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魔法少女リリカルなのは〜転生者の誓い〜

作者:muuma001
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第九話・目覚める転生者

神と対談し、あれからどれほど時間が経ったのかは分からないが

俺の意識が目覚めた。


「…どこだ?ここ」


周りを見渡す。

どうやら少なくとも神の間とかではないらしい

その事にまず安心する。

また、俺が目覚めたのはどこかのベットの上だ。

そして何となく、そう何となくなのだが俺はここが病院だと思う。

全体的に白を基調とした部屋とベットなのがそう思う理由である。

それに俺の腕には点滴が繋げられている。

数年前にこの世界での父が死にそうになった事があるが

どうやら俺はその時と似たような状態になっているらしかった。

つまり、死にそうだったと

いや、願い事が残っていなければ死んでいたのだから死にそうという表現はおかしいのだが・・・


「……」


とりあえず辺りをもう一度見回してみるが

どうして良いか分からない。

何となくナースコールを探してみるのだが、なかなか見つからない。

さて、どうしたものだろうか?


「……」


もう一度どうするか考えてみるが良い考えは浮かんできそうにない。

実際問題、ここが病院ならばこのまま何かしなくてもいい

誰か見回りにしてもお見舞いにしても来てくれるはずだ。

今現在、俺が焦っている理由は一つ。


(なのは…、無事でいてくれ…)


これだ。

あの金髪の少女、俺の原作の知識では恐らく名をフェイト、

フェイト・テスタロッサがなのはを殺していないかどうかである。

原作ではあり得なかったが、実際に俺が殺されている以上は確実とは言えない。

これでなのはが死んでいたりした場合、

どうにかして俺はもう一度あの趣味の悪い神様と話し合う。

願い事の回数が無いとかそんなことは後回しだ

そのときは俺の命と引き換えてでもなのはを生き返らせるのだから。

これが俺のやるべき事である、

だが、


「お兄ちゃん…!?」


どうやらこの俺の覚悟、

文字通り決死の覚悟は杞憂に終わったらしい。

部屋のドアが開き、そこからなのはが目に涙を溜めながらベットに横たわる俺に抱きついてきた。


「お兄ちゃん、大丈夫なの…?」


開口一番、俺の安否を気にするなのは。

どうやら俺はまたなのはを心配させてしまったらしい。

まったくもって、駄目な兄だ

こうなってくると俺はなのはを心配する資格があるのか分からなくなってくる。

まあ、とりあえずだ


「大丈夫だよ」


そう言って俺はなのはの頭を、

正確には部屋の入り口が左側のため左側にいたなのはの頭を

撫でようとした。

そう、撫でようとしたのだが。


「あっ…」


情けない声がでた。

なぜなら、俺の左腕が肩の部分から無くなっていたからだ。

そしてそこで思い出した。

そうだ、俺は神との取引で左腕を捨てたのだった。


「……ッ!」


そんな俺の考えをどう受け取ったのか、なのはが息を呑んだ。


「…お兄ちゃん、その…あの…」


俺を気遣っているのだろう。

どうにか俺を励まそうとしているのが分かる。

でも、


「大丈夫、まだなのはの頭を撫でる事は出来るから」


俺はそう言って右手でなのはの頭を撫でて、笑顔をつくる。

そんな俺に対してなのはは限界だったのか


「ううっ…」


泣き出してしまった。

でももう俺に出来る事はない、

俺はそれからどれくらいかは分からないがなのはが泣き止むまでなのはの頭を撫で続けた。

そして


「…みずな、正直に話せよ?」


俺はなのはが泣き止んだ後すぐにやって来た、兄さんに尋問をされていた。

なのはは最後まで俺の事を心配していたが少し強引に美由希姉さんに連れられ病室から出て行っている。


「正直に話すって?」


魔法の事はなるべく周囲に気付かれないでくれというユーノ君のお願いを守るため

とりあえず俺はとぼけようとしたが


「とぼけるなよ、普通に考えてこけたぐらいで腕が切断される事態などにはならん」


どうやら一瞬でその目論みは失敗してしまったようだ。

それに兄さんは俺を追いつめるために言葉を続けた。


「それにその傷は間違いなく刃物による切り傷だ」


そう聞いてくる

そして、その目は確信に満ちあふれていた。

どうやっても言い逃れが出来そうにない事態に俺は助けを求める。

その方法とは


(ユーノ、聞こえるか?)

(みずなさん!?)


念話だ。

これならば兄さんに気付かれずに助けを求める事が出来る。


(大丈夫なんですか!?)

(ああ、大丈夫だ。…それよりも)


俺は手短に現在の状況をユーノに伝えた。

すると


(…分かりました、皆さんに全て僕がお話しします)

(いいのか?)

(はい…)


どうやらユーノが全て話してくれるらしいので

ここは彼に任せるしかないだろう。

その事を兄に伝える。


「兄さん、すまないけどなのはとユーノ呼んでくれる?」

「…?」


兄さんはなぜなのはと、更に言えばペットのユーノを呼ぶのか訝しんでいるようだが、

俺の表情から重要な事だと察したのか部屋のすぐ外に待機していたなのはと

いつの間にかなのはの肩に乗っていたユーノを呼んで来てくれた。

ついで、というわけではないが父と母、美由希姉さんも俺の病室に集まる。


(それではそろそろ話します)

(分かった、フォローは任せろ)

(うん、お兄ちゃん、ユーノ君お願い)


念話でなのはとユーノ君と連携を図り

兄さん達に話しかける。


「兄さん達は今から話す事を落ち着いて聞いて欲しい…」


静かに兄さん達が頷く。

それを確認して、俺は始まりの言葉を繋げる。


「それじゃあ頼むよユーノ…」






・・・・・・それからの数十分間は大変だった。

まず、ユーノが話し始めたのに皆が驚き

その後の魔法の説明についてもなかなか信じてもらえなかった

結局、なのはが魔法を見せる事で信じてもらえたが。


「…さて、よろしいですかな?」


何はともあれ、やっと家族皆が話を信じてくれたところで

タイミングよく白衣を着た初老の男性、恐らくこの病院のお医者さんがやって来た。

しまった、聞かれたか?ととも思ったが、どうやら聞こえてなかった様子。

そのことに俺が安堵するなか、まだまだ話したそうな顔をしている皆にお医者さんが退室を促し

俺はお医者さんからいろいろな質問を検査を受けたのだった。 
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