ソードアート・オンライン~豪運を持つ男~
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百分の一 その二
前書き
どうも、空です!!
というわけで午前四時までPSP片手に寝ずに頑張りました!(笑)
内容がごたごたになってしまいましたが、ちょっと悩むキリトさんが書きたくて書きました。
まあようやく第一層編が終わりました!!それではどうぞ!!
そんなかんだでパーティを組んだ俺達は、一回別行動となりその場を別れた。
何でも少し用があるとかでフードっぽいポンチョを被った男と一緒にどこかへ行ってしまったが、別にフレンド登録も済ませてあるので問題ない。
「そういえばさ・・・?」
「うん?どうした・・・・?」
俺は歩きながらも、隣にいるキリトに話し掛ける。
「ん、いやぁ今回のボスってどんな奴かと思ってさ」
「ああ・・・って、さっき説明してたんじゃあねぇか!?」
「いや、さっきごたごたがあったからさ。そっちのこと考えてて全く聞いてなかった」
と俺がそう答えると、キリトは若干呆れたような顔をしつつ、
「ホントジンはとことん大物だな」
と言う。失礼な!?俺はリアルからの根っからの小者思考なのに・・・
そしたらキリトからは、
「ああ・・・・そういえば第一層のボスの話だったよな・・。簡単に言えば、迷宮区にいるコボルドの王様ってとこかな。
名前はギルファング・ザ・コボルドロード。
装備は斧と円盾。それの周りにはルインコボルドセンチメルっていうボスの親衛隊みたいなのがいて、ボスを倒さないと出続ける」
「ああ、あいつか・・・」
ここ数日前からレベル上げで、迷宮区に入る時に必ずと言っていいほどエンカウントしてきた赤い体色のブサイクな半獣型(?)のモンスターを思い出す。
確か個々の力はたいして脅威ではないが、集団で来られるとソロとしては十分厄介だった。
まあそれでも・・・・
「でも、こんだけ人がいるなら大丈夫だな」
「まあ、そうだな」
俺の言葉にキリトが同意すると、何でもちょうど迷宮区入り口の前に着いたみたいだ。
先頭には、今回呼び掛けをしたであろう青い髪をした男が立っている。多分あいつがディアベルだろう。
俺が何時もの如く一人で考えていると、ディアベルが話だした。
「みんな!今回は俺の呼び掛けに答えてくれてありがとう!!此処まで来るのに一ヶ月も掛かってしまったけど・・・
それでも、俺達は此処までこれた!!後はフロアボスを倒し、第二層に到着してこのデスゲームからクリア出来るってことを始まりの街の皆に伝えに行こう!!」
その宣言と共に、俺の周りのプレイヤー達が歓声を上げる。それに応じてその周りのプレイヤーは次々に拍手を送る。
一応、俺達も周りに合わせて拍手を送る。
「では、行こうか!」
ディアベルの号令と共に、それぞれが迷宮区に向かっていった。
何時の間にかにサヤが帰ってきていて、隣で話し掛けてくる。
「そういえばジンさんってリアルの歳どれくらいなんですか?」
「俺?俺は14歳だけれど・・・老けてみえた?」
「いえいえ!ただちょっと大人びているというか、冷静だなぁと思う所があったからですね・・・(そっか、一個下なんだ。ふふふっ)」
「?なんかいった?」
「あっ!すいません。なんでもないです!それと・・・」
そんなかんだで話ながら、迷宮区を進んでいく。
先頭を歩いているディアベルが最深部までマッピングしていることもあり、そのこともあってか最小限の戦闘でボス部屋まで到達することができた。
「よし!ここからが本当の戦いになる!!全員――行くぞ!!」
ディアベルの合図により、重たそうな石の扉が開かれプレイヤー達がボス部屋に雪崩こんでいく。
その流れにのって俺とサヤが入ったパーティもボス部屋に入り、全員が戦闘体勢に構える。
そして、それと同時に部屋の奥から大きめのポリゴンの塊が立て続けにポップしている。ポリゴンは徐々に形をなしながら、あの何回も見たブサイクな半獣型Mobになっていき、最後には大きな音をたてて、ひと際でかいボスモンスターが実体化した。
「《ギルファング・ザ・コボルドロード》・・・文字どおりコボルドの王様って訳か」
と俺は何時もの如く一人ごちる。
その時にふと、コボルドのボスの腰に装備してある得物――湾刀が目に入った。確かキリトの情報にはなかったものだ。
(まあ一応頭のなかにいれておくか)
心の中でそう呟きながら、腰に吊ってある愛剣《アニールブレード+6》を抜刀する。
サヤはもうすでに背中から大鎌《ライトサイズ+3》を抜いていて、戦闘体勢に入っている。
「全員、攻撃開始!みんな、絶対に死ぬなよ!」
ディアベルの戦闘開始の合図と共に多くのプレイヤーが雄叫びを上げながら突撃していく。
俺も軽く深呼吸して目を閉じ、頭のスイッチを切り替える。
「イメージしろ。想像するのは、何時も最強の自分・・・」
と某弓兵が使っていた言葉を呟き、そして目を開ける。
「っ!!!行くぞぉぉぉ!!!」
* * *
SIDE Zin
その言葉でスイッチを切り替え、神経を砥ぎ澄まして一気に床を蹴る。
俺はステータスポイントの殆んどを速さに注ぎ込んでいるので、文字どおり初期にしては速く弾丸の如きスピードでボスに向かっていく。
ボスが斧を水平に振るが、勿論当たるわけがない。
