真・恋姫†無双 これはひとりの仙人無双
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来る仙人
「はぁぁぁぁぁ」
「っ!?」
金属音が森の中に鳴り響く。
鳴り響く音の音源であった場所ではショートの白髪の少女と、男性としては長めの黒髪を肩まで垂らさせている青年がお互いに刀を抜いていた。
今もなお、少女の持つ日本の刀と、青年の持つ刀が激突するが、やはり技術の差があるのか、ぱっと見ではわかりにくいものの、青年の方は明らかに押されていた。
2本の刀の起動をしっかりと捉える。
右に、左に、上に、そしてまた右に・・・・・・・。
連撃は止むことがなく、雨あられのように降り注ぐが、青年にそれを止める術はない。
そしてついに・・・・・
「負けました」
彼の首に少女の持つ刀の片ほうが当てられていた。
「よくもまあ半年であれだけできるようになりましたね」
「ハハ、妖夢の教え方がいいからさ」
この神界に落とされてから半年。
妖夢と毎日日が登って地に隠れるまで、そして週に一度ぐらい暗闇の夜の中手合わせをしてきた。
これまではなかった経験。剣道や槍術や薙刀、これまでも扱ったことはあっても真剣ではなかった。なでるように当たれば切り裂けるなんてことはなかった分だけ気も入っていなかったのだと思う。
妖夢と初めて打ち合った日なんかは最悪だった。
5回もうちあったらすぐに剣を弾かれていた。
何度やっても、うちあえる回数は増えるどころか減っていく。
さすがにあれには焦りもしたものだった。
結局その日は妖夢の説教を受け続けた。うまく言えないけど、まとめればそうだなぁ・・・・。自分の持っているものを理解して振りなさい。なでれば傷が付き、その冷たさは熱さともなる。それはあなたの一部であって、あなたの道具でしかない。あなたがそれの道具にはなることのないように。だったかな。
何が言いたいのかは大体わかったし、それ以降は気をつけてはいるものの、自分が武器に振られていることもある。
「いえ、あなたの方がすごいですよ」
「そんなことはないと思うけどな・・・・・。さて、飯にしようか?」
「はい」
にしてもまあ、この神界ってところは人が少ないのだろうか?
俺はこの世界に来てからというもの妖夢以外に人を見たことがない。
あ、そうそうこの話題とは関係ないけど妖夢って呼べって言われたから呼んでるんだけどね。
でまあ話を戻そう。動物は多いらしく、俺たちの暮らしている森にもいる。植物もたくさん生えているし、妖夢と畑も作ったから毎日いろんなものを食べている。
作るのは毎日交替制。
今日は妖夢というわけなんだが・・・・・、実はものすごく美味いわけだ。
原作である東方projectの二次創作では庭師どころかものすごく家庭的な少女だったがその影響だろうか?作るもの一つ一つのクオリティが高く、かく言う俺も最初の頃はご飯の作り方まで習っていたものだ。
いや、できなかったわけじゃないだぞ?これまで一人暮らしだったから自分一人のことぐらいできなくちゃ生きて来れなかったしな。だから作れたし、綿月や部活の後輩たちには合宿の時とかに美味いって言われたことぐらいあったさ。
だけどさすがにこれほどは美味くなかったなぁ・・・・・・・。
ん?今日は味噌汁と胡麻のほうれん草和え、そしてご飯っていったところかな?
「できましたよ、紅龍」
「ありがと妖夢」
紅龍がやっぱり妖夢のご飯は美味い、などと心の中で思っている中、妖夢の顔は普段の食事時とは違い、真面目なものであった。
紅龍も気づかないわけがなく、チラチラと時折妖夢の顔を見たりもしていた。
はぁ・・・、と軽くため息をついた彼女は、何かを決心したのか、味噌汁の入ったお椀と箸を置き、口を開いた。
「明日もう一人人が来ます。彼女も貴方の師となるべくやってきます。が・・・・・」
「が・・・・・?」
いつの間に箸をおいていたのだろうか?
紅龍も妖夢と同じく真面目な顔をしていた。
明日やってくる人物に何か問題でもあるのだろうか?と考えたりもしながらも、師である妖夢の言葉を待つ。
「彼女は仙人です」
「はい?」
「だから、仙人なのです」
「仙人?」
紅龍としては知らない言葉ではなかったし、死ぬ前に読んだ書籍にも仙人という存在は沢山見受けられていた。
が、実際に会うとなると・・・・・・。どうも実感がわかないものがあるらしい。
そんな紅龍を横目に、妖夢の言葉は続く。
「ええ、ですから、明日からは一部の例外を除いて肉が食べられないのです」
「え・・・・・・」
肉が食べられないとは?
書籍を読んでみると、あまり気にしていないものもあるが、酒や肉は食べない仙人というのも多い。そして、彼女は一部の例外を除いて肉を食べないというのだ。
「名を茨木華扇、自らは行者と謙遜しますが、私が知る限りは最高峰の仙人です」
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