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星河の覇皇

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第八十七部第四章 首相官邸にてその五十六

「ばれない様に話していてもだ」
「そのつもりでもですね」
「誰かが聞いている」
「そういうものですね」
「そして見ている」
 障子に目ありで、というのだ。
「これは日本の言葉だがな」
「その伊東首相のお国ですね」
「今は我々にとって強敵である」
「その人のお国ですね」
「実際そのままの話があった」 
 日本にはというのだ、日本にしても密談だの密約だのといった話は多い。その長い歴史の中において。
「鎌倉幕府の時だ」
「日本最初の武家の政権ですね」
「それから九百年程続いた」
「そのはじまりでしたね」
「その二代将軍のことだ」
 源範頼である、頼朝の長男であった。
「自身の実験を確かにしようと腹心とな」
「密談をしていたのですね」
「邪魔者を排除して」
「そうしようとしていたのですね」
「その相手はだ」
 まさにというのだ。
「自身の外戚北条氏であった」
「外戚が権力を持っていた」
「そして実権を持ってた」
「それで、ですね」
「自身の権力をですね」
「そうしようとだ」
 まさにその為にというのだ。
「密談をしていたが」
「そこで、ですか」
「聞かれていましたか」
「そうでしたか」
「それも実の母にだ」
 その聞いていた相手はというのだ。
「北条政子に聞かれてな」
「ことは露呈した」
「そしてその動きは失敗した」
「そうなったのですね」
「彼は油断していた」
 密談していてもというのだ。
「すぐ傍に自身の母がいてな」
「その母親が他ならぬ外戚ですね」
「言うまでもなく」
「外戚は男が実権を持っている場合母方です」
「そうなりますので」 
 これが女だと男になる、連合ではこの場合も多い。つまり入り婿の実家が実権を持ってしまうということだ。
「そして母親に聞かれた」
「まさに壁に耳あり障子に目ありで」
「そうなったのですね」
「こうしたこともある」
 実際にというのだ。
「だからな」
「気をつけるべきですね」
「話をするにしても」
「自分達の省庁の中でも」
「フーバーは相手のプライベートの会話まで知っていた」
 アッチャラーンは再びこの陣部tの話をした。
「それは何故か」
「自宅にまで、ですね」
「若しくはオフィスの裏側にもですね」
「盗聴器を仕掛けていた」
「そうでしたね」
「フーバーはまさにそうした人物だった」
 徹底した盗聴の専門家だったというのだ。 
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