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ワンピース -炎とゴムの姉は虫(バグ)-

作者:nyonnyon
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ドン 宣誓 伊達男!!

 こんにちは、海上レストラン『バラティエ』にて、現在食事中のモンキー・D・アモスです。

 うまいです。 うますぎます。 ここの料理は滅茶苦茶うまいです。 一家に一人バラティエの料理人ってレベルです。
 グラスにワインを注ぎながらマユジ君が色々と料理の説明をしてくれていますが、右から左です。 あと、マユジ君の鼻息が荒いです。

 弟との感動の再開(漫画になれば読者が号泣すること間違いなしですね!!)により、紛れていましたが、私のお腹は一向一揆寸前だったのを思い出しました。
 ただひたすらに目の前の料理をかき込んでいきます。 五人前程度私に掛かればすぐになくなるのだよ!!

 ……だが、

 ……しかし!!!

 私は弟達と違って、頬を料理でパンパンにしたり、周りに撒き散らしたりは一切しない!!!

 『姉ちゃんの食い方は絶対真似できない』と、弟達からは言われ続けております。 がっついたりせず、正しいテーブルマナーで食べているのに、ルフィより食事が早いですからね、私は。

 そうして現在、追加で3人前を頼んだところなのですが、やっとお腹が反乱軍を一歩撤退させてくれました。 ふぅ、やばかった。 今回は真剣に間に合わないかと思った。

 料理が来るのを待っているのは暇なので、ちょっと店内を見回していると、唐突に入口の扉が開けられ、顔色の悪い奴が飛び込んできた。

 ……誰あれ?





 海賊らしいそいつ……ギンが言うには、『お腹がすいているので、ご飯を下さい』とのことらしい。 あれほど鬼気迫る表情だということは、お腹が一向一揆を起こしているに違いない。 間に合わなかったのだ……、ああはなりたくないものである。

 なんだか知らないが店内の空気が悪い。
 そのあと、ドンと呼ばれる多分、船長であろう男を連れてきたことにより、さらに店内の空気は悪くなる。 客の内の何人かは縋るような目でこっち(多分軍服だからだろう)を見てくる人もいる。

 えぇ~、あれだれぇ~、有名な海賊なの? 全然見たことも聞いたこともないんだけど……。 えぇ~と、イーストブルー出身の海賊さんなんだよね? ドン、ドン、ドンっと……。 あ、あった。 海賊艦隊【首領】『クリーク』さんか。
 懸賞金少な!!! ドンとか呼ばれてる癖に2千万も行ってないよ……。 雑魚じゃん。 多分店中の人が全員でかかれば倒せるんじゃない? 今フラフラだし。

 それに私まだ非番なんだよねぇ。 正義コート来てないし。

 などとやってる内に、マユジ君が色々こそこそやってた。 ドンにご飯をあげてる。 店内に悲鳴が満ち、同僚に怒鳴られているが、自分の信念は貫き通すつもりみたいだ。

 優しい子だねぇ。

 手づかみでご飯を食べるドン。

 き、汚い……。 手づかみはいいんだけど、皿からこぼし過ぎだろう……、もったいない。

 ……で、ドン復活。 いきなりマユジ君にラリアットをカマしました。 流石は海賊、卑怯ですねぇ。

 それよりも何よりも驚くべきことがあります!!!


 ……あんな少量のご飯で一向一揆から立ち直るとは……、大きい体なのに以外に少食なのかな?


◇◆◇◆◇


 あれよあれよと言う間に、

 ドン『船をいただきますよぉ』
 従業員一同『そんなことはさせませんよぉ』という話し合いが有り、戦いが始まりました。

 バラティエが変形して戦闘用の舞台が完成。
 ドンが食料を持ち帰り、お腹がいっぱいになった海賊達も盛り上がって来ています。

 そんな、まさに一触即発と言えるところでそれはおきました。



 ――ズパン!!!

 と、言う効果音が当てはまりそうなほど綺麗に、巨大な船(ボロボロではありましたが、大きさだけならかなりのもの)が斬られ(・・・)ました。 と、いうより、この感じはあの人ですね。

「……小物を追ってきてみれば、このような場所に思わぬ大物がいたもんだな、アモス嬢」

 そうですねぇ、偶然って怖いですねぇ。 世界三大勢力の一角を担うミホークさんがこのあたりをうろついているだけでも十分驚異的ですけどね。

 お久しぶりです、と手を振っていると、ちらりとこちらを見て一瞬微笑むミホークさん。 あれは微笑むというより獲物を見つけた時の顔だよね……。
 そんなことより、そろそろ皆さん私をアモス嬢と呼ぶのをやめて頂けませんかね? 海軍上層部の方々や、白ひげのじっちゃんとかもみんな呼ぶんですよねぇ。 もう嬢と呼ばれる年でもないですし……。 ちょっと恥ずかしいんですが……。

 海賊たちが喚きだし、ミホークさんに発砲。 飛んでくる弾を刀の先でそらすパフォーマンスを披露するミホークさん。

 あの程度の曲芸で驚けるなんて……。 やっぱりイーストブルーは平和なんですね。


 それで、あーだこーだがあり、なぜかマリモ君と対決。 ただいまマリモ君と対決し終わりました。

 わちゃぁ~痛そうですね彼、バッサリ斬られましたよ。 生きてますかね?

