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万引き防止策

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第一章

               万引き防止策
 万引きはどの店でも問題である、それでそのスーパーでもだ。 
 十二分と言っていいまでに対策を考え講じている、それで監視カメラを店内の何ヶ所かに設置し映像記録も残せる様にした、そのうえで。
 万引きについての貼り紙もお客さん達が見える場所に貼った、それを見てだ。
 バイトに入ったばかりの高校生池田祐眼鏡をかけて面長の顔で太い海苔を思わせる眉に短い黒髪で長身痩躯の彼は店長の岡林俊樹に尋ねた。岡林は大柄で太った岩みたいな顔の男である。
「あの、ガードマンさんとか置いて」
「そうしてかい?」
「警戒しなくていいんですか?」
 こう言うのだった。
「万引きに」
「万引きGメンとかだね」
「このお店いないですか」
「それは敢えて言うならわしだよ」
 岡林は笑って言った。
「それは」
「店長さんですか」
「見せの責任者だからね」
 それでというのだ。
「わしだよ」
「そうですか」
「そう、しかしね」 
 それでもというのだった。
「まあ普通はね」
「これといってですか」
「日本で拳銃とか持ってる人まずいないしね」
「アメリカとかと違って」
「それでね」
 そうであってというのだ。
「刃物もまずないね」
「銃刀法違反は偉大ですね」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「そういうのは安心して」
「それでやってますか」
「そう、そしてね」
「そして?」
「こうして監視カメラ設置していて」
「貼り紙していたら」
「そうしているだけでね」
 それでというのだ。
「随分違うんだよ」
「そうですか」
「そう、本当にね」 
 それでというのだった。
「安心していいよ」
「こういうので万引き減るんですね」
「かなりね」
「やる奴いますよね」 
 池田は真顔で言った。
「どうしても」
「いるよ、けれどね」
 岡林はそれでもと返した。
「少ないから」
「そうですか」
「そうだよ」
「そうなんですね」
「本当にね」
 嘘でなくというのだ。
「そんなGメンとか専属でいなくても」
「大丈夫なんですね」
「実際に働いてみればわかるよ」
 店でというのだ。
「万引きは少ないから」
「監視カメラと貼り紙で」
「実際にね」
「そうだといいですけれど」
 池田は心配だった、そしてだった。
 実際にアルバイトをしてみた、するとだった。
「一ヶ月経っても全然です」
「いないね」
「はい、万引きは」
「そうだよ、監視カメラがあれば」
 それでというのだ。
「撮影されてね」
「警察に通報出来ますね」
「そしてね」
 それにとだ、岡林は池田に店の事務所でさらに話した。 
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