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遊戯王GX ~水と氷の交響曲~

作者:久本誠一
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ターン14 伝説!世界最強の片鱗!

 
前書き
神楽坂回。特徴、いつもの倍近く長い。なんであのデッキは2400打点がいないんだ、と思ったのは内緒。 

 
「うわあああああっ!!…………また、かぁ」
『また、だな。うるさくて寝れやしねーぜ』
「……ゴメン」

 ふと枕元の時計を見ると、まだ夜真っ盛りの午前2時。やれやれ、もういいかげんになんとかなんないのかな。

『なあ清明、今日もいつもの夢か?』
「まーね。僕はもう立ち直ってるつもりなんだけど」

 ここんところ一週間ぐらい、同じ夢ばかり見る。山の中でドローの練習してた人に会った日も、ゴブリン使いの二人組と十代がデュエルした日も、なんかテニス部の人と十代がデュエルするのを観戦してた日も。そしてその夢の中で、僕はデュエルしている。でも、どんなに手を尽くしてもすぐにモンスターが消え、セットカードが割られ、手札が捨てられて。最終的にはサイコ・ショッカーの攻撃を食らってライフがゼロになるところでいつも目が覚める。そしてその夢の中で、なによりも深刻な問題が。

「もう無理、むこう十年くらいサイコ・ショッカーは見たくない………やだよあのいろんな意味で濃い顔と二人っきりで毎日会うとか」
『トラウマなのそこかよ!…………お前、つくづくズレてるよな。せっかくシリアスになりかけたところをギャグで落としに来るか』
「んなこと言われても僕は負けるなんてもう慣れっこだし、確かに悔しいとは思うけど怖いなんて考えたことないからさあ」

 そう、僕は昔っからデュエルが弱かった。近所の子と遊ぶ時も決まってビリだった。そのたんびに泣きそうになるのをぐっとこらえて、再戦を申し込んで。たま~に誰かから一勝でももぎ取れると、毎回すごく嬉しかったっけ。懐かしいな、あの頃が。あえて戻りたいとは思わなかったけど。まあ今思えば、そんなに負けがかさんだのもタクティクス以前のデッキ構築の問題だったんだけど。上級下級モンスターのバランスとか、ピンポイント過ぎるメタカードとか。

『僕は、か。別に俺だって、強いデュエリストだったわけじゃないんだぜ?むしろ勝ち星の方が少ないし』
「嘘」
『マジ。ま、そんなことはいいさ。自分から話振っといてなんだけど、生前のことはあんま思い出したくねーし。それより、あれ確か今日じゃないのか?お前も楽しみにしてたろ』
「あ、そうだった!しょうがない、もっかい寝なおすのは無理だしこのまま購買の前に陣取って整理券だけ貰っとくとしよう」
『警備員さん真夜中のガッコで床に寝転んでる見るからに怪しい男はコイツです』
「…………やっぱ部屋にいます」










『今はああ言ってるけど、あの目には見覚えがあるな。ありゃ…………負けることを本気で怖がってる奴の目だ。手遅れになる前にどっかで矯正してやらねーとな』










 まあ結局あの後一睡もできずに、気が付けば朝までデッキに入れたいけど枚数的に無理なカードとにらめっこして過ごしていた。この作業、毎回楽しいけど難しいんだよねえ。まあ今回は特に入れ替えなかったけど。なんだったんだあの四時間。

「それで清明、なんで今日は朝からお前も翔も妙にドタバタしてるんだ?ユーノは眠そうだけど」
『十代、俺は眠そうなんじゃない………眠いんだ』
「あーうん、だからごめんってばユーノ。十代は十代で、ちょっとは授業寝ないで聞いてみようよ………昨日チラシまで貰ったじゃん。」
「う。まあ、固い事言うなって!」
「どこが!?ってあれ、翔?」

 わいわい言いながら昼食にドローパンを求めて購買に行くと、そこにはレッドとイエロー、それと見覚えのあるブルーの人だかりが。いやあの、廊下のど真ん中で居座られちゃ通れないんだけど。

「三沢、一体どうしたんだ?」
「夢想、おっひさー。何やってんのこれ」

 一瞬だけ十代と顔を見合わせ、それぞれ別方向から情報収集にかかる。まあ、ちょっと前の方を見ればわざわざ人に聞くまでもなかったんだけど。翔が、誰かイエロー生とデュエルしていた。

「ちなみに、今デュエルしてるイエロー生の名前は神楽坂。座学に関してはとても優秀な生徒なんだが、いかんせん記憶力がよすぎてな。自分でデッキを組んでみると、どうしても他の誰かが作ったものそっくりになってしまうんだ」
「ちなみに、今使ってるデッキはクロノス先生と同じ【古代の機械】だってさ。本人に言ったら【暗黒の中世】って言いなおされるだろうけど、だって」

「なるほどねえ…………あ、翔が勝った。というか、一体なんでまたこんなところでデュエルしてたのさ」
「整理券だよ、あれの」

 そう言って三沢が指差した先には、伝説のデュエルキング武藤遊戯さんがデュエルディスクを構えたポーズの写真がプリントされた一枚のチラシ。ああ、そういうことね。遊戯さんのデッキ展示の整理券か。

