英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~
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第61話
前書き
今年最後の更新です
大学内でのパワハラ教授についての聞き込みを終えたヴァン達は一旦情報を纏めてパワハラ教授が誰なのかを当たりを付けた後その人物がいる特別研究棟へと向かった。特別研究棟はセキュリティランクがAでなければ入れなかったがヴァンは策を弄して特別研究棟への入り口を守っている警備員達に入り口を開けさせて特別研究棟へと向かい始めると通路で誰かが誰かに対して大声で反論している様子が聞こえてきた。
~バーゼル理科大学~
「――――――難癖をつける気かね、クロンカイト君!」
声に気づいたヴァン達が視線を向けると高圧的な男性がクロンカイト教授と対峙してクロンカイト教授を睨んでいた。
「いえ――――――先生の最新研究が原因だとは言っていません。それに先生の今回のアプローチは個人的にもなかなか興味深くはある。」
「…………ほう?」
クロンカイト教授を睨んでいた男性だったがクロンカイト教授の意外な答えに怒りが若干収まった。
「――――――ですが、こちらのプロジェクトもそろそろ佳境に入っていましてね。導力網はともかく、ネットトラフィックのトラブル”だけは”勘弁していただきたい。」
「ッ…………だからそれが私のせいとでも言うのかね!?博士の門下だからといってこれ以上の無礼は――――――」
「いや~、遅れてすみませんねぇ。」
しかしクロンカイト教授の要求に男性が再び怒りの表情を浮かべてクロンカイト教授に反論しようとしたその時ヴァンが声をかけてアニエス達と共に男性とクロンカイト教授に近づいた。
「ほう…………」
「なんだね、君たちは!?ここは関係者以外立入禁止だぞ!?
「ええ、一応許可はもらっておりまして。デビット・キャラハン教授の研究室ってのはどちらですかね?」
「先程アポがあった…………そうか、君たちが。話はここまでだ、クロンカイト君。それじゃあ君達はこちらに――――――」
ヴァン達の登場に驚いた後ヴァン達に注意しようとした男性だったがヴァンが理由を説明すると納得し、ヴァン達を自分の研究室に案内しようとした。
「ヤンに――――――いえクロンカイト教授に、キャラハン教授も…………」
「あれーっ?どうしたのアニエスたち?」
(っと………)
(カトル君にオデットたち…………どうしてここに…………?)
その時レン達を引率したカトルが現れた。
「アークライドさんたちも…………?どうして特別研究棟に…………」
「…………カトルか。」
「サリシオン君…………?誰だね、そちらの面々は。」
「旧首都から研修にきた学生さん達です。さっき相談を受けまして。」
「ふふ、街でお会いした時にクロンカイト教授にお誘い頂いたので。何とか案内してもらえないかとサリシオン君にお願いしちゃいました♪」
「…………やれやれ、すぐのつもりも、君以外を誘ったつもりもなかったのだが。まあ、ここで追い返すのも無駄が多いか。来たまえ、案内しよう。」
カトル達が現れた理由をレンが説明するとクロンカイト教授は若干呆れた様子で首を横に振った後すぐに気を取り直して自分の研究室への案内を申し出た。
「わわっ、いいんですか~?」
「名高きクロンカイト教授の研究を拝見できるなんて光栄です…………!」
「…………フン。」
クロンカイト教授の申し出を聞いたオデットやアルベールがそれぞれ興味ありげな様子で声を上げている中その様子を見守っていた男性は鼻を鳴らした。
「ふふ、それじゃあ。お取込み中に失礼しました。キャラハン教授も――――――お忙しそうですがいずれ話を伺わせていただけると。」
「む…………コホン、まあいいだろう。」
そしてレンはヴァン達にウインクをした後クロンカイト教授の先導の下オデット達と共にクロンカイト教授の研究室へと向かった。
「ふん、よくわからんが研修などと呑気なものだ。まあいい、私の研究室に来たまえ。手短に話を聞かせてもらおう。」
