異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
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第十三話 にしてまた題名に悩んでいる俺は………!
前書き
更新が遅くなってしまいましたすいません
そしてホントに前書きは何を書けばいいのか……!
「今しがた、決勝の舞台が決定した。それでは皆の者。お手を拝借」
白夜叉が両手を前に出す。倣って全ての観客が両手を前に出す。
パン! と会場一致で柏手一つ。
その所作一つで―――すべての世界が一変した。
*
変化は劇的だった。
春日部耀と風舞証の足元は虚無に呑み込まれ、闇の向こうには流線型の世界が数多に廻っていた。
(これは白夜叉の………世界だっけ?)
激しいプリズムを迸らせながら、二人は星の果てに投げ出された。
「この樹………ううん、地面だけじゃない、此処、木の根に囲まれた場所?」
「ん……つまりは地下っていうことか?」
コクリと頷く耀を尻目に、対戦相手へと向きなおる。
アーシャは横に立つジャック・オー・ランタンと共に臨戦態勢に入るがそれを手で制す。
「待てよ。別に俺は戦うわけじゃない」
「………何でだよ?」
「俺がいなくても勝てるし?」
ピキ、と致命的な音を出して襲いかかろうとするが、耀が小声で制す。
「まだ始まってない。……証も煽らない」
「む、すまん……お?」
突如、二人の空間の間に亀裂が入る。
亀裂から出てきたのは輝く羊皮紙を持った黒ウサギだった。
黒ウサギは"主催者権限"を淡々と読み上げる。
『ギフトネーム名 "アンダーウッドの"迷路
云々
「――――"審判権限"の名において以上が両者不可侵であることを御旗のもとに契ります。どうかお二人とも誇りある戦いを」
黒ウサギの宣誓が終わる。それが開始のコールだ。
二人は距離を取りつつ初手を探る。そんな中、耀が探るように尋ねる。
「貴方は………、"ウィル・オ・ウィスプ"のリーダー?」
「え? あ、そう見える?なら嬉しいんだけどなあ♪ けど残念なことにアーシャ様は」
「そう。分かった」
「行ってらー」
耀は会話をほっぽり出し、背後に疾走した。
「え………、ちょ、ちょっと………!?」
自分から投げかけたにも関わらず、話の途中で逃げ出した耀。アーシャはしばし唖然とする。
「オ……………オゥゥゥゥゥケェェェェイ!! そっちがその気なら手加減なんざしねえ! やっちまうぞジャック!」
「YAHOHOHOHohohohoho!!!」
証がツインテールを逆立たせて猛追するアーシャを見ていると、
「貴方は」
「ん?」
カボチャが話していた。
「………喋れるのか」
「ええ、それよりも貴方はこのゲームに参加しないのですか?」
「? ああそうかな?」
それが何か? と尋ねる。
「まあ、良いでしょう。それでは勝たせてもらいます」
「さて、どうだか」
ジャックに聞こえないように呟く。彼も問題児であることは変わりない。介入する気満々で準備運動なんかを始めていた。
▽
「いざ来たれ、己が系統樹を持つ少女よ!聖人ペテロに烙印を押されしこのジャック・オー・ランタンが相手をしましょう!」
御旗を掲げ宣言するジャック。それを前に春日部耀は、
(不死………か、だったら多分壊せないよね)
それを無しとしてもあの瞳はこのギフトのことも看破しているだろう。耀は己のギフトを見つめ―――――
「なら、―――――俺の出番かな」
そんな呟きが聞こえた。
「え?」
「何と!?」
ドゴォオン!! と春日部耀の真横を何かが通り過ぎた。その瞬間、耀を包囲していた炎が全て凍った。
「う、嘘!?」
「嘘じゃないぞ?」
そう言って穴を開けた木の根から飛び出してくる証。それを信じられない様子で見つめる耀。
「………どうして?」
「俺も参加したくなっただけだ。まあ、それに――――」
「それに?」
少し躊躇ったあと、聞き取れないような小声で、
