対決!!天本博士対クラウン
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第百十三話
第百十三話 巨大猫の災厄
ただの興味本位というか時間潰しで巨大化させた猫。とりあえず博士はそれを待ちにたむろする不良達に対して放つことにしたのだった。
「例えばじゃ」
「例えば。何ですか?」
「哺乳類というのはよく食うのじゃ」
このことを言う。体温をコントロールする為にこれは必要なのだ。
「それでじゃ。その餌の問題を解決するには」
「どうすればいいんですか?」
「ゴミを食べられるようにすればいいのじゃ」
「ゴミをですか」
「そう、ゴミをな」
あくまでゴミと言い切ってみせる。
「わしもな。ゴミの再利用には常に頭を巡らせている」
「そうだったんですか」
「ゴッキローチにしたり生体実験の材料にしたりな」
ゴミの意味が違うがこの博士にとってはそこいらにいる暴走族や夜の街の不良達はそうとしか見えないのであまり意味はない。
「しておるのじゃがこうした処理方法もある」
「猫の餌ですか」
「そうじゃ。いい話だと思わんか?」
夜の公園でよからぬことをしようと集まっている不良達の前にその巨大猫を放った。
「今日一日餌を抜いておいた」
「餌を」
「しかも数匹放っておいた。これでこの公園の不良共は皆殺しじゃ」
平気な顔でとんでもないことを口にする。
「善き哉善き哉」
「しかし博士」
だが小田切君はここで言う。
「何じゃ?」
「不良達の残骸はどうするんですか?」
既に重大な犯罪行為を幾つか犯している気はするがそれについてはあえて聞かなかった。この博士にとっては法律は何の意味もないからだ。
「食べ残しは」
「烏が何とかしてくれるじゃろ」
「そうですか」
「ゴミのことは気にするな」
何気に話が先程のものとは矛盾しているがそんなことはどうでもよかった。
「些細なことじゃ」
「わかりました」
「烏の餌にもなっていい」
実に人道を全く無視した言葉が続く。
「野良猫やら雀やら生ゴミやらを襲ったり漁ったりしなくて済む」
「あの連中は生ゴミ以下なんですね」
「無駄な人口は減らせばいい」
こうまで言い切る。
「それだけじゃ」
「はあ」
今小田切君の目の前では不良達が巨大猫に嬲られ虐殺され生きながら食い殺されていた。断末魔の悲鳴が木霊する。しかし博士にとってはそれは最高のミュージックだった。心地よい顔でその声を聞いて悦に入っていたのであった。しかも話はまだ続くのであった。
第百十三話 完
2008・5・30
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