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ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士

作者:涙カノ
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第66話 =リクヤVSサウス=

 
前書き

前回の宣言どおり結構展開が速いですww 

 


「にしてもでかい盾だな、それ」

「あなたのその武器に比べればまだ普通の方だと……」

でも、そのカラーリングとかがちょっとしたことを思い出させるのだけれど…。彼女が持っている盾はその鎧と同じく赤を基調としたものだが十字に白い線が入っている。
いうなればあのヒースクリフさんの盾の色が赤と白の逆転したもの…それで間違いないだろう。

「そういえば、まだ自己紹介まだだっけ。リクヤだ、よろしく」

「サウスっていいます」

互いに名乗った後、向こう側からデュエル申請が飛んでくる。これもあの時代とあまり変わっていないものだが1つだけ明らかに変わっているところがある。向こうでは『死』を防ぐために『初撃決着』だったのだがこちらでは『全損決着』…つまりは、正当な殺し合いということだった。思わず息を呑んだがここは死の恐れが皆無のゲーム、ということを思い出しYesに触れてそのデュエルを承諾する。

「………よし」

60秒という待機時間に拳装備と長い自分の得物を確認して集中しなおす。サラマンダー側やシルフ・ケットシー側が何かざわざわとしているが次第にそれも聞こえなくなりカウントのピコン、ピコンという音すらも聞こえなくなった。目の前には盾を構えたサウスが。その光景すらも偶然なのかあのヒースクリフさんの構え方と似ている…盾装備の知り合いがいないから他に比較する人物がいないんだけど…。

…リベンジ戦ってわけ…かな…これは。



そのカウントが0になった瞬間、翅を一気に震わせて特攻を仕掛ける。

「……はぁっ!!」

先手必勝、剣を上段に構えてダッシュするソードスキル『アバランシュ』を模したように一気に近づく。エフェクトなどは発生しないがあの形はがむしゃらに行くよりも有効な攻撃を与えられる。
だが、その攻撃はもちろん通ることがなかった。

「…ん?……っと!」

当たり前だが盾に阻まれた。
何かがおかしいと思ったがすぐさま片手剣での突きが飛んでくるのでそれを退避しつつ左手のアームで弾く。退いたのを追いかけてくるように盾を前にして飛んでくるのを迎え撃とうと刀を振るがこれまた不思議な感覚とともに防がれ、剣が肩を掠め
1割ほどHPが削られる。

「…っ……なら!」

接近しているサウスの顔めがけて拳を繰り出すがそれも、盾を少しずらすことによって防がれる。刀などの剣類の武器では防がれるのかと思い拳でいってみたがどうやらこれも違うらしく違和感が発生して盾へとぶつかった。その違和感の正体かどうか判らないが見えたのは「手ごたえが皆無」。それが今の『アバランシュ』もどきと拳撃を繰り出した結果見えた共通点。

「……っ……なんだよその盾」

上手に攻撃が受け流されている…というわけではないのが今の短い攻防だけでもわかる。だがぶつかった瞬間、攻撃が何か柔らかいものに飲み込まれるかのように吸い込まれて威力を失う…そんな感じだった。

「『イージスの盾』を知らないの?」

「お生憎様、防具方面には疎いんだ。よかったら教えてくれない?」

…まぁ武器にも詳しいってわけじゃないし、その分類くらいしか覚えていない。自分の気に入った剣なら名前とか性能とか簡単に覚えられそうな気がするんだけど…。

伝説級武具(レジェンダリィウェポン)『イージスの盾』のエクストラスキル『ヴァリアブルオーラ』。この盾で受けた攻撃なら全て無効化させる…そういう防具」

「……はぁっ!?」

「驚いている暇は……与えない!」

自分の武器で相手を防御しながら何とか距離を作ろうとするが引っ付いてくるように追いかけてくる。このリーファにありえない、というような目で見られた筋力値なら何でもできると思っていたのにばちが当たったのか、多分一番厄介な相手だ。牽制を使って攻撃…というのはどうも出来ないので大体ごり押しになるわけだが今回に限ってはそれも不可能…。しかも相手は防具に頼って副官という座まで来たわけじゃないらしく、その剣技もすさまじいものだった。剣自体の攻撃力が少ないためなのか的確にダメージを与えようとしてくる。正直それを捌く、もしくは避けるだけでも精一杯だ。

