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金木犀の許嫁

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第五十二話 歴史の真実その七

「恩を感じていまして」
「悪くは言わないですね」
「家康さんのことも幕府のことも」
「そうですか」
「若し秀頼公を滅ぼすつもりなら」
 そして豊臣家をというのだ。
「薩摩藩に引き渡す様言うか」
「攻めて」
「そうしてです」
 そのうえでというのだ。
「薩摩藩ごと滅ぼせました」
「幕府なら」
「それが出来ましたが」
 しかしというのだ。
「敢えてです」
「そうせずに」
「ご先祖の方々もです」
 幸村そして十勇士達もというのだ。
「そうしてくれたので」
「恩義を感じて」
「言いません、しかもです」
 幸雄は話を続けた。
「ご子息もです」
「見逃してくれたので」
「しかも大名で、です」
「だからですね」
「敵同士でしたが」
 それでもというのだ。
「そうなのです」
「そういうことですね」
「ずっとです」
 夜空も言ってきた。
「大坂の陣で家康さんは」
「悪役ですね」
「それこそです」
 さらに言った。
「あの手この手で」
「豊臣家を滅ぼそうとする」
「腹黒い」
 そうしたというのだ。
「狸親父ですね」
「文字通りに」
「そうですが」 
 それがというのだ。
「実はですね」
「お話している通りに」
「実はですね」
「はい」
 これがとだ、幸雄は話した。
「謀略を用いても律義であり」
「血を求めない人ですか」
「残酷でも冷酷でもない」
 そうであってというのだ。
「人の情を知る」
「そうした人だったんですね」
「どうも関ケ原から性格が変わったと言われますが」
「変わっていないですね」
「そうです、むしろ」
 幸雄はさらに話した。
「若い頃からです」
「変わっていないんですね」
「老獪さというものは身に着けても」
 当時の家康はというのだ。
「地は変わらず律義で情を知る人だったのです」
「それで豊臣家も実は、ですか」
「そして私達のご先祖も」
「薩摩藩に逃れてもそれからはですか」
「もう天下に影響もなかったですし」
 逃げ延びた幸村達はというのだ。 
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