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遊戯王GX ~水と氷の交響曲~

作者:久本誠一
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ターン17 次峰、必殺のスペシャルバーガー

 
前書き
ネタバレタイトル。あと例によって三沢っち優遇回。ここまで長くするつもりはなかったんだけどなぁ。 

 
「三沢ー、早くしないと始まっちゃうよー?」
「わかってる、わかってるからあと1分待ってくれ!このカードとこのカードを入れ替えて、と」

 さっきカッコつけて出て行ったはいいけど試合ごとに5分間の休憩があるとかいう理由で肩透かしを食らって帰って来た三沢が、さっきからデッキをガサゴソといじってる。いじってるのはいいんだけど、もう休憩終わっちゃうんだけど………。

『こんな土壇場で調整なんて、ずいぶんらしくない真似だな。つーかこれ生放送だってのに、休憩なんてとってどーやって万丈目グループは間を持たせる気なんだろーな』
「さあ………でも生放送なら、なおさら遅れるわけにはいかないでしょ!三沢ー三沢ー、急いで急いで!」





「俺がデュエルアカデミア本校の次峰、三沢大地だ。よろしく」
「……ああ。俺はサンダー四天王の十、天田だ」

 そしてきっかり1分後、デュエル前に軽く自己紹介する三沢と………てんだ?というかなんだろ、四天王の十って。二じゃだめなんだろか。

『一の飯田の次は十の天田か。ってことはあれだな、中堅は四天王の百で名前が百田だな』
「いや、いくらなんでもそんなマンガみたいないい加減な名前ってことはないでしょ。あ、でも四天王の百ってのはあるかも」
『だろ?』
「四天王の十?………いや、まあいい。早速だが、デュエルだ!」
「……望むところ!」

「「デュエル!!」」

「先攻は俺が貰った、ドロー!手札のオキシゲドンを召喚!」

 オキシゲドン 攻1800

 三沢の水デッキにおける重要な構成員、酸素のオキシゲドンが翼を広げる。そしてそれは三沢のデッキが今回、【ウォーター・ドラゴン】であることを示す。

「そして手札から水征竜-ストリームの効果発動!このカードと手札の水属性またはドラゴン族一体を捨て、デッキからタイダルを特殊召喚する!俺が捨てるのは水属性の黄泉ガエルだ!来い、タイダル!」

 爆征竜-タイダル 攻2600

「そしてカードをセット、ターンエンドだ」
「……俺のターン、ドロー。手札抹殺を発動。お互いはすべての手札を捨て、その枚数ぶんカードをドローする」
「いいだろう、少し待て」

 そう言って自分の手札を捨てる三沢。その後、2枚カードをドローした。

「……手札から、儀式魔人プレサイダーを召喚。カードを3枚セットしてターンエンドだ。そしてこのタイミングでお前のタイダルは手札に戻る」

 太った魔人が天田のフィールドで仁王立ちし、三沢にガンを飛ばす。ずいぶん柄悪いなこの魔人。

 儀式魔人プレサイダー 攻1800

 三沢 LP4000 手札:3 モンスター:オキシゲドン(攻) 魔法・罠:1
 天田 LP4000 手札:1 モンスター:儀式魔人プレサイダー(攻) 魔法・罠:3

「俺のターン、ドロー!手札の………いや、オキシゲドンで普通に攻撃!」

 オキシゲドン 攻1800→儀式魔人プレサイダー 攻1800

「……攻撃宣言時、ピンポイント・ガードを発動。墓地の儀式魔人、リリーサーを召喚」

 地中から巨大な岩石の握りこぶしが突き出され、その手がゆっくりと開くとその中にはまた太った魔人が一人。

 ピンポイント・ガード
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時、
自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはそのターン、
戦闘及びカードの効果では破壊されない。

 儀式魔人リリーサー 守2000

「攻撃の巻き戻しか。だがまあ、どのみち破壊できないなら同じこと!改めてプレサイダーを攻撃!」
「……それは通さん!リバースカード、グラヴィティ・バインドを発動」

 三沢と天田の間に光の網が張り巡らされ、そこを突破できなかったオキシゲドンの爪が虚しく空を切った。

 グラヴィティ・バインド-超重力の網―
永続罠
フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できない。

「仕方がない、ターンエンドだ」
「……ドロー!クレーンクレーンを召喚し、墓地の儀式魔人プレコグスターを特殊召喚」

 クレーンクレーン
効果モンスター
星3/地属性/鳥獣族/攻 300/守 900
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル3モンスター1体を選択して特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
「クレーンクレーン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 儀式魔人プレコグスター 攻400

 クレーンクレーンが地面に開いた紫色の魔法陣の中に鎖を投げ入れ、キリキリと重そうに巻き上げる。その鎖の先端には、案の定というかなんというか太った魔人がしがみついていた。それにしても、なんで魔人ってのはどいつもこいつも太ったのしかいないんだろう。

『ほう。今のセリフ、マエストロークに聞かせてやりたいぜ』
「誰それ。知り合い?」
『ちょっと前までの戦友。ド派手なことはできなかったけど、いつも堅実で一定以上の働きをしてくれるいい奴だったんだよ』
「ふーん」

