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リリカルってなんですか?

作者:SSA
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無印編
  第十一話 中


 結論からいえば、フェレットくんは、きちんと来ることができなかった。
 ただ、手紙は見てくれたようで念話でこちらに話が来た。ただし、僕は聞こえるだけで返事はできない。昨夜、高町さんに話しかけることができたのはレイジングハートの助けがあったからだ。レイジングハートの助けがなければ、僕はただの魔力を持っている一般人に過ぎない。
 フェレットくんは、高町さんに誘導してもらって、僕たちがいる公園へとつれてきてもらい、何とか合流。その後、二人と一匹は公園のベンチの上で隣り合ってお弁当を広げ―――フェレットくんのお昼は僕と高町さんのお弁当のおこぼれ―――お昼を済ませた。
 さて、ご馳走様と手を合わせて、箸をおけば、後はまったりと午後を過ごすというわけにはいかない。

「さて、お昼も終わったところで、詳しく話を聞かせてもらう前に改めて自己紹介しようか」

 今朝気づいたのだが、僕らの自己紹介は後回しにされている。だから、僕は未だにフェレットくんの名前さえ知らない。さて、誰から自己紹介を始めようか、とも思ったが、やはりここは僕が一番だろう。

「僕は、蔵元翔太。友達は僕のことをショウと呼ぶよ。だから、高町さんもフェレットくんもそう呼んでくれると嬉しい」

「分かったよ。ショウ」

「……え?」

 フェレットくんは僕の呼び方をすぐに了承してくれたのだが、なぜか高町さんは驚愕と言う表情を浮かべていた。

「………私が、そうやって呼んで良いの?」

 まるで、触れるのを怖がる子供のように恐る恐る尋ねてくる高町さん。
 僕にはただ名前を呼ぶだけなのにそんなに恐れる理由がよくわからない。だが、恐れていると読み取れる以上は、過去に何かあったのかもしれない。だから、僕はできるだけ安心させるような笑みを浮かべて彼女に言う。

「当然だよ。高町さんが僕なんかと友達になるのは嫌だっていうなら、話は別「そんなことないっ!!」

 実に力強い返事だった。僕は、その返事に気圧されたように「そ、それならショウでいいよ」としかいえなかった。

「う、うん……ショウ……くん」

 やはり、いきなり名前というのは恥ずかしいのだろうか、半分顔を俯け、頬を赤く染めながら、高町さんは僕の名前を呼んでくれた。なぜ、驚いたのか、とか気になるところも多いが、高町さんは嬉しそうに笑っているから良しとしよう。

「それじゃ、次は僕ですね。僕は、ユーノ・スクライア。スクライアは部族名なので、ユーノと呼んでください」

「分かったよ。ユーノくんと呼ばせてもらうよ」

 まるでファンタジーのような名づけ方だ。ファンタジーの中では苗字がなく、ただの村の名前を苗字代わりにしているという話もある。ユーノくんの場合は、それに近いのだろう。

「ああ、それと、もう少し砕けた話し方でいいよ。僕たちと同じぐらいの年齢なんでしょう?」

「あ……うん、分かったよ。これでいい?」

 ユーノくんが伺うように僕に聞いてきたので、頷く。なんだか、同年代から敬語を使われるというのはやはり気まずいものがある。これで少しすっきりした。

「それじゃ、最後は高町さんだよ」

 僕が声をかけると、びくんと肩を震わせていた。何か不安なのだろう。肩を震わせていた。なぜだろう? 単なる自己紹介なのに。だが、やがて決意したような目をして高町さんは口を開く。

「う、うん。高町なのはです。えっと……なのはって呼んでください」

「うん、よろしく。なのはちゃん」

 至って普通の自己紹介だった。一体、彼女はなにを気負っていたのだろうか。僕には分からなかったが、彼女なりの葛藤があったのだろう。結局、ユーノくんはなのはと呼ぶことになった。

