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チートな転生者の奏でる『俺の転生物語』原作どこいった!?

作者:虚空
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『管理局との邂逅』

 
前書き
かなり遅くなってしまってすいません!

今回も長くなりました。 

 
前回の次元震から数日が経ち、

「さて……どうしたものかねぇ~」

俺はと言うと、

おそらく近日中に起こるであろう時空管理局との邂逅に頭を悩ませる。

「零 どうしたの?」

そんな俺を心配し声をかけるフェイト。

こうしてると普通の優しい子なんだけどね~。

「う~ん この前の次元震は覚えてるか?」

俺の問い掛けに、

「うん」

コクりと頷くフェイト。

「あの規模の次元震なら多分……いや確実にヤツらに知られたと思ってな」

流石にあの規模の次元震ならレーダーとかの機械に引っ掛かるだろうな。

「ヤツら?」

聞き返すフェイトに対して、

「時空管理局だ」

俺は告げる。

原作でも次元震が観測されてたからほぼ確実に来るだろうな、

あの砂糖の化身が……。

「えっ! 零は時空管理局の存在を知っているの!?」

俺の言葉に驚きを見せるフェイト。

「あぁ 以前ちょっとした事件で知ってな」

まさかあんな形で関与しているなんて夢にも思わなかったがな……。

あの事件は歪みなのかな?

もちろんあの事件はしっかり嘘偽りなく記録して保存しているがな。

交渉や脅しに使えそうだし。

「そうなんだ……」

なにやら神妙な顔をするフェイト。

「とりあえずフェイト」

「なに?」

「出来る限り早く君のお母さんに会わせてくれないか?」

とりあえずプレシアの事を気付かれる前に終わらせたいんだよね。

まぁ 無理なら無理で方法はあるから別に大丈夫だとは思うんだけど、

やっぱり保険は欲しいしね……。

「うん……」

「管理局が来たら確実に犯罪者扱いだからな……」

自分で管理外世界とかほざいといて何を言ってんだかね~。

危険物を一ヶ所に集める方が恐いのに、

場合によってはロストロギアを武力で奪っていく時もあるようだし……これじゃどっちが悪なんだかわかったもんじゃないな……。

「わかりました」

不安げな表情で顔を曇らせながらも了承の意を示すフェイト。

「よし」

これでプレシアと逢う事が出来るな。

次はなのはか……、

「士郎さん達に話すべきなのかなぁ~」

もう 誤魔化すのは無理だろうし。

どちらにしろなのはをヤツらに取り込まれるのは防ぐのはかわらんしな。

未来で起こる可能性が高い『あの事件』も防ぎたいしね……。

「まぁいい……」

勝負は今日の夜だ。

「まぁ とりあえずそろそろ時間だしなのはに会いに行くか」

なんか相談したい事があるって言ってたし。

まぁ 一応ある程度予測はつくんだけどね。

「あの子に会いに行くの?」

フェイトが若干寂しそうな顔をしながら俺に聞く、

最初に逢った時よりも表情が豊かになってきたな。

俺としては好ましい事だ。

フェイトやなのはのような美少女達にはやっぱり笑っている顔が一番だね。

「あぁ 約束があるからな」


「そう……」

「そんな顔するな心配しなくても近い内に全部が終わるさ」

あぁ……そうさ……この悲しい物語を絶対にハッピーエンドにしてやるさ!

たとえ世界の抑止力が邪魔をしようともな!

「うん……」

「さてと……俺は行くとしますか……あぁ それと冷蔵庫の中のプリンは食べていいよ」

「本当!?」

先程の寂しそうな顔から笑顔に変わるフェイト、

なんかこの子最近よく食べてるよな?

まぁ 少食で冷凍食品オンリーよかはまだ良いよね?

冷凍食品ってあんまり食べ過ぎると太るし身体にも良くないしな~(まだ日本製なのが救いではあるが)