「でもおっかしーな、僕が整理券取りに行ったときに翔も一緒についてきたはずなんだけど」
「マジか!なんで俺もその時起こしてくれなかったんだよ~!」
「………ごめん、これというのも全部サイコ・ショッカーのせいなんだわ」
「へっ?なんだそりゃ?」

 いや、実際あの悪夢のせいで朝は毎日精神的に余裕ないし。

「まあいいや。それで翔、結局その整理券は誰の分なんだ?」
「何言ってるんスか。アニキのに決まってるでしょう?ホントは朝の時に二枚もらってくるつもりだったけど、うっかり忘れちゃってて」
「翔ー!ありがとうなー!!」

 なんかいい話っぽくまとまったところで、ちょうどチャイムが鳴る。さて、午後の授業に行きますか。

『ん、今日は昼飯は抜きなのか?』
「あ。と、トメさーん!ドローパン三つちょうだいっ!」
「そういえば私も明日香たちに頼まれたんだった、なんだって。ちょっと遅れちゃったけど………私も三つ下さいな」

 お詫びも込めて十代達の分も買って行こうっと。あんまお金ないけど。



「というわけで清明、翔、それに隼人にユーノ。せっかくだから行ってみようぜ、遊戯さんのデッキを見に」

 部屋のど真ん中で仁王立ちになり、胸を張った十代がそんなことを言い出したのは、その日の夜のことだった。というか、『大事な話があるから飯食ったら来てくれ』なんて言うから何事かと思ったら、そんなことか。方法もわかんなけりゃ、明日になれば見れるのにわざわざ夜の学校に忍び込んでまで見る理由もわからない。だから当然返事は………。

「行くに決まってるじゃないの十代!というか、むしろ十代の話が終わったらこっちから誘おうと思ってたのに同じこと考えてんだもんなー」
『ですよねー。まあそんな気はしてたぜ、とりあえず俺も一枚噛むから連れてけよ』

 結局満場一致で忍び込むことに決めた。ここまでの間約一分。素早いことはいいことだ。そしてひとたびすることが決まれば、あとはレッド寮特有の行動力がものを言う。こんなことばっかやってるから成績がからっきしなんだろうなあ、なんて思わないでもない今日この頃。

『わかってんならちっとは勉強せい』
「あー聞こえない聞こえなーい!!」
「おい清明、警備員に見つかったらどうすんだよ!お、あの部屋だ。みんな、着いたぞ!」
「む、君たちも来ていたのかい?」
「あれ、三沢!?」

 声の方を見ると、なるほど確かに三沢。まあわざわざこんな時間にこの部屋の前にいるんだから、用件は推して知るべし。

「声が大きいぞ、十代!整理券は持っているんだが、今日は気になって眠れそうにないんでな。いっそのこと人が少ない今のうちに見るだけ見てみようかと」
「なるほどな。意外だったな、俺たち以外にも同じことを考えるやつがいたなんて」
「ちなみに私も来てるよ、だってさ」
「っ!?夢想、一体いつからいたの……?」
「たった今ね、だって」

 それにしても、ひい、ふう、みい…………ユーノを人数としてカウントしないとしても六人か。忍び込んで何かするにはちょっと人数が多い気もするけど、そんなもん今更気にしてたってしょうがないので突撃。しようとした瞬間、校舎中に絶叫が響いた。

「なんだなんだ!」
「今の声、クロノス先生か?」
『お、始まったか』
「一体どうしたんだな、まさかお化けでも出たのか?」
「隼人君、そんな怖い事言わないでよ!」
「………とりあえず行ってみようか、だってさ」
「そだね」

 ということで慌てて駆け付けるとなぜか鍵がかかってるはずのドアが開いていて………ふむ、せっかく持ってきた針金が無駄になった。って、そんなことはどうでもいいんだよ。むしろ重要なのはその部屋の中。部屋のど真ん中に配置されたガラスケースは割れていて、その横で鍵を持った姿勢のまま彫像のように固まっているクロノス先生。あー、えーっと、これは………

「クロノス先生、ついにドロボウまで」
「今ならまだ謝って全部返したら許してもらえるんじゃあ?」
「とりあえず、警備員さんに言わなきゃ」
「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待つのーネ!」

 あ、復活した。とりあえず顔がえらいことになってるから涙をふきなさい。って言いたいのを我慢して、一体何があったのか事情を聴く。いくらなんでも先生は鍵持ってんだし、わざわざケース破らなくても持ち出しちゃうことはできるだろうし。そして、ついさっきまでデッキは間違いなくあったこともわかった。ここから導き出せる結論、それはつまり!

