問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡
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第12話 吸血鬼襲来ですよ?
「春日部…?」
聞こえるはずのない声が聞こえる
修也の声だ
「修也……!」
修也は右手の力だけで起き上がる
「修也!」
耀は修也に抱きつく
「春日部、痛い」
「あ、ごめん」
耀は修也から離れる
「ところで、他の奴らは?」
「みんなは…」
その時、外で轟音が聞こえた
「なんだ!」
「襲撃…!」
「だとしたらガルドの残党か、行くぞ春日部!」
そう言って修也はベッドから飛び降が左腕が無いため倒れる
「修也!」
耀は修也に駆け寄り肩を貸し、修也を起き上がらせる
「大丈夫?」
耀は修也の顔を覗き込みながら言う
「おう、左腕が無くて歩きにくいがこの通り元気だぜ」
そう言って修也は耀に笑いかける
「わるいけどさっきの音がした場所まで肩を貸してくれるか?」
「うん」
今の修也は安静にしていないといけないだろう
しかし、修也には浮遊の恩恵がある、いざとなれば飛んで逃げれるだろうと判断した耀は修也に肩を貸したまま音のした方へと歩き出した
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耀に肩を貸されたまま修也と耀の2人は中庭に移動していた
「春日部、あそこにいるの黒ウサギ達じゃないか?」
「ほんとだ、もう1人は誰だろ」
2人の目の前では十六夜と見知らぬ少女、レティシアが向かい合っていた
レティシアは背中に翼を展開し、空に上がる
「なんだあれ。槍か」
レティシアはランスを出し、十六夜に向かって投擲の構えを取る
そして
レティシアは十六夜に向かってランスを投擲する
十六夜はそれを殴り返した
「はっ?」
修也はそれを見て変な声を上げる
それもそのはず、レティシアが投擲したランスは普通の人間が受ければ即死するような威力があったのは傍から見ても明らかだ
それを十六夜は受け止めるどころか片手で、殴り返したのだ
それが修也が初めて見た十六夜の恩恵、正体不明の力の一端である
殴り返されたランスはレティシアにぶつかる寸前で黒ウサギによって斜線上から離脱した
「さて、行くか」
「うん」
修也は耀に言う
耀は短く答え、2人は十六夜達の下へと歩き出した
2人の影に一番早く気づいたのは飛鳥だった
「嘘…! 修也君!?」
飛鳥の言葉に全員がそちらのほうを見る
そこには耀に支えられながらもそこにしっかりと立って、生きている源修也がいた
その時、赤い光の筋が十六夜達に向かって進んできた
「なんだ…?」
その光が走った後は石化している
それを見た黒ウサギは
「ゴーゴンの威光…! いけません! あれを浴びたら…!」
その光は飛鳥の目の前にまで迫っていた
レティシアは飛鳥を突き飛ばす
そして
レティシアはその光を受け、石へと化した
「れっレティシア様…!」
黒ウサギはレティシアの元へと駆け寄ると上空から声がした
見上げると翼の生えた靴を履いた騎士のような格好をした男性が複数いた
「いたぞ!吸血鬼は石化させた!すぐに捕獲しろ!」
「例のノーネームもいるようだがどうする!?」
「邪魔するようなら構わん、斬り捨てろ!」
翼の生えた靴を履いた(以下略)の会話を聞いた十六夜は不機嫌そうに、しかし獰猛に笑って呟く。
「まいったな、生まれて初めておまけに扱われたぜ。手を叩いて喜べばいいのか、怒りに任せて叩き潰せばいいのか、なあ、ゾンビさんはどっちだと思う?」
ゾンビさんと呼ばれた修也は不機嫌そうに答える
「だれがゾンビだ。…まあ、ぶっ叩いたらいいと思うけど? 蛇同様」
「へえ、じゃあずっと俺をつけてたのはお前か?」
「いや、サーチャーをつけさせてもらっただけだ」
「修也、しゃべりすぎると傷に触る」
「わりい」
十六夜と修也はのんきに話しをする
そんな中、翼(以下略、以後、騎士と称す)がレティシアに縄をかけながら言う
「これでよし…危うく取り逃がすところだったな」
「ギフトゲームを中止してまで用意した大口の取引だ。台無しになればサウザンドアイズに我らペルセウスの居場所は無くなっていたぞ」