もちろん太らないようにカロリー計算や栄養配分はしてますよ。

「うん それじゃあ」

「行ってらっしゃい」

フェイトに見送られながら俺はなのはとの待ち合わせ場所へと行くと、

「いい加減にしなさいよ!!」

何故かアリサがいきなり怒鳴っていました。

「え!? いきなり何!?」

俺が驚いていると、

「あっ……零さん」

すずかが俺に気付き近寄って来る。

「やぁ すずかちゃん一体何があったの?」

「実は……その……」

俺はすずかから今日学校で起きた出来事と何故アリサが怒鳴っているのか説明を受ける。

「なるほどね……」

「えと……その……」

もじもじとしながらではあるが何をしてほしいのかがすぐわかり、

「とりあえず二人を止めて来るよ」

俺は二人を止めるべく行動を起こす事にした。


「お願いします」

すずかは申し訳なさそうな顔をしながらも零に二人の事を頼む。

そして俺は二人の所へと向かい、

「だいたいなのははね!」

「ハイハイ そこまでにしようか二人とも」

二人の間に割って入り、

そして二人は突然の俺の介入に……

「零!?」

「お兄ちゃん?」

突然の事に驚く二人。

「何があったからはすずかちゃんから聞いたから大体はわかっているよ」

零がそういうと、

「大体なのはが悪いのよ!!」

声を荒げながら怒鳴るアリサ。

「…………」

ただじっと口をつぐみ押し黙るなのは、

「まぁまぁ なのはが黙っているのも確かに悪いけどアリサちゃんだって人に言えない悩みだってあるだろう?」

俺はそんなアリサを宥めながらも諭すように言葉を紡ぐ。

「うぅ~ 確かにそれはそうだけど……」

納得はしているものの若干バツが悪そうな表情をしながら言うアリサ。

まぁ 頭で納得はしても心まではそう簡単にはいかないのはある意味当然なんだろうね。

人の心は難しいから。

「アリサちゃんはなのはが心配だから聞きたいんだろうけど、なのは は なのはで余計な心配をさせたくないから何も言えなかったんだろ?」

この子も優しい子ではあるんだけどいかんせん気が強いのが少しネックなんだよね。

俺の問い掛けに、

「うん……」

「そうよ……」


コクリと頷く二人。

「まぁ アリサちゃんには悪いけど今回はなのはが自分でどうしたいのかどうするのかを決める必要があるからアリサちゃんには話せなかったんだよ」

「零も関係してるの?」

アリサが俺に問い掛ける。

「まぁね」

俺はそれを肯定する。

「そう……」

「詳しくは言えないんだけどね今なのははある女の子と友達になりたいんだ」

俺は所々をごまかしながらアリサに説明する。

「女の子?」

「とても複雑で重い問題を抱えた女の子でね」

自身の存在も今の在り方も不安定で一歩間違えれば闇へ堕ちてしまっても不思議ではない……、

お節介かもしれないがやはり光射す場所で彼女は生きるべきだ。

「…………」

「どうしてもお互いにすれ違ってしまって傷つけ合ってしまったり、上手く話せなくてどうすればいいのかがわからなくなっているんだよ」

まぁ 単純にフェイトが人とのつきあい方を知らないだけなんだけどね。

「そうなの? なのは?」

「うん……」

アリサの問い掛けにコクリと小さく頷くなのは。

「だから今回のように不安になっているんだ」

「そう……」

「ごめんねアリサちゃん……」

若干涙を浮かせながらアリサに謝るなのは。

「べつにいいわよ……アンタがなんでそんなに悩んでいるかがわかったから……でもね……」

「え?」

「アタシ達は友達でしょ? アタシはね! アンタが何も話さないから怒っているわけじゃないのよ!」

「ッ!?」

「アンタがなんでもかんでも一人で抱え込もうとするから怒ってんのよ!!」

「確かにね……」

原作でもそうだったけど幼少時の一人で過ごさなければならない時間があったせいか、人の悩みなどは聞いても自分の事はなんでもかんでも一人でしょい込もうとする癖が目立つよな。

