ハイスクールD×D 紅い神喰狼と赤龍帝
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受け取れよ………アンタへの手向けの花
~真紅狼side~
手合せから数日が経ち、しばらくは無事平穏な日々が過ごせた。
朝の奇襲を除いては、だけど………
その数日後の夜、現在………寝ようと思った矢先に血が昂ぶった。
「真紅狼………気が付いてるな?」
「ああ、父さん。殺るんでしょ?」
「そうだ。支度しろ」
「分かった」
そこから、俺と父さんは狩る為に着替える。
『七夜』の体術を覚えてしまったせいなのかは分からないが、異形なモノがこの近くに棲み始めると血が異様に高まってしょうがない。
朱乃たちには微弱程度であり、どうやら害意を持った異形に対して強く反応するようだった。
「真紅狼、準備できたか?」
「問題ないよ、父さん」
「そうか。じゃあ、楓、行ってくるよ」
「母さん、行ってきます」
「はい、いってらっしゃい。気を付けるのよ」
母さんに見送ってもらった後、俺と父さんは一気に駆け上がり、家から家へと高速で飛び移りながら異形のいる場所まで飛んでいく。
~真紅狼side out~
~イッセーside~
俺達は今、町はずれの廃屋に向かっている。
大公………つまり、俺達の偉い人からの依頼で“はぐれ悪魔”という存在を始末しに行く最中だ。
“はぐれ悪魔”とは、主を失う、もしくは主を殺した悪魔が外に出て悪さをする悪魔の事だ。
簡単に言えば、野良犬と一緒だ。野良犬は、害を及ぼす。
その為、遭遇しだい消すようにルールが定められている。
悪魔側だけではなく、天使側、堕天使側でも危険視されている為、出遭い次第、他の勢力も始末しているらしい。
そして、その目的の廃屋の近くに辿り着いた。
「……大量の血の匂いと…………これは?」
「どうしたの、小猫?」
「………血の匂いの中に、人の匂いがします。数は二人です」
「食べられてしまった人達なの?」
「………いえ、生きています」
「どの道、入らなきゃ分からないことね。………行きましょう」
そうして部長の声を合図に廃屋の中に入っていった。
廃屋の中を進むにつれ、だんだんと聞こえる金属音………なんだ、誰かが戦っているのか?
『……コォォのォォォォ、小賢しいニンゲン共(・)がァァァァァっ!!』
『『弔毘八仙………無情に服す/解脱と悟れ!!!!』』
一瞬、火花が散った。
はぐれ悪魔が斬られる瞬間が、影ではあるがくっきり見えた。
はぐれ悪魔を挟むように謎の人物達は立っており、その者達が息を合わせた様に同時にはぐれ悪魔に襲いかかった。
そして………………
『…………少しばかりアンタには派手すぎるが、受け取れよ―――――――――――アンタへの手向けの花』
『こノ………私が……ァァァ………ぁぁぁぁぁ……………………』
その者達が交差したと思ったら、はぐれ悪魔は息絶えていた。
ぴちゃんっ………
液体の滴る音が、廃屋に響き渡る。
「部長、どうしますか?」
「ここまで来ちゃったらしょうがないわ、はぐれ悪魔を倒した人間達の顔ぐらい見ておかないと………!」
朱乃さんが部長に訊ね、その後俺達はその現場に踏み込んだ。
~イッセーside out~
~真紅狼side~
俺達が血の昂ぶりが強くなっていく方向に進んでいくと、町はずれの廃屋に着いた。
「真紅狼、準備は出来てるな?」
「父さんこそ、しくじらないでよ」
そう軽口を叩きながら中に入っていき、ある程度広い空間に出た。
そこで俺達は恒例のしきたりをやることにした。
「「…………………………じゃんけん…………ぽん!!」」
俺はチョキを出し、父さんはグーを出した。
「ちくしょおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「よっしゃぁぁぁぁあああああああああああ!!!」
何をやっているのかと言うと、囮役のじゃんけんである。
基本的に負けた奴が異形をおびき出す役なんだが、それが非常に嫌だ。
なんせ、おびき出した奴のデカさとか姿やいきなりの攻撃で、待機組が入ってこない時が多い。
その為か、囮役一人でほとんど始末してしまう時もあるのだ。
『………うるさいと思ったラ、まずそうな人間の男がフタリ………ダガ、ここが運のツキだ………!! 食事の時間だ』
…………出て来ちゃったし。
というか、お前はネロ・カオスか!
