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ファイアーエムブレム~ユグドラル動乱時代に転生~

作者:脳貧
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第二十五話

 
前書き
たくさんのお気に入り登録ありがとうございます。

拙作へのお付き合いありがとうございます。 

 
 ……俺の発言のあと、戦術の技術上の問題が(窪地とそれを利用された塹壕戦)まずは議題にかけられ、兵站の問題点や占領後の課題なども議論されはじめた。
 ここまでの作戦を立てた参謀のチームは引くに引けず、財政的に苦しいレンスター以外の各国はこれを機会に出兵取りやめもしくは規模の大幅縮小を狙い、互いに議論の応酬で会議は膠着してしまった。
 出兵でまとまっていた四国の足並みは乱れてしまったのだ。


 「俺は本当は度し難い愚行を犯したのかもしれない…」
 俺は報告を誰にもしなかったがトラバントは深手を負っていて、彼の腹心の部下も幾人かレイミアが切り捨てており、もし出兵した場合それなりの戦果が上がる可能性は充分ある。
 ……思ってはいたが、全面戦争になったら両国の溝は埋めようが無いとか、上げた戦果を長く保つのは難しいというように自己正当化していただけではないだろうか。
 なんのことは無い、戦場に近くなるであろうレイミアと暮らした村の村人達を戦禍に遭わせたくないという自分勝手な想い、ただそれだけなんだろう……。
 今回の北部連合の作戦が大成功し、もしかしたらトラキアが統一されるのかもしれない、このままだらだらと南北で対立し続けいびつな関係が10年20年と続いたらより多くの人が不幸になるかもしれない。
 それなら……と、ずるずると考えていた……



 「ゆーくんが何か言ったって、決めるのはここのオサーン達ですしw自分の言ったことで国が動くなんて思いこみwうぬぼれすぎwワロタwww」
 ……アイツが居たらこう言ってくれるかな、そうだよな……そう思い込ませてくれたアイツに少しだけ感謝して俺は少し心を楽にした。



 この日は結局何もかも先送りになった。
 翌日は、俺の帰還によりトラキア王国への援助を切るとしてそうなると出兵の規模もまた変わるだろうなどと意見も出たり、コノート王国からはレンスターに対して議決票の返還と補償金の打ちきりの打診が控えめに出される等の違うアプローチからの議論となった。
 コノートからの要求は概ね受け入れられたが、俺への慰謝料として毎年少しずつコノートからレンスターへの資金供与は続くらしい。

 結局のところ、攻め込む場合は例のミーズで主力を引き受け、ターラの協力を受けて機動戦力で一気に踏みつぶすという方針を採用しつつ、食糧援助では無く有償での売却ならば応じても良いという結論になった。
 実際のところターラなどの自由都市が北トラキアの食糧をトラキア王国に売る場合、最大5倍の差額で売っているという情報もあり、それなら倍や3倍程度の価格でトラキア王国に売った方が相方の益となるからであろう。
 ただ、その場合北トラキア連合の兵をターラにあらかじめ潜伏させておく協力は取り付けにくくなると思われる……。



 俺はここ数日アルスターの代表団と共に過ごしていたのだが、会議が散会したので数日ぶりに我が家へと帰ることになった。
 コノモール伯爵は想像以上の成果だと俺に言ってくれた。
そう言われるとありがたいが、やはり本当によかったろうかという思いもある……。


 「おかえりなさい。やっぱり、城は落ち着くでしょう?」
 エスリンねえさまが迎えてくれた。

「ただいまもどりました」

「今日はゆっくりやすみなさい」
 俺は頷いてからねえさまに礼を述べると自室へとゆっくり向かった。
 部屋に戻ると、俺はすこし(しお)れた植物達に詫びると水をやり寝台に潜り込んだ。


 どんな夢かわからないが夢を見ているなーと思っていたら目が覚めた。
 寝台の隣に椅子を持ち込んで兄上が座っていた。

 「目覚めたようだな。よくやったよお前は」
 兄上は寝たままの俺の頭を撫でて、微笑を浮かべた。

 「とんでもない……せっかくの兄上の初陣の機会を奪い、申し訳ありません…」

 「そんなもの、これから何時だって機会はある。だから今は自分を誇っていい。お前の話を聞かせてもらうまで、わたしはトラキアの者たちを薄汚いハイエナとさえ思っていた、わたしは彼らを見下していたかもしれない。目を覚まさせてくれて感謝するよ」
 兄上は俺の頭を撫で続けていた。

 「兄上……」





 夕餐の席に俺は兄上と共に向かうと、ねえさまは既に座しており俺たちににっこり微笑んだ。
 もう踏み台なんて必要の無い俺の席。
 それに座り、ぼんやりと父上を待っていた。

 やがて父上もやってきて、みな挨拶を交わす。
 そうしてややぎこちなく俺たちは食事をはじめた。
 エスリンねえさまが気を使って話題を出しても二言三言続くと会話が途切れる。
 ……俺のせいだな、それならば意を決して……

 「父上…」

 「ん、ミュアハよ、わしのほうからも話があるが先に良いか?」

 「もちろんです」

 「すまんな、あぁキュアンもエスリンどのも聞いて欲しい。 来月かその次か、わしは北のイザークへ旅に出る。息子のお前たちばかり旅に出てずるいからな」
 父上は笑って

「えぇええぇ!?」
 俺も兄上もねえさまも驚きの声をあげた。

 「半分はたわむれとしても、半分は真だ。もう3~4年前からオードの裔より招きの使節があってな。
 旧交を温めるというやつだ。
 キュアン、そしてミュアハや、お前たち二人ならもうわしが留守にしても大丈夫だろう。
 本当に困ったらドリアスなりを頼るといい。そしてエスリンどの、わしの自慢の息子らだがすこし寂しがりの癖があるので、たまには甘やかしてやってほしい。」
 機嫌良さそうにワインを一口空けると

 「半年もかからず戻るからな。みやげでも楽しみにしておくといい。と言っても出発はまだまだ先だぞ。わしが居なくなるからといってすぐに羽目を外すでないぞ」
 そのあと家族で賑やかに、いつものような時間を過ごした。



 翌朝、ねえさまと俺が久々に剣の稽古をつけていると父上が現れた。
 いつもなら朝は馬に乗り早駆けをするのが日課のはずなのにだ。
 練習用の槍を2本持ってきた父上は片方を俺に放ると、

 「キュアンやゼーベイアから、お前もかなりやるようになったと聞くので、一度立ち会うてみとぅなった。エスリンどの、すまんが今朝はミュアハを借りても良いか?」

 「もちろんですお義父さま、みゅぅ君、怪我してもすぐにお姉ちゃんが治してあげますからね」
 ねえさまはにこっと笑うと俺と父上から少し離れた。
 実は、今まで俺は父上に直接稽古をつけてもらったことがなかった。
 これは……俺を一人の戦士として、そして人としても認めてくれたってことなのだろうか。

 「父上!よろしくお願いします!そして、おはようございます」

 「ん、忘れておった。おはよう」

 「では、参ります!」




 晴れた空の下、二本の槍がぶつかり合い乾いた音を響かせた。
 無心に打ちあい、そして心を通わせる姿がそこにはあった。
 
 

 
後書き
キュアンの台詞で<しね、ハイエナども、このゲイボルグあるかぎりわたしは負けはしない!
これ結構気になっていたので補完?しました。
お気に召さない方には申し訳ないです。

 
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