 知らんがな。

「そして手札から死者蘇生を発動、墓地から光帝クライスを特殊召喚。効果発動、クライス自身とこの伏せカードを破壊する。そしてそれにチェーンしてトラップカード、妖怪のいたずらを発動。あらゆるモンスターのレベルを2下げる」

 全身が光り輝く戦士が、その光で天田の場にあるカードとグラヴィティ・バインドをそれぞれ射抜いて破壊した。

 光帝クライス
効果モンスター
星6/光属性/戦士族/攻2400/守1000
このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
フィールド上に存在するカードを2枚まで破壊する事ができる。
破壊されたカードのコントローラーは、破壊された数だけ
デッキからカードをドローする事ができる。
このカードは召喚・特殊召喚したターンには攻撃する事ができない。

 妖怪のいたずら
通常罠
フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターのレベルを
エンドフェイズ時まで2つ下げる。
また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、
そのレベルをエンドフェイズ時まで1つ下げる。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンに発動する事はできない。

 儀式魔人プレサイダー ☆4→2
 儀式魔人プレコグスター ☆3→1
 儀式魔人リリーサー ☆3→1
 クレーンクレーン ☆3→1
 オキシゲドン ☆4→2

「……クライスのもう一つの効果。破壊したのはどちらも俺のカード、よって2枚ドローする」
「レベルの変更カード、そして増えた手札………来るか、儀式召喚!」
「……手札の儀式魔法、ハンバーガーのレシピを発動!場のプレサイダー、プレコグスター、リリーサー、クレーンクレーン、そして墓地の儀式魔人ディザースを使い、ハングリーバーガーを降臨させる。さあ、これが俺のメインディッシュだ!」

 ハングリーバーガー
儀式モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2000/守1850
「ハンバーガーのレシピ」により降臨。
フィールドか手札から、レベル6以上になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。

「ハ、ハングリーバーガーだと!?…………いや、儀式魔人のサポート能力を考えると侮れない、か」
「……そういうことだ。ハングリーバーガーでオキシゲドンを攻撃。………暴飲暴食メタボリック!」

ハンバーガーが空を飛び、光の網を食い破って酸素の名前を持つ翼竜に食らいつ………かなかった。途中で光の壁にぶつかったのだ。

「……何?」
「俺は今の攻撃の前に、このトラップを発動していた………!和睦の使者の効果により、お前のバトルは実質無効だ!」

 和睦の使者
通常罠
このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける
全ての戦闘ダメージは0になる。
このターン自分のモンスターは戦闘では破壊されない。

「……なるほど、確かにそのカードなら今のハングリーバーガーであっても攻撃が届かん。少しは楽しめそうだ、ターンエンド」
「って、今の一体なんだったの?いくら黄泉ガエルが墓地にいるとはいえ、なんでたかだか200のダメージを防ぐためにこのタイミングで和睦の使者を………」
『お前なあ………儀式魔人どもの効果に決まってんだろ。詳しいことはお前の彼女にでも聞け。俺は観戦で忙しい』
「かのっ!?い、いや別に僕そんなんじゃっ!」
『あーるっさい。少しぐらい静かにしてろ』
「ど、どうしたの急に、だって?」
「いや、その、えーと…………今何が起きたの?」

 一瞬迷ったけど、どうせ今わからないとずっともやもやするだろうから素直に聞いておく。三沢が理解してるから天田も説明する気配が見えないし。

「つまり、儀式魔人たちにはそれぞれの効果があってね?それで………」

 要約すると、儀式魔人にはそれぞれ儀式召喚に使った時その儀式モンスターに特殊効果をつける能力があって、プレサイダーはそのモンスターが戦闘で相手を倒した時に1ドロー、プレコグスターによって戦闘ダメージを与えた時に相手は手札を1枚捨て、リリーサーの効果が生きてる限り相手はモンスターを特殊召喚できず、ディザースによっていかなるトラップの効果も受け付けなくなる。らしい。今和睦の使者が効いたのは、ハングリーバーガーに対して影響を与えるトラップじゃないから、とのこと。

「よくわかった、ありがとうね」
「どういたしまして、なんだって」
「……さあ、続けるぞ。とはいえ、ターンエンドだがな」

 三沢 LP4000 手札:4 モンスター:オキシゲドン(攻) 魔法・罠:0
 天田 LP4000 手札:0 モンスター:ハングリーバーガー(攻)、光帝クライス(攻) 魔法・罠:0

「俺のターン、ドロー!黄泉ガエルは自分が魔法、罠を使っていない場合、スタンバイフェイズに墓地からノーコストで特殊召喚できる………はずなんだが、リリーサーの効果でそれも無理、か。まあ仕方がないか、ハイドロゲドンを召喚!」

 酸素の翼竜の隣に水柱が立ち、水素の名を持つ恐りゅ………恐…竜…?まあ、本人が恐竜だって言ってんだから恐竜なんだろう。とにかく立ち上がる。

 ハイドロゲドン
効果モンスター
星4/水属性/恐竜族/攻1600/守1000
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
自分のデッキから「ハイドロゲドン」1体を特殊召喚する事ができる。