「まだh「まだ犯人はこの近くにいるはずだ、みんなで手分けして探そう!」

 三沢………セリフとらないでよ……。せっかく夢想もいることだし、カッコよく決めようと思ったのに。はあ、海の方でも探しに行ってみようかな。



「あ、翔。どう?なんかいた?」
「清明君、こっちは全然。もしかして、もう犯人はこの島にいないんじゃあ……」
「う~ん………ん?ね、もしかしてアレ、今日の昼にもいた神楽坂とかいう人じゃあ」
「あ、本当だ!おーい、そんなところで何してるんだよー!」
『…………ほんっとに一度勝った相手には強気になれるタイプなんだな、翔』

 やたらと勝ち気な翔に、そんな翔の態度にちょっと呆れた様子のユーノ。ただ、神楽坂はこちらに背を向けたまま仁王立ちで海の方を見ている。別におかしなところはない。ただなんなんだろうか、このなんとも言えない嫌な予感は。と、今までこちらを無視し続けていた神楽坂がゆっくりと振り返る。その目は、不自然なほどの喜びと自信に満ち溢れていた。

「丸藤翔か、ちょうどいい。このデッキの実験台になってもらうぜ!」
「え、デュエル?…………いや、アニキだったらこの勝負も受けて立つはず!いいよ、また返り討ちにしてあげるから!」
「……えっと。置いてきぼりを食らったわけですが、どしたらよかろうでしょうかユーノさん」
『デュエルディスクの調子をチェックしとけよ。どうせすぐ出番だ』



「うわあっ!」

 翔 LP0

「もう負けた!?っていうか今のモンスターってあの」
『有翼幻獣キマイラ………【遊戯デッキ】を作るときにはほぼ必須モンスターだな』
「うう、ごめん清明君………負けちゃった」
「くっ、神楽坂!そのデッキ、やっぱり遊戯さんのだろ!」
「そうだが、それがどうかしたか?」
「今度は僕が相手だ!僕が勝ったら大人しくそのデッキは返してもらうよ!………翔、今すぐみんなをここに呼んできて!」
「わ、わかった!」

 そう言って、ダダダッと駆けていく翔。よし、あとは十代や三沢、夢想あたりが来れば僕が負けたとしてもなんとかなる!もっとも僕がここで勝てば、そんなこと心配する必要もないんだけどね!

「なるほど、今のデュエルを見ていながらなお向かってくるとは大した自信だと思ったが、お前はただの時間稼ぎか。だがまあ関係ない、なにしろ今の俺が持つデッキは武藤遊戯さんのデッキ、つまり今の俺の力はデュエルキングにも匹敵するからだ!」
「御託はいいからかかってきなよ、それともこっちの時間稼ぎに付き合ってくれてるの?」
「フン、精々今のうちに粋がっておけ!それでは、このデッキの恐ろしさを味あわせてやる!」

「「デュエル!」」

「先攻は俺が貰う!モンスターを一枚セット、さらに永続魔法、凡骨の意地を発動!カードを伏せてターンエンドだ」

 凡骨の意地
永続魔法
ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、
そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。

「僕のターン、ドロー!」
『セットモンスターは壁だろうな。クリッターもう使えねえし(※1)、さすがに禁止カードは抜いてあるだろ。ってことは、だいたい三択だな』
※1 2013年3月27日現在の情報です

 三択?えっと、ホーリー・エルフと岩石の巨兵と………あとなんだったっけ?この2枚は破壊神の系譜のイラストにも出てるから覚えたんだよね。まあいいや、確かあの2体の守備力は2000、つまり攻撃力2001あれば突破できるはず!

『考え方は間違ってないけどな、なんだよ攻撃力2001って。出せるもんなら出してみろ』
「いいのっ!僕は、永続魔法ウォーターハザードを発動!その効果でアームズ・シーハンターを召喚するよ」

 一瞬フィールドに波が覆いかぶさり、水が引いた後には上半身が人型、だけど下半身がいかにも海竜っぽい弓を片手にしたモンスターがいた。

 アームズ・シーハンター
効果モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1800/守 400
自分フィールド上にこのカード以外の水属性モンスターが存在する場合、
このカードと戦闘を行った効果モンスターの効果をダメージ計算後に無効化する。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、
代わりに自分フィールド上に表側表示で存在する
レベル3以下の水属性モンスター1体を破壊できる。

「そして、ウミノタウルスを通常召喚!」

 ウミノタウルス
効果モンスター
星4/水属性/水族/攻1700/守1000
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上の魚族・海竜族・水族モンスターが
守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

「これだけじゃ終わらないよ、フィールド魔法発動、ウォーターワールド!」

 ウォーターワールド
フィールド魔法
フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、
守備力は400ポイントダウンする。

 アームズ・シーハンター 攻1800→2300 守400→0
 ウミノタウルス 攻1700→2200 守1000→600

「よし、準備は整った。アームズ・シーハンターでセットモンスターを攻撃!さらにウミノタウルスの効果で、貫通ダメージも受けてもらうよ!」
「ふっ、残念だったな!セットモンスターは守備力2600、ビッグ・シールド・ガードナーだ!」

 アームズ・シーハンター 攻2300→??? 守2600
 清明 LP4000→3700

「うわっ!で、でもビッグ・シールド・ガードナーには攻撃表示になるデメリット効果が……」
『いや、無理だ!』
「えっ!?だってあのモンスターのテキストにはちゃんと」

 ビッグ・シールド・ガードナー
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻 100/守2600
フィールド上に裏側表示で存在するこのモンスター1体を対象にする魔法カードの発動を無効にする。
その時、このカードは表側守備表示になる。
このカードは攻撃された場合、ダメージステップ終了時に攻撃表示になる。

「ほら、やっぱり」
『馬鹿野郎、アームズ・シーハンターの効果無効能力を完全に逆手に取られたんだよ。今のガードナーは守備力2600でノーデメリットの壁モンスターだ』
「むむむ。えーい、このままターンエンド!」