「ああ、こちらこそお願いしますよ、」
「――――――待ってください。その話…………できれば僕も立ち会わせてもらえませんか?一応、”彼らを案内した身”として無関係ではなさそうなので。」
男性の研究室にヴァン達が向かおうとしたその時カトルが呼び止めてジト目でヴァン達を見つめながら答え、カトルの視線に対してヴァン達はわざとらしくカトルから視線を逸らしてそれぞれ心当たりがない風に装った。その後ヴァン達は男性の研究室に通された。
~特別研究棟~
「10分休憩にする。遅れずに戻るように。」
「…………は、はい…………」
「…………失礼します…………」
男性の指示に答えた助手たちはそれぞれ疲れた様子で部屋から出て行き、その様子をカトルは心配そうな表情で見守り、助手達が退室するとヴァンは来客用のソファーに座って男性と対峙した。
「改めて――――――デビット・キャラハンだ。エルザイムとマルドゥック社から投資がしたいという話だったな。背景を考えると興味深い組み合わせだが、どういう風の吹き回しかね?」
「あれ、そんな風に伝わってます?だとしたら連絡の行き違いってヤツですか。確かに公国からの依頼で動いてますしMK社の出向スタッフも同行していますが。」
「な、なに…………?」
ヴァンに問いかけた男性――――――キャラハン教授だったがヴァンの口から語られた予想外の説明を聞くと困惑の表情を浮かべた。
「あくまで俺達は”調査”の一環でこちらに伺わせてもらっただけでして。そう――――――とある研究室で相当悪質なパワハラが起きてるって噂の裏を取りに。」
「――――――ッ――――――!?」
「…………ぁ…………」
不敵な笑みを浮かべて答えたヴァンの答えにキャラハン教授は息を飲み、カトルは呆けた声を出し
「ハッ、その顔を見るに心当たりありまくりみてぇだな?」
顔色を変えたキャラハン教授を目にしたアーロンは不敵な笑みを浮かべて指摘した。
「…………誰が、そんな依頼を出したのだね?」
「さて、匿名からの依頼だったんでね。だが話は色々と聞かせてもらいました。助手たちに振った非常識な超過業務に理不尽なスケジューリング…………休みも取らせず、ロクな手当ても出さず、人格を破壊するかのような言動の数々。一部では過労で倒れ、自殺寸前まで追い込まれた助手もいるんだとか…………?」
「……………………」
「っ…………それは…………」
ヴァンの指摘に対してキャラハン教授は目を伏せて黙り込み、カトルは複雑そうな表情で答えを濁した。
「――――――証言、証拠は揃っている。”最後の手段”に訴えるのは簡単だ。ですが、先生自身の腹積もりも確認しておこうかと思いましてね。」
「…………なんだと…………?」
ヴァンの意外な答えにキャラハン教授は目を見開いて眉を顰めてヴァンを見つめた。
「その…………まだ間に合うと思うんです。『あんな人じゃなかった』『最初は何かの間違いと思った』依頼内容や聞き込みでも、そんな言葉を何度か聞きました。」
「えと…………みんな怯えていて恨んだり憎んだりはしてましたけど。それでも、同じくらい尊敬している”息吹”も伝わってきました。」
「………………………………」
アニエスとフェリが語った話にキャラハン教授は黙って聞いていた。
「俺達は警察やギルドみたいな正義の味方じゃない。こういうケースじゃ、”落とし所”を探すのが流儀でしてね。先生の返答次第じゃこちらで取り計らうことも――――――」
「――――――黙れ!何が尊敬だ…………!やっていることはただの脅しだろう!?助手どもめ、誰だか知らんがこの私を嵌めようとするとは…………!共に栄誉を掴ませてやろうという親心をこんな形で裏切るとはな!!」
「っ…………」
「あなたは…………」
「オイオイ、わかってんのか?こっちは証言が揃ってんだぜ?」
ヴァンが話を続けようとしたその時キャラハン教授は声を上げた机を叩いて立ち上がり怒りの表情を浮かべ、キャラハン教授が助手達に対する怒りの声を上げた瞬間ゲネシスが一瞬反応したことに気づいたアニエスはゲネシスを保管しているポーチに視線を向け、全く反省する様子のないキャラハン教授をフェリは真剣な表情で見つめ、アーロンは呆れた表情で忠告した。