「女の子が傷付くのを見るのはもう嫌だからなあ」
そう言ってジャックへと向き直る。
「先に行って。こいつは抑えとくよ」
「……分かった。………頑張って」
「おうよ」
耀は証の後ろを走り抜けアーシャをその様子をじっと見ていたジャックが責めるように証に尋ねる。
「貴方は参加しないのでは?」
「そんなこと言ったっけ?」
悪びれすらしない。ジャックはカボチャ頭を少し揺らして、
「別に貴方に構う義理は無いのです、それでは」
「行かせるとでも?」
そう言ってククリをジャックの影に投げつける。すると、今にも瞬間移動しようとした彼の体が動かなくなる。
「な、何と!?」
「"影縫い"。まあ、技みたいなもんだ」
木の根へと飛び上がり、新たな武器を構える。その様子をみたジャックは彼への認識を改めた。
「なら、少し本気で行きましょうとも」
「そうか、なら俺もそうしよう」
業火を秘めたランタンを両手に構えるジャックと片手に四本ずつ計八本の投擲剣を構え、激突した。
――――境界壁・舞台区画。"火竜誕生祭"運営本陣営
「これは……また、凄いわね」
飛鳥がしみじみと呟く。証とジャックの戦闘は凄まじいものだった。
ランタンから業火を放出するジャックと投擲剣を無数に投げ続ける証。彼らの通った場所は無残にもいたるところが焼け焦げ、剣が突き刺さっていた。
その様子を面白そうに眺める白夜叉。
「ふむ、あの小僧のギフトは奇妙だの」
「そうなのか?」
うむ、と頷いて扇子を広げる。
「考えてみよあの大量のナイフと剣は一体どこから持ち出しているというのか。無から発生させることなど人間にはできん」
「た、確かにそうだわ。ならどうやって」
あれだけの量を投げ続けられるというのか。十六夜がヤハハと笑いながらギフトについて推測する。
「殆どの武器があいつの作った物ならあり得るんじゃないか? 鍛冶もできるって言ってたし」
「だとしたら………、一体どれだけ作ったのかしら………」
なんとも言えない表情で呟く飛鳥。あれだけ遠慮無く投げていると言うことはまだ予備が大量にあるということだろう。
そして、完全に主役が代わってしまっていたために気づかなかったがギフトゲームはひっそりと終わりを告げた。
――――"アンダーウッド"大樹の樹の根・地下。
ギィン!! と証の投げた投擲剣は弾かれる。が、ジャックのカボチャ頭は所々が壊れ、手数では圧倒的に証の方が勝っている。しかし戦いは完全に拮抗してしまった。
理由の一つはジャックが不死であること、そしてもう一つが
『ゲームのクリアは登録されたギフトの保持者の手で行う事』というルールである。これがあるために証はジャックを破壊していいのか分からず、間合いを開けるに留めている。
「くそ、不死が面倒だな。気絶とかしてくれればいいのに」
「ヤホホ、そうするとアーシャには手に負えないでしょう。付き合ってもらいますよ」
「あれ、俺が足止めされている感じ?」
首を傾げた瞬間、ゲームは終了した。
『勝者、アーシャ・イグニファトゥス!!』
「あ」
ゲームの決着がついた瞬間、会場はガラス細工のように砕け散り、円状の舞台に戻ってきた。瞬間、
ガラガラガラ!
と、証の投げた無数の剣が落ちてきた。
「やべ……」
慌ててギフトカードに投擲剣を仕舞う。すると春日部耀が証に謝った。
「ゴメン、……結局勝てなかった」
「ん、気にしなくていいよ。けど今度は頼ってくれると有難い」
「けど、あなたの方が目立ってたよ?」
「それはマジでゴメンナサイ」
そんな話をしているとジャックが近づいてきて耀に話しかけたのでその場から離れる。
ふと、上を見上げ――――
後書き
どうでしたか? かなりチートな戦闘能力ですが、他の作品に比べればまだ……。
投擲剣はそのままですが、FATE/の黒鍵を想像していただければいいと思います。
次は魔王戦です! どうかお楽しみに!
感想を頂けたら幸いです。
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