桃子さん達も翠屋の営業で忙しかったせいでなのはにかまってやる時間がほとんどなかったのも一つの原因ではあるが、

その時の自分は良い子でなければならないという半場強迫観念にすら近いものが幼い精神を苦しめていた事により今でも影響が出てしまっているのは困りものだ。

「前も言ったよな一人で抱え込む必要はないって」

俺が言えた義理ではないが……できるならこの子の重荷を減らしてやりたい。

「…………」

ただ黙るなのは。

「それは確かになのはの悪い癖だよ」

「そうよ!」

「俺にとってもアリサちゃん達にとってもなのはは大切な存在なんだよ、だから頼ってほしいんだ」

俺は諭すようになのはの頭を優しく撫でながら言う。

「だからね、なんでもかんでも一人で抱え込まず苦しいなら頼っていいんだよ」

そんな俺の言葉に、

「ごめん……なさい……」

小さく絞り出すかのようにポツリポツリと言葉を出し、

倒れ込むように零の胸抱きつき顔をうずめながら謝るなのは。

「ハハ……なのはは相変わらず泣き虫だな……」

出会った当初からそこだけはあんまり変わらないな。

「あぅ~」

恥ずかしそうに顔を赤らめながらも零から離れようとはしないなのは。

「まぁ なにはともあれ近い内に全部終わらせようか」

そう……悲劇をハッピーエンドに変えてね。

自分勝手な考えではあるがあの家族は救われるべきだと思っている。

どんな方法であろうともね。

「うん……」

「ちょっとちょっとなのは! なに良い雰囲気になってんのよ!?」

若干シリアスな場面であったのだがそこにアリサが入り場の雰囲気が変わる。

「にゃっ!?」

「アハハ」

「まぁ いいわ 深くは聞かないであげるわよ……」

「ありがとうなの アリサちゃん」

礼を言うなのは。

「そ・の・か・わ・り」

声を荒げながら凄い剣幕で迫るアリサ。

「全部が終わったらアタシ達にもちゃんと紹介しなさいよ」

アリサの一言に、

「わかったの!」

力強く頷くなのは。

「これにて一見落着かな?」

とりあえずこの場が落ち着いたのですずかちゃんを呼ぶとしますか。

俺はすずかちゃんのいる場所へと歩きケンカが終わった事を伝える。

「そうですか」

「まぁ 終わり良ければ全て良しってね」

「フフ そうですね」

俺の言葉に笑いながら相槌を打つすずか。

「まぁ とりあえず近い内に終わるからその時にね」

「わかったわよ……」


その後俺となのははアリサ達と別れてなのはの家に行き、

なのはの部屋にいるユーノを交えて今後の事について話し合う。

「まぁ 今までとやる事は変わりないんだけどね」

「そうですね」

「フェイトちゃんとちゃんとお話したいの……」

その後色々と今後の事を話し合うなか、

「今夜あたりがヤマなのかもな」

俺はボソりと呟く。

「お兄ちゃん?」

そんな俺をなのはが不思議そうに見る。

「なぁ なのは……」

「なぁに?」

「実はな、近い内に士郎さん達に魔法の事を話そうかなと思っているんだ」

流石に隠し続けるのも限界があるし。

何よりもあの人達異様にカンが良いというか……なんというか。

「え?」

「なのはは気付いていないかもしれないがお前が真夜中に抜け出しているのはバレてるぞ」

「本当なの!?」

「何回か聞かれた事もあるしな」

「そうなの?」

「あぁ 上手くごまかしてはいるがバレるのも時間の問題だろうな」

なんとかごまかしてはいるけどなんとなく気づいているのは間違い無いだろうな。

「…………」

「まぁ……その時は俺もちゃんと説明するから心配するな」

「うん!」

「とりあえず今夜も騒がしくなりそうだな」


そして時間は夜へと飛ぶ。

真夜中の海鳴臨海公園にて、

「チィ! 生意気にバリアーなんて張るのかい!?」

アルフは舌打ちをしながら声を荒げて悪態をつき。

「クッ!」

フェイトは応戦しつつも苦し気な声を出す。

結界の張られた空間にてジュエルシードを宿した木の化け物と戦っているフェイト達の姿があった。

「フェイト! 危ない!!」

ー襲ー

フェイトに突然木の枝が襲い掛かる。

「キャッ!!」

突然の予期せぬ奇襲によりフェイトに衝撃が……、

ー斬ー

「間一髪ってやつかな?」

伝わる事はなく突如現れた零の持つ双剣によって枝は全て切り裂かれていた。

「アンタ……」

アルフが何かを言おうとするが、

「話しは後だ……」

俺はすぐさま紅い槍を創り、

槍を振るい迫り来る枝や砂利などを払い落とす。

「とりあえず あの うっとうしいバリアーは俺が壊すからお前達はそのあとアレを仕留めろ」

零が二人に指示をだすが、

「う~ん アレ相手じゃアタシは火力不足だね」

アルフが困ったように言ったその時!

「お兄ちゃん速いの~!」

タイミングよくなのはが現れる。

「よし! とりあえずアレは俺が抑えるからお前達でトドメを頼む!」

俺の指示に一瞬お互いの顔を見る二人だが、

「はいなの!」

「うん」

素直に従う二人、

うん 素直でよろしい。

「『破魔の紅薔薇』(ゲイジャルグ)!!」

俺は構えた槍の真名を解放し、

ー投ー

「突き破れ!」

渾身の力で投擲する。

投擲されたソレは敵の張る硬いバリアを、

ー粉砕ー

パリンッ! という薄いガラスでも割るような音をたてていともたやすく貫く。

「ウソだろ!? あんな硬いバリアを簡単に貫いた!?」

驚くアルフを無視し、

「今だ! アイツを撃ち抜け!!」

俺はなのはとフェイトに指示を出す。

ー砲撃ー

「『ディバインバスター』!!」

「『サンダースマッシャー』!!」

桜色の砲撃と黄金の雷が木の化け物に命中し撃ち抜く。

撃ち抜かれた化け物からジュエルシードが現れる。

俺はジュエルシードを持ち、

「さて……ある意味恒例のジュエルシードを賭けた戦いをだが今回は俺が預かっておいてもいいか?」

二人に聞く。

「わかったの」

「今回は零とその子のおかげで倒せたからいいよ」

そう言って二人が納得しかけたその時突如水色の魔法陣が現れる。

出やがったよ、

そう……、

「ストップだ! ココでの戦闘は危険過ぎる」

どこからか突如現れた黒い装備に身を包んだ真っ黒クロ助が現れた。

いや……空気読めよ……、

今戦闘終わって無事に終了するとこだったのに混ぜっ返すなよ!

「僕は時空管理局執務官 クロノ・ハラオウンだ! 詳しい話しを聞かせてもらう!」


叫ぶKYを無視し俺は右目に機械で出来た片眼鏡のような物を着け。

「十万、二十万……まだ上がるだと!?」

とある数値を計る、

それは……

「う 嘘だろ!? 五十三万KYだと!?」

突如片眼鏡から煙りが噴き出し始め、

ー破砕ー

パァンッ!っと片眼鏡が小さく爆発する。

「KYスカウターがぶっ壊れるなんて……」

マジかよ?

コイツどんだけKYなんだよ!?

違う意味で驚く俺をよそに、

「管理局だって!? 撤退するよフェイト!!」

「うん!」

慌てて撤退しようとするフェイト達。

「逃がすか!!」

しかしKYは青い魔法弾をフェイト達に放つ、

青い魔法弾はそれなりの威力のようでおそらくは非殺傷設定にされてはいるであろうがこのまま当たれば怪我をする可能性が高いだろう。

「フェイトちゃん!?」

なのははフェイトの名を呼びその身を案じ。

魔法弾はフェイトに迫るが、

ー砕ー

「危ないな~」

フェイトに迫る魔法弾を俺が放った魔法弾で相殺する。

「アンタ……」

「今のうちに速く撤退しろ」

俺は二人に撤退するように言う。

「ありがとう……」

頭を軽く下げてから撤退する二人。

「貴様!!」

いきなり怒鳴るクロ助。

「なにか?」

「貴様が行ったのは公務執行妨害だ!!」

「ほぅ? 公務執行妨害ねぇ おかしな話しだ、この地球において管理局などという組織は存在しないのだが? そんな組織に公務執行妨害などあるはずがあるまい」

実際問題この世界が『管理外世界』である以上は罪に問われる事は『管理局』という存在この世界が認知されない限りは無いだろう。

というかむしろこいつらの方が犯罪者じゃないのか?

管理外世界とはいえ勝手に侵入して管理世界の管理局がかってに定めた法律を振りかざすのは不味いんじゃないのか?

