IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~
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第三話『星の少女と天災』
前書き
今回、原作キャラのあの人が登場します
「此処は……」
スウェンがリズに連れて来られたのは、少し広めの書庫だ。動物の本や植物の本、様々な種類の本が置いてある。
「ここ……一番落ち着く」
そう言いリズは近くにあった椅子に座り、机に上がっている本を手にする。
「私、身体弱い……から、お外に出られないの。だから……何時も本読んでるの」
「そうなのか」
スウェンはおもむろに近くにあった本を取る。その本は星座について書かれていた。
「星が好きなのか?」
「うん……たくさんあるキレイなお星様が、線で結ぶと……一つの形になるのが……面白くて」
「……俺も子供の頃、よく星を見ていた」
「スウェンも……お星様好き……なの?」
「ああ」
扉に背を預け、腕を組み
「よく外に出ては、夜遅くまで星を眺めていた。帰ったら両親に何時も心配されて怒られてたがな」
「……羨ましい……な。私、お家の窓からしか……お星様見たときがない……から」
するとスウェンはリズに近づき、頭を撫でる。
「リズ、もしお前の身体が良くなったら、一緒に星を見に行こう。空一面が星で覆い尽くされている場所へ」
「本当……に?」
スウェンは頷く。リズは椅子から降り、スウェンに抱きつく。
「約束……だよ? お兄ちゃん」
「ああ……?」
一瞬気になる単語が出てきたため、スウェンはリズの方を向き
「今、俺の事を兄と……」
「うん……♪ スウェン、今日からリズのお兄……ちゃん。ダメ?」
「……いや。それで構わない」
「……♪」
リズは満面の笑みになり、スウェンの手を掴み横に立つ。
「お腹すいた……から、ごはんに……しよう?」
「その案には賛成だ。行くとしよう」
食卓へとやって来たスウェンとリズ。そこにはスウェンの顔を引きつらせるほどの珍妙なものが居た。
「何だ……これは?」
スウェンの視線の先にあるのは、もぞもぞと動く人の大きさほどのウサギ?のなにか。それがスウェンに気づくとぴょんと飛び上がり、口が大きく開かれ、中から頭にウサギの耳が装着されたカチューシャをつけている女性が出てきた。
「はぁ~い♪ こんにちは~そして初めまして~! 天才ぷりてぃ篠ノ之 束さんだよ!!」
「……」
「……」
静まりかえる空間。リズは隠れるようにスウェンの後ろに行き、スウェンは表情を強張らせ束と名乗る女性を見ていた。
「リズ、この女性は……」
「えっと……この……人は、ISを作った……」
「そうそう! この世界のどんなものより、すんごく強いパワード・スーツ、インフィニット・ストラトスを作ったのは、この束さんなのだ!」
胸を張って誇らしげに言う束。スウェンは視線だけリズに送り
「リズ、少し向こうへ行っていてくれ」
「う、うん……」
コクリと頷き、リズはその場を離れた。スウェンは束に視線を戻し
「それで? 篠ノ之 束、あんたは一体何の用でここに?」
「ん~とそれはね、君の事を見に来たの!」
「なに……?」
「君の事を調べさせてもらったよ! スウェン・カル・バヤン。解かっていることはそれだけで、ドイツおろか、世界に君の国籍は存在しない。束さんの超天才的技術で調べても、君の事は名前以外何一つわからなかった! 束さんはそんな詳細不明すぎるスー君に興味が湧いたのだよ!!」
「す、スー君……?」
束から妙な愛称を付けられたスウェンは思わず呆気にとられた表情をする。
「おっと! 束さんは忙しいからそろそろ行くね! そうだ! スー君に面白い事教えてあげるね! 近いうちに世界のバランスが変わっちゃうよ! どう変わるかはお楽しみあれ! それじゃばぁあい♪」
そう言い、何処かへと走っていった束。まるで嵐が過ぎ去った後、スウェンは面食らった表情をしたままであった。
「何だったんだ……一体」
するとリズがやってきて
「お腹……へったよぉ……お兄ちゃん」
「ああ、そうだな。食事を取るとしよう……」
スウェンは束の言葉を思い出す。
『近いうちに世界のバランスが変わっちゃうよ! どう変わるかはお楽しみあれ!』
この世界は自分の居た世界よりも戦争が世界に広がっているわけでもなく平和だ。その平和な世界のバランスが変わる。一体なにが起こるというのか、スウェンはそれをずっと考えていた。
――そして数週間後、とある事件が起き世界のバランスは……本当に変わるのであった。
後書き
次の更新は近日中に行いたいと思います
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