「せぃっ!!」

アスナにも勝るとも劣らない速度の突きが繰り出されてきた。今、右手の剣は盾に阻まれていて攻撃を防ぐことは出来ない。
でも…

「ユカを助けるために…負けるわけにはいかないんだよおっ!!!」

何故幼馴染の名前が出たのかは判らない、でも動きを止めるため掴もうとその長剣に手を伸ばす。が、掴むことが叶わずそのまま左手が空をきった。

「……え…」

その呟きとともに攻撃が大きく逸れたのだ。突然のことに俺も動けなかったがその間、意味のわからない何かの単語をずっと呟くサウス。しばらくしたあと…といっても数秒だが何かが繋がったかのように言葉を口に出した。

「…リク……リクヤ…?」

「そうだってさっき名乗ったじゃん」

「…陸也……君?…た、雄護……陸也………なの?」

何で俺の本名を…と言おうとしたとき、俺の中でも何かが繋がった。デュエル申請したときウィンドウに現れたサウスの英語表記は「South」和訳するとすれば「南」…単純な名前だな、なんてその時は笑いかけたが…。そういえばいるじゃんか、俺の知り合いに同じ音を持つ名前の人が。

「まさか…美菜実…なのか?」

俺が名前を呼ぶとはっきりと目を見開いて驚くサウス。

「……なんでこんなゲームなんてやってるんだよ…」

「こっちの台詞よ……!!どうして…あんなことがあったのに……」

「…っ…それは」

言葉を繋げようとした時、キリトの詠唱が聞こえ完成したかと思うと辺りが黒煙に包まれる。ここで思わずどこかへ行こうとするのは俺のどうしようもない本能なのか、逃げたいという気持ちが強いのか…。翅を震わせて上へと飛ぶ。少し飛ぶと黒煙の塊を抜け、キリトが見たことのある長刀を片手にその場に停滞していた。

「…二刀流か」

「あぁ…リーファのを借りた。一気に勝負を付ける…。そっちは?」

「ちょっと…な」

さすがに言いづらい…今戦ってた相手はリアルの知り合い、それも結構な頻度で会っていた知り合いだなんて…。言いづらそうな顔をしていたらしく俺を見たキリトはそのまま下を見た。するとその瞬間、巨大な怒声とともに煙が払われ大剣を持った男と巨大な盾を持った少女の姿が見える。

「…よし……決着をつけてくる…」

「おぅ、頑張れ」

キリトはニヤリと表情を浮かべると体をまっ逆さまにして急降下し始める。誰かがその姿を見つけたのか声が聞こえてその声に相手の将軍も上を見上げる。と、同時にサウスがこちらへ飛んでくる。

「……さっすが。あの剣技といい、リアルのお前からじゃとても「そんなことは今はいいよ…」…だな…」

「どうして……わたしの世界に…あのデスゲームのあとなのに……」

途中、言っていた『わたしの世界』というのは気になるが……今は、そのことを聞いている場合じゃないだろう。

「あいつを……ユカを救うため……だよ」

「VRMMOが…怖くないの?」

「怖いさ……今でも。あのゲームは終わったはずなのにいまだにHPが0になったら死んじゃうんじゃないかって…さっきのデュエルの『全損決着』を見たときもそう思った…」

「だったら……待ってればよかったじゃない。警察にも相談したり…」

「それじゃ遅いんだよ!!」

突然の声に一瞬体を振るわせるがそれを気にせずさらに口を開く。

「もう…嫌なんだよ…!あいつの病室に行って目を覚ましてるかもって希望を壊されるのも!このまま、手の届かない場所に行くのをただ見てるのも!!」

「…手の届かないところって?」

「結城って名前の人が代表の会社知ってるか…?」

「…レクトプログレスだっけ…。このゲームも、ハードもあの会社でしょ」

その言葉に素直に頷く。そこからは簡単にだけど話していった。内容的には「もうすぐユカが結婚する」というものだったが彼女はそれでも驚いていた。

「…そして、この世界で手がかりを見つけたから……やってきた」

内容を理解してくれたらしく小さく呟いた言葉に頷く。自分でもどうしてこんなにペラペラと話してるのかは判らない。でも話せてるというのは俺が美菜実に隠し事をしたくないって思ってたからだろう。

「…理由もいわずに隠してたのは悪いと思ってる…でも」

「それほど、ユカさんが大事…なんだね」

その言葉に小さく頷く。お互いに戦意喪失…で戦闘終了かなと思ったがそんなことは無く目の前のサラマンダーは改めて剣と伝説級の盾を構えた。

「でも…美菜実としてのわたしは陸也君を助けてあげたいけどサウスとしてのわたしはあなたを倒さなきゃいけない」

「…マジ?」

「うん、マジ。隠し事されてたっていうのもちょっとムカつくしね…。練習やらないって言った時も理由全然言ってくれなかったし」

ニコニコと笑いながら怖いことを言う人だなこの人は…。だが、中途半端で終わるのも俺は嫌なので決着をつけるのには同感なのでサウスに苦笑いしながらウィンドウを操作し両手に装備している拳装備を外し、もう1つの武器を開いている左手に装備する。すると、左手に剣がオブジェクト化された。