 清明 LP3700 手札:2 モンスター:アームズ・シーハンター(攻)、ウミノタウルス(攻) 魔法・罠:ウォーターハザード 場:ウォーターワールド
 神楽坂 LP4000 手札:3 モンスター:ビッグ・シールド・ガードナー(守) 魔法・罠:凡骨の意地、1(伏せ)

「俺のターン、ドロー!ドローカードは通常モンスターのジャックス・ナイト、よってもう一枚ドロー!このカードも通常モンスターのクイーンズ・ナイト、さらにドローだ!念のため手札に残しておいたが、その程度のタクティクスの奴が相手ならここで出しても問題なさそうだな!手札の融合を発動し、手札のキング、ジャック、クイーンの三騎士を融合!来い、アルカナ ナイトジョーカー!!」
『いや、それ使うのかよ!とかいうツッコミも疲れてきたなぁ』

 融合
通常魔法
手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を
エクストラデッキから特殊召喚する。

 アルカナ ナイトジョーカー
融合・効果モンスター
星9/光属性/戦士族/攻3800/守2500
「クィーンズ・ナイト」+「ジャックス・ナイト」+「キングス・ナイト」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが、
魔法カードの対象になった場合は魔法カードを、
罠カードの対象になった場合は罠カードを、
効果モンスターの効果の対象になった場合はモンスターカードを、
手札から1枚捨てる事でその効果を無効にする。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「ジョーカーでウミノタウルスを攻撃する!切り札(ジョーカー)の力を見せてやれ!」

 ジョーカーが片手で軽々と操る巨大な剣がウミノタウルスの持つ二枚貝の斧とぶつかり合い火花を散らす………が、すぐにウミノタウルスがその斧ごと真っ二つに切り裂かれてしまった。

 アルカナ ナイトジョーカー 攻3800→ウミノタウルス 攻2200(破壊)
 清明 LP3700→2100

「ぐっ………でもまだだ!まだ諦めるもんか!僕のターンドロー!伝説の都 アトランティスを発動、フィールド魔法の張替えだ!」
『…………。う~ん(もともと粘り強い奴だとはいえ、今回のこの妙なやる気…………もしかして、自分に自信が欲しいのか?負けることは怖いけど自分の実力に自信がなくなってきた、サイコ・ショッカーの時途中で諦めかけた自分が情けなくて悔しくて、だからここで伝説扱いされるデッキに勝って自信を取り戻したい、ってとこか。この場合俺は応援してやりゃいいのか?一回どん底まで叩き落としてやるのがアニメ的には正しい気がしないでもないが………いや、今の俺にとっちゃここが「現実」か。なら……)』

 伝説の都 アトランティス
フィールド魔法
このカードのカード名は「海」として扱う。
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上の水属性モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントアップする。
また、お互いの手札・フィールド上の水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 アームズ・シーハンター 攻2300→2000 守0→600 ☆4→3

「わざわざフィールドを張り替えたか。そこまでして、一体何をする気だ?」
「決まってるでしょ?シーハンターをリリースして、超古深海王シーラカンスを召喚!」

 超古深海王シーラカンス
効果モンスター
星7/水属性/魚族/攻2800/守2200
1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。
デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃宣言できず、効果は無効化される。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが
カードの効果の対象になった時、
このカード以外の自分フィールド上の魚族モンスター1体をリリースする事で
その効果を無効にし破壊する。

 超古深海王シーラカンス 攻2800→3000 守2200→2400 ☆7→6

「そしてシーラカンスに装備魔法、団結の力を装備!攻守800ポイントアップするよ」

 団結の力
装備魔法
装備モンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールド上に表側表示で存在する
モンスター1体につき800ポイントアップする。

 超古深海王シーラカンス 攻3000→3800 守2400→3200

 いわばこれは、とんでもなくハイリスクな賭けだ。神楽坂が団結の力かアトランティスのどちらか一枚でも破壊できるカードを持っている、あるいは次にドローしたら………それだけじゃない、仮にそんなカードが無くても最悪次のドローで手札に幻獣王ガゼルみたいなアタッカーが来ればシーラカンスとジョーカーが相打ちになったところでダイレクトアタックされ、敗色がかなり濃くなってしまう。でも、もしもこのターンを膠着状態で乗り切ることができればまだ逆転のチャンスがある。可能性は低いけど。でも守備表示で出せば、確かにここではダメージを受けないけどその後がない。次につなげる一手がない。だからこそシーラカンスをあえて攻撃表示で出し、団結の力も発動コストでなく装備させた。さあ、どう出る神楽坂?