『ハイドロゲドン!?三沢、一体何企んでんだ?』
「……何をする気だ?」
「まあ見ていろ。手札を3枚伏せ、ターンを終了する」

 そう自信満々に宣言した三沢に、ざわざわと会場がざわめく。あの三沢が何も考えずにハイドロゲドンを出すとは思えないけど……。

「……ドロー。リチュアル・ウェポンをハングリーバーガーに装備。レベル6儀式モンスターのハングリーバーガーは、攻守が1500アップする」
「おっと、そこでカードを発動するぞ。リバースカード、スター・チェンジャーの効果で、ハングリーバーガーのレベルを1上げて7に変更する。これでリチュアル・ウェポンは対象不適切で破壊だな」
「……墓地から妖怪のいたずらのもう一つの効果発動。このカードを除外し、ハングリーバーガーのレベルをエンドフェイズまで1下げて5にする。これでこのターンの間は問題ない」

 ハングリーバーガー ☆6→5→6 攻2000→3500 守1850→3350
 
 リチュアル・ウェポン
装備魔法
レベル6以下の儀式モンスターのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力と守備力は1500ポイントアップする。

 今の一瞬のやり取りもすごかったけど、個人的にはそれよりソリットビジョンに反映された、大口を開けたハンバーガーが身にまとったポテトの剣と包み紙の鎧のほうが気になってしょうがなかった。確かにハンバーガーが鎧をつけるのは無理があるんだけども。あ、なんかおなか減ってきた。

『なにが腹減っただ、今生放送中だろが。全国に恥晒すな空気読めバーカ』
「相変わらず口悪いね。もー慣れたけどさ」
「……ハングリーバーガーで、ハイドロゲドンを攻撃。暴飲暴食メタボリック!」
「ああ、かかってこい」

 ハングリーバーガー 攻3500→ハイドロゲドン 攻1600(破壊)

「……む?」
「永続トラップ、スピリットバリア発動。このカードが場にあって俺がモンスターをコントロールしている限り、俺への戦闘ダメージは0になる」

 スピリットバリア……三沢のあのデッキはウォーター・ドラゴンが軸だけど、罠モンスターの数も割と多い。宮廷のしきたりとの相性がいいからとのことらしい。そして僕のメタル・リフレクト・スライムのように、罠モンスターというのは一回伏せておくだけでいいのでかなり出しやすい。モンスターが基本途切れることのないデッキだからこそ投入していたカードなんだろうけど、一切の特殊召喚ができない今じゃその守りもいつまで持つだろうか。ああそうか、だからこそ用心のためにハイドロゲドンを出したのか。それでもリスキーな選択だけど。

「……モンスターの戦闘破壊は完了、よって一枚ドロー。ターンを終了する。そしてこの時妖怪のいたずらの力がなくなりハングリーバーガーのレベルが7になり、リチュアル・ウェポンが対象不適当で自壊する」

 ハングリーバーガー ☆6→7 攻3500→2000 守3350→1850

 三沢 LP4000 手札:1 モンスター:オキシゲドン(攻) 魔法・罠:スピリットバリア、1(伏せ)
 天田 LP3800 手札:1 モンスター:ハングリーバーガー(攻) 魔法・罠:0

「俺のターン、ドロー!カードをセットしてターンを終了するっ!」

 モンスターの表示形式すら変えず、ただ引いたカードをそのまま伏せただけの三沢に対し、再びざわざわと会場が揺れる。正直、僕にも三沢の狙いがさっぱりわからない。

「……手札が悪いのか?まあいい、ドロー。速攻魔法サイクロン発動、スピリットバリアを破か…」
「それも待った。この伏せカード、宮廷のしきたりを発動させてもらう」

 サイクロンが巻き起こした小型の竜巻が、三沢を覆い隠す半透明のバリアに届くことなく霧散してただの風になる。

 宮廷のしきたり
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、
お互いのプレイヤーは「宮廷のしきたり」以外の
フィールド上に表側表示で存在する永続罠カードを破壊できない。
「宮廷のしきたり」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

「……ならばモンスターを潰していくまで!ハングリーバーガーでオキシゲドンに攻撃、暴飲暴食メタボリック!」
「ダメージは受けず、従って手札破壊効果も発生しない!もっとも、俺の手札は今0だがな」

 ハングリーバーガー 攻2000→オキシゲドン 攻1800(破壊)

「……カードをドロー。1枚セットしてターンエンドだ」

 三沢 LP4000 手札:1 モンスター:なし 魔法・罠:スピリットバリア、宮廷のしきたり
 天田 LP4000 手札:1 モンスター:ハングリーバーガー(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

「俺のターン、マジック・プランターを発動!場の宮廷のしきたりを墓地に送って、カードを2枚ドロー!」

 マジック・プランター
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在する
永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。

「……手札増強か。好きにしろ」
「なら、このままやらせてもらうぞ。カードを1枚セットし、カードカー・Dを召喚してリリースしさらにドロー、強制エンドフェイズでターンエンドだ」

 カードカー・D
効果モンスター
星2/地属性/機械族/攻 800/守 400
このカードは特殊召喚できない。
このカードが召喚に成功した自分のメインフェイズ1に
このカードをリリースして発動できる。
デッキからカードを2枚ドローし、このターンのエンドフェイズになる。
この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