「さて、自己紹介も終わったところで、今回のことについて話してもらおうかな」

 僕の言葉にユーノくんは、まるで自分の罪を思い起こす罪人のように目を瞑り、すぐに瞼を開いてつぶらな瞳でこちらを真剣な表情で見てきた。

「うん。今回のことの始まりをすべて話すよ」

 それからユーノくんが語ったことは僕にはにわかには信じられないことだった。

 彼らの一族は、発掘を生業とする一族であるようだ。フェレットが大量に遺跡発掘というのも興味がある。それよりも、一体どうやって発掘しているのだろうか。そのための魔法だろうか。それはともかく、彼らがいつものように遺跡を発掘していると、その中から件の物体を見つけた。そう、問題の根幹であるジュエルシードである。

 このジュエルシードは文献で個数と効果が分かっている。個数は全部で21個。その内、僕たちが持っているのは、ユーノくんがかろうじて回収した一つと昨夜の一つで合計二つ。つまり、後19個残っている。

 効果は、術者の魔力を受けて願いを叶えるというものらしい。ただし、その願いを叶えるという作用は、悪魔の契約にも近いものらしいが。たとえば、運動会で一番になりたいと願うと他の出走者が全員、事故や病気で休み一位になるというひねくれ方だろうか。

 また、その効果のために内包する魔力もとてつもなく巨大であり、彼らの手には負えないということで、この世界の警察にあたる時空管理局とやらに売買というかたちで保存を依頼した。そして、それらに封印を施し、時空管理局に民間の運送屋に運搬を頼んだ。ここまでは順調だった。だが、運んでいる途中で何らかの運搬船が事故にあってしまう。このとき、ジュエルシードは地球にばら撒かれたようだ。

 幸いにして乗組員は全員、救助船で脱出に成功していたらしい。もっとも、成功していなければ、ユーノくんはここにはいなかっただろう。彼らの報告を聞いて、ユーノくんは地球―――彼らの言い方でいうなら第97管理外世界に来たのだから。

「これで、僕の事情は以上だよ」

「なるほどね」

 さて、一気に事情が分かっただけに少しだけ頭を整理する必要がある。

「それじゃ、質問だよ。時空管理局にすべてを任せるってわけにはいかなかったの?」

 聞けば、時空管理局とは警察のようなものらしい。ならば、事故が起きた以上、しかも、運搬の途中ならなおのことユーノくんになんら責任はなく、時空管理局とやらに任せてしまっても良いような気がするが。
 だが、僕の考えとは裏腹にユーノくんはどこか意思が篭った瞳をしていた。

「僕は、発掘の責任者だから。ジュエルシードが地球にばら撒かれたのは、僕のせいなんだ。だから、僕がなんとかしないと」

「いや、でも、運搬の途中で、しかも、事故ならユーノくんに一切責任はないでしょう?」

 事故まで予測しなければならないとなれば、責任者はいくつ首があっても足りなくなる。
 しかし、こうやって声を聞いていると彼は声変わりもしていない子供のような声なのに責任者をやっているのか。ユーノくんは異世界出身で、文化や習慣が違うはずだからそんなものか、と思ってしまうけど、現実的に考えると無謀だと思う。

「そうかもしれない。でも、ジュエルシードは危険なものなんだ。だから、管理局にすべて任せていたら被害が出るかもしれないと思って……」

「どういうこと?」

 管理局とは時空管理局だと分かるが、それでも彼らに任せていると被害が出るというのが意味が分からない。

「管理局はとても大きな組織で、多くの時空を管理しているんだ。だから、とても初動が遅い。さらに言うならジュエルシードの封印がまだ効いていると彼らは思っている。僕も予想外だったけど」

 巨大な組織ゆえの弊害らしい。しかも、どうやら、運搬時にジュエルシードにはきちんと封印がなされていた。だが、それが事故で弱くなってしまっているようだ。封印が効いていれば、危険度は格段に下がってしまう。しかも、魔法がない管理外世界だ。ジュエルシードが魔力に触発されて起動するとすれば、魔法がない管理外世界は、管理内世界よりも発動する可能性が低いと考えるのは妥当だろう。
 これらの理由を考えれば、確かに管理局がいつまで経っても来ないことは理解できる。

