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戦国異伝

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第百話 浅井の活躍その三


 そしてだ。こう言ったのである。
「本国寺に向かえぬぞ」
「そうですな。このままではですな」
「本国寺に行けませぬ」
「全く。困ったことですな」
「この僧兵達のせいで」
 周りの者達もだ。それぞれ槍を手にして僧兵達に向かっている。織田家の長槍で薙刀を持っている僧兵達を叩く。長槍の使い方だった。
 その長槍で叩きながらだ。彼等は僧兵達と戦うのだった。
 織田家の軍勢は何とかだった。僧兵達を倒していた。しかし足止めを受けていた。
 信行はこのことに焦りを覚えていた。それでだった。
 ここでだ。彼は周りの者達にこう言ったのだった。
「ここはじゃ」
「はい、どうされますか」
「このまま戦われますか」
「兵を少しでも本国寺に向けるか」
 こう考えたのだった。自らも槍を振るいながら。
「そうするか」
「いえ、それでは送られる兵は僅かです」
「ここで僅かな兵を送っても仕方ありませぬ」
「ですからそれはです」
「やるべきではないかと」
「そうか。無理か」
 周りの者達、自らが率いる旗本達に言われてだ。信行もその考えは思い止まった。だがそれでもだった。
 彼は口惜しい顔でだ。この言葉を漏らした。
「しかし。本国寺はじゃ」
「はい、お救いせねばなりません」
「公方様は」
「それでこの僧兵達を一刻も早く退けたいが」
 だが、だった。それもだった。
「これだけおってはな」
「はい、中々蹴散らせませぬ」
「一体どの寺の者か」
「三好に与しているのは間違いないですが」
 それはわかる。しかしだった。
「どの寺の者達なのか」
「それがわかりませぬな」
「しかも何故この場所にいるのか」
「一切わかりませぬ」
 こう言ってだ。彼等は首を捻りながらも戦っていた。 
 しかし彼等は足止めを受けていた。明智はそのことw本国寺で自ら剣を振るう中で聞いた。そしてこう言ったのである。
「!?闇の僧衣の僧兵だと」
「はい、そうです」
「その者達が出て来てです」
「信行殿の軍勢は足止めを受けています」
「それでここまで来られませぬ」
「どの寺なのじゃ」
 いぶかしむ顔でだ。明智は報告してきた足軽達に問うた。
「今都に僧兵がおるとは聞いておらんぞ」
「延暦寺でもありませぬな」
「あの寺でも」
「延暦寺は今は都に向かっていない」
 明智もこのことは把握していた。しかとだ。
「そして人も出してはいない」
「そうですな。延暦寺が動くとなると必ず話が出ます」
「しかしこの度はそうではない」
「では間違いなく延暦寺ではない」
 このことはわかった。だが、だった。
「しかし。僧兵の数は数千程とか」
「それだけの僧兵を出せるとなると延暦寺位しかいないのでは?」
「そうですな。流石に」
 延暦寺にはそれだけの力がある。だが他の寺にはなのだ。
「ううむ、都でもそれだけの寺はありませぬが」
「一体何者なのか」
「全くわかりませんな」
 誰もが首を捻る。それだけの数の僧兵になるととてもだった。しかも今はさらにだった。 
 三好の兵達が迫ってきていた。義昭も弓を放っている。その彼にだ。 
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