<破壊神(シヴァ)>と<業(カルマ)>
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序章『始まりの物語』 第壱話『始まる』
前書き
初めは意味不明でしょう。黄泉路の案内人を見て自分もこんなオリジナル二次を書いてみたいと思い書きました。
この話を簡潔に言うならば只の能力者バトルと思ってください。
初めは走り読みで読み飛ばして頂いて結構ですよ。
―――人間は種子である
そう唱えた男がいた
人間は未だ発芽していない種子のようなモノであると
人間は自身の力を全てコントロール出来ていない
もし全ての力をコントロール出来るようになれば次のステップに、発芽出来ると
そう唱えた男は自身に備わっていたある特異な力を発動させた
それは純白の光となりて世界を覆った
その光を浴びた者達動植物人間関係無く男と同じような異質な力に目醒めた
植物は意思を持って動き、動物はさらなる異能を操る
そして人間は摩訶不思議な創作物に登場するような<異能><魔法><超能力>全てに当てはまり全てに当てはまらない力を手に入れた
それは火を操り、水を操り、風を吹かせる等と言った力である
男は言う
―――その力こそ人間が、動植物が使っていない本能を具現化した可能性だと
男は言う
―――その力は<業(カルマ)>であると
人間の本能を具現化した力
この<業(カルマ)>を真に覚醒させた者だけが発芽を、開花出来世界の覇者になれると男が言った
本能を剥き出しにされた人間達は己こそが世界の覇者になるに相応しいと叫ぶ
男は言う
―――さらなる<業(カルマ)>を犯した者にこそ<神(アスラ)>のモノに相応しいと
カルマとは業
業とは罪
友を
子を
父を
母を
兄を
姉を
弟を
妹を
爺を
婆を
妻を
夫を
彼氏を
彼女を
隣人を
最も罪が、<業(カルマ)>が高まるであろう行いを平然と行う
人間という皮と殻を被った<悪魔(アスラ)>が誕生した瞬間であった
<太陽・最奥>
宇宙の命たる太陽にその者はいた
<業(カルマ)>を誰よりも犯し、絶望を与え喰らい、血と怨嗟と終焉をその身に纏った女………否、女と男の姿を持つ<神>が其処にいた
『全ての<悪魔(デーヴァ)>を喰らい<神(シヴァ)>となったが感想はどうかな?』
<神>と同じく女か男か識別が出来ない男が透明な微笑みを浮かべる
<神(シヴァ)>はその男にどす黒く真っ赤で真っ白な感情を乗せた声で呟く
≪嬉しいさ……あまりにも嬉しくて理性が………心が吹き飛びそうだよ≫
怨嗟そのままの声を浴びた男は嬉しそうに頷く
『喜んでくれて何よりだよ
僕が丹精籠めて造り上げた快があったと言うものだ』
本当に嬉しそうに頷く
≪あぁ………だからさ………≫
<神>はその皹割れその皹から噴き出す漆黒と真紅の呪いの鮮血を纏った右腕を前に突き出す
≪だから………さっさと死んでしまえっ<魔王(マーラ)>!!≫
<神(シヴァ)>の名に相応しい破壊を齎す腕から風が放たれる
太陽の炎をさらに燃え上がらせる<風化>の呪いが掛かった病魔の颶風は男<魔王(マーラ)>に襲い掛かる
≪美穂……お前の力、我(わたし)に貸しておくれ………【死界氷河(ニブルヘイム)】≫
太陽の炎ですら溶けない死の世界の氷世界はこの空間を侵食し、魔ごと氷河に閉じ込める
だがこれで終わる訳ではない
≪眞叉鬼………お前の無念今こそ晴らす!!【破壊の終鐘(ミョルニル)】≫
それは雷神の破壊の鎚を再現した破壊の一撃
氷河ごと太陽の天より振り下ろされた破壊の雷はそのまま全てを打ち砕く
『<神(シヴァ)>の名に相応しく他の<神々(デーヴァ)>の<業(カルマ)>を抱いているのか』