あっさりとしゃがんでかわし、その勢いで突進系ソードスキル《リニアースラッシュ》で相手の足元を切り付け、すかさず勢いを殺さないまま水平単発切りソードスキル《ホリゾンタル》を繰り出す。
そして、ボスが大きくよろめきだしたのですかさず後ろでソードスキルのモーションを構えていたサヤに「スイッチ!!」と叫ぶ。
まってました!といわんばかりにサヤが飛び出し、鎌を紫色のエフェクトが覆い、すかさず重撃系単発技《カオスストライク》を繰り出す。
このソードスキルは序盤には珍しいくらいに威力が高いが、そのぶん硬直時間も長い。なので、外したりしたら大きな隙を作ってしまうので使いどころを見極めなければならない。
しかし、それを補い余る程のメリットがあり、一つは威力。もうひとつは気絶しやすいということである。
サヤが重撃系単発技《カオスストライク》をコボルドの頭に直撃した瞬間、頭の上に《クリティカル》とでた。どうやら綺麗に決まったらしい。
これを好機と他のメンバーが喜々とした表情でコボルドに向かって攻撃する。
でもキバオウさんが行こうとした瞬間、どうやらボスが正気に戻ったみたいで行くに行けなかったらしい。しきりに「何でや!?」と何度も言いながらじたんだしている。
「餓鬼か己は!?」と本気でつっこみたくなった。いや、マジで。
そんなかんだで俺達は、さっきみたいに前衛のプレイヤーが攻撃して、HPが5割を切ったらブサイクポイントを作り、その間に後衛と入れ替わって攻撃を仕掛ける《スイッチ》をもちいてボスのHPを削っていた。
ちなみに俺がHPで5割切っていないのにスイッチした訳は、単純にサヤのほうが攻撃したさいのダメージが多いからだ。
しかし、相手のHPを削るにつれてパーティ全体のHPが減り攻撃の数が減ってきている。
「まずいな・・・・。」
周りの親衛隊を取り敢えず一掃した俺は、前線が圧されていることに内心焦りを感じてた。
前衛の数が減る事、つまりは、その分前衛に出ているプレイヤーがボスに狙われる確率が増えるということだ。
そんな時、誰かが
「ボスが刀を持ったぞー!!」
と言った。
誰かの声でボスを見ると、今まで斧を持っていた右手にはさっき見た腰に携えていた湾刀が握られていた。
しかし刀なんて分類は初期にはない。もしあれが曲刀じゃなく刀だった場合、完全に初見での戦闘になりかねない。
『自分が想定出来る最悪の可能性を考え、そうならぬように行動しろ』
俺がいつも実行している考えに則り細心の注意を払おうとした矢先、ボスがサヤに向かってソードスキルを発動した。
何とか一発は受け止めたようだが、体勢を崩しており追撃はまのがれない。
さっき見たが、前衛が少なった為にサヤも前衛に出ており確かHPもぎりぎり半分あるかないかぐらいだ。
最悪・・・・・・死ぬ。
俺はふとコペルが死んでいった時の事を思い出した。
アレから色々考えた。もしあの隠密が失敗した時に助けにいっていれば、もしかしたら死なずにすんだかもしれないんじゃあないか?
散々悩んだが、結局答えはでなかった。そしてその時に一つ誓った。
『例え自分が危険でも、死にそうになっても、1%でも生き残る確率があるなら全力で助ける』と。
今が正にその時じゃないか。何足震わして黙って見てんだよ。動けよ、動けよ!!
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
気づけば俺は床を蹴り、その場を駆け出していた。
ボスに決めたファーストアタック何か比にならないスピードで俺は突進系ソードスキル《リニアースラッシュ》でボスを壁まで吹き飛ばし、急いでサヤの所に向かった。
「おい、大丈夫か?」
と俺がすぐさま駆け寄ると、我慢していたであろう。途端に表情が崩れ、俺に抱きついて胸の中で泣きだした。
まあ無理もないだろう。こんな年頃の女の子があともう少しで死ぬかもしれなかったのだ。
俺は女子とこういう経験がないので判らないが、俺は取り敢えず優しく少女《サヤ》の肩を抱き、頭に手を置きながらずっと落ち着くまで待っていた。
SIDE OUT
* * *
SIDE Kirito
「・・・・!」「・・・・・!」
あっちがなんかそうぞうしい。そう思いながらパーティのアスナとコボルドの親衛隊を片付け、振り向いた瞬間、今正にボスが一人のプレイヤーに襲い掛かろうとしていた。
見る限り体力もそこまで残ってる訳もなく、そのプレイヤーの顔には絶望の色が浮かんで見える。
周りの者はみんな顔を背けようとしている。
「間に合え!」と思って、腰に吊してあるスローイングタガーを抜こうとしした瞬間、目の前で風が吹いた。
それが相棒《ジン》の姿だと認識するまで少し時間が掛かってしまった。
相棒は、まるで風が通り過ぎたと勘違いするくらいの速さでボスに向かっていき、その勢いで突進系ソードスキル《リニアースラッシュ》を繰り出しボスを吹き飛ばした。
今の光景をちゃんと見極められた人間がはたしてここに何人いるだろう。殆どの人が突然ボスが壁に突っ込んだようにしか見えなかったと言うだろう。
キリトの天性ともいっていい動体視力でようやく見えたのだ。
そして俺は此処の時点で大きく後悔した。
何が人を死なせないだ、現にジンが助けていなかったらあのプレイヤーは間違いなく死んでいた。
それなのに自分は一歩が踏み出せず、投擲に頼るなんてコペルのあの頃と同じではないか。
結局、自分はあの頃と変われていないのか・・・?
