ユーノに憑依しました
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彼女達が目覚めました
ユーノにデバイスを貰ってから次の日、保育園であたしは一人で人気のない場所に隠れていた。
あたしは子供が嫌いだから……いつからそうだったのかはもう忘れた、自分勝手に大声で騒いだり静かにできない。
そう言う子達を見てると、どうしようもなくイラつく。
[今カウントいくつ?]
すずかからデバイスに届いたメールを見てカウントを確認すると72。
[72よ、どうかした?]
[減っちゃったの、今カウント8でもうすぐ魔力ゼロだよ]
[空でも飛んだの?]
[違うの、朝起きた時は43はあったんだよ、それが保育園に着いたら半分になってて]
もう一度カウントを確認すると77……増えてる?
[今確認したら77になってた]
[ええ!? こっちはもう4だよ!?]
[壊れてるかもしれないから、帰ったらユーノに見て貰ったら?]
[うん、そうするね]
お昼過ぎ、またすずかからメールが届いた……魔力切れてなかったんだ。
[28まで回復したよー、何でだろう?]
[わたしのは68まで減っちゃった、全然魔法使ってないのに]
[15、いきなり減っちゃった!?]
[何やったのよ!?]
[わかんないよ、どんどん減ってる、また連絡するね]
……どうなってんの?
デバイスのカウントを眺めながら歩いてるとカウントが回復していく。
72,73,74。
ふと辺りが暗くなり日陰に入った。
74のまま止まったカウント。
……太陽の光を当ててみた。
80.90,100,120,160。
増えすぎでしょッ!?
[太陽の光よ、凄い勢いで魔力充電してる]
[やっぱりそうなんだ、ネフライトは太陽に当てると魔力無くなっちゃう]
[減るの?]
[日陰とか暗い部屋だと回復するみたい]
……コレって日が沈んだらどうなるの?
次の日まで魔力が回復しないとか?
あれ? 140.120.105!? 減ってる!?
な、何で!? 太陽の光に当ててるのに!?
一体何が……あ? 視界の片隅にある物が映った。
「……月、昼でも出るんだ」
服の中に隠すとカウントが止まった。
[月の光に当てたら魔力が減ったわ、デバイスの名前、ブルームーンってそう言う意味かしら?]
[わたしの方は減るだけだよ]
[家に帰ったら合流しましょ]
[今日はわたしがアリサちゃんの家に行くね]
[うん、待ってる]
鮫島が迎えに来て家に帰る、昨日は昼から居なかったからウチで飼ってる犬達からの歓迎が激しい。
「今日は一緒に居てあげられるからね」
さて、すずかを迎える準備をしなくては。
[今から向かうね、なのはちゃんとはやてちゃんも一緒だけど良い?]
[OK,OK]
暫くするとノエルさんの車で三人がやってきた。
「いらっしゃーい」
「「「おじゃましまーす」」」
「みんなは先に上がっててな、わたしは車椅子のタイヤ拭いてから上がらないといけないから」
「いいよ、みんなで拭いちゃお、今拭く物を持って来るね」
「……ごめんな」
「こう言う時は、ありがとうって言うのよ」
「うん、ありがとな」
はやての車椅子を拭いた後は部屋に直行。
「これがみんなの貰ったデバイス?」
「そう、なのはのがレイジングハート、すずかのがネフライト、あたしのがブルームーン」
「ネフライトは太陽の光に当てると魔力が抜けちゃうの」
「あたしのは太陽の光に当てると魔力が溜まるんだけど、さっき月の光だと思うんだけど、それで魔力が抜けそうになったわ」
「へー、普通のデバイスじゃ考えられない事ね」
「そうなの? レイジングハートはそんな事ないんだけど?」
「そりゃあ、なのははリンカーコアを持ってるからでしょ、二人とは違い過ぎるわよ」
「何が違うって言うの? リンカーコアって何の事?」
「……そこから説明か、ユーノ君ちゃんと教えてないのね……良いわ、ちゃんと説明してあげる、レイジングハート、手伝ってくれる?」
《了解》
はやてがレイジングハートにお願いするとあたしの部屋が青空に変わった。
下に見えるのは海鳴?
「これ、サーチャーを使ってるの?」
「半分は正解かな、なのはの魔力を利用して作った夢みたいな物ね」
気が付けば、はやてがメガネを掛けてる説明好きなのかしら?
「説明を始めるわよ、リンカーコアって言うのは魔力を生み出す物で親子だからって同じ物を持っている訳じゃないの」
「それって親は持ってるのに子供は持って無いって事?」
「そう、生まれた時に決まっちゃうの、親がどんなに巨大な魔力を持っていても子供まで巨大とは限らないわ」
「なのはちゃんがリンカーコアを持ってるって事は、桃子さんは魔法使いなの?」
「さあ? どうかしら? ユーノ君が言うには違うらしいけど、リンカーコアを叩き起こせるかもしれないけど、怖いからやらないそうよ」
「危険なの!? なのはは大丈夫だった!?」
「うん、大丈夫だよリンカーコア暖かいし」
「話を戻すわよ、普通デバイスって言うのはリンカーコアから生まれる魔力を上手く扱えるようにサポートする道具なの、
だから太陽の光に当てたりして魔力を貯めるなんて、効率が悪くてやる意味なんて無いんだけど」
「効率が悪いって、普通はそんな事しないの? なのはちゃんみたいにリンカーコアを持ってない人はどうしてるの?」
「リンカーコアを持ってない人達はデバイスなんて持ったりしないそうよ、凄いお金掛かるんだから」
「え!? 高いのコレ!?」
「安いのもあるでしょうけど、感覚的には銃みたいなものよ、魔法使いのお巡りさんはみんな持ってるみたいだけど」
銃って、そんなに危ない物だったのこれ!?