「……何を狙っているかは知らぬが、ドロー!手札のキラー・トマトを召喚する」

 闇属性版グリズリーマザーであるリクルーター、顔のついた真っ赤なトマトが、ぴょんぴょん飛び跳ねながらケタケタと不気味な笑い声を上げる。そうかそうか、ハンバーガーの次はトマトかあ。

『まーた腹減ったとか言い出すんじゃねえだろーな』

 ぎく。

 キラー・トマト 攻1400

「……キラー・トマトで直接攻撃を」
「レインボー・ライフ発動!手札のタイダルを捨てることで1400回復!」

 レインボー・ライフ
通常罠
手札を1枚捨てて発動できる。
このターンのエンドフェイズ時まで、
自分は戦闘及びカードの効果によって
ダメージを受ける代わりに、
その数値分だけライフポイントを回復する。

 キラー・トマト 攻1400→三沢(直接攻撃)
 三沢 LP4000→5400

「……ターンを終了する」
「俺のターン、ドロー!カードを2枚伏せ、ハイドロゲドンを召喚する。そしてキラー・トマトに攻撃、ハイドロ・ブレス!」

 ハイドロゲドン 攻1600→キラー・トマト 攻1400(破壊)
 天田 LP4000→3800

「……キラー・トマトの効果発動!デッキから攻撃力1500以下の闇属性、イナゴの佃煮………もとい、イナゴの軍勢を攻撃表示で特殊召喚する」
『こっちもあくまで食い物扱いかよ』

 イナゴの軍勢
効果モンスター
星3/闇属性/昆虫族/攻1000/守 500
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
このカードが反転召喚に成功した時、
相手フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

「ハイドロゲドンの効果は封じられているからな。ターンエンドする」

 三沢 LP5400 手札:0 モンスター:ハイドロゲドン(攻) 魔法・罠:スピリットバリア、1(伏せ)
 天田 LP3800 手札:2 モンスター:ハングリーバーガー(攻)、イナゴの軍勢(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

「……ドロー。まさにこの状況に合致したカードだ、まずはイナゴの軍勢を裏側守備表示に変更。そして悪魔の調理師を召喚する」
「この状況では一番来てほしくなかったモンスターだな………まあ、これまでのデッキパターンから言って入っているだろうとは思ってたが」

 悪魔の調理師(デビル・コック)
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守1000
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
相手はデッキからカードを2枚ドローする。

「……ここは堅実にいかせてもらうぞ、ハングリーバーガーでハイドロゲドンに攻撃」

 ハングリーバーガー 攻2000→ハイドロゲドン 攻1600(破壊)

「スピリットバリアによって、ダメージは通らないがドローはできる、か。だがそれを待っていた!永続トラップ、グリード発動!」
「……おのれ、だがそれは諸刃の剣となる。悪魔の調理師でダイレクトアタック。さあ、2枚ドローしろ」

 悪魔の調理師 攻1800→三沢(直接攻撃)
 三沢 LP5400→3600

「……そしてグリードの効果により、俺たちはダメージを受ける」

 グリード
永続罠
カードの効果でドローを行ったプレイヤーは、そのターンのエンドフェイズ終了時に
カードの効果でドローしたカードの枚数×500ポイントダメージを受ける。

 三沢 LP3600→2600
 天田 LP3800→3300

「俺のターン、ドロー!3枚、か………まあ悪くない数字だ、カードを2枚伏せ、手札抹殺を発動!俺の手札はこのカードのみだから何も起きないが、お前は3枚捨て3枚ドローしてもらう」

 自分と相手の手札を総とっかえする豪快な手札交換カード、手札抹殺。だがそのカードすらも、この状況では相手の手札を引っ掻き回したうえにライフの四分の一以上ものダメージまで与えられるお手軽バーンカードだ。

「……甘い。チェーンしてトラップ発動、全弾発射。俺の手札を全て弾丸にして射出する」

 全弾発射(フルバースト)
通常罠
このカードの発動後、手札を全て墓地へ送る。
墓地に送ったカードの枚数×200ポイントダメージを相手ライフに与える。

 三沢 LP2600→2000

「手札抹殺が不発になったか。できることもない、ターンエンドだ」

 三沢 LP2000 手札:0 モンスター:なし 魔法・罠:スピリットバリア、グリード、3(伏せ)
 天田 LP3300 手札:2 モンスター:ハングリーバーガー(攻)、???(イナゴの軍勢、伏せ)、悪魔の調理師(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

「……ドロー。万一のためにやれることはやっておくか。イナゴのつく………ゴホン、軍勢を反転召喚し、効果によってグリードを破壊する」

 茶色い体の大イナゴが群れになってグリードのカードに飛びかかり、その小さくも鋭い牙で跡形もなく食らいつくそうとする。が、彼らが飛びかかったのはなぜかその隣に伏せられたカード…………よく見るとそこには『スカ』の二文字が黒々と力強い書体で書かれていた。