魔王は氷の欠片すら、濡れてすらいない神官服から覗く右腕を晒す
『シヴァ。ここまで本当に良く育ってくれたね僕は嬉しいよ。だから最後のステップだ』
魔王の腕から緑色の炎が昇る。
『僕を<捕食(ハント)>し、僕の<業(カルマ)>を力としろ』
そうして魔王の炎が解き放たれる。
『【怠惰の死炎(スロウス)フラム】』
怠惰を炎に象ったその現象は太陽の炎をもものともせずシヴァを襲う。
シヴァはその胸元の長い羽衣を解いて自身の身を包む。
≪乙姫……私を護って【水神の羽衣】≫
水を纏ったシヴァに触れた怠惰の炎は水の羽衣を突破出来ずに鎮火する。
するとプロミネンスがシヴァと魔王の間を通過し、二神を隠す。
その隙を逃さずシヴァはその左手に握る先が三つに分かれた黄金の槍(三叉戟)『三力の破壊鎗(トリシューラ)』を抜き放つ。
この三叉戟の三つの先端はそれぞれシヴァのシャクティ(力)である、iccha(欲望、愛、意志)、kriya(行動)、jnana(知恵)をあらわす。
こういった武具は最も内側と呼ばれる『捕食装(アートマ)』と呼び、自身の<業(カルマ)>を物質化させたモノで、このアートマでのみ同じ<悪魔(デーヴァ)>を殺しその<業(カルマ)>を奪う事が出来る。
この時物質化させたアートマは己が魂が最も力を発揮出来る形となる為に決まった形はなく、業が重ければ重い程強力で凶悪になる。
シヴァの手にある三叉戟は他の業を全て負った果てに至ったモノであり、それは全ての生命の怨嗟を内包している。
赤黒い呪いを纏ったその三つの矛先は魔王を穿ち、その瞬間壁になる連続突きは魔王を滅多刺しにする。
≪龍直伝………【魔歹(マガツ)】≫
それは機関銃である。
突き刺したまま上に放り投げ無防備な魔王に連続で放たれる突き。
それらを全て受ける魔王。
だが圧倒的に優位に立っている筈のシヴァの顔はしかめられている。
≪(当たっている筈だが………全く手応えがない)≫
そう。突き刺した筈なのにトリシューラから伝わってくる肉を貫く感触や抵抗はあるのに………少しも魂が減っていないのだ。
シヴァ程になればその圧倒的な魂の量が意思一つで傷を片っ端から癒すのである。
矛先が抜かれた直後に傷口を癒しているであれば微量ながら魂の総量が減っていくのである。
だがしかし魔王のシヴァの数千倍もの量の魂は減っていないのだ。
≪つまり……これは!!≫
『気付くのが少し遅いね』
シヴァのすぐ後ろに魔王がたっていた。
だがシヴァの三叉戟には確かに未だ魔王が串刺しになっている。
≪(分身か?いや、此もあれもどちらも本物だ。ならば魂を分割しての分身か?いや、魂は初めから変わっていない)≫
コンマにも届かない超高速での思考。
『これは分身等ではないよ』
≪っ(思考を読まれた!?)≫
『別に思考を読んではいないよ。これは簡単な事だよ………別の平行時間軸から同存在を喚んで来ただけさ』
そう。<超越者>でもある魔王にはタイムパラドックスは通用しない。
平行世界の時間軸から自分を召喚しただけなのである。
どちらも本物だ。
『<神(シヴァ)>……僕の子よ。今のその力では僕に掠り傷すらつけられない』
魔王は左手をシヴァに翳すとその手に歪みが生じ、世界が歪む。
次元が崩壊しているのだ。あまりにも強大過ぎるその力に世界が耐えきれていないのだ。
『更なる<業(カルマ)>を抱いて次こそは………』
そしてその崩壊の引力にシヴァは吸い寄せられ、引きずり込まれた。
『僕を喰らい至れ』
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