| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第1章:王宮の戦士とヲタ少女
  第10話:馬鹿と魔法は使い用

(湖の塔周辺)
マリーSIDE

事前の打ち合わせ通り、まず最初に私が塔の最上階から湖の向こう岸へ、ホイミンに垂れ下がり運ばれた。
「うぅぅぅ…マ、マリーさん…お、重いよー!」
フラフラ左右に揺れながら、情けない口調でムカツク事を言うホイミン。

「重くないわよ!アンタ失礼な事言うと丸焦げにするわよ!」
「え~ん、ごめんなさーい(涙)」
私に脅され、マジ泣きしながら何とか向こう岸へと辿り着く。

これは全員運べないわね…
良かった…正論っぽい事言って、真っ先に運んで貰えて…
最後に運ばれる事になってたら、最悪途中落下もあり得たわね。

「はぁ…はぁ………じゃ、じゃぁボク…あっちに戻るね」
肩(?)で息をしながら空飛ぶ靴に足(?)を通すホイミン。
いまいち部位が判りづらいが、凄い勢いで塔の最上階へと戻っていった…つー事は、アレは足なんだ!


ホイミンが戻った塔の最上階を見詰めると、少しずつ此方に近付いてくる物がある。
多分ホイミンが最初の子供をぶら下げて、此方にフラフラ向かってきているのだろう。
遠すぎてよく判らんが………

何時までもボーっと眺めていると、周囲にモンスターが集まってきた!
遮蔽物のない平原に美少女が一人佇んでいる……チャンスに見えるのだろう。
ホイミン君が元気なウチに、100%安全に渡ることのために唱えた論理だったのだが、まさか本当に此方の安全を確保する事になるとは思ってなかった…

『スライム』や『大ミミズ』・『ハサミクワガタ』など、ザコザコしい奴等ばかりではあるのだが、数が多すぎてウザッたい!
本気を出すのも大人気ないと最初は思っていたので、メラやヒャドあたりで応戦していたが、しつこすぎて腹が立ってきた。

「イオナズン!」(ドチュ~ン!!)
大量に居たザコがスッキリ居なくなる…
イオナズンに巻き込まれなかった奴等も、目の前に出来た大きなクレーターを見て、慌てて逃げ出す滑稽さ。

「うわ~…お姉ちゃんスゲー………」
子供一番手…ププル君が私のイオナズンを見て呆然と呟く。
可愛い男の子なんだけど、6歳じゃ流石に範囲外よね!エノキを見てやろうとも思わないわ。

そんな事を考えていると、既に疲労が蓄積された表情のホイミン君が、再度空飛ぶ靴を履き塔の最上階へ向かう。
子供達くらいは無事に届けてほしいわね…
大丈夫か?



ププル君の「お姉ちゃんの魔法スゲー!僕にも教えてよ!」と言う、ウザったいアタックを「学校のお勉強を真面目に頑張りなさい♥」と大人ぶって躱していると、ホイミン君が続々と子供達を連れてくる。
気力と根性でライアンちゃん以外を運んできたのは凄い事だと思う。

「ねぇホイミン君。流石にもうムリでしょ!?ライアンちゃんは明日迎えに行く事にして、今日は子供達を先に送り届けない?」
私としては健気に頑張るホイミン君に気を使ったつもりなのだが…

「ダメだよ!ライアン様を一人で置いていけないよ!」
と、凄い剣幕で怒りまた塔の最上階へと戻っていった。
きっとライアンちゃん、途中で落っこちるわよ…

最上階へ着いたホイミン君は、何やらライアンちゃんと会話をしている様だ。
遠すぎて細かい事までは判らないけど、ライアンちゃんもホイミン君を気遣っているみたい。
しかし真面目なホイミン君は、最後の一人…ライアンちゃんを運ぶ為、両脇の腕(?)を絡め、浮かび上がろうと藻掻いている。
この距離で判る程だ…相当藻掻いているのだろう。

ある程度藻掻いているとムリだと悟ったのか、一旦藻掻くのを止め再び会話を始めるお二人。
そしてライアンちゃんはホイミン君を肩に絡めたまま、私達の居る方から見て塔の奥側に移動すると、「ぬおおおぉぉぉぉ!!!!」と言う雄叫びと共に、もの凄い助走を付けてジャンプした!

勿論、ライアンちゃんのジャンプ力だけで湖を飛び越す事など出来るわけもなく、ホイミン君の浮遊力と結合させて渡りきろうという作戦みたいだ…
だが、高度が下がる速度が圧倒的に早い!

この場にニュートンが居れば、この光景を見て万有引力を発見したに違いない。
しかし、今はそんな事を考えている場合じゃない…このままじゃ二人とも池ポチャになってしまう。
何とか助けてやらないと…

う~ん…マヒャドで湖を凍らすか?
………いやダメだ。凍らしたら余計大惨事になる…あの落下スピードじゃ、氷に激突した瞬間グチャグチャになるだろう…

じゃぁバギクロスの風圧で押し上げるか?
………それもダメだな!私にはお父さんの様に風だけのバギクロスは唱えられない。
空中で細切れにしてしまうのがオチだ。

でも風圧と言うのは良いアイデアかもしれない。
水面にイオナズンをぶつけて、爆風で押し上げる事は出来ないだろうか?
でも、一歩間違うとイオナズンを直撃させてしまうかもしれないわねぇ…
う~ん………迷っている時間はないか!

私は一か八かでイオナズンに賭けてみようと思う。
まだ水面から離れている今の内しかチャンスはないからね!
これ以上は迷えないわ!

「よし…イオナズン!!」
意を決してイオナズンを唱える私。
ライアンちゃん・ホイミン君の真下の水面に、私の唱えたイオナズンが炸裂する。
“ドバ~ン!!”という音と共に、大量の水が周囲へ飛び散った!

やべ…やりすぎたか!?
私の目の前には、湖からの大きな津波が押し寄せてくる。
魔法って手加減が難しいわ♥

私はライアンちゃんとホイミン君が爆風で押し上げられたのを見ると、振り返り猛ダッシュでその場から逃げ出した!勿論子供達など眼中にない!
キャーキャー、ギャーギャーと後ろから聞こえてくるし、私の後を追ってきているのだろう…振り返る余裕は無いので自力で逃げ切ってほしい。




先程ザコ敵を葬る為に作ったクレーターが役に立った。
津波として押し寄せた大量の水は、平地より低くなったクレーター内へと進んだので、猛然と逃げ出した私達(子供達を含む)は被害に遭わずに済みました。数人がびしょ濡れだけどね…

ライアンちゃんとホイミン君はと言うと…
新たに出来たクレーター湖でプカプカ浮いております。
結局濡れるんだったら、あのまま放っておけばよかったわ…

マリーSIDE END



 
 

 
後書き
年齢設定
ライアン:25歳(お髭の所為で老け顔です)
マリー:12歳(あと2日で…)
ホイミン:18歳(人間年齢で) 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