「偽物のわなをチェーン発動、これでグリードは破壊されない」

 偽物のわな
通常罠
自分フィールド上に存在する罠カードを破壊する魔法・罠・効果モンスターの効果を
相手が発動した時に発動する事ができる。
このカードを代わりに破壊し、他の自分の罠カードは破壊されない。
セットされたカードが破壊される場合、そのカードを全てめくって確認する。

「……イナゴの軍勢を裏守備表示に変更。悪魔の調理師で直接攻撃」
「ここが使いどころか!攻撃の無力化を発動、その攻撃を無効にしてバトルフェイズを終わりにする!」
「……トラップを受け付けないハングリーバーガーで攻撃していればよかったか。ターンエンドだ」

 三沢 LP2000 手札:0 モンスター:なし 魔法・罠:スピリットバリア、グリード、1(伏せ)
 天田 LP3300 手札:2 モンスター:ハングリーバーガー(攻)、???(イナゴの軍勢、伏せ)、悪魔の調理師(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

「俺のターン、ドロー!魔法カード、強欲で謙虚な壺を発動!自分のデッキの上からカードを3枚めくり、1枚を手札に加える。今の状況なら特殊召喚を封じるデメリットも気にならないしな。そして手札に加える効果はグリードの対象にもならない。1枚目、ジェネクス・ウィンディーネ。2枚目、マインドクラッシュ。3枚目は………この、カードは…………」
「……?どうした、公開しろ」
「ああ、わかってる。……………3枚目、白魔導士ピケル、だ」

 一瞬だけ、デュエル場が完全に静まり返った。へえ、三沢もやっぱりああいう女の子カードを入れるんだ、って思ったのは胸の中にしまっておく。明日香が、というか観客席の女子全員がビミョーに引いた目で見てたのがすごく印象に残ったから、あんまり下手なことを口に出すのは控えておこう。そういや僕のデッキもレイス入ってるけど、なんなんだろうこの扱いの差は。三沢、哀れ。

『あー、うん。いいか十代、清明。何も言ってやるなよ、ただでさえ公開処刑みたいなもんだってのにここで追い打ちかけるのはあんまりすぎる』
「……三沢大地、といったな。この勝負、俺にとってはより負けられぬ理由ができた」
「なに?ま、まさか天田、お前」

 今の会話で何かに気付いたらしい三沢の瞳に、これまで僕が見たこともないほどの闘志が宿る。と思ったら、向かい合う天田の気迫も段違いになっていた。

「……その通り。俺はクラン派だ」
「ふ、なるほど。そういうことならこの勝負、なにがなんでも勝つしかなさそうだ。俺は、ピケルを手札に加える。そしてそのまま召喚だ」

 ここにきて突然負けられない理由が増えたらしい三沢が召喚した、白い服を着た可愛らしい女の子の魔法使い。笑顔を振りまいて登場したものの相手の強面のハンバーガーと見るからに危ないコックを見て、ちょっと泣きべそをかいた。

 白魔導士ピケル
効果モンスター
星2/光属性/魔法使い族/攻1200/守 0
自分のスタンバイフェイズ時、自分のフィールド上に存在する
モンスターの数×400ライフポイント回復する。

「そして、墓地のネクロ・ディフェンダーの効果発動。このカードを除外し、ピケルを守らせる」

 ネクロ・ディフェンダー
効果モンスター
星2/闇属性/悪魔族/攻 0/守 800
自分のメインフェイズ時に、
墓地に存在するこのカードをゲームから除外し、
自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。
次の相手のエンドフェイズ時まで、
選択したモンスターは戦闘で破壊されず、
選択したモンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

「そしてピケルで裏守備のイナゴの軍勢に攻撃、ターンを終了する」

 白魔導士ピケル 攻1200→???(イナゴの軍勢) 守500(破壊)

「……ドロー、やれることもなくターンエンドだ」

 三沢 LP2000 手札:0 モンスター:白魔導士ピケル(攻) 魔法・罠:スピリットバリア、グリード、1(伏せ)
 天田 LP3300 手札:3 モンスター:ハングリーバーガー(攻)、悪魔の調理師(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

「俺のターン、まずスタンバイフェイズにピケルの効果が発動し、ライフを400回復」

 三沢 LP1600→2400

「そして魔法カード、光の護封剣を発動。これでお前のモンスターはどちらも攻撃ができない」

 光の護封剣
通常魔法
相手フィールド上のモンスターを全て表側表示にする。
このカードは発動後、相手のターンで数えて3ターンの間フィールド上に残り続ける。
このカードがフィールド上に存在する限り、
相手フィールド上のモンスターは攻撃宣言できない。

「……小賢しい真似を」
「お互い様だろう。【ウォーター・ドラゴン】にとって、特殊召喚封じは最高のメタだからな。ターンエンドだ」
「……ふん、ドロー。魔法カード、簡易融合を発動。エクストラのカルボナーラ戦士を特殊召喚する」

 コックとハンバーガーの間にボワンと音を立てて現れた超巨大なカップ麺の蓋が開き、大量の湯気の中から紫色の鎧を着た戦士が剣を構えて飛び出してくる。カルボナーラ、か。ふむ、今度作ってみようかな。材料は明日香にでも頼み込んで分けてもらおうっと。ブルー寮なら食料も山のようにため込んでるだろうし。