「好きにするがいい、いくらでも揉み消してやるわ!助手ごときの証言と教授である私、世間は一体どちらを信じるかな!?」
「……………………」
「…………教授…………」
キャラハン教授の開き直った様子にヴァンは黙って考え込み、カトルは複雑そうな表情でキャラハン教授を見つめていた。
「研究もあと一歩、いや二歩で”届く”――――――そんな時にこんな仕打ちを受けるとは…………!こうなったら擦り切れようが潰れようが、遠慮なく働かせて――――――」
「いい加減にしてくださいっ!!――――――キャラハン”先生”っ!!一体どうしてしまったんですか…………!?あれだけ面倒見のよかった貴方が――――――博士も一目置いていた貴方が!!”ハミルトン門下”である僕にも昔は色々と指南してくれて…………なのに最近は博士の功績を否定するようなことばかり…………!」
「カトル君…………」
(やはり…………)
開き直って助手達を使い潰すことをくちにしたキャラハン教授を目にしたカトルは声を上げて真剣な表情でキャラハン教授を説得しようとし、その様子をアニエスは辛そうな表情で見つめ、カトルが何者であるかを察していたリゼットは静かな表情でカトルを見つめていた。
「いえ、それはいい…………あくまで先生と僕たちの問題でしょう。でも――――――せめて考え直してください!貴方に憧れて助手になった皆さんを、どうか貶めないであげてください…………!」
「…………サリシオン君…………調子に乗るんじゃない、丁稚小僧が!!」
自分に近づいて必死に訴えかけたカトルに対してキャラハン教授は目を伏せて考え込んだがすぐに目を見開いて厳しい表情を浮かべるとカトルに平手打ちをした。
「…………ぁ…………」
「カトル君…………!?」
「なにを…………!」
「おいおい、オッサン…………」
平手打ちをされた衝撃で地面に倒れたカトルにアニエスが駆け寄って心配そうな表情で声をかけ、フェリは真剣な表情でキャラハン教授を睨み、アーロンはキャラハン教授に注意しようとしたが真剣な表情を浮かべたヴァンの視線によって制止された。
「私はデビット・キャラハンだぞ!?カルバードの国防を支えてきた物理工学と軍事技術の第一人者だ!クロンカイトといいエスメレーといい、若造どもがいい気になるのもこれまでだ!私の最新研究はカルバード両州を更に押し上げ、いや大陸の勢力図すら一変させる…………!それが手伝える栄誉が何故わからないっ!?」
「…………先生…………」
「…………そのご高説はともかく。そろそろ10分、経つんじゃないですかね?」
自分に言い聞かせるように声を上げたキャラハン教授をカトルは辛そうな表情で見つめ、ヴァンは真剣な表情で指摘した。
「あ…………」
ヴァンの言葉を聞いたアニエスは助手達が戻ってきている事を察して扉を見つめた。
「自分達はあくまで状況説明と”落とし所”の提案に来ただけですよ。こちらには確たる証拠と証言がある。揉み消すったって簡単じゃないでしょう。――――――”あと二歩”だっつうんならなおさら検討してみちゃどうですかね?」
「…………フン、話はこれで終わりだ。今回の”不法侵入”と無礼の数々はタウゼントCEOにも厳重抗議しておく。…………若干言い過ぎたのは認めよう。だがハミルトン門下に留まるならこれ以上君に興味はない。いや、それこそ私の下で才能を伸ばせるようこの機会に改めて勧誘しておこうか?――――――帰ってこない年寄りを女々しく待つより遥かに有意義だろう。」
ヴァンを睨んで指摘したキャラハン教授はカトルに視線を向けてある指摘をした。
「っ…………失礼します…………!」
キャラハン教授の指摘に唇を噛み締めたカトルは立ち上がった後扉を開けて走り去り
「カトル君…………」
「…………失礼致します。」
ヴァン達はカトルの後を追っていった。
~天文台~
「…………女々しく、か…………」
