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久遠の神話

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第一話 水の少年その一


                     久遠の神話
                   第一話  水の少年
 八条学園高等部。そこの剣道部でだ。
 道場の中で部員達がだ。こんな話をしていた。
「何かだいがくにな」
「ああ、そうらしいな」
「何か凄く強い人いるってな」
「そうらしいな」
 こうだ。彼等は休憩時間に落ち着いた顔で話をしていた。
「洒落にならない位強くてな」
「しかも二刀流で?」
「バケモノみたいに速いらしいな」
「そんなのいるからな」
 こうした話をしていてだ。そこにだ。
 一人の少年が来て言うのだった。
 背は一七六程で伸ばしたスポーツ刈りの様な髪型をしている。目は優しい感じで二重のものだ。口は一文字でしっかりとしている。顔は全体的に四角い感じだがエラは張ってはいない。
 その彼がだ。仲間達の話を聞いて言ってきた。
「そんな人が大学にいるんだ」
「ああ、とにかく尋常な強さじゃないってさ」
「全国大会に出てもぶっちぎりの感じで」
「だからバケモノみたいなな」
「そんな強さだってさ」
「ふうん、そんな人がいるんだ」
 紺色の袴の上に防具を着けながらだ。彼は仲間達に応える。
「一度見てみたいな。うちの学園だし」
「ああ、じゃあ今度行くか?」
「大学の方に入ってな」
「それで見てみるか」
「どんな人なのか」
「名前何ていうの?」
 少年はその大学の剣豪の名前を尋ねた・
「何ていうのかな、それで」
「ええと、名前は?」
「名前は何ていったかな」
「ちょっと。わからないよな」
「だよな」
 名前になるとだ。彼等は口のごもってしまう。だがその中でだ。
 一人がだ。この名前を出してきた。
「そうそう、確か」
「確か?」
「その人の名前だよな」
「何ていうんだ、それで」
「上城大樹だったな」
 この名前を出すのだった。
「そうだったよ」
「それ絶対違うから」
 少年がすぐに突っ込みを入れた。
「だってそれって」
「ああ、わかったか」
「僕の名前じゃない」
 こうだ。その名前を出した仲間に口を尖らせて言うのである。その尖らせた様子がどうにも啄木鳥の様にも見える。特に横から見ると。
「だから絶対に違うよ」
「同姓同名とかさ」
「それでもいるかな」
「ひょっとしたらあるだろ」
 その友人は笑顔で話していく。
「若しかしたらな」
「そんな筈ないから」
 彼はその可能性を完全に否定する。
「全く。何を言うかって思ったら」
「まあ名前のことは置いておいてな」
 彼はそのことは棚に上げてだ。それでまた言うのだった。
「その人のことは本当だからさ」
「大学にいる人が強いってことだね」
「ああ、圧倒的だからな」
 そこまでだというのだ。
「聞いた話によるとな」
「ううん、本当に一度見てみたいな」
 彼、上城は仲間達の話を聞いてまたこう言った。 
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