「僕はこれで、ターンエンド」

 清明 LP2100 手札:0 モンスター:超古深海王シーラカンス(攻、団) 魔法・罠:ウォーターハザード、団結の() 場:伝説の都 アトランティス
 神楽坂 LP4000 手札:2 モンスター:ビッグ・シールド・ガードナー(守)、アルカナ ナイトジョーカー(攻) 魔法・罠:凡骨の意地、1(伏せ)
 
「俺のターン、ドロー!………くそっ。攻撃はしない、ターンエンドだ」
「よし、まだいける!僕のターン、ドローしてシーラカンスの効果発動!手札を一枚コストにしてデッキからシャクトパス、ハリマンボウ、竜宮の白タウナギ、フィッシュボーグ-アーチャーを全員守備表示で特殊召喚!」

 シャクトパス 守800→1000 攻1600→1800 ☆4→3
 オイスターマイスター 守200→400 攻1600→1800 ☆3→2
 竜宮の白タウナギ 守1200→1400 攻1700→1900 ☆4→3
 フィッシュボーグ-アーチャー 守300→500 攻300→500 ☆3→2

 超古深海王シーラカンス 攻3800→7000 守3200→6400

「いっけえ!シーラカンスでジョーカーを攻撃!マリン・ポロロッカ!」
「かかったな!トラップ発動、聖なるバリア-ミラーフォース-!!」

 全身に激流を纏って突撃していったシーラカンスだったが、ジョーカーに攻撃が届く寸前その目の前に鏡のようなものが現れ、そこから出てきたシーラカンスの偽物とぶつかり合って消えてしまう。

 聖なるバリア-ミラーフォース-
通常罠(準制限カード)
相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールド上に攻撃表示で存在するモンスターを全て破壊する。

「そんな、シーラカンスが………」
『ミラーフォースは対象を取らないから、な。なるほど神楽坂、さすがのプレイングだな』

 清明 LP2100 手札:0 モンスター:シャクトパス(守)、オイスターマイスター(守)、竜宮の白タウナギ(守)、フィッシュボーグ-アーチャー(守) 魔法・罠:ウォーターハザード 場:伝説の都 アトランティス
 神楽坂 LP4000 手札:3 モンスター:ビッグ・シールド・ガードナー(守)、アルカナ ナイトジョーカー(攻) 魔法・罠:凡骨の意地

「どうした、ターンエンドか?ならば俺のターン、ドロー!俺はビッグ・シールド・ガードナーをリリースし、ブラック・マジシャン・ガールを召喚!そしてガールが場に存在することで、賢者の宝石を発動!デッキからブラック・マジシャンを呼び出すぜ!」

 ブラック・マジシャン・ガール
効果モンスター
星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700
お互いの墓地に存在する「ブラック・マジシャン」
「マジシャン・オブ・ブラックカオス」1体につき、
このカードの攻撃力は300ポイントアップする。

 賢者の宝石
通常魔法
自分フィールド上に「ブラック・マジシャン・ガール」が
表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
自分の手札またはデッキから、「ブラック・マジシャン」1体を特殊召喚する。

 ブラック・マジシャン
通常モンスター
星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2100
魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。

『出たな、マジシャンコンビ。待ってましたー』
「さあ、攻撃だ!ジョーカーで白タウナギを、ガールでアーチャーを、ブラック・マジシャンでオイスターをそれぞれ攻撃!」

 アルカナ ナイトジョーカー 攻3800→竜宮の白タウナギ 守1400(破壊)
 ブラック・マジシャン・ガール 攻2000→フィッシュボーグ-アーチャー 守500(破壊)
 ブラック・マジシャン 攻2500→オイスターマイスター 守400(破壊)

「で、でもまだシャクトパスが………」
「メインフェイズ2、千本ナイフを発動!対象はシャクトパスだ!」

 千本(サウザンド)ナイフ
通常魔法
自分フィールド上に「ブラック・マジシャン」が
表側表示で存在する場合のみ発動する事ができる。
相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

「さあ、俺はターンエンドだ。どうだ、このデッキの力!」
「ぐっ………」
『よし決めた、せっかく俺もここにいるんだし、発破くらいはかけてやりますかね』
「え、今何か言った?」
『ああ。…………なあ清明、まさかこんなとこで音を上げるんじゃねえだろうな?』
「で、でも………相手はあの遊戯さんのデッキだし、実際問題さっきからダメージだって通ってないし」
『お前もあれだな、強気になったり弱気になったり忙しい奴だな。なあ、そんなにデッキが信用できねえか?』
「えっ?」
『だってそうだろ?デュエルの途中であきらめるってのは、単に自信のなさの現れだぜ?と、俺は思う。まだデッキにはカードが残ってるし、墓地は肥えてる。手札がちと心もとないけど、ま、次のドローがあるだろ。次で起死回生の一発を引く。絶対に引く。そんなことも信じられないようじゃ、デュエリストなんてやってけないぜ。だいたい、昨夜の話を聞く限りじゃ昔のお前だってそう思ってたんだろ?その点だけ見りゃ、今のお前よりも前の方が数段マシだろうな。負けることを考えてそれを怖がってちゃ、その時点でもう負けてんだよ。何回負けたって次に食らいついてきゃいい、つまりはそーゆーこと』

 ハッとした。ほんっと、コイツには背中押してもらってばっかりだよなぁ………でも、確かにそうだったかもしれない。あれだけ強気になってたのも、負けることへの恐怖の裏返しだったのかも。ちょっと目をつむって、深呼吸をする。こんなことをするのは、サイコ・ショッカーの事件以来初めてかもしれない。でも、おかげでちょっと目が覚めた。感謝の念を込めて振り返ると、ユーノといつの間にか出てきていたシャーク・サッカーと目が合った。ありがとう。

「僕のターン、ドロー!アトランティスの効果でレベル4になった深海の怒りを召喚!」

 深海の怒り(レイジ・オブ・ディープシー)
効果モンスター
星5/水属性/魚族/攻 0/守 0
このカードの攻撃力・守備力は、自分の墓地の
魚族・海竜族・水族モンスターの数×500ポイントアップする。