 ユーノくんも万が一、と思って地球に来たら、その万が一が起きていたのだから笑えない。なるほど、それならユーノくん一人でこの世界に来たことも納得だ。封印が利いている青い宝石を集めるだけのお使い程度の行動。確かに大人は必要ないだろう。

「なるほどね、了解したよ。なのはちゃんは何か質問ある?」

 さっきからずっと黙って話を聞いているなのはちゃんに話を振るが、彼女は、フルフルと顔を横に振っただけで否定の意を表していた。

「それじゃ、次は今後のことか」

「あの……」

「ん、なに?」

 やや、ユーノくんがその短い手を挙げていた。なにか言いたいことでもあるのだろうか。

「怒らないの? 僕のせいでこんなことに巻き込まれてしまったのに」

 僕は、言いにくそうな声を出すものだから、何を言うかと思えば、こんなことだ。いや、責任感の強いユーノくんからしてみれば、こんなことではないのかもしれないが。
 だが、ユーノくんは少し気負いすぎだと思った。彼がこのままではいずれ責任という見えない重圧に潰されてしまうんじゃないか、とそう思わせるほどに。だから、ここで少しだけでもその荷を降ろすような言葉をかけても決して罰はくだらないだろう。

「怒らないよ。もしも、ユーノくんが来てくれなかったら、僕は死んでいたかもしれないからね」

 僕の言葉にぎょっと驚いたような表情をするユーノくんとなのはちゃん。
 驚くのも分かる。死ぬなんて言葉は簡単に口にして良い言葉ではないから。だが、それでも、おそらくこの結論は間違いではない。

「昨夜のジュエルシードの思念体は、魔力のある人を追ってきたんだろう? だったら、ユーノくんがいなければ、間違いなく僕となのはちゃんが襲われていた」

 はっ、としたような表情をなのはちゃんとユーノくんはした。
 もはや過去のことを仮定しても意味がないものだが、それでも、もしもと仮定すれば、僕となのはちゃんはジュエルシードに襲われており、下手をすると家族をも巻き込んでいたかもしれない。

「だから、ユーノくんが来たことに感謝することはあっても、怒ることはないかな。そもそも、事故なんだし。仕方ないよ」

 死んでしまえば、仕方ないでは済まされないこともあるかもしれないが、こうして、ユーノくんのおかげで僕たちは生きている。ならば、事故は仕方ないで済ませ、これ以上は何も言わない。むしろ、これからを考えたほうが建設的だ。

「だから、もう過去の話はおしまい。これからについて考えよう」

「うん、ありがとう」

 なのはちゃんは、なぜか少し驚いたような表情をしており、ユーノくんは感極まったのか、泣きそうな顔をしていた。
 ユーノくんが背負い込んでいるものが少しでも軽くなればいいけど。さて、このしんみりとした空気はあんまり好みではない。さっさと次の議題に移ることにしよう。

「さて、これからのことを考える前にいくつか質問があるんだけど」

「なに? 僕が答えられることなら何でも答えるよ」

「まず、ジュエルシードって暴走前でも探せるの?」

「大体の場所しか分からないかな。でも、発動すればすぐに分かるよ」

「そうなんだ」

 まあ、全部の場所があっさりと分かるって言うなら、こんなに苦労はしてないよね。暴走前にジュエルシードを全部集めることができるはずだし。

「じゃあ、次にあのジュエルシードの思念体っていうのは、昨夜と同じ連中が出てくるの?」

 もし、すべてが同じ姿形をしているなら、対処法は実に簡単になってくる。ゲームの必勝法と同じだ。同じロジックを使ってくる奴なら、こちらも必勝用の同じロジックを繰り返せば良い。ゲームなら面白みの欠片もないだろうが、これは現実だ。面白い面白くないで対処するのは間違いだ。

