博士の挑戦状
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百二十話
第二百二十話 昭和末期の一場面
博士は小田切君にさらに話した。
「このことはライゾウもタロも知っておる」
「ああ、知ってるぜ」
「僕達あの頃から博士と一緒にいるからね」
そのライゾウとタロの言葉である。
「博士が街の本屋さんに行くとも一緒だったよ」
「毎日みたいに行ってたな」
「それでそうした雑誌も買ってじゃ」
ファミコンソフトの攻略雑誌もというのだ。
「読みながらプレイしておってな」
「楽しかったんですね」
「そうであった、しかしな」
小田切君にそれはと話した。
「もうじゃ」
「今ではですね」
「うむ、この通りじゃ」
「雑誌は殆どなくなって」
「本屋も減ってな」
「寂しく思っていますね」
「スマートフォンのゲームが主流じゃな」
「今はそうですね」
小田切君もプレイしているだけに知っている。
「課金とかもして」
「そうして遊ぶな」
「はい、今は」
「攻略もサイトがあってな」
「そこでしますね」
「それこそ秒単位で更新されることすらある」
そうしたサイトはというのだ。
「それこそな」
「今はそうですね」
「そうなったが」
それでもというのだ。
「もうな」
「そうしたことがなくなりましたね」
「昭和の終わり頃の話じゃ」
「随分昔のことですね」
「小田切君から見ればな、そして平成に入ってもな」
昭和が終わってというのだ。
「二十一世紀になるまであった」
「そうした光景だったんですね」
「そうであった、よいものであった」
「博士が言われると説得力がありますね」
「伊達に二百億年生きている訳ではないぞ」
「そうですね、面白いです」
小田切君は笑って応えた。
「お話を聞いていて。ただ寂しくもありますね」
「そうであろう、もうなくなってしまったな」
「そうした光景ですね」
「過去のな」
昭和の終わりから令和のはじめ、二十世紀の光景だとだ。博士はその頃のことを脳裏に思い浮かべながら小田切君に話したのだった。
第二百二十話 完
2024・11・17
ページ上へ戻る