「それだけじゃない。箱庭の外とはいえ、交渉相手は一国規模のコミュニティだ。もしも奪われでもしたら」
「箱庭の外ですって!?」
黒ウサギの叫びに、レティシアを運び出そうとしていた騎士達の手が止まる。邪魔者と認識していたノーネームの黒ウサギの叫びに、敵意を込めた目線を黒ウサギに向けるしかし、黒ウサギは騎士達の視線など気にも留めず、走り寄って抗議の声を上げた。
「一体どういうことです! 彼らヴァンパイアは――箱庭の騎士は箱庭の中でしか太陽の光を受けられないのですよ!? そのヴァンパイアを箱庭の外に連れ出すなんて!」
「黙れ名無し風情が、我らの首領が取り決めた交渉に口出しするな」
ほかの騎士とは違った兜をかぶった騎士が侮蔑をこめて言う
本来、ほかのコミュニティの本拠への不当な侵入はそのコミュニティに対する侮辱行為だ
信頼が命の商業コミュニティであればこのような暴挙をする事は無いだろう
にも拘らず黒ウサギ達を侮辱する事は明らかにノーネームを見下しての行為だ。
「こ、この…!これだけ無遠慮に無礼を働いておきながら、非礼を詫びる一言もないのですか! それでよく双女神の旗を掲げていられるものですね、貴方達は!」
耳を逆立てて激昂する黒ウサギだがの騎士達は鼻で笑った。
「ふん。こんな下層に本拠を構えるコミュニティに礼を尽くしては、それこそ我らの旗に傷が付くわ。身の程を知れ名無しが」
「なっ…なんですって…!」
これにはさすがの黒ウサギも堪忍袋が爆発した
レティシアの扱いやコミュニティを侮辱する行動と発言の数々に、黒ウサギの沸点に一気に達したのだ怒りに震える黒ウサギを見下す騎士達はその姿に再度鼻で笑う。
「フン。戦うというのか?」
「愚かな。自軍の旗も守れなかった名無しなど我らの敵ではないぞ」
「恥知らず共め。我らが御旗の下に成敗してやるわ!」
口々に罵り猛る騎士達はゴーゴンの旗印を大きく掲げながら戦闘体勢に入る
まさに一触即発
黒ウサギの髪は淡い緋色に変わる
「ありえない…。ええ、ありえないのですよ。天真爛漫にして温厚篤実、献身の象徴とまで謳われた月の兎をこれほどまで怒らせるなんて…!」
黒ウサギが右手に持つカードを掲げると雷鳴とともに金色に輝く槍が顕現した
「イ…インドラの武具!? そんな話はルイオス様から聞いていないぞ!」
「ありえん! レプリカだ!」
雷が迸る槍を逆手に構えた黒ウサギは騎士たちに向かって投擲の構えをとる
「なら…その身で確かめるがいいでしょう!」
インドラの槍を黒ウサギが天に向かって打ち出そうとすると
十六夜が黒ウサギの背後に回り
「てい」
「フギャ」
思いっきり引っ張ったインドラの槍は騎士たちの元に行かず、あさっての方向飛んでいった
「何するんですか十六夜さん!」
「落ち着けよ。黒ウサギ仮にも相手はサウザンドアイズだ。白夜叉と問題起こしたくないんだろ? つか俺が我慢してやってるのに、1人だけでお楽しみとはどういう了見だオイ」
「フギャア!? お、怒るとこそこなんですか!?」
十六夜はリズミカルに、力いっぱい引っ張る
黒ウサギは十六夜の手から脱出し、空を指差す
「お、おっしゃることは尤もですが。やつらに天誅を加えねば!」
「もういないぞ」
「うん」
修也と耀の言葉に目線を空にむける
そこには騎士たちの姿は無かった
「不可視のギフトで隠れたんだろ。見逃してやれ」
「し…しかし」
「気持ちは分かるが今はやめとけ。詳しい話を聞きたいなら順番を踏むもんだ。事情に詳しそうな奴が他にいるだろ?」
黒ウサギの脳裏に白夜叉が浮かぶ
レティシアを連れてきたのが白夜叉なら詳しい事情を知っているかもしれない
「他の奴らも呼んで来い」
「え? でも昼間のことがありますし」
「なら来れるやつだけ連れて来い」
「私と修也はパス」
「そうか、なら御チビとお嬢様っだけでいい。行くぞ、黒ウサギ」
十六夜は黒ウサギの耳を引っ張って歩き出す
「分かりました」
「ええ、分かったわ」
「い、痛いのですよ! 十六夜さん!」
十六夜、黒ウサギ、ジン、飛鳥の4人はサウザンドアイズ2105380外門支店を目指すのだった
後書き
アニメで見たランスを殴り返す十六夜を見て
「こいつ何者!?」←最強問題児筆頭です
って思ったのは自分だけではないはず
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