれた桃色の光が思念体を包み込んでいきます。
それに比例して復元まじかだった思念体の体は復元できず、桃色の光に拘束されました。
そして、拘束された思念体の額にローマ数字みたいなのが浮き出てきます、その番号は21。

―――リリカルマジカル
―――ジュエルシード、シリアル21。封印!

【sealing 】

「グァ…アァァ!!」

続けて唱えた封印の呪文によって、思念体の体は蒸発されていきまいた。
そして、思念体の居た場所に青く光る宝石が見えます。恐らくコレがジュエル・シードなのでしょう。

「なのは、地面に落ちているジュエル・シードにレイジング・ハートを翳して」

「う、うん」

ユーノ君に言われた通り、レイジング・ハートをジュエル・シードに翳すと
レイジング・ハートに吸い寄せられるかの様にジュエル・シードは浮遊しながら近づき
レイジング・ハートのコア? みたいな所に吸収され完全に封印されました。

「ありがとう、なのは、もう大丈夫だよ」

そういってユーノ君は手を翳し、結界? を解除していきます。
結界を解除した後の周りの風景は、先ほどよりも色合いに満ちていて明るい印象を受けます。
いつもと変らない町の風景を観て『あぁ、終ったんだぁ……』と安心した時
今まで走っていた疲労が急に襲ってきます……眠い、その感覚が私を支配し私の目の前は真っ暗になってゆく。

「なのは? ……っは! なのは!」

ユーノ君の声が大きくなるのを最後に私の意識はなくなりました……



 
 

 
後書き
デバイスの声については、セリフの出番が多い単語ものについては英語で……
日常会話的なものは日本語で書いていきたいと思います
デバイスの声を全部日本語にしてもいいんですが…どうにも『何か…デバイスぽっくない』
という結果だったのです
じゃあ全て英語でいいのでは? という意見も出るかと思いますが、作者は英語苦手なので却下
デバイスはこのような方針で行きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします 
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