『な、言った通りだろ?逆転の一手ってのは、出ると思ってりゃ出せるもんなんだよ。本気で願うなら、デッキは何かしら応えてくれるもんさ』
「今の僕の墓地にいるのはシーハンター、ウミノタウルス、シーラカンス、シャクトパス、オイスターマイスター、アーチャー、白タウナギ、そしてシーラカンスのコストで捨てたシャーク・サッカーの計八体。さらにアトランティスの上昇値も加えて、攻撃力はジョーカーを超える4200!!」
「馬鹿な、まだそんなモンスターを出すことができたのか!?」

 深海の怒り 攻0→4200 守0→4200

「まずはジョーカーに攻撃!アビス・ライジング!」

 深海の怒り 攻4200→アルカナ ナイトジョーカー 攻3800(破壊)
 神楽坂 LP4000→3600

 清明 LP2100 手札:0 モンスター:深海の怒り(攻) 魔法・罠:ウォーターハザード 場:伝説の都 アトランティス
 神楽坂 LP3600 手札:1 モンスター:ブラック・マジシャン(攻)、ブラック・マジシャン・ガール(攻) 魔法・罠:なし

「俺のターン、ドロー。………これでターンエンドだ」
「やけっぱちにしては、あの余裕たっぷりな顔………一体何をたくらんでるんだろう?どうにも怪しいけど、僕のターン!深海の怒りでブラック・マジシャンを攻撃、アビス・ライジング!」

 深海の怒り 攻4200→ブラック・マジシャン 攻2500(破壊)
 ブラック・マジシャン・ガール 攻2000→2300

「この時、手札からクリボーの効果発動!その戦闘ダメージを0にするぜ!」

 クリボー
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200
相手ターンの戦闘ダメージ計算時、このカードを手札から捨てて発動する。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

「クリボーじゃ戦闘破壊は防げないし、ブラマジがいなくなったから千本ナイフの二本目や騎士の称号がきても大丈夫だけど、やっぱり嫌な予感が………モンスターをセット、ターンエンド」

 清明 LP2100 手札:0 モンスター:深海の怒り(攻)、??? 魔法・罠:ウォーターハザード 場:伝説の都 アトランティス
 神楽坂 LP3600 手札:1 モンスター:ブラック・マジシャン・ガール(攻) 魔法・罠:凡骨の意地

「俺のターン、ドロー!まず、天よりの宝札を発動!この手札一枚と場のブラック・マジシャン・ガール、凡骨の意地を除外して二枚ドロー。さらに貪欲な壺を発動するぜ、デッキに戻すカードはブラック・マジシャン、ビッグ・シールド・ガードナー、絵札の三騎士だ。二枚ドロー!」

 天よりの宝札
通常魔法
自分の手札と自分フィールド上に存在する全てのカードをゲームから除外する。
自分の手札が2枚になるようにカードをドローする。

 貪欲な壺
通常魔法(制限カード)
自分の墓地のモンスター5体を選択して発動できる。
選択したモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。
その後、デッキからカードを2枚ドローする。

 たった一枚のドローから、一気に手札を三枚まで増やされた。場のカードを全て犠牲にしてまで手札を補充するその姿勢に、ちょっと気圧されかかる。うーん、本当に勝てるかな…………いや、そうじゃない。僕はこのデュエル、勝ってみせるんだ!

「さあ、再び俺の逆転だ!墓地の光と闇であるアルカナ ナイトジョーカーとクリボーを除外!出でよ、カオス・ソルジャー-開闢の使者-!!」
『ほう、思ったよりメンタル強えじゃねえか。もっとも、そうこなくっちゃ面白くないぜ!』

 カオス・ソルジャー-開闢の使者-
効果モンスター(制限カード)
星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ
ゲームから除外した場合に特殊召喚できる。
1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択してゲームから除外する。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
●このカードの攻撃によって相手モンスターを破壊した場合、
もう1度だけ続けて攻撃できる。

「開闢の効果発動!このターンの攻撃を放棄し、その深海の怒りを除外する!カードを二枚セットし、ターンエンドだ」
「悪いけど、もう僕は吹っ切れてるんでね!まだまだへこたれないよ、こっちも貪欲な壺!シーラカンス、シャクトパス、オイスター、ウミノタウルス、シャーク・サッカーをデッキに戻して二枚ドロー、そしてセットモンスターを反転召喚!スノーマンイーターの特殊効果で、開闢の使者を破壊!」

 ひょっこりと地面から生えてきた雪だるまがシャカシャカと歩き、開闢の使者を押しつぶす。………棒立ちで雪だるまに押しつぶされる開闢が妙にシュールだった。

 スノーマンイーター
効果モンスター
星3/水属性/水族/攻 0/守1900
このカードがリバースした時、
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。

「なら、開闢の破壊に合わせてリバース発動、魂の綱!1000のライフを払い、デッキから翻弄するエルフの剣士を守備表示で召喚する!」

 魂の綱
通常罠
自分フィールド上のモンスターがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時、
1000ライフポイントを払って発動できる。
デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。

 神楽坂 LP3600→2600

 翻弄するエルフの剣士
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1400/守1200
このカードは攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。