「ふざけるな! 魔法を使っていて管理局の存在を知らないわけなどあるはずがないだろ!?」

頭に血が上がったのか声を荒げながら言う。

「憶測で物事は語らない方がいいぞ乱入者君」

魔法を使えるからって誰もが知っているわけではないと思うぞ。

それにそれぞれの世界で独自発展をとげた魔法などがあるはずだしね。

「なっ!?」

自分の中の常識が正しいとでも思ってんのかこのクロ助は?

「なんなら公共の場で公務執行妨害だと言い張るか? 放送関連に伝があるから紹介してやろうか?」

わざと嘲るように挑発していると、

俺に向かって剣の形をした魔法弾が飛んで来る、

俺は軽く横にズレてかわす。

「おやおや 言葉で勝てないからといって暴力で答えるとはねぇ、管理局っていうのは随分と物騒な組織なんだな」

経緯はどうあれ仮にも執務官であるコイツから先に攻撃を仕掛けても問題はないのか?

まぁ そうなるように誘導した俺が言えた義理ではないがな。

「これ以上話していても時間の無駄だ貴様を逮捕する」


逮捕ってのは正当な理由がなければ無理だろうが、

だがまぁ。

「フフ この時を待っていたんだよ」

俺は近くで待機している千歳に念話を飛ばす、

恐らく今の俺の顔は某夜神さん家の月君並みに黒い笑顔をしているんだろうな。

正に『計画通り』ってな。

『しっかり記録しているな?』

『もちろんです』

『なら引き続き記録を頼む』

『了解しました』

こちらから先に手を出せば負けだがアチラから先に手を出したなら後々脅しにも使えるしな。

「遊んでやるよ三下」

「ほざけ!」

いくつもの魔法弾を撃ってくるクロ助だが、

「遅い遅い」

俺は双剣を創り、

迫り来る魔法弾を全て切り裂く。

「これが執務官とやらの実力か? 正直がっかりだよ」

俺は心底がっかりしているように大袈裟にジェスチャーを交えながらなお挑発を続ける。

「これなら!『スティンガーブレイドエクスキューションシフト』!!」

無数の魔法剣を造り零に向かって放つクロノだが、

「無駄! 無駄! 無駄ァ!!」

俺は異形の能力である『ザ・ワールド』を出現させ自分に向かって来る魔法剣を全て弾く。

「なぁ!?」

自分の大技を防がれ驚愕するクロノ。

「どうした? それが全力か?」

それをさらに挑発する零。

「ぬかせぇ!!」

怒りをあらわにしたクロノは、再び無数の魔法剣を造り、

「『スティンガーブレイドエクスキューションシフト』!!」

射出されるが……

「狙いがあま……なっ!?」

怒りのあまり狙いの甘くなった数本の魔法剣が目標である零から逸れ、

「えっ!? キャア!?」

なのはのいる場所へと迫る。

「間に合え!」

俺は瞬時になのはのいる場所へテレポートし、

「砕け散れ!」

『支配者』の力を宿した右腕を前に出し迫る魔法剣を全て砕く。

パリンッ! というガラス砕けたかのような音をたてて砕けた魔法剣が地面に落ちた瞬間塵のように消える。

「キサマ……」

俺は明確な殺意を孕んだ視線をクロノに向かって飛ばす。

「俺はともかく無抵抗のなのはに傷をつけようとした以上タダで済むと思うなよ……」

「犯罪者達に僕は義務を行使しただけだ!」

明確な殺意を孕んだ視線を受け若干震えながらも言うクロノ。

いい度胸してんな、

「徹底的に叩き潰すか……」

「なにを言っt」

クロノが何かを言う前に俺は瞬動で近付き、

「オラァッ!」

腕力にものを言わせてバリアジャッケットの防御力を抜いてクロノを殴り飛ばし空中に浮かせ、

「グボァッ!」

「『我に触れぬ(ノリ・メ・タンゲレ)』!!」

マグダラの聖骸布で縛り上げ能力を封じ、

「な! なんだコレは!? 魔法が使えない!」

魔法が使えない事に混乱するクロノを無視し、

俺の眼は普段の紅い瞳から三つの勾玉が組合わさったのような『巴』の形をした眼の『写輪眼』へと変貌し、

そこから更に六亡星の形へと変異し、

「『月詠』」

この眼の時にのみ使用できる瞳術『万華鏡写輪眼』でクロノの精神を幻術空間へと引きずり込み、

「ココはどこだ!?」

朝と昼と夜の空の色が混じり合ったような色の空間に十字架に張り付けにされたクロノが叫ぶ。

「ようこそ我すばらしき幻術空間へ」

「なんなんだこの異様な空間は!?」

「なぁに……たいしたことはない……ただの幻術さ……」

「コレが幻術だと!?」

「ただし……」

突如一本の剣が現れ、

ー刺ー

「グアァァァッ!!」

クロノの腹に突き刺さる。

「痛みなどの感覚はしっかりあるがな」

零がそう言った次の瞬間、

ー現ー

「どこから……そんな……大量の剣を!?」

いつの間にか零の背後には無数の剣群が並んでいた。

「これから24時間の間この剣群に刺し貫かれるがいい」

三日月のように大きく歪んだ笑みで言い放った次の瞬間、

いくつもの剣によって身体を貫かれ続けるクロノ。

「ギャアアアアアッ!!」


現実世界での数秒後では、

何故かクロノは尻を高く上げピクピクと痙攣させながら気を失っていた。

何があったかは語るまい。

そんなクロノに俺は、

「己の不運を嘆くがいい」

某響きあう世界の英雄のキメゼリフをはく。

「あの……零お兄ちゃん?」

「なのは? ケガはないか? どこも痛くないか?」