 できれば、そうであって欲しいと願ったのだが、無残にもその願いは退けられた。

「たぶん、その可能性は低いよ」

 ユーノくんの話だと、昨夜のあれは、ジュエルシードが大気中の魔力素を吸って励起状態になったものらしい。だが、ジュエルシードの本来の使い方であれば、生物が何かを願った時点で発動するため、その発動させた生物が歪む可能性が高いようだ。
 しかも、生物が発動させた場合、思念体よりも肉体的にも強くなるらしい。あの思念体でもアスファルトを軽く抉る力があったのに。

「ジュエルシードの暴走体に対して物理攻撃は効くの?」

「いや、基本的には効かないと思う。ただ、生物に取り付いて、その生物を強化した形なら効くかも。でも、最終的には魔法で封印する必要がある」

「なるほどね。それじゃ、最後に……魔法について教えていいのはどのレベルまで?」

「……できれば、ショウやなのはぐらいまでにして欲しい」

 なんでも管理外世界に魔法のことを教えるのは法律違反らしい。もっとも、僕たちのような場合は例外当たるらしいが、積極的に教えるのはダメらしい。

「了解。僕からは大体これぐらいだけど……なのはちゃんは?」

 一応、聞いてみるがやはり首を左右に振るだけだった。
 質問がないときというのは、話をまったく理解できなかったか、すべてを理解してしまったかの二通りがあるのだが、僕にはなのはちゃんがどちらに属するのか分からなかった。ただ、後で理解して質問してもまったく問題ないわけだから、今は話を進めようと思う。

「さて、それじゃ、これから僕たちが取れる方針としては三つぐらいかな?」

 僕は右手を上げて三本だけ指を立てる。

「まず一つ目、積極的行動として、まだ封印が効いているジュエルシードを探し当てるっていう方針」

 指を一本折り曲げて、二本にする。

「二つ目、消極的行動として、ジュエルシードが発動したときだけ対処するっていう方針」

 最後にまた指を一本折り曲げて、一本にする。

「三つ目、何もせずに時空管理局が来るまで待つ」

 それぞれにメリット、デメリットがある。
 一つ目の方法は、メリットとして昨夜のような目に会わないかもしれないけど、デメリットとして非常に労力が必要だろう。なにせ場所がきちんと分からないのだから。この海鳴市を歩き回る必要があると思う。

 二つ目の方法は、メリットとして一つ目ほど労力が必要ではないけど、デメリットとして昨夜のような戦いをあと19回繰り返さなくちゃいけない。

 三つ目の方法は、メリットとして労力も戦いもないけど、デメリットとして自分たちの街が壊されちゃうかもしれない。しかも、クラスメイトや家族が巻き込まれる可能性がある。

 どれも一長一短だ。しかしながら、方針を提案していながら実は僕に決定権はない。決定権を持っているのは―――

「どうしようか? なのはちゃん」

「ふぇ? わ、私?」

 突然、話を振られたことに驚いているのか、自分で自分を指差して、授業中に夢うつつのところを教師に当てられたような顔をしている。

「そうだよ。なのはちゃんが決めてくれないと」

 そう、偉そうに何かを提案しているように見えるが、実は僕には決定権がまったくない。現状、僕は、魔力を持っているらしいが、それを魔法という形で使うことはできない。それができるのはレイジングハートを持っているなのはちゃんだけ。つまり、これからの行動を決めることができるのはなのはちゃんだけなのだ。

「え……ショ、ショウくんが決めてよ」

「ダメだよ。これからのことはなのはちゃんが主役なんだ。脇役の僕が決めていいことじゃない」

 他人から決めてもらうことは確かに楽かもしれない。だが、そこには自分の意思がない。ならば、その決定に心血注ぐことができるだろうか。表面上は可能かもしれないが、心底というのはやはり無理だと思う。自分で決断するということが大切なのだ。だからこそ、僕はなのはちゃんが決断するのを待つ。
 もちろん、僕はその決定に従うし、最大限、手伝いはするつもりだ。乗りかかった船というのもあるが、僕から見ればなのはちゃんも小学校三年生の女の子。僕としては心配なのだ。もっとも、現状は僕はむしろ一緒にいるとなのはちゃんから護ってもらう立場になってしまうので、何か手を考えなければ、と思ってはいるが。例えば、レイジングハートなしで魔法が使えないか、とかである。