「攻撃力1900以下のモンスターはいない………スノーマンイーターをリリースして、氷帝メビウスを召喚!さらに効果で、そのセットカードを破壊する!フリーズ・バースト!」
「残念だったな、フリーチェーンだ!砂塵の大竜巻を発動、この効果でアトランティスを破壊するぜ!」

 氷帝メビウス
 効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2400/守1000
このカードがアドバンス召喚に成功した時、
フィールド上の魔法・罠カードを2枚まで選択して破壊できる。

 砂塵の大竜巻
通常罠
相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
その後、自分の手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。

「アトランティスまで……ターンエンド」

 清明 LP2100 手札:1 モンスター:氷帝メビウス(攻) 魔法・罠:ウォーターハザード
 神楽坂 LP2600 手札:0 モンスター:翻弄するエルフの剣士(守) 魔法・罠:なし

「俺のターン、ドロー!黒魔術のカーテンを発動!ライフポイントを半分払い、デッキからもう一度ブラック・マジシャンを特殊召喚!」

 黒魔術のカーテン
通常魔法
ライフポイントを半分払って発動する。
自分のデッキから「ブラック・マジシャン」1体を特殊召喚する。
このカードを発動するターン、自分は召喚・反転召喚・特殊召喚する事はできない。

 神楽坂 LP2600→1300
 ブラック・マジシャン 攻2500

「メビウスの攻撃力が越えられた!?」
「翻弄するエルフの剣士を攻撃表示に変更し、バトル!ブラック・マジシャンでメビウスを攻撃、黒・魔・導!!」

 ブラック・マジシャン 攻2500→氷帝メビウス 攻2400(破壊)
 清明 LP2100→2000

「そのまま、翻弄するエルフの剣士で追撃!精・剣・斬!」
『あれ、それ本家エルフの剣士の攻撃名だったような………まあいっか』

 翻弄するエルフの剣士 攻1400→清明(直接攻撃)
 清明 LP2100→700

「さあ、それで終わりか?俺はターンエンドだ」
「まだまだ、さっ!ドロー、封印の黄金櫃を発動して、選択するカードは爆征竜-タイダル!そしてタイダルの効果でブリザード・ドラゴンをサーチして召喚!」

 封印の黄金櫃
通常魔法
自分のデッキからカードを1枚選択し、ゲームから除外する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時にそのカードを手札に加える。

 爆征竜-タイダル
効果モンスター
星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族
または水属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードと水属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、
デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
このカードが除外された場合、
デッキからドラゴン族・水属性モンスター1体を手札に加える事ができる。
「瀑征竜-タイダル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ブリザード・ドラゴン
効果モンスター
星4/水属性/ドラゴン族/攻1800/守1000
相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターは次の相手のエンドフェイズ時まで
攻撃宣言をする事ができず、表示形式を変更する事もできない。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「ブリザード・ドラゴンの効果をブラック・マジシャンに発動、パーフェクトフリーズ!さらに、翻弄するエルフの剣士に攻撃する!」

 ブリザード・ドラゴン 攻1800→翻弄するエルフの剣士 攻1400(破壊)
 神楽坂 LP1300→900

「また形勢逆転っ!これでターンエンドだよ」

 清明 LP700 手札:1 モンスター:ブリザード・ドラゴン(攻) 魔法・罠:ウォーターハザード
 神楽坂 LP900 手札:0 モンスター:ブラック・マジシャン(攻) 魔法・罠:なし

「すぐに巻き返してやるぜ、ドロー!ちっ、ホーリー・エルフを守備表示で召喚してターンエンドだ」

 ホーリー・エルフ
通常モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻 800/守2000
かよわいエルフだが、聖なる力で身を守りとても守備が高い。

「僕のターン、ドロー!黄金櫃の一ターン目………まあそれはいいとして、もう一度ブラック・マジシャンにパーフェクトフリーズ!カードをセットして、これでターンエンド」

 清明 LP700 手札:1 モンスター:ブリザード・ドラゴン(攻) 魔法・罠:ウォーターハザード、1(伏せ)
 神楽坂 LP900 手札:0 モンスター:ブラック・マジシャン(攻) 魔法・罠:なし

「俺のターン!ホーリー・エルフをリリースして、闇紅の魔導師を召喚するぜ。そしてブリザード・ドラゴンに攻撃する!」

 闇紅の魔導師(ダークレッド・エンチャンター)
効果モンスター
星6/闇属性/魔法使い族/攻1700/守2200
このカードが召喚に成功した時、
このカードに魔力カウンターを2つ置く。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分または相手が魔法カードを発動する度に、
このカードに魔力カウンターを1つ置く。
このカードに乗っている魔力カウンター1つにつき、
このカードの攻撃力は300ポイントアップする。
1ターンに1度、このカードに乗っている魔力カウンターを
2つ取り除く事で、相手の手札をランダムに1枚捨てる。

 闇紅の魔導師 攻1700→2300
 闇紅の魔導師 攻2300→ブリザード・ドラゴン 攻1800(破壊)
 清明 LP700→200

「でも、ここでリバース発動!激流蘇生で、今破壊されたブリザード・ドラゴンを特殊召喚!」

 激流蘇生
通常罠
自分フィールド上の水属性モンスターが
戦闘またはカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時に発動できる。
その時に破壊され、フィールド上から自分の墓地へ送られたモンスターを全て特殊召喚し、
特殊召喚したモンスターの数×500ポイントダメージを相手ライフに与える。
「激流蘇生」は1ターンに1枚しか発動できない。