 簡易融合(インスタント・フュージョン)
通常魔法
1000ライフポイントを払って発動できる。
レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとして
エクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、
エンドフェイズ時に破壊される。
「簡易融合」は1ターンに1枚しか発動できない。

 天田 LP3300→2300
 カルボナーラ戦士 攻1500

「……カルボナーラ戦士をリリースし、ドドドウォリアーをアドバンス召喚する」

 ドドドウォリアー
効果モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2300/守 900
このカードはリリースなしで召喚できる。
この方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は1800になる。
また、このカードが攻撃する場合、
ダメージステップ終了時まで相手の墓地で発動する効果は無効化される。

 背中に『怒』の文字を背負い、斧を持ったバイキングの格好をした戦士。でもなんでドドド?…………ああそうか、バイキング(食べ放題)か。でもここまでくるとこじつけも立派なもんだよね。

「……護封剣の効果で攻撃はできない、ターンエンドだ」

 三沢 LP2000 手札:0 モンスター:白魔導士ピケル(攻) 魔法・罠:スピリットバリア、グリード、光の護封剣(残2)、1(伏せ)
 天田 LP2300 手札:2 モンスター:ハングリーバーガー(攻)、悪魔の調理師(攻)、ドドドウォリアー(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

「俺のターン、ドローしてピケルの効果!再び回復を行う。そしてメイン1、カードを1枚伏せてターンエンド」

 三沢 LP2400→2800

「……ドロー、ターンエンド」

 三沢 LP2800 手札:0 モンスター:白魔導士ピケル(攻) 魔法・罠:スピリットバリア、グリード、光の護封剣(残1)、2(伏せ)
 天田 LP2300 手札:3 モンスター:ハングリーバーガー(攻)、悪魔の調理師(攻)、ドドドウォリアー(攻) 魔法・罠:1(伏せ)

「俺のターン、ドロー!準備は万全ではないにしろ整った、ここで攻めに行く!その前にまずはピケルの効果で、400の回復をするがな」

 三沢 LP2800→3200

「行け、ピケル!悪魔の調理師に攻撃!そしてこの攻撃時、リバースカード発動!奇跡の軌跡!」

 懐から木の杖を取り出したピケルが、元から持っていたものと合わせ2本の杖から光を放つ。その光は正確に、ハンバーガーとコックを貫いていた。

 奇跡の軌跡(ミラクルルーカス)
通常罠
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
相手はデッキからカードを1枚ドローする。
このターンのエンドフェイズ時まで、
選択したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、
1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃する事ができる。
そのモンスターが戦闘を行う場合、
相手プレイヤーが受ける戦闘ダメージは0になる。

「まずこの効果で、お前にはカードをドローしてもらう。そして俺のピケルの攻撃力は2200に上がり、お前の自慢のハンバーガーを打ち砕く!」

 白魔導士ピケル 攻1200→2200→悪魔の調理師 攻1800(破壊)
 白魔導士ピケル 攻2200→ハングリーバーガー 攻2000(破壊)

「カードをセットしてターンエンド………そして、お前にはさっきドローした分のダメージを受けてもらう」

 天田 LP2300→1800

「……まさか奇跡の軌跡のデメリットを逆手に取るとはな。ドロー、儀式の準備を発動。デッキから2枚目のハングリーバーガー、墓地からハンバーガーのレシピをサーチする」

 儀式の準備
通常魔法
デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加える。
その後、自分の墓地の儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる。

「……そしてハンバーガーのレシピを発動。墓地のレベル3の儀式魔人、リリーサーとプレコグスターを除外してハングリーバーガーを再臨させる。せっかく苦労して倒したところ悪いが、これでまだ特殊召喚封じ(リリーサー)手札破壊(プレコグスター)の効果は使うことができる。ドロー効果(プレサイダー)は邪魔になるだけだ」

 ハングリーバーガー 攻2000

「……そしてとどめに、護封剣の効果もこれで切れる。ターンエンドだ」

 エンド宣言と共にその力を失った光の護封剣が、文字通り光になって消えていく。そしてそれに伴い、照明は点いているにもかかわらずなぜかデュエル場全体が日食のような暗闇に包まれる。

「エンドフェイズ時にリバースカード、皆既日食の書だ」

 皆既日食の書
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て裏側守備表示にする。
このターンのエンドフェイズ時に相手フィールド上に
裏側守備表示で存在するモンスターを全て表側守備表示にし、
相手はその枚数分だけデッキからカードをドローする。

 ハングリーバーガー 攻2000→(セット状態)→守1850
 ドドドウォリアー 攻2300→(セット状態)→守900
 白魔導士ピケル 攻1200→セット

「エンドフェイズだからすぐに表に戻るが、その時のドロー効果は受けてもらうぞ」
「……おのれ…!」

 天田 LP1800→800

 三沢 LP3200 手札:0 モンスター:???(白魔導士ピケル、伏せ) 魔法・罠:スピリットバリア、グリード、2(伏せ)
 天田 LP800 手札:6 モンスター:ハングリーバーガー(守)、ドドドウォリアー(守) 魔法・罠:1(伏せ)

