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オスプレイ

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第二章

「何かしようとしても、それに災害救助にも役立ってくれますよ」
「オスプレイはか」
「はい、いいじゃないですか」
「日本が軍国主義になってもいいのか」 
 前多は自分の言葉を否定する青年に怒って言った。
「そうなっても」
「いや、普通にです」
「普通に?」
「むしろ自衛隊規模小さいですよ、北朝鮮と比べると」
 この国と、というのだ。
「あそこ先軍政治じゃないですか」
「軍国主義より酷いというのか」
「そうじゃないですか」 
 まさにというのだ。
「しかも何をするかわからないですし」
「そんな国の抑止力になるか」
「そうです、しかも貴方あの国と親しいですね」
 青年は前多のこのことを知っていて指摘した。
「自衛隊の悪口ばかり言ってますけどあの国には行ってますね、あの国自分達と親しい人しか入国瀬ないじゃないですか」
「それがどうした」
「あの国がどんな国かなんて知ってますよ」
 前多に蔑んだ目で告げた。
「もうね、貴方もデモに参加している人達も皆あの国と親しいっていうだけで」
「あの国は民主主義で平和な国だ」
「そう言ってる時点で、ですよ。もうわかりますから」
「何がわかるのだ」
「貴方達についてもオスプレイについても」 
 どちらもというのだ。
「わかります」
「くっ、この若造が」
「その若象でもわかることですよ」 
 青年の目は蔑んだもののままだった、そしてだった。
 青年は前多の前から去った、残ったのはただそこで反対を言う者達だけだった。
 防衛省での議論の結果自衛隊でもオスプレイは導入され配備されることになった、東はそれを受けて三好に話した。
「よかったな」
「はい、これは心強いです」
 三好は確かな笑顔で答えた。
「まことに」
「それならな」
「はい、有効に使いましょう」
「あんないい兵器はないからな」
「ですね、素晴らしい性能です」
「是非使おう、有事の戦力に」
「災害が起これば救助に」
 そうしたことにもというのだ。
「使っていきましょう」
「本当に配備されると決まってよかったな」
「そうですね」
 二人で笑顔で話した、そして自衛隊の中ではだ。
 彼等以外にも喜ぶ者が多かった、だが反対している者はデモをしている者達だけだった。そしてその彼等については。
「どうせあの国とつながってるんだろ」
「自衛隊嫌いなだけだろ」
「そんな連中の言うことだ」
「誰が聞くか」
 世間の多くの人に冷たい目で見られるだけだった。見ればデモをする人間の数も少ない。寒風が通るだけであった。


オスプレイ   完


                  2024・12・11 
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