エヴァンゲリオン REAL 最後の女神
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使徒大戦
第三章
3.00
章前
はーい、超天才美少女アスカ様よっ。みんな元気にしてた?
今日は、このアタシが特別に前回のあらすじを教えてあげるわ。
え? ちゃんと読んだからいい?
偉いわね。でも覚えてる? 忘れてたりしたら、夏の本を引っ張り出してくるのも面倒でしょう。だからわざわざ、このアタシが、教えてあげようってわけなの。感謝なさい?
もちろん、前回のお話を読み返してからならば、今回のお話はもっとおもしろくなるのは確かよ。アタシが保証してあげる。
さて、どこから話そうかしら。
そうね、まずアタシの起動実験の場面からだったわね。
くそむかつくあのナルシスホモが──あら、アタシとしたことがはしたないわ。ほほほ。でもナルシスホモはいいわよね。事実だし。
え? 誰か分からない? あんたバカぁ?
渚カヲルに決まってんじゃない。フィフスチルドレンの。そのくらい知っておきなさい。
まあいいわ、話がすすまないから。
シンジとナルシスホモの実験が終わってからアタシの出番だったんだけど、そのときはなんと、シンクロ率ゼロだったの!
信じられる? このエースパイロットのアスカ様がよ? ──え? エースはシンジじゃないかって? べつにエースは一人に限らないわよ。撃墜数によって与えられる称号なんだから。アタシだって3匹以上倒してるんですからね!そりゃシンジと一緒のことが多いけど。
とにかく、ふつーなら信じられないところだけど、その直前まで超スランプ状態だったもんだからすっかりだまされて落ち込んだわ。でも実際は、あのナルシスホモがアタシのシンクロを妨害してたらしいの。
シンジが言うには、弐号機のシートアッセンブリの下にダミープラグが隠されているんだけど、それがいつのまにかレイのコピー──あ、その話はあとで出るからいまはおいておくわね──から、ナルシスホモのコピーにすり替えられていたそうなの。
それで、妨害するだけではあきたらず、アタシの弐号機を乗っ取って──そうね、エヴァジャックとでも言うのかしら──ネルフに反旗を翻したわけよ。
アタシはエヴァからのフィードバックで気絶してたんだけど、シンジはそんなアタシを心配して追いかけてきてくれたの。セントラルドグマまで。(記録者註:アスカ様の主観が多分に混じっております)
アタシを守ってシンジは勇敢に闘ってくれたわ。なんとか弐号機を奪回してくれたまではよかったんだけど、そしたら苦し紛れにナルシスホモは、衛星軌道上のロンギヌスの槍と、消滅したはずの4号機を呼びやがったのよ!(駐:アスカ様の……以下略)
槍が初号機をぶっすり刺さって、S2機関を破壊されて、シンジは動けなくなっちゃった。
すわヒロインのピンチ! 花の命は短いのね、とアタシが覚悟を決めたとき、助けにきたのは残念ながら王子様じゃなかったわ。それはファ……こほん、綾波レイだったの。なんとATフィールドで! 前からアイツ、人間ばなれしてるわねと思ってたけど、まさかATフィールドが張れるとは、さすがのアタシも思ってなかったわ。
ま、とにかくレイのおかげで絶体絶命状態じゃなくなったものの、弐号機の脱出装置が作動してくれなくて、あいかわらず乙女のピンチは続いていたわ。
そこを救ってくれたのは、もちろんアタシのシンジよ。……まだちょっと照れるわね。
眠っていた使徒の混成クローンとしての本能に働きかけることができたおかげで、初号機本来のもつS2機関を起動させることに成功したわ。でもそれは、使徒としてエヴァが覚醒するということ。その代償にシンジはだいぶ魂をかじられてしまったらしいわ……。
アタシのために、そこまでしてくれたの。
大きな対価を支払って、シンジはナルシスホモを圧倒しかけたんだけど、またもやろくなことをしないあの変態は、こともあろうに動けないアタシの弐号機に向かって槍を投げたの。
そんなことされたらシンジがどうするかなんて、アンタたちにも分かるでしょう?
そう、身を挺してアタシを守ろうとしてくれたの。ばかよね……。
でもあの槍は初号機とATフィールドをあっさりと貫通して、そのまま弐号機に食い込んだわ。そして、アタシの記憶はそこでいったん途切れたの……。
次に気がついたときには、暖かい海のようなところだった。まわりを包む柔らかい光が、シンジの心だということが、なぜかすぐに分かったわ。
アタシとシンジは肉体を離れて、初号機のコアの中にいた。シンジは槍を部分的に支配することに成功したんだけど、アタシを救うためにはこの状態にするしかなかったんだ、と謝っていたわ。でももちろん、アタシはむしろシンジに感謝していたわ。
なぜなら、そこでアタシたちはお互いの魂に触れあうことができたの。シンジの痛みも、アタシのさびしさも、シンジの弱さも、アタシの強がりも、すべてを理解しあったわ。そうして、最後にアタシたちは、相手の心の中の一番大事なところに自分が住んでいることを知ったの。それはとてもうれしいことで、アタシたちの心の傷を癒してくれた。
シンジが初号機に削られてしまった魂を、アタシがアタシ自身の魂でそっと埋めていくと、シンジは照れくさそうに、でもすごくうれしそうに言った。魂の奥底でつながって、これで僕たちはもう離れられないんだね、と。なにあたりまえのこと言ってるのよ、離れようなんて考えた瞬間に殺すわよ、とアタシが返すと、シンジがもっと喜ぶ波動がアタシを揺らしたわ。
アタシの欠けた部分は、弐号機の中に少しだけ残っていたママの魂の欠片を使ってシンジが埋めてくれたわ。
そしてシンジが二人の体を再構成して、コアの外に出たときには、なんといつのまにか、すでに一週間が経過していた。ちょっと焦ったわ。だってその間にあのナルシスホモが暴れまくってたかもしれないじゃない。
幸いなことに大きな動きがなかったみたいで、アタシとシンジは胸をなで下ろしたの。
指令のまえで報告を終えた私たちは、ひさしぶりに二人の家に帰って……その夜……その、む、結ばれたってわけよ。きゃー! もう。なに言わせんのよっ。
こほん……ま、そんなわけで晴れてラブラブカップルとなったアタシたちがナルシスホモをぎったんぎったんにやっつけて、さらわれたレイ──そうそう、さらわれてたのよ。どんくさいわねえ──を助け出して、残ってる使徒もあっさり片づけて、めでたしめでたし! ……っていうストーリーがいまから始まるの。
さあ、準備はイイ?
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