「……懐かしいな、この剣も」

その剣は最後の戦いのとき、キリトに渡した両手剣キャリバーン。あのときに文字化けしているものは全て消去しヴォルトの初期にしたはずなのだがユイ曰く、共通するデータだからなんやかんやらしい。…ユイの説明は途中から、というか結構序盤で頭痛くなって聞き流してたけど…。

「かたっぽ違うけど……双・大剣士リクヤ、飛ばしていきますか!」

再度翅を震わせて、特攻を仕掛ける。左を前に突き出す形『ダブル・サーキュラー』の逆の構えだ。サウスはそれを盾で防ぐが、今度は先ほどの違和感は発生せずに押し切り盾を上へと弾き上げる。

「…くっ」

がら空きとなったわき腹に太刀をつきたてようとするが険しい顔をしたサウスの長剣で起動をずらされ掠る程度になった。でも初めてダメージを与えることが出来た。そして攻撃はまだまだ終わらず、キャリバーンで斬り上げその間に戻した太刀で斬り下ろす。テイルズでは多くが特技に分類されている技『虎牙破斬』。このおかげでさらにHPを削ることに成功した。

「……まさか、君も伝説級武具持ってるなんてね……本当にALO初心者?」

一瞬の隙を突かれ、距離をとったサウスが口を開く。

「一応、な。…それよりも伝説級って……この武器がか?」

「聖剣キャリバーン…魔剣グラムの同等の強さを持つ両手剣。エクストラスキルはエフェクトキラー」

「なるほどね…そのスキルがその盾の効果を殺したってわけか…」

まさかそんな驚きなスキルがこの剣に隠されていたとは…SAOのときはそんなもの考えたことすらなかったからな…もともとALOで新たに設定されたシステムかもしれないけど。

「……ドロート!!」

「おっと!」

どうやらリーファ並の高速詠唱らしく詠唱が聞こえたかと思ったらいくつも火球を出現させこちらへ飛ばしてくる。だが、速さはそれほど無くルグルーで見たあの火の玉と同じくらい、避けながら進む。

「…せぃ!!」

「させるかっ!!」

どうやら囮だったらしく、相手もこちらに向かって近づき斬り上げを放ってくるのを右で押さえつけ、左で胸元を狙う。それは弾き返され、数度の打ち合いの後、盾を動かしたので防御されるかと思ったが盾の動きは途中で止まり持っている左腕をスパンと斬り裂いた。

「……くぅっ……あそこでキャリバーンをねじ込んでくるなんてね……」

「どうする?その盾ないんじゃもう…」

「なめないでよね…一応防具の性能関係無しにサラマンダーの将軍の補佐役にいるんだから……」

「…俺としては降参してくれた方がうれしいというか…」

知り合いを斬るのは嫌だし女性も嫌だし…の二重にかかっているので……。

「しないよ」

ですよね、と心の中で呟く。美菜実は負けず嫌いというか往生際が悪いというか、そういう人なのでうすうすは思っていた。

「…………」

「…………ぜぁ!!」

数秒、沈黙に包まれたがそれを破ったのは俺、飛びかかり右を振るう。それをサウスは片手のみで受けるが筋力値が圧倒的に違うためか鍔迫り合いをする時間も無く長剣が弾かれる。

「きゃっ!!」

「まだだ!!」

そこに入り込み、回転しながら確実に刃を当てていき、一閃して後ろにつく。

「っ…!?」

「…祓砕斬・十臥!!」

「キャアアァァ!!」

両方を逆手に持ち替え、十字に斬り裂く。秘奥義…まぁエフェクトは出ないから真似だけど…。そして攻撃を喰らったサウスは
叫び声とともにその体を小さな炎へと姿を変える。それと同時に俺の目の前に【You Win!】の光の文字が現れる。


「…勝った………」

思わず呟き、下へ行こうとしたがリメインライトとなったサウスをそのままにしておくわけにもいかないので軽く手で包んでから下降することにした。





 
 

 
後書き
リ「……」

涙「何沈黙してるのさ」

リ「なんでユカの名前出した」

涙「いや、そんなキャリバーン構えながら言わないで……だって他の作者様が原作キャラを嫁にしてるでしょ」

リ「いや、そうだけど……」

涙「ちょっとずつこういった描写も入れていこうかと思います…上手く出来るかどうかわかりませんが…」

リ「…無理するなよ~」

涙「はい…ではっ!感想などお待ちしてます!」 
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