対決!!天本博士対クラウン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百四十六話
第五百四十六話 赤音はというと
美奈子が華奈子と頭の中で話していた頃赤音は開始してすぐにこけてしまった、だがそれでもすぐに起き上がってまた走りはじめた。
その赤音に梨花がやはり魔法で頭の中から言っていた。
「大丈夫?」
「平気よ、これ位」
「だったらいいけれど」
「これ位いつものことだからね」
だから平気だというのだ。
「こけた位じゃね」
「いつもだから?」
「そうなの。怪我もしてないし」
ジャージのお蔭か膝もすりむいてはいない、少し痛かっただけで赤音にとっては別に何もないことだった。
「安心して」
「ペースも戻ったわね」
赤音は足は速い方だ。梨花より少し先にいる。梨花は前に彼女をみながらそのうえで彼女に言ったのである。
「こけたらそのまま、ってなるのに」
「だから慣れてるから」
またこう言う赤音だった。
「平気なのよ」
「そのまま最後までいける?」
「うん、いけるわ」
「それはいいけれど」
だがそれでもだと、ここでこう言った梨花だった。
「またこけたりしないでね」
「そう言うのね」
「だって。幾ら何もで二度三度ってなると」
「大丈夫よ、本当に何回こけてもね」
赤音だけが明るい感じだ。
「私にとってはいつものことだから」
「それでも完走できるの?」
「もっと言えばペースも落とさないわ」
本当にそうだと考えている言葉だった。
「だから安心してね」
「そう。それじゃあお互いにね」
梨花も笑顔で応える。
「完走しましょう」
「マラソンって順位よりもまず完走することだからね」
「そうよね。華奈子ちゃんがよく言うけれど」
スポーツでは彼女だった。
「そういうことだからね」
「完走第一ということで」
「クラウンの全員がね」
「ええ、完走ね」
赤音も笑顔で応える、そうして。
また前のめりになる、だが今度は。
何とかバランスを取り戻した、そのうえで。
走り続ける、こけてもこけそうになっても赤音は前に進む、梨花はその彼女を前に見て彼女をさらに好きになるのだった。
第五百四十六話 完
2012・11・28
ページ上へ戻る