「ちょっと脱線したけど、ユーノ君の話だと三人に渡したデバイスは向こうでも最新式の技術らしいから、豪邸の二件や三件買えるんじゃないかしら?」
「……どうしよう!? 返さなきゃ!?」
「落ち着きなさい、もう貰っちゃったんだから返さなくていいわよ、ユーノ君も返却は受け付けないだろうし、すずか専用に調整してある筈だから他の人には使いない筈よ」
「うう、でも……」
「要らないなら壊すしかないわよ? 他の人に渡したら危険なんだから」
「……壊すくらいなら持ってた方が良いかな」
「そうしなさい、元々あんな事がまたあっても乗り越えられるように貰ったんでしょ?」
「……うん」
「さて、難しい話はコレくらいにして、ちょっと遊びましょうか」
「遊ぶって?」
「折角の仮想空間なんだから少しくらい遊ばなきゃ損でしょ、わたしとなのはでチームに分かれて対戦しましょう」
「え? でも、飛んだ事はあるけど攻撃魔法なんて習ってないよ!?」
「なのははレイジングハートから習ってるでしょ?」
「うん……まだ練習中だけど」
「なら充分ね、なのははアリサを、わたしはすずかを守りながら戦うわ」
「それって、あたしとすずかが上手く逃げなきゃいけないって事!?」
「そうよ、直線と誘導弾があるから、当たらないように気をつけてね」
はやてが人差し指をあたしとなのはに向けると黒いテニスボールの様な物が三つ現れた。
「本気でやら無いと痛い目見るわよ?」
はやてから撃ち出されたテニスボールがあたしとなのはの顔を掠って飛んで行った。
「ええーっ!? 早いよー!?」
「ちょっと!? 洒落になんないわよ!?」
「ほらほら、早く逃げるなり攻撃するなりしないと、当てちゃうわよ?」
「はやてちゃん、手加減してあげてー」
「誘導弾にも気を付けてねー?」
「キャー、どこ攻撃してるのよーっ!!」
「あはっはは、次はもっと派手なの行くわよー!」
「やめてー!?」
「なのはっ!! アンタも攻撃しなさい!! やり返せっ!」
「えー!? はやてちゃん早くて狙えないよー!?」
「すずかを狙いなさいよ!! すずかに当たれば勝ちなんだから!」
「え、でも」
「うひゃああ、早く撃ちなさい!」
「う、うん」
レイジングハートが輝きだして杖の形になった。
「何それ!? かっこいい!!」
「なのはちゃん、すごーい」
「すずか、じっとしてなさい」
「ディバイン」
《バスター》
桃色の魔力がすずかに向かって放たれた!!
「ほいっと」
「ば、バリアー!? ちょっと!? ズルイわよ!?」
はやての手に現れた真っ白い壁がなのはの攻撃を止めていた。
「直ぐ終わったら面白くないでしょ? もうちょっと踊ってね? ほい」
はやてが左手を一振りすると黒いテニスボールが十個以上振ってきた!?
「れ、レイジングハートお願い!!」
《イエス、マスター》
桃色のバリアーが黒いボールを弾いて行く。
「……よし、あたしも本気で行くわよ、『消える』」
コレではやての後ろに回り込めば……あれ!?
すずかもはやてもあたしを見てる? え? ひょっとして、見えてる?
「うん、良く見えてるわよ?」
「何で!?」
「消えたのは本体の方で夢の中じゃ消えないわよ?」
「ええ!? それじゃ戦えないじゃない!?」
「この空間設定したのわたしだし、四人でそこまでやったらなのはの魔力が無くなっちゃうわ」
「そ、それじゃ、最初から何時でも攻撃を当てられたの?」
「そうね、でもこう言うのは頭の切り替えが大事なのよ、いざと言う時ボーっとしてたらやられちゃうわよ? そうならない様に試してみただけよ」
「……うう、ユーノよ!! ユーノを呼んで!! アイツの魔力繋げて徹底的に戦うんだから!!」
「駄目よ、暇なら向こうから遊びに来るだろうけど、ユーノ君も忙しいからね」
「じゃあ、ゲーム!! ゲームで勝負よ!! コテンパンにしてやるんだから!!!」
「はいはい、がんばりましょーか」
「手加減したら許さないんだからね!!」
結局あたしははやてに10連敗した……ユーノ!! 早く遊びに着なさい!! アンタと一緒にはやてをケチョンケチョンにしてやるわ!!
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