「ねえユーノ、今の三沢の手ってちょっと危険じゃない?1000ダメージは大きいけど、それで2枚もドローさせてたらいくらなんでも危ないんじゃ」
『ふむ、まだお前は雑魚だなってことはとてもとてもとてもよくわかった』
「ひどいっ!」
『しゃあねえなあ、簡単に解説してやる。儀式魔人がモンスターにつける効果はどれも厄介揃いだが所詮はどの効果もその器、つまり儀式モンスターに完全に依存してんだよ。いや、この言い方じゃちょっと違うか。まあとにかく、儀式モンスターがいて初めて成立する効果なんだってこった。今の皆既日食はあのハンバーガーをセット状態にしただろ?あの時点で儀式魔人たちとハンバーガーの間にあったつながりは消えたんだ』
「えっと、つまり………」
『これでハングリーバーガーはただの守備力1850のバニラになったってこと。これで三沢のデッキは特殊召喚が使えるようになった。これはとんでもなくデカい、2枚ドローのリスクを受けてでもやる意味のあることだぞ?』
「な、なるほど!」
「俺のターン、ドロー!ピケルはセット状態だから効果が使えないが……2枚目のマジック・プランターを発動、グリードを墓地に送って2枚ドローする」

 あれだけ大量のバーンダメージを稼いだグリードも、三沢の特殊召喚が復活したことでその役目が終了した。まさか、ここからあのカードが出てくるんだろうか。

「3枚目、最後のマジック・プランターを発動!スピリットバリアを墓地に送ってさらに2枚ドローだ。そしてさらに貪欲な壺!俺の墓地の黄泉ガエル、ストリーム、タイダル、アビス・ソルジャー、カードカー・Dをデッキに戻して2枚ドローを行う」

 あれよあれよという間に神がかった引きの良さで手札を増やしていく三沢。アビス・ソルジャーは多分、天田の手札抹殺で墓地に送ったモンスターなんだろう。

「さて、待たせたな。まず手札のオキシゲドンを召喚する。そして死者蘇生発動、墓地のハイドロゲドンを復活させる!」

 オキシゲドン 攻1800
 ハイドロゲドン 攻1600

「そしてピケルを反転召喚し、バトル!ハイドロゲドンでドドドウォリアーを攻撃、ハイドロ・ブレス!」

 ???→白魔導士ピケル 攻1200
 ハイドロゲドン 攻1600→ドドドウォリアー 守900(破壊)

「この時ハイドロゲドンの特殊効果により、もう一体ハイドロゲドンをデッキから特殊召喚!」

 ハイドロゲドン 攻1600

「だが、いくらモンスターを並べてもハングリーバーガーの守備力は1850!そのモンスターではまだ力不足だ!」
「ああ、確かにそうだな。だがな天田、覚えておけ!水素と酸素は単体ではちっぽけな元素だが、二つを合わせることで全ての命を生み出した偉大な存在、水となる!メイン2に移行し、ポンディング-H2Oを発動!オキシゲドン1体とハイドロゲドン2体をリリースし、化学反応!デッキのウォーター・ドラゴンを特殊召喚する!」

 やっぱり、というべきなんだろか。満を持して特殊召喚される、三沢の水デッキ最大のキーカードにして切り札モンスター。3体の恐竜が混ざり合って1体の海竜になり、ハングリーバーガーを静かに見下ろす。

 ポンディング-H2O
通常魔法
自分フィールド上に存在する「ハイドロゲドン」2体と
「オキシゲドン」1体を生け贄に捧げる。
自分の手札・デッキ・墓地から
「ウォーター・ドラゴン」1体を特殊召喚する。

 ウォーター・ドラゴン
効果モンスター
星8/水属性/海竜族/攻2800/守2600
このカードは通常召喚できない。
「ボンディング-H2O」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
炎属性と炎族モンスターの攻撃力は0になる。
このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する
「ハイドロゲドン」2体と「オキシゲドン」1体を特殊召喚する事ができる。

「カードをセットして、ターン終了だ」
「……ドロー!装備魔法、巨大化をハングリーバーガーに装備!俺の方がライフは下だ、よって攻撃力が倍になる」

 ぶるぶるとハンバーガーが震えだすと、なんとポンッと音を立てて具材のトマト、レタス、ミートの量が倍になり、さらにピクルスまで追加された。頭の日の丸の旗も心なしかおっきくなったし。巨大化っていうよりメガ盛りだねこりゃ。

 巨大化
装備魔法
自分のライフポイントが相手より下の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。
自分のライフポイントが相手より上の場合、
装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。

 ハングリーバーガー 攻2000→4000

「……この攻撃が通ればいい、それだけの事!ハングリーバーガーでピケルを攻撃!暴飲暴食メタボリック!」
「残念だったな、天田。このカードが攻撃反応じゃない可能性に賭けたんだろうが………リバースカードを2枚、援護射撃と攻撃の無敵化を発動!ウォーター・ドラゴン、ピケルの援護に回ってくれ!そしてピケルは無敵化2つ目の効果で、戦闘破壊されなくなる!」

