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開闢のリリカルなのは~混沌魔術師と遊戯王~

作者:幻想花札
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序章:『始まりの物語』

転生したなぅ

どうもこんちゃあ!始めましてですぅ
名前は“鬼柳 輪廻”と申すちょっとした転生者です!ブイブイ

どうしてそんな頭大丈夫?みたいな顔をしているのでしょうか?泣くよ?

まぁそれは置いといて。俺は気が付けばベットで寝ていた
普通ならそれが?と思うかも知れんが、まず有り得ない。何故かって?それは簡単だ

病院のベットで寝ていたからな!しかも!高校生だった筈の俺の身体は6歳前後に縮んでいた!

………なぁにこれ?と突っ込んだ俺は悪くないだろ

で、だ………どうやら俺はリリカルなのはの世界に転生した模様だ

何故分かったかって?それはな………本来なら士郎さんが負う筈だった大怪我を俺が追ってしまったからだ

この身体に憑依する前の持ち主はそのテロで両親を失って、偶々士郎さんを爆発から救ったけど心が崩壊したみたいだ

それはそうだろう
目の前で両親が死に自分も死ぬかも知れない大怪我を負ったのだからな

だから精神崩壊を犯した持ち主の脱け殻に何故か俺が憑依してしまった

普通こういった時には神様が転生させてくれるとかな展開じゃないのか?

まぁいいか
憑依した俺は今病室でボーと天井を見てい………る………

「頭が………痛い」

まるで鉄か何かで殴られ続けているかのような激痛

流れてくる恐怖・悲しみ・狂気

精神崩壊を起こした輪廻の最後の魂が俺と同化-融合-していくかのように

俺は流れてくる感情に負けないように耐えながら………気を失った









視点:高町 士郎

僕は今、僕を救ってくれた子の病院の前にいる

テロを止めることが出来ずに、そんな僕をあの子は助けてくれた

だが、あの子の両親はあのテロで死んでしまっていた

だからこそ
罪滅ぼしとして僕が、僕達があの子がいいというまで助けなければならない

養子にする手続きも終わっているから後はあの子の了解を取るだけだ

僕は病院へ入り、受付の女性に話し掛ける

「あの、すみません」

「はい」

「ここに入院している鬼柳輪廻ちゃんの病室は何処でしょうか?」

僕がそう聞いた

すると、女性は一瞬恐怖に顔を歪ませた

それはまるで、化物の名前を聞いたかのように

「えと、307号室ですね」

「ありがとうございます」

気のせいかもしれないか

僕は頭を下げて階段で3階まで登り、307号室のドアの前に立つ

僕は一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせる

「さて………」
コンコンコンコン

僕はドアをノックする

が、返信が返って来ない

もう一度ノックしてみるがやはり返信は返って来ない

「寝ているのかな?」

僕は静かにドアを開けて中に入り、ベッドに視線を向けて

固まった

そこにいたのは人形

魂が入っていない脱け殻

目は虚ろで虚空を見上げている

壊れている

何故受付の女性が化物を見たかのような表情をしていたのかが分かった

確かにこんな子を見たらそうなってしまうだろう

「僕が………僕がテロを事前に止める事が出来なかったから」

僕は手を強く握りこむ
爪が掌の肉に食い込むが構わない

これは僕のせいだ

僕がもっと早くに陽動だと気付いていたら

「すまない」

すまない

「僕のせいだ」

すまない僕のせいだ

「すまない」

すまない









私は目を覚ました

前世の自分と、本来の持ち主の自分が1つになったからか、自身に対する第一印象が変わった

元の私に前世の男意識が混ざったような存在

人の気配がして目を覚ました私は、病室のドアの前で顔を歪ませる男性が写った

高町士郎?どうしてここに

「あ………」

喋ろうとするが声がつっかえる
私が喋ろうとしているのに気付いたのか、士郎さんは私のベッドに近付いてくる

「あな………たわ………?」

絞り出せた言葉
初対面な筈なのに名前を知っていたら可笑しいので名前を聞いてみる

「僕かい?僕は“高町 士郎”君に命を救われた者だよ」

「しろ………う?」

「そうだよ。君は“鬼柳 輪廻”ちゃんでいいかな?」

「た………ぶん」

実は違ったりしたら困るからね
まぁ記憶も同化-融合-しているのでその心配はないのだけど一応の確認

「そうか………すまない輪廻ちゃん。僕がテロを止められなかったばかりに君と、君のご両親を………」

泣いている
泣いてくれている

パパやママが死んだのは士郎さんのせいじゃないのに

「しろ………うの………せいじゃ………ない」

途切れ途切れの言葉
だが、この言葉が救いだったのか士郎さんは嬉しそうに、けど申し訳ない表情で私を抱き締めてくれた

「どうし………て………抱き締………めて………いるの………?」

「嬉しいからだよ」

「どう……して嬉しい……のに泣い……ているの………?」

「助けて………護れなかったからだよ」

士郎は優しいな
パパやママが死んじゃったのはテロリストのせいなのに
だから

「しろ………う」

だからね士郎

「けが……なく……て……よか……た」















「けが……なく……て……よか………た」

「っ!?」

俺は輪廻ちゃんのこの言葉に、この顔に声が詰まった

ひきつりながらも
震えながらも
涙を流しながらも
笑っていた

微笑んでいた

あぁ
俺は今度こそ護ろう

もう一度
この子に

幸せをあげよう 
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