のこのこ出てきた奴は、下が蛇と獣で出来ており、上は若い女性の肉体だった。
「出て来ちゃったものは仕方ない…………狩るか」
「というか、父さん。アイツ、自分で『運の尽き』って言ったよ」
「ああ、そうだな。確かに運の尽きだろうよ。―――――俺達に出逢っちまうなんて…………さ」
俺と父さんはお互いに懐から短刀と撥を取りだす。
「吾等は面影糸を巣と張る蜘蛛なり―――――――――――――」
「―――――――――――――ようこそ、この素晴らしき惨殺空間へ」
父さんが最初に言い、後に俺が続けて言う。
「調子ニ、乗るなぁぁァァァァァァ!!」
そして俺と父さんはギアを上げ、異形相手に“殺人技巧”を繰り出した。
まず最初に、俺が奴の前まで迫った後、素早く斬った。
斬られたことすら気が付かない異形は、そのまま体を動かそうとするがその瞬間、躰が浮き傷痕を付けられていた。
「なぁぁぁぁにぃぃぃぃ?!」
「………蹴り穿つ」
――閃走・六兎――
父さんが背後で待機しており、六兎でかちあげる。
それを落とさない様に、俺は壁を蹴って異形目掛けて突撃する。
「跳ねろ!」
――閃走・四辻――
高速で突撃し、異形を再び空中に浮かせる。
浮かせた異形を挟むように、俺達は距離を取った後斬撃の嵐を容赦なく放つ。
「「斬刑に処す」」
――閃鞘・八点衝×2――
「ギャァァァアアアァァァァアアァァアッ!!!」
異形は切り刻まれていく、両側から斬撃の嵐が襲いかかり動けることも出来ずに体には斬撃の痕がたくさんつき、そこから血が滲み出て、ドボドボ出ている。
その時、リアス達の気配がこの近くで感じられた。
近くまで着てんのかよ………、さっさとケリ着けねぇとまずいな。
「父さん!」
「ああ。分かっている、合わせろ真紅狼!!」
傷から血を噴き出している異形に向かって俺達は飛びかかり………
「……コォォのォォォォ、小賢しいニンゲン共(・)がァァァァァっ!!」
「「弔毘八仙………無情に服す/解脱と悟れ!!!!」」
斬った瞬間、父さんと俺が交差し着地した時には父さんと俺の位置が逆になっていた。
俺と父さんが放ったのは一閃ずつ、だが傷痕は左右共に二閃。
重く深く斬りつけた為、斬られた場所から血が噴き出すように出る。
すぐに足元はコイツの血の海になった。
俺の『七ツ夜』の刃に血が付いており、その血が雫となって血の海に滴る音が響き、俺と父さんは顔に狼の仮面を被ると同時にリアス達が入って来た。
リアス達が『正体』やら『事情』を聞きだそうとしてきたので。
「・・・・・目的はもういない」
そう言って、その場から去って家に帰った。
~真紅狼side out~
~イッセーside~
最初に目に飛び込んできたのは………………紅い“海”だった。
赤、朱、紅、赫色で染め上げられた部屋だった。
そこに堂々と立っている人物達が居る。
どちらも黒いコートに黒いシャツ、黒いズボンと全身を黒で統一していた。
だが、顔の部分には狼の仮面を被っていて、顔が分からなくなっていた。
「……待ちなさい! 貴方達は何者なの?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「せめて、仮面を取ってくれないかしら? お礼が言いたいのよ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
その者達は一言も喋ることなく、一人が突然消えた。
「………ここ最近、この近くに来るはぐれ悪魔達が、悉く死体で見つかっているのよ、私達が始末する前に必ず。………それをしていたのは貴方達なの?」
部長は、情報を口に出して相手の出方を伺っていた。
『・・・・・目的はもういない』
ビュンッ!
「ちょ、ちょっと……!!」
もう一人の人物も消えた。
いや、消えてはいなかった。
割れた窓の縁に立っていたのである。
「一瞬であんな所まで移動するなんて………」
そして、その者はこちらを一度見た後そのまま闇に消えた。
取り敢えず、俺達ははぐれ悪魔の状態を見てみた。
「部長………彼等は相当腕の立つ者達です。しかも四肢や急所を狙っているところから見て、おそらく暗殺者の類の者じゃないでしょうか」
木場は傷痕を観察しながら、推測を言う。
「人間で、暗殺者のような動きに私達の様な超常を狩れる存在………まさか“退魔師”かしら」
うん? “退魔師”? ナニソレ?
「部長、退魔師ってのはなんですか?」
「イッセーは初めて聞く単語ね。“退魔師”というのは、魔を狩ることを生業としている人達の事よ。その人達は基本全員“人間”なの。しかも冷酷で中には全部の魔を滅ぼそうとする人もいるから気をつけてね」
そ、そんなに恐ろしい連中なのか………覚えておこう。
「取り敢えず、先に討伐されてしまいましたし、大公には詳細を記載して送っておきますわ」
「お願いね、朱乃。さぁ、皆帰るわよ!」
部長の指示により、俺達は部室に帰ることにした。
~イッセーside out~
しかし、アイツ………どっかで会ってるような気がするんだなぁ。
後書き
厳嗣狼のスタイルはmugenで言うと“殺神貴”になっており、真紅狼は“殺人貴イクリプスモード”でございます。
どちらも狂クラスになっており、非常に動きが早いです。
しかも、常に“BLOOD HEAT”状態が続く為、サキスパと体力回復が凄まじいです。
ただし、防御力が多少弱いので、コンボを主軸にする立ち回りキャラと対戦する時は非常に分が悪いです。
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