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金木犀の許嫁

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第五十二話 歴史の真実その二

「穏健にです」
「ことを進めて」
「大坂を手に入れまして」
 そうしてというのだ。
「江戸と大坂、東西で」
「日本を治めるつもりだったんですね」
「そうでした、そして実際にです」
「大坂の陣の後ですね」
「大坂を手に入れまして」
 そして大坂城も再建している、その規模はかなり縮小しても。
「そこからです」
「日本を治めましたね」
「大坂を西国統治の要として」
「そうしましたね」
「大坂を天下の台所として」
 即ち経済の中心地としたのだ。
「そうして統治しましたし」
「大坂はどうしても必要でしたね」
「幕府にとっては」
「そうだったんですね」
「そしてです」
 さらに言うのだった。
「豊臣家については」
「大坂から出てもらいますと」
「無力化するのは明らかだったので」
「そういえば」
 佐京はここで言った。
「幕府が出来てからどの大名もです」
「豊臣家につきませんでしたね」
「そうでした」
「それは関ケ原からで」
 この決戦からというのだ。
「もっと言えば徐々にです」
「徐々にですか」
「秀吉公が死んでから」
 それからというのだ。
「家康さんにです」
「天下は傾いていたんですね」
「確かに露骨に大坂城を手に入れようとしていましたが」
 そして大坂をというのだ。
「その中で諸大名もです」
「家康さんについていっていましたか」
「天下様と呼ぶ様にさえなっていました」
「そこまでだったんですね」
「それと共にです」
「豊臣家からは離れていっていましたか」
「何しろ一人だけでした」
 当時の豊臣家はというのだ。
「秀頼公だけでした」
「他に誰もいなかったですね」
「若しです」
 幸雄はさらに言った。
「秀頼公に何かあれば」
「断絶ですね」
「そうなっていたお家なので」
 だからだというのだ。
「あまりに頼りなかったのです」
「あの頃は小さいお子さんはすぐに死んでいましたね」
「はい、簡単にです」
 佐京にまさにと答えた。 
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