心配そうになのはに異常が無いかを聞く零。

「大丈夫なの……それより……その子はどうしたの?」

いまだに尻を上げながらぶつぶつと「青いツナギ」がどうとかと呟いているクロノを見てどうなっているのかを聞くなのは。

「さぁ? 悪い『悪夢(ユメ)』でもみてるんじゃないの?」

俺の言葉を不思議そうに首を傾げるなのはをよそに、

「さぁて……いい加減に高みの見物をやめて 出て来たらどうなんだ?」

零がそういった次の瞬間、

ー投影ー

突如空に大きなスクリーンのような物が出現し、

『何故監視している事がわかったのかしら?』

それに映る緑色の髪の女性が質問する。

出たか雌狐が、

俺……この人みたいな計算高い女って苦手なんだよな。

「サーチャーからコチラを見ていた事に気付いていないとでも思ったか?」

まぁ ほとんど『直感』のおかげなんだかな。

『そこまで気付いていたの?』

「これでもかなり勘が鋭いのでね」

『直感A』なら近未来予測に近いからな。

『出来ればクロノ執務官の拘束を外していただきたいのですが……』

「断る! 拘束を外して先程のように襲撃されるの面倒だしな」

『コチラに交戦の意思はありません』

だったら攻撃してきた時にでもクロノを止めればいいだろうが、

まぁ クロノが勝とうが負けようがどちらにせよ俺達の戦力確認という目的は達せられたからある意味アチラの勝ちだとは思うが。

「なら何故先程は攻撃してきたのだ? それともなにか管理局というのは話し合いませず相手をいきなり襲うのが礼儀なのか?」

俺の問いに、

『そ……それは……』

女は言葉に詰まる。

「ましてや偶然とはいえ無抵抗でいたなのはに魔法が向かっても謝りもしないとは管理局とは随分と危ない組織のようだな」

俺はともかく戦闘体制をとっていなかったなのはに危害を加えた時点でアチラに責任はあるはずだ。

『…………』

押し黙る女性。

「そういえばまだソチラの名を聞いていなかったな?」

知ってはいるがここは聞くべきであろうな、

知っているとわかれば面倒事が起きるだろうしな。

『私はリンディ・ハラオウン そこにいる クロノ・ハラオウンの上司であり母親でもあります』

「随分と躾のなっていないようだな?」

『申し訳ありません』

「それは俺ではなく被害者であるなのはに言うべきなのでは?」


『そうですね……なのはさんクロノが迷惑をかけてごめんなさい』

意外な事にすんなり謝るリンディ、てっきりいちゃもんか何かつけられると思っていたんだけどね。

「ふぇ!?」

いきなり謝られた事に混乱するなのは。

『あの……できればコチラで詳しい事情を聞かせていただけませんか?』

「事情を聞くだけか?」

俺は疑いの視線をリンディに向ける。

『もちろんです』

「疑わしいが……まぁ いいだろう……なのはもそれでいいか?」

「う……うん」

「とりあえずはそちらに従うが変な真似をすればどうなるかは覚悟しておけよ」

抜き身の日本刀の如き鋭き視線をリンディに向け釘を刺す。

『わ、わかりました』

そしてリンディに釘を刺した後に、

『千歳 お前は先に戻ってフェイト達の様子を見ておいてくれ』

千歳に念話を飛ばし先に戻るように指示を出す。

『わかりました ところで零様もなのはさん達と一緒に行かれるのですね』

『あぁ さっきの記録したデータはなのはのレイジングハートに転送しておいてくれ俺が必要な時に使うから』

まぁ 牽制として使うつもりだけどね。

『かしこまりました』

念話を切ると同時にこの場から離れる千歳、


しばらくしてから現れた転送ポートのようなものに転送され、

「時空管理局所属艦『アースラ』へようこそ」

リンディから挨拶を受ける。

「とりあえずコレを返すぞ」

俺は肩に担いだクロノを上に放り投げる、

「グホッ!」

放り投げられたクロノは背中から落ち痛みに呻く、

「お兄ちゃん……少しやり過ぎなの……」

なのはに咎められるが、

「俺の逆鱗に触れたこのクロ助が悪いんだよ」

なのはに危害が加わらなければここまでするつもりはなかったんだがな。

まぁ 俺もまだガキだという事だな。

悪びれる様子はなく平然と言う零。

「エイミィ悪いけどクロノをお願いね」

「はい」

エイミィと呼ばれた茶髪の女性がす巻きにされたクロノを引きずって連れて行く。

「ソコの貴方も変身を解いていいわよ」

リンディがそういった次の瞬間、

ユーノの身体が光に包まれ、

「ふぅ……この姿で話すのは久しぶりだね」

フェレットからなのはと同じぐらいの年齢の少年へと姿を変えるユーノ。

「あれ? どうしたの?」

「ユーノ君って人間だったの!?」

予期せぬ突然の事に驚愕するなのは。

「あれ? もしかして初めてだったかな?」

いや……君……ずっとフェレットの状態だっただろ?

「という事は温泉に行った時はユーノは女子風呂に入ったという事か……」

俺が思い出したように言うと、

「えぇっ!? れ、零さん! な、なにを!?」

「ユーノ君のエッチィィィッ!!」

なのはの絶叫が響く。

「な、なのはぁっ!?」

「これからは淫獣ユーノと呼ぼう」

ユーノって二次SSではよく淫獣呼ばわりされとるしな。

まぁ 女の子の部屋で寝泊まりして本人の意思は別にして女湯に入ってりゃある意味当然なのか?