「えっと……その……」

 さて、なのはちゃんは迷っているのか、僕のほうをちらちらと見ながら唸っていた。
 だが、僕は何も言わない。僕の意見は提示している。ならば、後はなのはちゃんが決めるだけだ。僕はゆっくりと彼女が決断するのを待つしかない。

 やがて、なのはちゃんは意を決したのか、う~、と唸って、閉じていた口を開いた。

「……本当に私が決めるの?」

「なのはちゃん以外には誰にも決められないよ」

 それが契機になったのだろう。気合を入れるようにぐっ、と胸の前に両手を握り、ぐっと身を乗り出して真剣な瞳で、震える声で彼女の意思を告げる。

「わ、私は……ショウくんと、一緒に、ジュエルシードを探したいっ!」

 つっかえつっかえだったが、僕は確かになのはちゃんの意思を聞いた。ならば、僕の返事は唯一つだ。

「分かったよ。僕も手伝うよ」

 できるだけ柔和に言ったつもりだ。そして、僕の言葉を聞いたなのはちゃんは、少し驚いたような表情をした後ににっこりと笑ってくれた。



  ◇  ◇  ◇



「二人とも、ありがとう」

 僕たちがジュエルシードを集めると決めたあと、ユーノくんがご丁寧に頭を下げてくれた。
 だが、僕は何と言っていいか分からない。その決定は僕が決めたわけではなく、なのはちゃんが決めたからだ。僕はその意見に追従しただけ。お礼を言われるべきはなのはちゃんだ。

 だが、そのなのはちゃんは、困ったような顔をして僕の顔を見ていた。どうやら、なのはちゃんも何を言って良いのか分からないらしい。

「お礼を言われるようなことじゃないよ。どちらにしても、ジュエルシードを放っておいたら、僕たちの街に被害が出ていたんだから」

 うんうん、と隣で頷くなのはちゃん。最初から自分で言ってくれるとありがたいのだが。

「さて、しかし、僕たちがジュエルシードを集めるとなると話を通さないといけない人がいるね」

「え?」

 なのはちゃんが、そんな人いるの? といった様子で声をあげ、小首をかしげている。

「ほら、なのはちゃんのお兄さん……ひいてはなのはちゃんの家族に話しておかないと」

 なのはちゃんが選択したのは一つ目の方針。なら、これから放課後は殆どジュエルシード集めに費やされることになるだろう。僕もしばらくは塾を休まなければならないかもしれない。もっとも、塾と街の平和を天秤にかけた場合、街の平和に傾くのは当然の摂理ではあろう。
 もしかしたら、日が暮れる頃までは探す必要があるかもしれない。ジュエルシードは暴走すると非常に危険なものだから。だからこそ、話を通す必要があるだろう。昨夜のこともあることだし。

 それに、もう一つ、なのはちゃんが夜に外出する許可とは別に下心があった。それは、久しぶりに思い出したこと。この世界が『とらいあんぐるハート3』に酷似した事象を持つということ。アリサちゃん然り、忍さん然り、なのはちゃんのお兄さん然りだ。ならば、『とらいあんぐるハート3』の主人公―――高町恭也さんの最大の特徴もあるかもしれない。

 すなわち、彼らが取得している剣術だ。

 ゲームに関するシナリオの殆どを覚えていない僕としては、彼らがどれくらいの強さか覚えていないが、もしかするとジュエルシードに対抗できる―――牽制できる程度でも強ければ、もしも、ジュエルシードの暴走体と戦うときなのはちゃんの負担が減るのではないか、と考えている。

 もっとも、そんなことを考える前に魔法という奇想天外なものを認めてもらうという壁が待っているのだが。

 まあ、ケ・セラ・セラだよね。

 
 

 
後書き
 ユーノと時空管理局等については細かいところがなかったので勝手に保管です。
 あくまでユーノの話を聞いた翔太の一人称でできているのでご注意ください。
 しかし、長い……後半戦は戦闘です。 
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