「――――――ここだったか。」
天文台の中でカトルが寂しげに呟くとカトル達を追ったヴァン達が現れた。
「へえ、中はこうなってたのかよ。」
「これが天文台…………あっ、あれが”望遠鏡”ですかっ?」
アーロンと共に興味ありげな様子で周囲を見回していたフェリは部屋の中央にある望遠鏡に気づくとカトルに確認した。
「うん…………博士の特注品でね。すみません、さっきは見苦しい所を。…………よくここがわかりましたね?」
「ま、なんとなくな。おっと、見苦しいのは忘れるからこっちの研究棟入りも見逃してくれや。」
「も、もうヴァンさん…………」
「…………はは…………良かったらそっちに座ってください。今、お茶を出しますから。」
ヴァンのいつもの調子にアニエスが困った表情を浮かべている中苦笑を浮かべたカトルはヴァン達に近くの来客用の席に座るように促し、ヴァン達にお茶を出した後天文台の事について説明した。
「――――――じゃあ、今は天文学専攻の教授はいらっしゃらないんですか…………」
「うん、毎日寄るのは僕くらいかな。昔は兄弟子に姉弟子、博士を慕う学生や研究生たち…………キャラハン教授なんかも来てくれていたんだけどね。」
「あ…………」
アニエスの疑問に答えたカトルの説明を聞いたフェリはキャラハン教授の先ほどのカトルに対しての態度を思い返して心配そうな表情でカトルを見つめた。
「…………昔はあんな風じゃなかったんだ。たしかにハミルトン博士に対抗意識はあったんだろうけれど…………それでも、お互いに認め合って僕にもいろいろな事を教えてくれたから。」
「そうなんですね…………」
「ハン、あの余裕のなさそうなパワハラ教授がねぇ。」
「ハミルトン博士…………2年半前にカルバードを離れたと聞いていますが。」
「さっきも言ってたが、お前さんも博士の門下なんだな?」
複雑そうな表情で自分やキャラハン教授達の昔の事をカトルをアニエスは心配そうな表情で聞き続け、アーロンはキャラハン教授を思い浮べてカトルの昔の話が本当なのかを疑い、リゼットとヴァンはあることについてカトルに確認した。
「ええ、昔からお世話になっていて…………博士が外国で研究を始めてからは自宅や天文台の留守を任されています。…………守れているかは怪しいですけどね。タウゼントCEOからは――――――この大学の理事でもあるんですけれど。利用者数の減少を理由にここの閉鎖を打診されていますし…………」
「あ…………」
「なるほど――――――だから諸々の雑用で点数を稼ぐ必要が出てきたわけか。」
「そう、だったんですね…………」
カトルがタウゼントCEOの雑用を手伝っている理由を知ったフェリは辛そうな表情を浮かべ、ヴァンは納得し、アニエスは静かな表情でカトルを見つめた。
「…………すみません、さっきは引っ掻き回した形になってしまって。僕が割り込んだりしなければ…………」
「ま、そっちも気にするな。おかげで見えてきたこともある。――――――お前さんも気づいてるんじゃねえのか?あの先生が、パワハラとは別に”何か”をやらかしてるってのは。」
「…………っ…………」
「そ、そうなんですか?」
「やっぱり、そうなんですね…………それだけ尊敬もされていた人が常軌を逸したような言動で…………」
「なりふり構わず、パワハラしてまで何の研究をしてんのって話だよな。」
「研究室にあった最新演算機…………”何らかの膨大な計算”を行っているように見受けられました。恐らくは尋常ではないレベルでの”制御”を必要とする分野での。」
ヴァンの指摘にカトルが息を呑んでいる中フェリは驚き、アニエスは納得した様子で呟き、アーロンはある疑問を口にし、リゼットはカトルにあることを確認した。
「…………ええ、僕も同意見です。あのレベルのシミュレーションは見たことがない…………しかも、それでもまだ足りないみたいだった。(…………まさか、いや…………)」
(…………なるほど、ひょっとして。)
リゼットの確認に答えたカトルは心当たりについて考え込み、カトル同様心当たりがあるリゼットも考え込んだ。