 お、生きてたみたいです。 小舟に乗せられてますね。 おや? 刀を持ち上げだしましたよ?

 ……。

 ……。

 おろろろろろろろろろぉん。 ええ話やないかぁ。 『もう誰にも負けねぇ。 文句あるか海賊王!!!(`・ω・´)キリ』って、めちゃめちゃ感動的なシーンやないかぁぁああああ!!!
 くそう、様々な苦難を乗り越えて、『姉弟の感動の再開!!!』やった、私とルフィとの再開より感動的とは、あいつやりおるわ。

 ふぅ、涙がちょちょぎれるとはまさにこのことやね。 ええもん見せてもらったわ。

 ミホークさんも満足して帰って行きました。

 で、あのクリークさん、なかなか鬱陶しい人ですね。 ちょっと潰しましょうか……。 なに? ルフィがぶっ(とば)すって? そうかね。 弟の活躍は、姉として取るわけには行くまいよ。

 じゃぁ、おねえちゃんはあの盾男でダメ男とか言ってるパールさんにします。 ん? 伊達男? どこにいるんですか?

「じゃ、とりあえずそこのダメ男さん。 ちょっくらぶっ(とば)しますから、おとなしくしていてくださいね」

 拳を硬く握り締めパールさんに近づく。

「伊・達・男だ!!! オホンッ、鉄壁、鉄壁。 そんな細腕で、このいぶし銀で伊達男、パールさんの鉄壁を打ち破れると? それはやめた方がいいですなお嬢さん。 私の鉄壁は軍船の砲弾すら防ぎますよ」

 余裕の表情で待ち受けるパールさん。 ただの鉄の板に守られているだけっていうのにすごい自信だ。

「鉄壁を打ち破れるか、ですか? はい、1発で仕留めます。 というより、鉄程度で誇られても困りますよ……」

 相手は完全に油断して、私が距離を詰めてもなにもしてこない。 海軍本部中将を舐めてないですかね?

「鉄腕……【拳骨(落ち着かない)乱舞(パンチ)】」

 パールさんの盾の中心に拳を叩き込む。 パールさんは避ける素振りも見せない。

 ドッ!! っと鈍い音が一度響く。

 本当に避けようともしなかった。 こっちとしては、技を何の抵抗もなくたたき込めたので万々歳であるが……。 もうすることはなくなったので、店側に戻る。 何が起きたのか、従業員側も海賊連中も一切分かっていない様子。 ルフィはこの技を知っているので、何やらニヤリとこちらに笑顔を向けてきた。 なるほど、あれをやろうというわけだ。

 店側に戻り、ルフィと頷き合う、

「なぁ、何がどうなってるんだ?」

 マユジ君が問いかけてくる。 あぁ、それはね?

「じゃ、ルフィ分かってるわね?」
「へへッ! 当たり前だろ」


「「そうそう、その打撃(パンチ)、跳ねるぜ」」

 ルフィと示し合わせたかのように、クルリとパールさんを振り返りながら、なぜかこの場に居る全員に聞こえる声で決め台詞。

 ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!!!!

 決め台詞を言い切ると同時に、地鳴りの様な鈍い音が連続して響き渡たる。

 ベコッ!!! と言う効果音と共にパールさんの盾が内側から拳の形で押し広げられていく。 それも無数に、前後関係なくである。 ついで、パールさんのご自慢の盾が、耐え切れなくなったかのように弾け飛び、パールさん自身も吹っ飛ぶ。 そのまま、海に落ちていくパールさん。 もう立ち上がることは無いだろう。 というか、人として生きていくこともできないだろう。

 が、しょうがない。 海賊やってればいつかそんな日が来ることもあるもんだ。

「あの決め台詞を考えるのに、兄弟喧嘩が勃発したのよねぇ」
「あぁ、結局姉ちゃんが勝って一番気に入ってたあのセリフになったんだよなぁ」

「ふふふッ、そうだったわね。 ま、後は頑張ってね」

 海賊達があまりの出来事にあんぐりと口を開けている中、横で準備運動をしているルフィに声援を送るのだった。 
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