「やめてくださあぁぁぁいっ!!」

腹の底から絞り出したかのようなユーノの絶叫が辺りに響き渡る。

先程のシリアスな雰囲気から急にカオスになる。

「あの……そろそろいいかしら?」

クロノとは違い空気を読んで黙っていたリンディが声をかける。

「ん? あぁ……」

それから艦内を案内されるが艦内クルーの一部が俺達を品定めするかのような眼で見ている事に気づき俺は不快に思う、

なのはもこの視線を感じてはいたがそこまで深くは読めないようで自分たちが注目されている程度の認識しかないようだ。

そんな場所を抜け案内された場所はというと、

「何? この適当にあるもんぶち込んだみたいな部屋は?」

変な所にのれんがぶら下がっていたり、

他にも盆栽などが飾ってあったりなどとかなり適当な配置のされた部屋だった。

「あら? あなた達の住む世界と同じはずなんだけど?」

どこがやねん!

「配置が目茶苦茶だ……」

せめてもうちょい調べてから配置しろよ。

「目茶苦茶なの……」

そんな二人の反応に、

「と、とりあえずお茶はいかが?」

無理矢理話題を変えるリンディ。

そして緑茶を出されたのだが……、

ー砂糖・落下ー

緑茶に角砂糖を数個入れるリンディ。

「「…………」」

その光景をア然として見る二人。

コレが噂のリンディ茶なのかー!?

いや! 緑茶に角砂糖は無いだろ!?

「貴方達はお砂糖は何個?」

「遠慮(する/します)」

「あら? そう?」

まだ抹茶ならわからん事もないが緑茶に砂糖は無いだろ。

たまに麦茶に砂糖入れる人もいるけど俺は無理だな。

「あらいけない、私ったらお茶菓子を忘れていたわ」

まだ糖類を摂るんかい!?

そして出されたのは……、

「最近の私のお気に入りなのよ」

羊羹でした。

よく糖尿病にならんなコイツ。

さすが砂糖の化身。

「とりあえず本題に入らせてもらうぞ」

「わかりました」

「とりあえずはアンタら時空管理局という存在について教えてもらおうか?」

それからリンディは時空管理局がどんな存在かを語るが……、

「………(ほとんど嘘じゃねーか)」

建前や表の活動は評価できるが、

裏で管理局がやっている事の実体を知っている俺からすれば語られる内容は嘘ばかりに思える。

まぁ コレは一部の老害や権力に狂ったアホどものせいではあるのだが……、

「要は世界規模の警察組織のようなものか」

個人的にはあまり納得はできないな。

一つの組織が絶大な権力を持ち強権を振るう……そんなもの納得いくはずもなかろうに。

というか三権分立もなく司法機関が軍事力を持ち政府の発言の低い世界なんて危険極まりないぞ。

「えぇ……簡単に言えばですけど」

「なら、尚更納得がいかないな、説明の中でアンタは俺達の住むこの地球が『管理外世界』だと言ったな?」

「はい」

「『管理外世界』という事はそちらの法律がこの世界に適用されるはずなどなくあのクロノとやらが行使しようとした『逮捕権』や公務失効妨害などは適用されるはずなどないんだがな?」

『管理外』という事はコイツらがこの世界で自由に行動する権利なんて存在しないはずだ。

俺の指摘にわずかに顔色を変えるリンディ。

「その件については不問とします」

何言ってんだコイツ?

「不問? おかしいな先に攻撃してきたのはそちらのハズなんだが? 俺は仕方なく『抵抗』しただけだが?」

「しかし……事実 貴方の攻撃によってクロノ執務官は……」

こちらの過剰防衛を言い訳に自分有利に物事を進めようとするリンディだが、

「レイジングハート……映像を頼む」

『イエス』

俺はレイジングハートに千歳から転送されたデータを映させる。

「動かぬ証拠もあるしな」

どんな状況であれ先に撃った方が負けだしな。

これがまだ俺から攻撃を仕掛けたのであれば話は別だが。

「クッ!」

唇を噛み締めるリンディ。

「さて……ユーノお前からも今回の事について説明するべきじゃないのか?」

「あっ! はい!」

ユーノの口から今回の件について語られる。

「なるほど立派だわ」

関心するリンディ。

「だが無謀でもある」

歩ける程度に回復したクロノが突如現れ呆れる。

回復早えぇなオイ!

アレ喰らったらしばらくは動けないんだがな。

ギャグ補正でも入ったか?

「これよりロストロギア『ジュエルシード』については時空管理局が全権をもちます」

「えっ!?」

リンディの発言に驚くなのは。

「これ以上は君達が関わるべきではないそれぞれの世界に戻って今までと同じ暮らしに戻るんだ」

「でも……」

「次元干渉にかかわる事件だ民間人がこれ以上関わるべきではない」

「まぁ いきなり言われても納得できないでしょうから 今日一晩ゆっくり考えてから後日改めて話し合いましょう」

でたよ俺の嫌いなセリフが!

このセリフってさ……なのはを利用しようとしてるようにしか聞こえないんだよな、

まぁ……それはこれから先に起こる事を知っているからそう思うだけなのかもしれないが、

それはともかく……だいたいなのはのような幼い子供が自分の置かれている立場や自分の行動でどう変化するのかを解るわけがないだろ。

この子まだ9歳だぞ!?