 神楽坂 LP900→400

「なかなかしぶといな……俺はターンエンドだ」
「僕のターン、ドロー!そしてこの時、黄金櫃の封印が解かれてタイダルが僕の手札に。そしてタイダルのもう一つの効果によって、墓地の深海の怒りとアームズ・シーハンターを除外して特殊召喚!」

 爆征竜-タイダル 攻2600

「これで終わりにするよ、神楽坂っ!!タイダルとブリザード・ドラゴンをリリースして、マイフェイバリットカード、霧の王を召喚!!」

 霧の王(キングミスト)
効果モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 0/守 0
このカードを召喚する場合、生け贄1体
または生け贄なしで召喚する事ができる。
このカードの攻撃力は、生け贄召喚時に生け贄に捧げた
モンスターの元々の攻撃力を合計した数値になる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
いかなる場合による生け贄も行う事ができなくなる。

 霧の王 攻0→4400

「そんな、このデッキは世界最強のデッキのはずだ、なのになぜ………」
「僕は人に説教できるほどえらい人間になったつもりなんて一回もないよ。でも一つだけ言うとしたら、僕はこのデッキに対して愛着がある。誇りがある。ちょっとの間揺らいでた時期もあったけど、今はこのデッキとカードを全面的に信頼してる。そこらへんにヒントがあるんじゃないかなーなんて思ったり。…………ブラック・マジシャンを攻撃だ!ミスト・ストラングル!!」

 霧の王 攻4400→ブラック・マジシャン 攻2500(破壊)
 神楽坂 LP900→0

「なん、とか………勝った……」

 そう呟いたところで急に足から力が抜けてしまい、ふらふらとその場にへたり込んでしまう。どうやら知らず知らずのうちに、結構緊張してたらしい。全然力が入らない………と、そこでようやく翔の声と、たくさんの足音が聞こえた気がした。というのも、そのまま僕が意識を手放してしまったからだ。なんとなくだけど、あの夢はもう見ない気がした。



「三沢ー、そういや結局さ、神楽坂はどうなったの?」
「ん、知りたいか?」

 その次の日のレッド寮、放課後。見舞いがてら遊びに来た三沢にお茶の用意をしながら、ずっと気になっていた事を聞く。恥ずかしい話ではあるけれど、あれからついさっきまでぶっ続けで寝てたから詳しい話はまだ聞いてないんだよね。

「別に大した話ではないさ。きちんとデッキを返して、なんとか穏便に済ませてもらったからそこは安心していいぞ」
「そりゃよかった。ところで、もう一つ聞きたいことがあるんだけど」
「おお、いいぞ。俺に答えられることならな」
「僕が倒れちゃってから、誰がここまで運んできてくれたの?まだお礼が言えてないから、改めて言っておこうと思って」

 そう言うと、なぜかニヤリと笑ってみせる三沢。僕、なにかおかしなことでも言っただろうか。

「河風君だ………と言ったらどうする?」
「…………マジ?」
『マジだぜ』
「ああ、大マジだ。誰よりも早く駆け寄って、普段の様子からは考えられないくらい取り乱してたぞ」
「そ、そう………」

 とりあえず、赤くなった顔を見せないように明後日の方を向く。まあ、十中八九ばれてるだろう。三沢のにやにやした顔が何よりの証拠だ。

「そ、それで?今、夢想はどこにいるの?」
「彼女は今『お見舞いの品持ってくる』って言って5分くらい前に出て行ったぞ。ゆうべからつきっきりで君のそばにいたんだから、ちゃんとそこにもお礼を言っとけよ」

 聞き捨てならない言葉について聞き返そうとしたちょうどその時、狙ってたんじゃないかと聞きたくなるくらいのタイミングで扉が開く音がした。

「ただいま、だってさ。三沢、清明の調子はどう?」
「えっと、その………おはよう」
「っ!!起きたの!?よかったぁ、って言ってるよ……」
「さて、それじゃ俺はもう帰るかな、っと」

 そう言ってそっと立ち上がる三沢は、そのまま本当に部屋を出て行っちゃった。おいこらユーノ、なんでお前まで一緒に退出してんだ。二人っきりは……その、嫌じゃないし、むしろ嬉しいんだけど、やっぱり照れくさいというかなんというか。

「ええと、ゆうべはなんでもここまで引っ張ってってくれたみたいで、あ、ありがとう」
「そんなこと気にしないで、だってさ。それより、もう体は平気なの?だって」
「うん、そりゃまあね。別に病気だとか怪我だとかいうわけじゃなし、もうどってことないよ」
「そう……本当によかった、だってさ」

 そこで、会話が止まる。でも、別に気まずくはない。それどころか、ずっとこうしていたいような気もする。そんなことを考えていると、左手に何かが触れた。ちょっと視線を落とすと、手が握られている。慌てて夢想の顔を見ると、彼女は照れくさそうに微笑んで見せた。 
 

 
後書き
はいここまで。つーかこれ以上踏み込んだところは妄想力が足りないせいでまだ書けない。 
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