 ウォーター・ドラゴンが吐き出した水のブレスとピケルが杖から放った光の球が一つになり、ハングリーバーガーのピクルス乱れ撃ち攻撃とぶつかり合って激しい爆発を巻き起こした。なんでデュエルディスクの演出って、モンスターどうしが引き分けになった時はやたらと爆発させたがるんだろう。

『海馬コーポレーションの趣味なんじゃね?』
「なんかありそうな話だね」

 援護射撃
通常罠
相手モンスターが自分フィールド上モンスターを攻撃する場合、
ダメージステップ時に発動する事ができる。
攻撃を受けた自分モンスターの攻撃力は、
自分フィールド上に表側表示で存在する他のモンスター1体の攻撃力分アップする。

 攻撃の無敵化
通常罠
バトルフェイズ時にのみ、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターはこのバトルフェイズ中、
戦闘及びカードの効果では破壊されない。
●このバトルフェイズ中、自分への戦闘ダメージは0になる。

 ハングリーバーガー 攻4000(破壊)→白魔導士ピケル 攻1200→4000

「……カードをセット、ターンエンド(……まだ大丈夫だ、俺の場の伏せたままのカードは『闘争本能』。このカードで手札の素早いモモンガを特殊召喚し、さらに今伏せた死力のタッグ・チェンジに繋げる。これでダメージを消しつつ、手札のマッシブ・ウォリアーを特殊召喚する。これならモンスターが3体になって、少なくとも次のターンは耐え切れるはずだ)」

 闘争本能
通常罠
相手が直接攻撃を宣言した時、自分フィールド上に
モンスターが存在しない場合に発動する事ができる。
手札からレベル4以下の獣族モンスター1体を
表側攻撃表示で特殊召喚する。

 素早いモモンガ
効果モンスター
星2/地属性/獣族/攻1000/守 100
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分は1000ライフポイント回復する。
さらにデッキから「素早いモモンガ」を任意の数だけ裏側守備表示で特殊召喚できる。

 死力のタッグ・チェンジ
永続罠
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターが
戦闘によって破壊されるダメージ計算時、
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージを0にし、
そのダメージステップ終了時に手札からレベル4以下の
戦士族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 マッシブ・ウォリアー
効果モンスター
星2/地属性/戦士族/攻 600/守1200
このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。

 ………なんだろう、今一瞬だけすごい負けフラグが立った気がしたのは。気のせいかな?

『いや、俺も同じこと思った。なんか盛大なフラグ立てやがったんだな』

 三沢 LP3200 手札:0 モンスター:ウォーター・ドラゴン(攻)、白魔導士ピケル(攻) 魔法・罠:なし
 天田 LP800 手札:5 モンスター:なし 魔法・罠:2(伏せ)

「俺のターン、ドロー。ピケルの力でさらに回復し、ナイト・ショット発動!このカードは相手の場の魔法、罠を1枚破壊するが、相手はそのカードをチェーンして発動できない………そうだな。俺が破壊するのは、先に伏せてあった方のカードだ!」
「……くっ、俺の負けか」
「ウォーター・ドラゴンでダイレクトアタック!アクア・パニッシャー!」

 三沢 LP3200→4000
 ウォーター・ドラゴン 攻2800→天田(直接攻撃)
 天田 LP800→0





「勝ってきたぞ、みんな。後は任せた」
「お疲れ様、三沢。それでさ、少し聞きたいことがあるんだけど」
「どうした?」
「まず一つ目だけど、試合前に入れ替えてたカードってグリードだよね。なんでバーン要素を詰め込んだの?」
「ああ、あれか。万丈目はプライドこそ高いがけっして馬鹿じゃない、俺のデッキが特殊召喚に頼り切りなことは気づいていたはずだ。だから、それに対するメタ要素を持つデュエリストを俺にぶつけてくるのは読めていた。ライオウや黒角笛3積みぐらいならまだ何とかなるが、最悪の事態が起きた時のために保険をかけておいたのさ」
「それじゃあさ、もう一ついいかな?」
「ああ、言ってみてくれ」
「ピケ…」
「さあ河風君、次の出番は頑張ってくれ!!ここでもう一勝できればだいぶこっちが有利になるからな!!」
「い、いやあの三さ…」
「頼んだぞ、本当に!油断しないようにな!!」
「…………」
『だーから言ったろー?あんましいじめてやんなって』 
 

 
後書き
当初の予定ではグリードバーンだけで勝たせるつもりだったのに、気づいたらピケルが出ててさらに気づいたらウォーター・ドラゴンが出せる状況になってた。どうしてこうなった、いい意味で。
今回の天田のデッキはあえて名づけるなら【スペシャルハンバーガーセット】とか?カースエンチャンター以外の儀式魔人の効果をフル積みしたハングリーバーガーを主軸に食べ物関係のカードを詰め込んだネタデッキ。多分モウヤンのカレーとかも入ってる。ただそんだけ。万丈目戦ではハングリーバーガーにリチュアル・ウェポンつけたらエネミーコントローラーされ、円盤闘士に効果破壊された。その後本編最後にやろうとしていたモモンガ+マッシブで守りを固めるも、逆切れパンダの貫通能力にあっさり突破されて殴り負けた。 
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