「そうかならば なのは ジュエルシードの事はコイツらにまかせて俺達は帰るとするか」

「お兄ちゃん!?」

俺の発言に驚くなのは。

「えっ!?」

同じように驚くリンディ、

おそらく彼女の頭の中ではすでに俺達が協力する事を前提として作戦を組んでいたのだろう。

まさに取らぬ狸の皮算用といったところだろう。

「それにジュエルシードなんかに関わらなくてもフェイト達には会えるしな」

こうなったら前々から考えていたプランを使うだけだ。

「そうなの?」

「あぁ」

「それならいいの」

意外とあっさり受け入れるなのは。

俺はなのはの手を握り帰ろうとするが、

「待ちなさい!」

リンディが待ったをかける。

「なにか?」

「貴方にはまだ聞きたい事が山程あります、あのクロノを拘束した布やその身体能力について」

俺の能力について問いただそうとするリンディ。

「だが断る!」

いくら俺に大量の能力があるといってもやはりその強さが災いするかもしれない以上は隠しておいた方がいいだろうし、

それに下手したら管理局の連中が来て俺の身体を調べかねんからな、

てか最悪解体されそうで恐いわ。

特にスカさんあたりならやりそうで恐い。

だってあの人マッドだもん!!

「何故!?」

「俺はなのはを利用しようとしたお前を許す気はないぞ! リンディ・ハラオウン!!」

俺の発言に顔を青くするリンディ。

それを理解できないのか首を傾げるクロノ。


「なのはの性格だ……先程のように言えばなのははほぼ間違いなく自ら協力しようとするだろう……」

こんな幼い少女を利用しようとする組織など誰が信用できるか!?

「それに付け込んで協力させようとするような奴に協力する義務も義理もない!」

「それは本当ですか!? 母さん! いや…艦長!?」

「そ、それは……」

さらに顔を青くするリンディ。

「どうせ俺達の魔力を測るような機械ですでに測ってるんだろ?」

そうでもなけりゃなのはのような幼い子供に関わるかどうかなんて聞きはしないだろう。

なのはに魔法の力があっても才能や膨大な魔力がなければおそらくは関わらせる事はないだろう。

「えっ!?」

これにはさすがになのはも驚く。

「そうでもなければ俺やなのはのような子供の手を借りようとは思わない筈だろ?」

この発言でついに青から白へと顔色を変えるリンディ。

「なにか反論はあるか?」

「………」

押し黙るリンディ。

まぁ、俺がここまで策略をぶち壊せばぐぅのねも出ないか。

「じゃあ帰ろうかなのは」

帰ろうとする俺となのはを、

「ま、待って下さい!」


再びリンディが止めるが、

「なのはさんを利用しようとした事については謝ります! 私達としては貴方方のような稀有な才能を持った子を組織に招きいれたいのです……どうか私達に力を貸してください!」

懇願するリンディだが…、

「だが断る!!」

俺はキッパリと断る。

「そんな……」

「幼い少女を利用し自分達の思うように利用しようとした組織に手など貸せるか!」

若干殺意がこもった叫びを放つ零。

いくら万年人材不足だからってな、

こんな少女を使おうとかするなよ…、

本当にヘドがでるよ。

というか今更だがクロノもまだ子供だよな?

「………」

押し黙るクロノ。

「お兄ちゃん……恐いの……」

感受性が強いのか俺の殺気を込めた怒声と気配を恐がるなのは。

俺はなのはを抱きしめ…、

「俺はたとえなのはに恐がられてもなのはを危険なめにあうとわかっている場所に放り込みなどはしない!」

実際原作でも危険地域に派遣されて大怪我してたしな。

まぁ アレはなのは本人のせいでもあるがそれ以上になのはの体調管理を怠った大人達が原因だろう。

「お兄ちゃん……」

抱きしめられた事に顔を赤く染めるなのは。

「じゃあな ユーノお前とはココでお別れだ……」

若干名残惜しいな。
俺はユーノに近付き別れを告げる。

「はい 今まで協力してくれてありがとうございます」

「ユーノ君はアッチに協力するの?」

「うん もとは僕の責任だしね」

「まぁ 無理はするなよ」

今まで関わってきたせいかコイツはそこまで嫌いじゃないんだよな。

「はい」

「あぁ それと……」

俺はクロノに近づき、

「なんだ?」

「なに……先程はなのはに危害が加えられたからとはいえやり過ぎたからなその詫びだ」

クロノに向かって手を突きだし、

「『ベホマ』」

回復魔法を唱える。

クロノの身体が光に包まれ、

「なっ!? 身体が!?」

身体が治療された事に驚くクロノ。

「一瞬で治療されたですって!?」

ほんの一瞬でクロノの身体が完全治癒された事に驚愕するリンディ。

「帰るぞなのは」

「わかったの」

俺はなのはを抱え転移しようとするが、

ー捕・縛・結・界ー

「これは何の真似だ?」

それは突如張り巡らされた結界によって阻まれた。

「危険分子を野放しにするわけにはいきません!」

「か 艦長!?」

予期せぬ母親の突然の行動に狼狽えるクロノ。

どういう事だ? 彼女は計算高い性格をしてはいるが少なくとも突然こんな行動をとるような人間ではなかったはずだ?

突然の事に戸惑いつつも『右腕』を使い結界を破壊する。

「何をしているのですクロノ執務官! 速く彼女達を捕らえなさい!」

「し しかし!」

豹変した母親の指示に狼狽えるクロノ。

「あ~確かクロノとか言ったな?」

「あぁ そうだ」

本来ならばあり得ない状況に困惑しつつも彼の名を呼ぶ。

いや ホントどうなってんの?

