| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

じょーじょーゆーじょー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

                    じょーじょーゆーじょー
「よし、ジャンケンでだな」
「ああ、それで決めるからな」
 俺達はクラスの後ろで対峙しながら言い合っていた、時間は三時間目が終わった後の休み時間だ、次の四時間目が終われば。
 お昼だ、そしてお昼と言えばだ。
「どっちがパンを買いに行くか決めるぞ」
「望むところだ」
 お互いに睨み合いつつ言い合う。
「俺は焼きそばパンだ」
「俺はメロンパンだ」
 それぞれ金は出す、けれどだ。 
 どっちが売店まで買いに行くのかを決める、今はその時だった。  
 俺も目の前にいるこいつも真剣だ、それで運命が決まるからだ。
 一瞬だが永遠みたいな時間が流れた、そして。
 俺は言った、俺からだった。
「一、二でな」
「ああ、お互いに出すからな」
「後出しはやり直しだぞ」
「無効だな」
 このことも確かめ合う、それから。
 俺はこの言葉を出した。
「一、二の」
 ツレもごくりと喉を鳴らした、そして俺の最後の言葉を待った。
「三で!」
「ジャンケンホイ!」
 この言葉は同時だった、俺は勢いよくグーを出した、ツレが出したのは。
 チョキだった、勝負は一瞬で決まった。
 俺はグーとチョキを見たその瞬間に飛び上がって喜んで叫んだ。
「よし、じゃあ焼きそばパンな」
「ちっ、わかったよ」
「なかったらジャムパンかカレーパンな」
「カレーパンかよ」
「そっちは絶対に売れ残るかなら」
 何故かカレーパンは売れ残る、俺達の学校の売店ではそうだ。それで保険で俺はこいつこう言ったのだ。
「ジャムパンもなかったらな」
「ああ、わかったよ」
「四時間目終わったらダッシュで頼むぜ」
「あとジュースはどうするんだよ」
「牛乳頼むな」
 それを頼んだ、パンとそれの分の金を財布から出しながら。
「じゃあな」
「わかったぜ。じゃあな」
 ツレは苦笑いと共に俺の金を受け取った、そしてその四時間目の後で。
 俺達は校舎の屋上のベンチに並んで座ってその昼飯を食った、俺のパンは幸い焼きそばパンでツレはメロンパンだ。
 その焼きそばパンを食べながら俺はツレに顔を向けて言った。
「なあ、昼ってな」
「何だよ」
「弁当食っただけじゃ足りないよな」
 お袋が作ってくれたそれだけではとてもだった、本当に。
「全然な」
「まあな、俺達陸上部だしな」
「食わないともたないよな」
「本当にな、ただな」
「ただ?何だよ」
「いや、最近部活滅茶苦茶走ってないか?」
 ツレはメロンパンをトマトジュースで流し込みながら俺に言って来た。
「どうもな」
「そういえば走る距離増えたよな」
「長距離なりダッシュなりな」
「これでもかって走ってるな」
「部長が練習メニュー変えてからな」
「サーキットトレーニングの分だけ走ってるよな」
「またどうしてなんだろうな」
 言われればその通りだ、俺もふと不思議に思った。
「それな」
「走ることが第一とか思ってかね」
 ツレはふとこんなことを言った。
「それでか?」
「まあ俺達陸上部だしな」
 俺もそう聞くとだった。
「当然か?」
「けれど走る量増え過ぎだろ」
 サーキットトレーニングの分まで走ってるからだ、サーキットは今もしてはいるがその量は確かに減っている。
「まったく部長もな」
「悪い人じゃないんだけれどな」
「結構思いつきで動く人だからな」
「そこがな」
 俺達はお互いに苦笑いになって部活の不平話もした、そして。
 その部活が終わってからも二人一緒に下校しながらだった。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