「…………とりあえず、あの先生からしばらく目を離さない方がよさそうだ。こっちは明日明後日までバーゼルに滞在する予定でな。CEO殿の意向はともかく――――――お互い協力はできるんじゃないか?」
「…………わかりました。貴方はともかくアニエスさんは信用できそうですし。博士の留守を守る意味でも――――――何かあれば相談させて頂きますよ。」
ヴァンの提案にカトルは少しの間考え込んだ後応じる事を決めた。
「やれやれ、素直じゃないねぇ。」
「ふふ…………よろしくお願いします、カトル君。」
「クク、殊勝になったじゃねえか?まあコイツはともかくってのは同意だが。」
カトルの態度にヴァンが苦笑し、アニエスが微笑んでいる中アーロンは口元に笑みを浮かべてカトルの指摘に同意したが
「ああ、貴方も同じかな?なんか妙にオラついちゃってるし。」
「オラッ…………ハッ、上等じゃねえか小僧…………?」
カトルの自分への指摘に一瞬絶句した後カトルを睨んだ。
「だからそういう所がさ。」
(本質的にこの二人は似ているのよね…………)
(フフ、だからこそヴァンさんみたいな仕事が向いているのよね、この子は。)
睨まれたカトルがアーロンに指摘している中マルティーナは疲れた表情で呟き、ユエファは微笑ましそうに見守っていた。
「あはは…………」
一方フェリは苦笑した後興味ありげな様子で望遠鏡を見つめていた。
「ああ…………天体望遠鏡に興味があるのかい?」
「あ、いえそんなっ…………ただ、どんな感じなのかな~って。」
「ふふ…………まだ五時過ぎだからちゃんとは見られないと思うけど。おいで、シェダル三角形だったらけっこう見えるかもしれないよ。」
「わあっ、いいんですか?」
「ふふっ…………」
「ケッ…………ガキ同士気が合ってやがんな。」
「俺にしてみりゃお前も同じだっつの。…………そういや、アニエス。あの先生が怒鳴り散らした時、何か驚いてなかったか?」
天体望遠鏡に興味を示したフェリがカトルの申し出によってカトルと共に天体望遠鏡に向かいながら星座についての説明をカトルから聞いている様子をアニエスは微笑ましそうに見守り、苦笑しながら呟いたアーロンに指摘したヴァンはあることを思い出してアニエスに訊ねた。
「…………はい、実は…………」
そしてアニエスはヴァン達にキャラハン教授が怒鳴った時にゲネシスが反応したことを説明した。
「…………そんなタイミングで。」
「今は光っていませんけど、偶然、なんでしょうか…………?」
「…………さて、な。今までも変なタイミングはあった。あのグリムキャッツといい――――――」
「わわっ、何ここ?」
アニエスの話を聞いたリゼットは真剣な表情で呟き、アニエスの疑問に答えたヴァンが考え込み始めたその時オデットやレン達研修の生徒達が天文台に姿を現した。
「オデット、みんなも…………」
「あ、いたいた。探したよアニエス~、ヴァンさんたちも!」
「本棟で見つからなかったからここじゃないかと思ってね。」
「そりゃわざわざご苦労さんだ。」
「フン、別にアンタに会いに来たわけじゃないけどな。」
レンがアニエスや自分達を探して天文台に現れた事を説明するとヴァンは苦笑しながら労いの言葉をかけ、ヴァンの労いに対してアルベールは鼻を鳴らして答えた。
「これが噂の大望遠鏡…………!エレボニア博物館でも見ましたけど…………」
「わあっ、ひょっとして私達も見れちゃったり…………!?
するとその時天体望遠鏡に気づいた生徒達は興味ありげな様子で望遠鏡を見つめながらはしゃぎ
(久しぶりだな…………ここがこんなに賑やかなのは。)
生徒達の様子や望遠鏡で星座を見つめてはしゃいでいるフェリを見たカトルは懐かしそうな表情を浮かべてかつて賑わっていた頃の天文台の様子を思い浮べた。
その後カトルに見送られて大学から立ち去ったヴァン達はレン達と共にホテルに戻るアニエスと別れた後宿へと戻った――――
後書き
それでは皆さん、よいお年を…………
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