久遠の神話
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第零話 炎の覚醒その八
「コンパに参加して遊ぶのはな」
「ああ、じゃあ行くか」
「御前の名前書いておくからな」
「それじゃあな」
「さて、どんな娘がいるかな」
明るい顔のまま話す彼だった。
「今から楽しみだぜ」
「おい、休憩終わりだ」
部長が彼等に言ってきた。
「今度は筋トレやるぞ」
「わかりました」
「じゃあ次はそれですね」
「ああ、それするぞ」
こう彼等に話すのである。やたら背の高い茶髪の青年だ。青いジャージを着ていてそれがかなり似合っている。その彼が部長だった。
「身体はほぐしたよな」
「はい、休めました」
「充分過ぎる位に」
「それならやるぞ。いいな」
こうしてだった。彼等は今日はそのままトレーニングを続けるのだった。
そしてその後でだ。彼等はだ。
合コンの日を迎えた。その日にカラオケ屋に入った。その店に入るとだ。
まずは星達が目に入った。そしてその次にはだ。
横浜ベイスターズの帽子を被った小柄な娘がカウンターに見える。黒のショートヘアの可愛い娘だ。しかしその表情はというと。
「ああ、ベイスターズ負けたか」
「うわ、今日も酷い点数だな」
彼等はカウンターの壁のそのスコアボードを見て言う。
「こっちは完封で向こうは二桁か」
「凄い惨敗だな」
「よくここまで負けるよ」
「全くだな」
こうだ。彼等は呆れながら言うのであった。
「広島相手に何処まで負けてるんだよ」
「今鯉が勝ったら阪神抜かされるよな」
「せめて。ここで勝ってくれないとな」
「困るんだけれどな」
「全く。ベイスターズもなあ」
「こんなのじゃな」
「今年も最下位か?」
不吉な、横浜ファンにとってはそうした言葉が出て来た。
「ここんところずっと最下位だからな」
「しかも負け方酷いしな」
「いい選手はどんどん出て行くからな」
「フロントは駄目だしな」
「もうどうしようもないだろ」
「暫くずっと最下位か?」
こんなことを話しているとだった。カウンターのその娘は。
無言だがそれでもだ。彼等をむっとした顔で見据えた。そうしてだ。
彼等にだ。その不機嫌な声で問うのだった。
「あの」
「ああ、何だ?」
「どうしたんだ?」
「御部屋はどこにされますか?」
こう彼等に尋ねるのである。
「それで」
「ああ、そういえば部屋何処だった?」
「予約入れてたよな」
「そうだったよな」
「予約ですか」
その不機嫌な顔で応えるカウンターの娘だった。
「今日の予約は五号室ですが」
「そうそう、そこそこ」
「五号室だよ」
「そこだったよ」
「わかりました」
声もだ。実に不機嫌なままだ。そしてだ。
彼等をその五号室に案内する。そこはパーティーができるだけ広かった。
まだ灯りは点いておらず暗い部屋にだ。壁に付けられている席がありテレビもある。そしてマイクに分厚い曲の番号が書かれた本、そうしたものが置かれていた。
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