「君の母親はこんな性格をしているのか?」

「い いや 違う! かあさ……艦長は普通ならこんな事は……」

言い淀む彼の言葉から思い当たるふしがある事がわかる。

「心当たりがあるんだな?」

「今更だが艦長になった時から少しだけ違和感があった気がする……」

彼は苦々しげに語る。

「クロノ執務官!」

行動を起こさないクロノにイラついたのか声を荒げる彼女。

「精神操作系か? いや……」

まさかとは思いたいが何かの精神操作系が掛かっているとしたら俺よりも千歳を呼んだ方がいいかもな。

とりあえず一度解析してみるか。

その瞬間眼が通常のものから魔眼へと変わる。

ー解析ー

ん? 何だ? 彼女の頭部に何か変な術式が……ん? さらに手に持っているデバイスからラインが繋がっている?

これは……デバイスを媒介に魔法を使う度に術式が自動で魔力回路を伝い精神に影響を及ぼす仕組みか……。

しかも一定条件を満たした時のみ発動するタイプか。

まるでウイルス……いやよくよく考えればコイツらの使う魔法は俺が使う精霊魔法や真の魔法とは違い神秘性が薄くどちらかと言えば科学方面寄りだったよな?

人間の脳も生きたパソコンみたいなものだしさながら精神に寄生するコンピュータウイルスと言ったところか。

「なるほどな……」

解析を終え呟く。

一度千歳を喚びたいところだがこの程度なら術式情報をコピーして今持ってる記録媒体に写せばいいか。

その後に術式の解除か破壊なりすればいいな。

「単刀直入に言う 君の母親精神操作系統の魔法を受けているぞ」

「なっ!? そんなバカな!?」

あまりの出来事に驚きを露にするクロノ。

「まぁ 論より証拠だ」

言葉を言い終わると同時に、

「とりあえず眠れ『ラリホーマ』」

催眠魔法をかける。

「なっ!? なに……を……」

異なる呪文体系故なのかそれとも魔法耐性が低いのか成す術なく床に倒れ伏すリンディ。

「母さん!?」

突如倒れた母親を心配し叫ぶクロノ。

「眠らせただけだ……それよりも……」

俺は『右腕』で彼女の額に触れ、

「鬱陶しい術式だ……」

額に刻まれた術式をデバイスに仕掛けられた術式ごと剥離させて掌に浮かべたままクロノの目の前までもっていく。

「この術式に記されたサインに見覚えはあるか?」

「こ……これは……どこかで……まさか!」

術式の発動刻印として刻まれていたサインに気づくクロノ。

そして術式を適当な記録媒体に記録しクロノに渡す。

「恐らくこの艦の中に裏切者がいるぞ」

俺の爆弾発言で艦内の人間が俺の方を見るが数人ほど反応が遅れた人間がいた。

推測だがそいつらが裏切者というか上層部辺りから派遣された監視と連絡係だろう。

「恐らく今反応が遅れた奴らが内通者だろうな」

「そ そんな……」

「辺境部隊の首輪の監視兼上層部への情報伝達係だろうな」

もうかなり原作とは違う流れだがよくある展開通りならこんなところだろうな。

「まぁ それはさておき」

反応が遅れた奴らに拘束魔法を掛け動きを封じ、


「知っている事をクロノに洗いざらい吐け」

バレないように水魔法『誓約』(ギアス)の魔法を掛けておく。

「後の面倒事はそっちで処理してくれ」

そしてこの後に起こるであろう面倒事を押し付ける。

「じゃあな」

千歳との契約ラインを目印に目標座標を定め側にいるなのはと一緒に力場を拡げ、

「ジャンプ」

空間跳躍を行う。

「バカな!? 時空間に存在するこの船から消えただと!?」

「魔力反応もないなんて……」

「零さんって本当に規格外だなぁ~」

突然二人の姿が消えた事に驚くクロノとエイミィの二人と慣れているのか少し呆れているユーノの姿があった。

そして、

零が瞬間移動をしてから数秒後には、

ー現ー

零の家にいた千歳のすぐそばに移動していた。

「おかえりなさいませ零様」

突如現れたにも関わらず普通に対応する千歳。

「ただいま」

「こんばんわなの」

千歳に頭を下げ挨拶をかわすなのは。

「こんばんわなのはさん」

千歳がなのはに挨拶を返したその時、

「零! 無事だったの!?」

突如フェイトが現れ零の安否を確認する。

「フェイトちゃん?」


突然現れたフェイトの存在に茫然とするなのはと、

「え?」

同じくなのはの存在に驚くフェイト。

やべぇ~! そういやなのはにまだ説明してなかった!

「お兄ちゃん……」

突如なのはから妙な威圧感が現れる、

「ハイィッ!?」

「どういう事かちゃんと O・HA・NA・SHI してくれるよね?」

もしかして魔王フラグたったのか!?

「もちろんです!」

俺はあまりの迫力に何故か敬語で返してしまう。

「フェイトちゃんもいいよね?」

なのはが出す威圧感に恐怖しながら首を縦に振り続けるフェイト。

「とりあえずリビングに行こう」

俺はなのはとフェイトをリビングに連れて行く。

はぁ……大丈夫かな俺? 
 

 
後書き
以前の話を再編集しているうちに大幅に話の内容が変わってしまいました。

もし何かアイデアがありましたら感想にお願いいたします。

次は早めに投稿できるように頑張ります。

感想やアイデアをいただけると作者は狂喜乱舞します。

これからも応援よろしくお願いいたします。 
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