そう考えていると、再びポップしてきた親衛隊がキリトに襲い掛かろうとしていた。
キリトは全く反応出来ずに攻撃を受け、吹き飛ばされた。
仰向けの状態のまま、なおも追撃してこようとしている。
後ろからのバックアタックの為か満タンだった場合HPが半分以上減り、イエローゲージに差し掛かっている。
ああ、俺はここで死ぬのか・・・・。
こんな何時までたっても自分の事しか考えてない俺なんて、死んだほうがマシだ・・・
そう思いながら攻撃が来るのを待っていたが直後、目の前でポリゴンが爆散し、アスナがこちらに向かって怒鳴りつけてきた。
「ちょっとどういうつもりなの!!?何でぼーとして避けないし反撃しないの?死にたいの?」
「・・・・ああ。」
「ああ・・・。ってあなた判ってるの!?このゲームでHPが0になったら死んじゃうのよ!
いきなりぼーとして落ち込んでるのか知らないけど、このパーティを組むときに貴方言ったわよね!?『パーティに死なれちゃ困る。死ぬなら今度にしてくれ』って!
自分からそう言っておいてそんな事するなんて許さないわよ!!」
「じゃあどうしろってんだよ!!!」
俺は自分の性根のせいに苛立ち、気が付けばそう強く返してしまった。
人に当たるとか、サイテーだ・・・・。
またブルーな考えになっていると
「知らないわよ!私は貴方じゃないんだし、判るわけないじゃない!結局そうやって貴方は考えから逃げているだけじゃない!?」
図星を突かれた俺は、無意識に座り込んでしまった。
ああ、そのとおりだ。俺は逃げていたんだ。
そして今するべき答えもわかっている。
俺は素直にアスナに
「ごめん、取り乱して。それと助けてくれてありがとう」
と言った。
「話は後よ。パーティ組んでる間に勝手に死ぬなんて許さないわよ!」
とだけ返し、話をしてる間に戦って貰ってたプレイヤーと交替する。
何時までもくよくよしてたってしょうがない。今は他にやるべきことがあるはずだ!
そう思いながら切り替えて剣を構えると、ちょうどディアベルが剣を構えてすぐ横を走り抜けていった。
「ディアベルの野郎・・・LA(ラストアタック)ボーナスでも狙ってんのかよ」
LA(ラストアタック)ボーナスはボス等に最後のトドメを刺したプレイヤーへの特別ボーナスの事だ。経験値ボーナスはもちろんのこと、アイテムもLAボーナスでしか手に入らない物もある。
ディアベルの行動はあきらかにそれを狙っている物だった。しかし、ディアベルのHPは注意域である黄色でありあきらかに危険だ。
それに俺はコボルドの王の腰の得物をみて確信した。
多分みんなはあれを曲刀だと思っている。しかもカタナスキルは攻撃ダメージが曲刀に比べて高いし手数も多い。
「危険だ!下がれディアベル!」
俺はディアベルに叫びつつ、何時でも割り込めるように距離を保っていた。
何もない事を祈りつつもディアベルは、そんな事おかまい無しのようにコボルドの王にトドメをさそうとソードスキルを発動した。
案の定カタナスキルだったので、俺はディアベルとの間に割り込んで下から垂直に剣を振り上げ相手の湾刀を弾き飛ばして更に振り上げた剣を振り子の如く垂直に振り下ろすソードスキル《バーチカル・アーク》を繰り出す。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
という掛け声と共にコボルドの腹を真っ二つにし、一刀両断にする。
そしてガシャーンとポリゴンが砕ける音が聞こえ、そのまま消滅した。
そしてやっと、かくしてボス部屋奥にある閉ざされた扉――次なるフィールドである第二層への扉が今開かれたのであった。
後書き
とまあはい、これでようやく第一層編が終わるんですが、皆さんの意見もききたいんですがどうですか?
取り敢えずもうすこしオリジナル展開を入れるか、そのまま原作に進むかで迷っています。
よければご意見などくれたらありがたいです。
感想・指摘お待ちしております!!
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